とある科学のベストマッチ    作:茶の出がらし

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戦「天才物理学者の桐生戦兎とブレイブ溢れるキングこと桐生ダイゴは目が覚めると全裸になって大学の構内に倒れていた」

美・黒・初・佐・万「「「「「は?」」」」」

戦「前回に続いて台本が回されてきたんだけど、キング?全裸?」

黒「あのー言動とか大人びていますので勘違いされがちですけど、わたくし達まだ中学生ですのよ?全裸とかはちょっと・・・」

戦「いや俺のせいじゃねえし!!というか俺はもう26歳の大人だ」

佐「じゃあなんでしょうね?ってあれ?、何か挟まってますよ?」

万「おい戦兎!!お前が全裸で沈んでるぞ!!」

戦「そんなわけ・・・そんなわけあった!?」

美「黒子、110番」

戦「躊躇なし!?ちょっと落ち着けって!よく見ると俺と・・・めっちゃ似てる・・・」

黒「言い逃れできませんの」

戦「まて!!まだ佐藤太郎って可能性が残っている!!」

美・初・黒・佐「「「「誰だよそれ」」」」」

初「あれ?写真の下に何か書いてありますよ?」

佐「ほんとだ、何々・・・『世界よ、これが〈日本のキャンパスライフ〉だッ!限界突破の全力脱衣系☆青春コメディ、まさかのまじめに実写化!!【ぐらんぶる】2020年5月29日公開』・・・・」

佐「・・・はい、せーの」

戦・万・美・黒・初・佐「「「「「「宣伝かよ!!!」」」」」」

上「え?俺が言うの?えー、どうなる第20話!!」


第二十話 大丈夫です

「黒子―?頼まれてた着替え持ってきたけどって…なにこれ」

 

風紀委員詰所に紙袋を下げてやってきた美琴は、いい歳こいた大人二人がメンチを切っているというアレな場面に遭遇した。

 

「あ、お姉様!わざわざお呼び立てして申し訳ありませんですの……、この二人はそのー」

 

「万丈さんの新装備を作る作らないで揉めているんです…」

 

「ふーん…、これ、頼まれてた着替えと差し入れ、ちゃんと食べなさいよー」

 

「御坂さんありがとうございます!わあ美味しそう…」

 

美琴が持ってきたのは第七学区の人気スイーツ店のケーキセット。今の時期だと清涼感溢れるゼリーなんかが人気らしい。

そんな甘味をいただきつつ、大人二人の言い合いに耳を傾ける。

 

「だーかーら!!再開発するにしてもスクラッシュゼリーの成分精製やらベルト基盤のプログラミングやらやること多いんだよ!!そもそも元々持っていたビルドドライバーと違って一から創るんだから、そんな一朝一夕で出来るわけねえだろうが!」

 

「プロペラリングとかわかんねえよ!!もっと簡単な言葉で話せ!!つか、そんなもん気合でどうにかしろよ!!」

 

「気合でどうにかできんならまず俺の発明品直すっつーの!俺の装備だってまだまだできてないのにお前のドライバー作ってられるかい!」

 

「この間スパークリング作ってたじゃねえか!!あれで十分だろ!」

 

「ちょおまっ、ここぞって時に使おうって思ってたのに!!ネタバレ禁止!!」

 

「……子どもの喧嘩ね」

 

「その通りですの……」

 

「それより、これまでにわかったことをまとめましょう」

 

そう言って初春はPCから出力した紙の束を机に広げる。

 

「まず、レベルアッパーと呼ばれるものは音楽データであり、それを聞いた人間の能力は向上する、と」

 

「向上の度合いは人それぞれだけど、これは元のレベルが関係してる可能性がありますの。」

 

つまり

 

「元々レベルが上がりそうな人間は、そこからさらに向上する、と」

 

いつの間にか戻った戦兎が黒子の言葉を繋げた。

 

「もっとも眉唾ものだけどな。学習装置ならいざ知らず」

 

「テスタメント?」

 

戦兎が使った聞き慣れない単語に反応した美琴に、黒子が解説した。

 

「木山先生がおっしゃっていた、短期間で大量の電気的信号を脳に与える装置、らしいですわ。ただ―」

 

レベルアッパーの入った音楽プレーヤーを見ながら

 

「それは視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚の五感すべてに働きかけるもので―」

 

「レベルアッパーはただの音楽ソフト。聴覚作用だけね」

 

美琴の言葉に万丈以外が頷いた。

 

「昏睡状態になった人たちの自宅を捜索しても、あの曲のデータ以外何も見つからないんです……あっ。お湯湧いた」

 

話している途中に甲高い音、お湯が沸いたときに生じる薬缶の音がしたので、初春が火を停めに走る。

「…仮の話だけどさ」

 

考え込んでいた美琴がふと話し始める。

 

「その曲自体に五感に働きかける可能性はないかな?」

 

「どういうことですの?」

 

「前にかき氷食べた時の事、覚えてない?」

 

うーんと腕を組む黒子の横で戦兎が思い出したようにつぶやく。

 

「共感覚性の話か」

 

「そう、ある種の方法で多数の感覚を刺激すること。つまり―」

 

「音で五感を刺激し、疑似的に学習装置と同じ効果を得る、ということですか?」

 

「ああ、そもそも耳は脳に近い部位だし、あるいは可能かもしれない」

 

「ちょ、ちょっと木山先生に聞いてみます!」

 

言うが早いが、初春は携帯を取り出し木山の連絡先をコール、今の美琴の仮説を話し出す。

 

『その可能性はあるな。なるほど、見落としていた』

 

「その線で調査をお願いしたいのですが!」

 

『ああ、そういことならツリーダイアグラムの使用許可も出るだろう』

 

「ツリーダイアグラム!?」

 

「急に何大きな声出してるんだよ。なんだよスキータイムスリップって」

 

「ツリーダイアグラムだ馬鹿!学園都市が誇る世界最高スペックのスーパーコンピューター!その演算能力があれば、プロジェクトビルドの再構築も容易!!ああ、少しでいいから貸してほしい!!」

 

『・・・結果が出たら伝えるよ。』

 

「あ、じゃあ今からそちらに行ってもいいですか?ツリーダイアグラムを使うところ見てみたいんです」

 

『ああ、構わんよ』

 

初春の申し出を受け入れ、そこで通話が終了した。

 

「初春!!俺も!!俺も行かせてくれ!!」

 

「駄目ですの、こちらはスマッシュやレベルアッパー使用者の対策を!!」

 

「そんな!!学園都市の英知の結晶をこの目で見たかった・・・!!!!」

 

がっくりと項垂れる戦兎を尻目に初春は駆け出すのであった。

 

「(やっぱり・・・初春には話しておこうかな・・)」

 

レベルアッパーを使って能力の試し打ちをする友人たちを眺めつつ、涙子は頭を振った

 

「やっぱり怒られちゃうかな・・・」

 

やっぱり隠し事って向かないなあ、と思いつつ真っ暗な携帯端末を見つめると、ドサッと何かが倒れる音が前方から―

 

「え?」

 

視線の先、そこには先ほどまでゴミ拾い用の清掃ロボットをサイコキネシスで浮かせてご満悦だったアケミが倒れていた。

 

「アケミ!?」「アケミちゃん!?」

 

他の友人たちが駆け寄る中、涙子の脳裏にはある文言が浮かんでいた。

―レベルアッパーを、使ったから……?―

 

その場から動けず、ただただ見つめることしかできなかった。

 

 

「着信…あ、佐天さんだ」

 

佐天涙子と書かれたディスプレイに苦笑しながら、初春はいつも通り親友に応える。

 

「佐天さん?もう心配したんですよ?なんかよそよそしいし、電話しても着信拒否だし―」

 

『……っちゃった』

 

「はい?」

 

いつもの調子とはかけ離れた涙子の声に思わず顔が曇る、か細く注意して聞かなければわからないほどの声で涙子は話し始める

 

『…アケミが、急に倒れちゃったの……』

 

「っえ?」

 

アケミ―おそらくクラスメイトの女子の名前だ。初春もたまに話をしたりする。そのアケミが倒れた?

 

『…レベルアッパーを使ったら倒れちゃうなんて、わたし、知らなくて……みんなに……、わたし、そんなつもりじゃ……』

 

「お、落ち着いてください、そ、そうだ!」

 

と初春は端末を操作してあるアプリを起動した。それは、今聞いてる会話を第三者に届けるという盗聴器まがいの物で、以前戦兎が研究開発費の足しになればと警備員に提供したものだ。

送信先を戦兎にして、再び涙子に話しかける。

「落ち着いてください、ゆっくり、最初から―」

 

『レベルアッパーを手に入れちゃったんだけど……所有者を捕まえるっていうから…でも捨てられなくて…それで…』

 

「戦兎!!??」

 

「ちょ、アンタどこ行く気よ!!」

 

弾かれたように走り出した戦兎はすぐに初春の位置情報を割り出し、そこにむけて駆け出した

 

『アケミ達が、レベルアッパーが欲しいって、ううん…』

 

走りながらもビルドフォンを耳に強く押し当て、涙子の一語一句を聞く。歯を食いしばりながら

 

『…ほんとうは、一人で使うのが怖かっただけ………』

 

『とにかく!!今どこですか!?』

 

初春の位置情報が変わる、おそらく走り出したのだろう。スピードを上げつつ会話を聞く。

 

『…わたしも、倒れちゃうのかなあ………』

 

『何言って…』

 

『そしたらもう、二度と起きれないのかなあ………』

 

「っく!!!!」

 

道行く人を押しのけ、戦兎は走る、そして

 

「初春!!!乗れ!!」

 

初春を見つけるとすぐにビルドフォンを変形させ、ヘルメットを渡す。初春の端末を接続して通話しつつ、涙子の通話発信源を探る。

 

『……わたし、能力のない自分が嫌で…でも、どうしても憧れが捨てられなくて………』

 

「見つけた!!飛ばすぞ!!」

 

言ってバイクを急発進させる戦兎。画面はここから5kmほどの目的地―涙子の自宅である学生寮を示していた。

 

『…かな』

 

「なんですか!?」

 

ヘルメットに取り付けてあるスピーカーからか細い声。まるで、懺悔のような声

 

『レベル0って、欠陥品なのかな………?』

 

「なにを…!」

 

『それがズルして、能力を得ようとしたから、罰が当たったのかな……危ないものに手を出して、周りを巻き込んで…わたし……』

 

「「大丈夫だ(です)!!!!」」」

 

『っえ?』

 

こんな状況なのに、初春の口元は笑顔だ。

いつも親友に語り掛けるように。

いつもどおりに。

 

「もし眠っちゃっても、わたしがすぐに起こしてあげます!」

 

「そうだ!お前、まだ俺が出した課題提出してないだろ、アケミたちもだ」

 

 

「佐天さんも、アケミさんも、他の眠っている人たちも、必ず私たちが目覚めさせます」

 

だから

 

「だからドーンと!任せてください!!佐天さんきっと、あと五分だけーとか言っちゃいますよ!!」

 

「ああ!だけど提出は待ってやんないからな!遅れたら全員まとめて補習してやる!」

 

『ういはる…せんせい……』

 

「佐天さんは欠陥品なんかじゃありません!!」

 

戦兎の背中が震える。サマーニットの背を、強く握られる

 

「能力なんか使えなくたって、いつもいつも私を引っ張ってくれるじゃないですか!!力がなくても佐天さんは佐天さんです!私の親友なんだから!」

 

震える声で

 

「だから……そんな悲しいこと、言わないで…!」

 

『…ういはる……』

 

「そうだ。初めて会ったあの日、お前は能力なんかなくても子どもを助けようとした!!その気持ちが!能力よりもよっぽど優れたその心が、お前がお前である証なんだ!それを欠陥品なんて呼ばせない!絶対に」

 

『戦兎せんせい………』

 

戦兎の言葉、初春の嗚咽が涙子の目にその名の滴を浮かばせる。

 

『……初春を頼れって、言われてもねー』

 

「わ、私だけじゃないですよ!?」

 

その声は、いつもと同じ。

親友であり教え子である佐天涙子の声に戻っていた。

 

「御坂さんや白井さんや戦兎先生に万丈さんはアレだけど、他にもすごい人がたくさん!!」

 

『…うん、わかってる。ありがとね、初春。……迷惑ばかりかけてごめん』

 

あと、よろしくね。

 

その言葉を最後に、通話は切れた。

 

「初春さんは?」

 

「絶対データを解析して佐天さんを助けるんだって、今木山先生のところへ」

 

第七学区のとある病院、涙子が眠る病室の前で美琴と黒子は話していた

 

「そう…あいつは?」

 

「桐生さんは共感覚性という観点からデータの解析を、万丈さんはスマッシュ警戒のために市内を見回ってますわ」

 

「そう……、ちょっといい?」

 

「?はい…」

 

そう言って二人は屋上へと移動する。第七学区の街並みが見える気持ちのいいスポットだが、今は二人以外誰もいない

 

「それで、話ってなんですの?」

 

「佐天さん、御守り持ってたでしょ?」

 

「…ああ、いつもかばんにぶら下げてる」

 

「うん。あれね、お母さんにもらったんだって。学園都市に来る前に」

 

「そんな話をお姉様に……」

 

「多分、色々話したかったんだと思う。それなのに私……レベル5とか言ってもそういうとこ、全然だめだよね」

 

「お姉様……」

 

「私はさ、目の前にハードルが置かれたらそれを飛び越えないと気が済まない性質だから………レベル5もその結果ってだけで、全然すごいとも思ってなかった」

 

でも

 

「ハードルの前で立ち止まっちゃう人もいるんだよね。そういう人がいることを考えてもみなかった」

 

フェンスを少しだけ握り、視線を落とす。

 

「レベルなんてどうでもいい、なんてさ……無神経な話だよね」

 

『そこまでわかってんなら大丈夫だろ』

 

「「え?」」

 

とシリアスな雰囲気に似つかわしくない声が聞こえる。

見ると、2人の頭上を例のドラゴンが飛び回っていた。

 

 

『確かにお前は無神経のビリビリ女だ。だけどな、佐天だって、誰かを頼ったり相談したりできたはずなんだ。悪いのはその方法を示してやれなかった俺たちみたいな大人だ。』

 

「でも、事実私は佐天さんを傷つけた…それはもう変えられない……」

 

『変えられないことはねえよ。お前の力なら、佐天を、みんなを救えるはずだ』

 

「はずって…根拠はありますの?」

 

『ない。これから探すよ。さしあたって一人あってほしい人がいるんだけど…』

 

「それって―」

 

「…ゲコ太…」

 

「違いますのよお姉様」

 

戦兎との通信後、美琴達はこの病院の医師だという男を訪ねた。かえる顔、としか形容できない医者は美琴達の名前を聞くと得心したかのように頷き、自身の仕事スペースまで二人を通し、PCを立ち上げる。

で、カエルに反応した美琴を黒子が宥めているところであった。

 

「これはレベルアッパー被害者の全脳波パターンだ」

そう言ってかえる顔の医者は画面を切り替え、説明を続ける。

 

「脳波は個人個人で違うから、同じ波形なんてありえないんだね。ところがレベルアッパー被害者には共通の脳波パターンがあることに気が付いたんだよ」

 

「…どういうことですの?」

 

黒子の問いにかえる顔の医者は脳波の画像を表示させる。

 

「誰か他人の脳波パターンで無理やり脳が動かされているとしたら、人体に多大な影響が出るだろうねえ。加えて、どういうわけか脳の海馬にも共通の症状がでているんだ」

 

「…つまり、レベルアッパーで脳をいじくられて植物状態になったってこと?」

 

「誰が何のつもりで……」

 

「僕は医者だ。それを調べるのは君たちの仕事だろ?」

 

その言葉に二人は顔を見合わせる。

 

「わかりました。帰って分析しましょう」

 

「そうね。ありがとうございました」

 

「ああ。…あ、そうだ。彼に伝言を頼めるかい?」

 

「彼…桐生先生ですの?」

 

「ああ、いずれ機会を設けるから、その時は宜しく、と」

 

「?はいですの」

 

言って二人は部屋を後にした。

 

かえる顔の医者は、笑っていた。

 

 

「そうか、この間の彼女まで」

 

「……私のせいなんです」

 

木山の研究室で初春はつぶやく。あのあと戦兎と別れ、単独でこの研究室に向かった初春だが、未だ気持ちは沈んだままだ。

 

「…あまり自分を責めるものじゃない。少し休みなさい、コーヒーでも―」

 

「悠長なことを言ってる暇は―」

 

ぽん、と

思わず立ち上がりかけた初春の肩に木山の手が置かれる。

 

「分析結果はまだ出ていないが、お友達が目覚めたときに君が倒れていたら元も子もないだろう」

 

「……」

 

「…大丈夫、最後はきっとうまくいくさ」

 

そう言い残して木山は部屋を出た。

 

「…………」

 

自分の不甲斐なさと木山の言葉かけで少し冷静になった初春は、改めて研究室を見回した。大脳生理学と聞いていたので、やはり脳に関する蔵書が所せましと置かれている。

 

「…ん?」

 

そんな中で、引き出しからはみ出ている紙片が目に留まった。こちらからは逆さまになっているが、表題の単語は判別できた。

 

『Synesthesie』と

 

風紀委員の事務所に戻った美琴、黒子は、別行動をしていた戦兎にカエル顔の医者から聞いたことを話していた。

 

「なるほどな。特定の個人の脳波パターンによる脳の制御か。そのパターンがわかっているなら」

 

「ええ、初春に書庫の記録を検索してもらえば―って初春はいないんですの」

 

木山のところに行ってることを失念していた黒子が肩をおとした。

 

「安心しろ。この天っ才物理学者が事前に書庫へのアクセスを申請しておいたんだ。警備員経由だがアクセス権は問題ないはずだ」

 

そう言って戦兎は初春のPCを立ち上げ、書庫にアクセスを始めた。

 

「ねえ、書庫にデータがなかったらどうするの?」

 

「大丈夫ですわ。能力開発を受ける学生は勿論、病院の受信や職業適性テストを受けた大人のデータも保管されていますの」

 

「(そういや俺と万丈のデータとか、その辺どんな扱いなんだろう)」

 

後で調べてみようと決め、あらかじめ控えていたパスワードを打ち込み、検索する脳波パターンを出力する。

 

「でも、なんでレベルアッパーを使うと同一人物の脳波が組み込まれるのかな」

 

「しかも能力のレベルが上がるなんて、さっぱりわかりませんわ」

 

「…仮定の話だが、脳波の統一による能力の向上って点になら仮説はあるぞ」

 

「「は?」」

 

何気なく言った戦兎の一言に二人は疑問符を上げる。

 

「どういう仮説よ」

 

「脳波によるネットワークの形成、それによる演算能力の向上だ」

 

「ネットワーク?」

 

検索をはじめてシークエンスバーが表示されるのを待って戦兎は話しはじめる。」

 

「例えば、このパソコンも単体じゃ能力に限界はあるが、ネットワークに接続、構築することによって全体の能力を上げることができるように、能力使用の際に必要になる演算能力もネットワーク経由なら底上げされて、結果的に能力自体が強化されるように見えなくもない、ってことだな」

 

「なるほど、でもどうやってみんなの脳を繋いでるの?脳波を同じにしただけじゃ……」

 

「…考えられるとすれば、AIM拡散力場ですの。能力者が無意識に発生させている能力の力場」

 

「ありえなくはないな。」

 

戦兎の言葉に美琴は反論する。

 

「でも、あれって無意識下のものでしょ?それに私たちの能力ってパソコンで言えばOS種類が違うようなものでしょ?」

 

「いや、PCの並列ネットワークもOSは関係ない。大事なのはそれらを繋ぐプロトコルだからな」

 

「つまり、共通の脳波パターンと言うプロトコルで能力者間にネットワークを構築している、と?」

 

「可能性の話だけどな。だが」

 

「もしこれが実現できれば、弱い能力でも演算をネットワーク全体で共有すれば処理能力は向上するし、同系統の能力者ならより効率的に能力が扱えるはず」

 

「……もしかして、今昏睡状態の人達は、演算処理に脳のすべてを使われているんじゃ………」

 

「あり得るな……っと出たぞ!脳波パターン照合率99%、って……」

 

「この人は…」

 

同時刻

 

初春は木山の研究室で立ち尽くしていた。

 

「これも、これも……共感覚性の論文ばかり………どうして」

 

「いけない子だな」

 

ビクッと、声のする方を見ると木山が不気味な笑みを浮かべつつ、初春を見ていた。

 

「木山…先生……」

 

「人の研究成果を勝手に見るとは・・・そろそろ潮時かな」

 

そう言って木山は、後ろ手でドアを閉めた。

 

「照合率99%、木山春生………」

 

「「「初春が!!」」」

 

黒子はすぐに携帯端末を操作して初春に電話するが、つながらない。

 

「警備員に通報しますの!木山春生の身柄を確保。ただし、人質がいる可能性があると!」

 

「初春の携帯の位置が分かった!万丈!黄泉川さんと一緒に今から送る場所に向かってくれ!俺もすぐに行く!!」

 

『わかった!!』

 

いつの間にか通信していたクローズドラゴンにデータと声を飛ばし、そのまま机の上にあったビルドドライバーを掴んで立ち上がろうとした、まさにその時。

 

「ちょっと待て……なんだこれ……」

 

ビルドフォンからの通知、それは。

 

「スマッシュが同時に5体出現した!?」

 

 

 

 

 

 

 




お久しぶりです。

コロナ大変ですね。仕事があもろに影響出てまして、そんな中だからこそ更新しようかなって思ってます。嘘です。不意の暇な時間ができたので更新しました。

そろそろクライマックスなレベルアッパー編(やっと)次回はちゃんと変身するし戦いますので安心してください。

犬飼さん&竜星さん、ぐらんぶる出演おめでとうございます!
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