とある科学のベストマッチ    作:茶の出がらし

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佐「天才物理学者であり、仮面ライダービルドの桐生戦兎は、学園都市に蔓延するネビュラガスの発生源を突き止めるために日夜スマッシュと戦っていた。グラビトン事件の犯人のレベルと被害のずれが、巷で噂のレベルアッパーに関係するかもしれないと考えた御坂さん達は、レベルアッパーについて調べ始めるのでした」

万「はあー!いい風呂だったー」

黒「さすが、学園都市随一の温泉施設ですの、途中で寝てしまったのか、記憶があまりありませんが・・・」

佐「(ねえ、あれって・・・)」

初「(ええ、お風呂場で御坂さんに抱き着こうとして電撃くらってましたからね・・・)」

万「よく生きてたな・・・、あ、コーヒー牛乳だ。プロテインねえかな」

佐「あ、私フルーツ牛乳がいいです」

初「わたしも」

黒「わたしはノーマルの牛乳で」

万「おう、って俺がおごるのかよ!!」

美「・・・」

美「あらすじ紹介、よね?これ」

佐「御坂さーん、何飲みますかー?」

美「コーヒー牛乳でー」

キュポンッ、ゴクゴク

一同「「「「「ぷはー!うまい!」」」」」

戦「うまいじゃないでしょうがぁぁぁぁぁ!!!!!!!」







第十六話 噂とうわさ 3

「じゃあ桐生先生、私はここでお別れなのです」

 

もうすっかり日も落ちた学園都市第七学区は、夏休みということもありまだまだ人通りが多い。ではーと言って路地を行く小萌を見送りつつ、補導されないのかなあの人は・・・と戦兎は思った。

 

「さ、帰って飯作らねえとな。考えてみればかき氷しか食べてねえや今日・・・、ん?」

 

マシンビルダ―に変形させようとビルドフォンを取り出した戦兎の目線、繁華街の方へと見覚えある影が走っていく。

 

「御坂と白井と万丈?」

 

相棒と知り合いの女子中学生が走っていく。これが普通の知り合いだったら何とも思わない。夏だからなあともっともらしいことを呟きつつ戦兎は帰路に就いただろう。が、あいにく見かけたのは学園都市最強クラスの能力者二人に筋肉馬鹿の仮面ライダー。その面々がこの時間の街を走っている、ということは、

 

「…なんかトラブルの臭いがするんだよなあ」

 

最悪だ…と一声呟き、戦兎は三人を追った。

 

 

「大丈夫ですかねえ…」

 

ベッドから降りてきた初春が言う。

 

「あの三人なら心配ないでしょ、万丈さんは仮面ライダーだし」

 

何を作ろうかなー、と携帯で検索エンジンを立ち上げた涙子が言う。

 

「学園都市が誇るレベル5とレベル4だもん。あたし達が行っても、ね」

 

「佐天さん…」

 

涙子の言葉に、どこか羨望と諦めを感じた初春は友人の方を向く。

 

「ねえ初春、もしレベルアッパーを使ったら、私たちも本当にレベルが上がるのかな?」

 

「さあ…、あ、でも」

 

と、いつものように人差し指を立てながら

 

「ズルは駄目ですよ?」

 

「なっ、だから『もし』って言ってるじゃん!大丈夫!手なんか出さないって!!」

 

少し顔を赤くして弁解する涙子。その様子を見て少しほっとする自分に、少しだけ疑問を持った初春だったが、

 

「本当ですかー?」

 

といつものように返すことでいつも通りの親友同士に戻ったのであった。

 

 

「そういえばさ、課題でパーソナルリアリティのことが出てたんだけど、イマイチわからないから教えてくれない?」

 

「交換条件ですかー?まったく…」

 

そう言いながらも涙子が鞄から取り出したプリントに目を通す初春。柵川中学校は公立校のため、常盤台のように大学レベルの文献や資料を読むことはないが、大体の学校では能力開発分野に関しては中学生から本格的に習うため、中1の二人にとっては今一つ理解できていない分野になる。

 

「自分だけの現実って、知識ではわかっていますけど…」

 

「自分だけの…」

 

雑炊用の出汁に冷蔵庫にあったご飯を入れひと煮立ちさせている間にネギを刻む涙子。実家には弟もいる長女のうえ、常に自炊派の手元は中学生にしては見事な手さばきであった。

 

「初春だけ、私だけ…、そんな現実ってなんだろうねえ・・・、あ、妄想とか?」

 

「あ、近いかも」

 

「えっ?」

 

冗談のつもりが、予想外にきた反応に初春の方を見る。初春は頬杖を突きながら資料をめくって言った。

 

「妄想はアレですけど、思い込みとか信じる力とか、そういう強い気持ちじゃないですかねえ?」

 

「へえー、信じる力、か」

 

鍋に刻んだネギを入れ、鍋をかき混ぜる。風邪をひいたときに母がよく作ってくれた卵雑炊。母の味には及ばないが、こっちも悪くないと涙子は思っている。

 

「私自身レベル1なんで、全然説得力ありませんけど」

 

「ううん、ありがとう。…正直、自分だけの現実って言われてもちんぷんかんぷんだったけど、なんとなくわかった気がする」

 

おたまで少しだけすくって味を見る。

 

「私も信じていれば、いつかレベルが上がるのかな?」

 

「大丈夫ですよ、佐天さんは思い込みが激しい人ですから」

 

「何気にひどいこと言うねぇ、きみは」

 

笑顔でこちらを見る初春に涙子もまた、笑顔で返す。

お母さんの味には、やっぱり届かないと思いながら。

 

 

「ここね」

 

「このラミレスにその掲示板に書き込んでいる奴らがいるのか?」

 

「誰ですのラミレス…」

 

第七学区、風力発電用の風車が目印の公園が近いファミレス。美琴達がよく利用する店だがこちらは大通りから少し外れている店舗らしく、先ほどから出入りする客層も所謂不良のような格好の学生が多い。

 

「じゃあ早速」

 

「乗り込むか!」

 

「もう、お姉様ったら、というか万丈さんも」

 

「なによ、アンタは風紀委員(ジャッジメント)なんだから面が割れてるかもしれないでしょ?いいから私に任せときなさいって!ってゆーか…」

 

拳を掌に打ち付けながら気合を入れている万丈に言う。

 

「アンタなんかまんま警備員(アンチスキル)じゃない、ここで黒子と待ってなさいよ」

 

「はあ?俺だって馬鹿じゃねえし、これ脱げば問題ねえだろ」

 

「問題大有りよ!、大の大人と女子中学生なんて、この街じゃ目立ってしょうがないのよこの馬鹿」

 

「せめて筋肉つけろよ!」

 

「ば、万丈さん!声が大きくて目立ってますの!!」

 

美琴の言葉通り、何を話しているかわからなくてもこの三人の取り合わせは目立つようで、今も通行人から何事かとみられている。

 

 

「じゃ、ちょっと行ってくるわね。アンタたちは離れた席で待機してなさい」

 

言うが早いが、美琴は店内へと消えていった。

 

「なんでしょう…黒子は嫌な予感しかしませんの…」

 

「ん?なんでだよ?どうでもいいけど腹減ったし、なんか食ってようぜ」

 

この人にも感じますの、とは口には出さなかった。

 

「レベルアッパーについて知りてえだ?」

 

「うん♪ネットでくうぜんー、お兄さんたちの書き込みみつけて、できたらわたしにも教えてほしいなあーって、ねっ?おねがい!このとおーり♪」

 

猫なで声、としか形容できない声色で美琴は喋る。目の前には3人の男子学生。見た目からして高校生といった感じだ。

 

「んなの知らねーよ、とっとと帰んな。」

 

「そんなこと言わないでー」

 

「しつけーぞ、ガキはもうおねむの時間だろ」

 

そんな美琴の演技もむなしく、素っ気なく返す不良たち。

 

「これは…早くも頓挫の予感ですの…」

 

注文した飲み物をストローで吸いつつ、黒子はつぶやく。美琴たちから5席ほど離れた一画に座っている二人は、先ほどから美琴の動向を見守っているのだが、

 

「このスパゲッティ―めっちゃうめえな。マスターが作ったのとは大違いだ。んー、でもやっぱプロテイン入ってねえと気合入んねえなあ」

 

「あの、万丈さん?今はそんなことしてる場合じゃありませんのよ?お姉様の方を」

 

「ええー?私そんな子どもじゃないよー?」

 

「ぶっふぉ」

 

唐突な美琴のセリフに噴き出す黒子。

 

「(な、なに言ってますのお姉様黒子というものがありながら!!)」

 

「きったねえな!ったくふきんふきん…」

 

「ほらよ、ふきんだ。ちゃんと拭けよ」

 

「おーサンキュー戦兎。…戦兎?」

 

と、横を見ると見知った顔の男が眉をぴくぴくさせながら席に座っていた。

 

「…何してんのお前ら?」

 

「き、桐生さん…、あの、何故かご機嫌ななめに見えるのは気のせいですの…?」

 

「カルシウム足りてねえんじゃねえの?」

 

火に油を注ぐ真似を!と黒子が止めに入るもむなしく、

 

「それは、お前らが、さっきから、さんざん、怪しいことしてるからでしょうがあああ!!」

 

と店内であることを考慮したうえでの怒声と共に万丈の頭をはたく。持っていたゴリラフルボトルの効力か筋肉馬鹿で頑丈な万丈にもダメージがあったらしく、頭を押さえて悶絶していた。

 

「あ、あの、これには深いわけがございまして…」

 

と制裁を恐れた黒子はかくかくしかじかと成り行きを話す。いつの間にか頼んでいたコーヒーを飲みつつ聞き

 

「つまり、信憑性不確かな情報を頼りにレベルアッパーの謎を突き止めようと?相変わらず無茶な真似するな」

 

「返す言葉もありませんわ…」

 

反省の色を見せる黒子にはそれ以上何も言わず、万丈の方に向き直る。

 

「お前も、俺たち大人が危ない真似を助長してどうする。そういう時は慎重に動けっていつも言ってるだろうが」

 

「別に言われてねえし」

 

「それはお前が覚えてないだけだよこの馬鹿」

 

「馬鹿って言うなよ、せめて筋肉つけろ」

 

「やかましわ。ところで」

 

と黒子の後方を見て戦兎は言う。

 

「その御坂だけど、結構前にチンピラ連れて外でてったぞ」

 

「なんですって!?」

 

急いで振り返れば、確かにいつの間にか美琴と男子学生たちはいなくなっていた。

 

「お姉様に限って危険はないと思いますが、急いで探さないと」

 

「大丈夫だ、さっきドラゴンをつけといたから場所はわかる。追いかけるぞ」

 

そう言って戦兎は席を立とうとするが、万丈に掴まれ、止められる。

 

「なんだよ」

 

「悪かった、俺の判断が甘かった。…次からは気を付けるよ」

 

「わかればいいんだよ。筋肉馬鹿でもちゃんと学べるじゃねえか。ほら、とっとと行くぞ。白井もな」

 

「おう」「了解ですの」

 

そう言って二人は戦兎に続いて駆け出した。

 

 

「あ、万丈罰としてお前ここ払えよ」

 

「は?それとこれは別の話だろ!つーか財布持ってねえし」

 

「中学生に払わせる気だったのかよ!?」

 

「わたくしが払いましたから!早くいきますわよ!」

 

「「は、はーい…」」

 

最後まで締まらない大人たちであった。

 




お久しぶりです。久々投稿です。

六月は落ち着くので投稿頻度は(多分)上がります。だから今回短いのは大目に見てください。

色紙アートコレクション、オーズ最終回を手に入れました、ツイッターでコンセレオーズドライバーのメダルと一緒に撮ったエモい写真投稿してるのでよかったら見てください。

門矢士が通りすがり、加賀美新が変身し、地獄兄弟は相変わらずでウォズはファイナリー、ン我が魔王はなんかいける気がしない今日この頃、皆々様、暑さに気を付けてくださいね。

弾丸の勇者がライダーになりましたね。

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