愛する旋律   作:プロッター

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ケイ隊長、誕生日おめでとう!

どうにか間に合いました・・・。


できない

「お願い英、この通り」

「断る」

 

 昼休みの『バルタザール』食堂で、6人掛けテーブルの端に向かい合って座り昼食を摂っていた英と山河。2人だけなのに6人掛けのテーブルに座っているのは、運悪く4時限目の数学の教師が、山河と英にプリントを運ぶよう頼まれてしまったからだ。

 出遅れてしまった2人は、それぞれメニューを注文して、空いていた6人掛けのテーブル席に座りそれぞれ料理の味を楽しんでいた。そんな中で山河が英にとあるお願い事を話して頭を下げてきた。だが英はそれをすっぱりと断る。

 

「英が最後の砦なんだ!お願い!」

「そんなこと言われても、ダメなものはダメだ」

 

 山河が手を合わせて、頭をテーブルにつけそうな勢いで深々と下げ、必死に頼みこむ。だが英は眉一つ動かさずにチーズバーガーを齧って、さらに断る。

 だが英も、嫌がらせのつもりで山河を断っているつもりはないし、詳しい話を聞かずに断ったわけでもない。お願い事の詳細まで聞いて、だがその上で断っているのだ。

 

「うちの部長の顔を立てると思って、お願いだ!」

「クイズ研の部長の顔自体知らないんだけど」

「じゃあランチ10回奢るからそれで手を打ってくれ!」

「打てない」

 

 山河の持ち掛ける交渉を悉く退ける英。フレンチフライをつまみながら、山河の持ち込んだ『お願い事』を英はもう一度思い出す。

 山河はクイズ研究部に所属している。そして、開催日が徐々に迫ってきているサンダース大学付属高校の学園祭『サンダースフェスタ』でクイズ研究部は、何か1つ面白いクイズコーナーを設けたいと思っていた。

 しかしその面白いクイズコーナーの案が思い浮かばず、ここ数日昼休みを割いてでも話し合いの場を設けたが、それでも良案は出てこなかった。

 そこで山河は、最終手段とも言うべき案の相談を英に持ちかけた。

 

「俺は所詮帰宅部の素人だぞ。そんな奴に生演奏頼むとか、バカか」

「バカでもアホでもいいから、ホントにお願い!」

 

 山河が提案したのは、ピアノアレンジ曲を聴いてそれが何の曲かを当てる音楽クイズだった。それを提案すること自体は別に構わないのだが、問題なのは、そのピアノの演奏を英に生でやってほしいと宣った事だ。

 いくら英が、頼まれたら中々断れない性分であっても、そればかりは流石に譲れなかった。何しろ、有名なクイズ研究部の開催するクイズ大会と言うのだから観客は大勢いるだろうし、そんな観客たちの前で、しかもステージの上でピアノを生で弾くというのは、これまで経験したことのない緊張感を味わうことになるだろうということは分かる。

 念のため、もう一度だけ聞いてみることにした。

 

「そのクイズ大会、どこでやるんだっけ?」

「・・・東側の、第2ホール」

「収容人数は?」

「・・・・・・700人」

「うん、無理」

 

 クイズ研究部のクイズ大会は、毎年サンダースフェスタでの目玉イベントの1つとして注目されている。だから、早い段階で開催会場は確保することができたらしい。その場所となった第2ホールは、大規模な講談会や生徒会選挙の演説会などを行う施設である。

 その収容人数は山河の言った通り700人。クイズ大会にそこまでの観客が来るかどうかは不明だが、目玉イベントである以上はそれなりに多くの観客が来るであろうことは容易に予想できる。

 そんな大人数の前でピアノを弾くなどこれまで一度も無かったし金輪際来なくていいとも思っていたから、その人数を聞いただけで気が滅入る。

 

「とにかく無理だ、他を当たれ。っていうか、音楽系の部活やってる人に頼めよ」

「皆それぞれの部活の演目で手いっぱいらしくて、頼むのも申し訳ないんだよ」

「まあ、だろうな。で、俺に頼んできたと」

「そう、だからお願い!」

「全力で断る」

 

 がくっ、と力なく項垂れる山河。

 山河の落ち込む姿を見て英も少し心が痛むが、こればかりは引き受けられなかった。いくらピアノが好きだし周りからの評価もそこそこ高いとはいえ、そんな大舞台で弾くなど恐れ多いにもほどがあった。

 この前ケイのホームパーティで、急な話ではあったがパーティ会場(ケイの寮のリビングだが)で約20人ほどの前でピアノ・キーボードの生演奏をした時でさえ緊張してたのだ。その何十倍もの人数の前でピアノを弾くなど、英にとっては正気の沙汰ではない。

 とはいえ、このまま無下に断って後は山河が頑張るしかない、とまで言い切るほど英も冷酷無慈悲ではなかった。だから、少し協力することにする。

 

「他に何か案はないのか?」

「いやぁ・・・・・・先輩も後輩も、あまりアイデアが思い浮かばないらしくてね」

「そうか・・・・・・。どんな企画がいいんだ?」

「皆が盛り上がれるの」

「抽象的過ぎる」

 

 山河の様子を見る限り、どうやらクイズ研究部内でも手詰まり感が漂っているらしい。英も代替案を用意して助け舟を出したかったが、良いアイデアが浮かばない。

 2人して唸っているところで、頭上から声をかけられた。

 

「Hi,影輔!」

 

 自分の名前を呼ぶその声は、忘れるはずもない人のもの。声のした方向を見れば、そこにいたのはやはりケイだった。手には今英が食べているものと同じチーズバーガーとフレンチフライ、コーラのセットが載ったトレーがある。

 そしてケイの後ろには、アリサとナオミが控えていた。2人とも、それぞれカレーライスと、ビーフステーキ定食が載ったトレーを持っている。

 その中で笑顔で声をかけてきたケイを見て、英が刹那の間だけ呆けたような顔で動きを止めたが、すぐに覚醒して動きを取り戻す。

 

「・・・どうした?」

「席空いてるみたいだし、一緒してもいい?」

 

 英が『普段通りを装って』訊くと、ケイは英たちの横の空いている4人分の席を指す。3人ともそこに座りたいようだ。

 英は、突然やってきた有名人のケイを前にして沈黙してしまった山河の手の甲をつついて『大丈夫か?』と目で問いかける。山河がこくこくと頷き返したので。

 

「ああ、大丈夫」

「それじゃ、お邪魔しまーす」

 

 そう言ってケイは、当然のように英の隣に座る。そのケイの隣に座るのはアリサ。反対側に座る山河の隣にはナオミが座った。

 そしてその直後、ケイは椅子をわずかに英の方にずらして、英との距離を詰めた、ような気がした。それで英がケイの方を見て、ケイは『ん?』と笑って首をかしげていて、英の気のせいなのかもしれなかった。

 そこでようやく正気を取り戻した山河が、初対面のケイたち3人に挨拶をする。

 

「あ、初めまして。英の友人の山河博之です。よろしくです、ケイさん、ナオミさん、アリサさん」

 

 山河は基本的に人が良く穏やかな気性のため、仲良くなりやすい印象がある。だがそんな山河も、最初に英がケイたちと出会った時と同様に敬語で話してしまっていた。同い年でも敬語を話すのといい、名前を既に知っているのといい、英の時とほぼ同じだ。

 一方でケイたちは、自分たちがサンダースで名の知れいている存在だということは英と初めて会った時から分かっていたので、山河が名前を知っているということについては別段疑問を抱かなかった。

 

「よろしくね、ヒロ!」

「それと、同い年だし堅苦しい話し方もしないで大丈夫だ」

「そっか・・・それじゃあよろしく」

 

 早くもケイが山河のことを愛称で呼び、ナオミは英に初めて会った時と同じような言葉をかけて握手を交わす。ケイとも握手をしたが、アリサはやはり頭を下げるだけの挨拶だ。

 そんな4人を尻目に、英はフレンチフライを無心で食べる。急に食欲が湧いてきたとかそんな理由ではなく、隣に座るケイを意識しすぎないためだった。

 

 

 数日前に英は、ケイに対して恋をしているということを確信した。自分の中の気持ちを整理して、見つめ直して、それが恋心だということに気付いたのだ。

 そしてその気持ちに気付いてから、ケイのことを考えると心が掻き乱されるかのような気分になってしまう。それが嫌ではなくて、むしろ恋をしているんだという実感が湧くからそれは良い。

 だがそれでも、実際に顔を見るとどうしても緊張してしまうものだから、こうして気を紛らわせているのだ。

 そして自分の抱いている緊張感、恋心は悟られたくはなかった。誰かを想う気持ちとは、他の誰か、特にその想いを向ける相手には絶対に悟られたくはない。なぜならそれが恥ずかしくて、そして拒絶された場合のショックが大きすぎるからだ。

 だからこの想いを告げるまで、この気持ちは誰にも悟られたくはなかったし、言いたくもなかった。

 

 

 そんな英の心情などお構いなしに、ケイは話しかけてきた。

 

「ところで影輔」

「ん?」

 

 ただ、自分の気持ちは悟られたくないと思っていても無視するのは流石にできなかった。なので、ケイの方に顔を向けてみると。

 

(・・・・・・近い)

 

 英の予想していた位置よりも近い場所にケイの顔はあった。どころか、ケイの座っている位置そのものが英に近かった。このテーブル自体6人掛けで割かし大きめなのに、山河たちと比べてみても、ケイと英の距離は近かった。

 そんな近距離にあるケイの顔を英は直視できなかった。ケイと知り合う前から、彼女は遠目から見ても容姿端麗だとは思っていたが、今こうしてケイの整った顔を目の当たりにするとそれは間違いではなかったと思い知らされる。それに女性特有なのかもしれない甘い香りを受けて、心が揺さぶられる。

 そして、以前とは違ってケイに対し恋をしている今では、一層魅力的で可愛らしく見える。恋をすると、こうも相手を見る目が変わってしまうものなのか。

 

「2人で何の話してたの?随分深刻そうな顔してたけど」

「え?あー、えっと・・・・・・」

 

 そんな近距離で話しかけられたせいで、英も言葉が出ずにしどろもどろとなってしまう。

 その英の目の前に座る山河は、英が困惑しているのを『クイズ大会のことを話していいのか分からず困っている』と捉えたようで、はぐらかしてきた。

 

「いやぁ、サンダースフェスタでの出し物で英に協力してもらいたかったんだけど、断られちゃってさ」

 

 クイズ大会の特別イベントについては部外者にはまだ明かさないように部長から厳命されている。だからクイズ大会のことも、英に頼んだクイズの内容も明かさなかった。

 だが聡いケイは、英に協力を求めたという言葉の時点で、その理由に気付いた。

 

「もしかしてピアノ繋がり?」

「うん、正解。けどねぇ~?」

 

 山河が人の悪い笑みを浮かべて英を見る。どうやら山河は、この場で英を孤立させて、引き受けさせる空気を作る魂胆らしい。だがそんな空気に英は屈しはしなかった。

 

「何度も言うが、できない」

「ちぇっ」

 

 山河が小さくわざとらしく舌打ちをして、カレーライスを口に含む。しかしながらケイは、それでも英のピアノに関連する出し物のことが気になるようで、なおも英に問いかけてきた。

 

「どんな感じのこと頼まれたの?」

「・・・・・・まあ、結構な人数の前でピアノの生演奏してほしいって」

「へぇ~、すごいじゃない!ライブなんて!」

「けど、この前のホームパーティでさえ緊張しまくったんだ。それ以上の人の前でピアノ弾くなんて、とてもとても・・・」

 

 英が肩をすくめてチーズバーガーを食べる。

 流石にこれ以上詮索されると、どこかでボロが出かねないのでサンダースフェスタ繋がりで別の話を持ち出すことにした。

 

「・・・ところで、今年も戦車隊は総合演習をするんだっけ?」

「ええ、今年もやるわよ。ガンガンね!」

 

 総合演習は毎年恒例行事であるため、これは隠す必要はない。それに去年もやっていたのだし、その時は学園艦の上の広大な演習エリアで行われていて、ヘリやドローンを使って艦内でパブリックビューイングじみたこともやっていた記憶がある。

 

「指揮はケイが?」

「そうよ。いくらアリサが次の隊長だからって言っても、流石にまだ荷が重いと思ってね」

 

 そこで名前を出されて、アリサがコーラを啜るストローから口を離す。そのアリサに、ケイは目を合わせて伝える。

 

「今年は私が指揮するけど、来年はアリサがやらなくちゃいけないんだから。しっかり覚えるのよ?OK?」

「・・・・・・分かってます」

 

 アリサは苦笑してそう答えた。

 しかしながら、アリサは内心ではケイの様子が前と比べるとがらりと変わったと思う。

 この前はサンダースフェスタの総合演習に向けた戦車の訓練でムラッ気のある、らしくない指揮だった。だが、ここ数日はそれが嘘であるかのように明るく溌剌としていて、指揮も時に優しく、時に厳しく、以前のケイに戻ったかのようだ。いや、むしろそれ以上に煌めいて見えている。

 この数日の間にケイの身に何が起こったのかは分からないが、今のケイを見ているとその理由が分かりそうな気がする。

 

「何輌参加するんだっけ」

「50輌よ!」

「それだけの数の戦車を1度に指揮するのか。凄いな」

「でも、前にプラウダと練習試合した時は同じ数出したわよ?だからまあ、慣れてるわ!」

 

 英と話をしているケイの姿は、普段よりも生き生きとしているように見える。それはアリサ自身の恋路が上手く行っていないせいで妬ましく見えるというわけではない。本当にケイが、そんな風に見えるのだ。

 

「プラウダか・・・あの時戦った砲手とは、また一度手合わせ願いたいものだ」

「どんな人なの?」

「ん?ああ、私と同じように全国屈指の砲手と言われている奴だ」

 

 ナオミがそのプラウダとの練習試合を思い出したのか、不敵な笑みを浮かべてポツリと呟く。山河はそのつぶやきを聞いて純粋に興味が出たのか、話を聞こうとした。英としても気になる話だったので耳を傾ける。

 以前行った練習試合で、ナオミの乗るシャーマンファイアフライと、プラウダ高校一の砲手―――ノンナと言う少女らしい―――の乗るソ連製の重戦車IS‐2と撃ち合いを見せて、互角に持ち込まれた末に引き分けになったという。サンダースでも全国屈指の砲手と名高いナオミでもそこまで苦戦する相手がいるとは、戦車道の世界も奥が深いものだ。

 所々ケイから補足を貰いながらその話を聞き終わり、英はそこで残りのチーズバーガーを食べ終える。

 先ほど顔を合わせたばかりの時は、ケイが傍にいることにどぎまぎしてしまったものだが、こうして一緒に食事を共にしているとそんな気持ちも霧散してしまっている。ケイだって別に変った様子は見られないし、英が変に意識してしまっていただけのようだ。

 そう思うと自分が恥ずかしくなってきて、コーラでも飲んで気を紛らわせようと思い、手を伸ばす。

 

「あ、影輔。ソースついてる」

「え、どこに」

 

 そこでケイに指摘されて、どこに付いているのか分からないソースを拭おうとする。

 だが、それよりも早くケイは指でそのソース(右の口元についていたようだ)を拭って。

 

「・・・・・・ん」

「・・・・・・・・・」

 

 しかもそれをナプキンで拭いたりせずご丁寧に舐め取った。おまけに『ご馳走様』とでも言いたげに良い笑顔を英に向けてきた。

 先ほど感じなくなっていた恥ずかしさがまた込み上げてきて、自分の心の中でマグマのように愛おしさがゴボゴボと湧き上がる。

 だがそれは決して面には出さず、とりあえずケイのおでこに軽くチョップをかました。

 

「Why?」

「・・・・・・なんとなく」

 

 突然のチョップに驚いたのか、大して痛くもなさそうにおでこを押さえながらも笑って聞き返すが、英は多くは言わない。そしてケイが拭った箇所を改めてナプキンで拭いて、コーラを啜る。

 だが、英は本音を言わせてもらえば、ああいった前触れもない仕草はドキッとするので二度とやらないでほしかった。でないと、緊張と恥ずかしさで英の身が持たないからだ。

 そんなことを考えながら英はコーラを勢いよく啜る。

 けれど、その英の前に座る山河とナオミは、その英の心の中さえも見透かしているかのような、そして何かを言いたげな表情をしていることに、英自身は気付いてはいなかった。

 

 

 その日の放課後、英はいつものように『ハイランダー』棟の第5音楽室でピアノを弾いていた。その曲は、ケイと共に音楽用品店に行った際に買った英のお気に入りの曲だが、今は右手だけで弾いている。

 それは英が片手だけで弾ける超絶技巧を身に着けたわけでも、左手が痛むからでもなくて、単純にこの曲が難しいからだ。

 この曲は英の好みであるアップテンポで明るく盛り上がる曲だ。だが、いきなり両手で弾くのは至難の業と言えるぐらいリズムが複雑で難解だった。もしかするとだが、今まで英の弾いてきた曲の中で一番難しいかもしれない。

 こうした難しい曲に挑戦する際は、まず片手ずつ、高音程と低音程を別々に練習する。それぞれをマスターしてから両手で弾くのが定石と言えるやり方だ。

 ケイのために弾こうと考えたあのラブソングも習得するまでには苦労したが、この曲とは違いあちらはリズムが緩やかであったため、片手ずつ練習しなければならないほどのものでもなかった。

 マーカーが引かれていたりメモが走り書きされている楽譜と鍵盤を交互に見ながらピアノを弾いていく。ただ、片手だけで弾いていてもリズムが複雑であることに変わりはないので、やはりミスはどうしても生じてしまう。特に今弾いている右手の高音程の方は、歌詞のメロディも合わさっているので低音程と比べると遥かに複雑だ。

 それでも途中で折れることはなく、一応最後まで弾き終えることはできた。

 ただ、これはまた長期戦になりそうだと英は思う。片手ずつでもこれだけミスが目立っていたのだから、全部克服するまでは時間がかかるだろう。仮に片手ずつマスターしたとしても、両手を合わせて弾くとまたミスが出てくるかもしれないし、完成は遠く先のことになりそうだ。

 一度鍵盤から指を離して深呼吸し、ペットボトルのコーラを飲む。そして肩を上下に揺らし、首も回して疲れを解す。

 ふと壁にかかる時計を見上げ、英はポツリと呟いた。

 

「・・・・・・遅いな」

 

 時刻は4時過ぎ。ここでピアノを弾き始めてから30分以上が経過している。

 まだ、ケイは来ていなかった。

 この間のホームパーティ以前であれば、英が音楽室を開ける前にケイは教室の前でいつも先に来て待っていた。

 だが、今日に限っては、英が来た時にはケイはおらず、そして弾き始めてから30分以上経った今もケイは姿を見せない。

 昨日の別れ際も、ケイは自ら『明日も聴きに行く』とは言っていたので、物忘れがひどくない限りは約束を忘れているということはないだろう。

 と言うよりも、ケイのサンダースにおける立ち位置を考えれば、何か急用があって呼び出されたと考える方が自然なものだ。戦車隊の集まりか、あるいはサンダースフェスタのクラス出展の話し合いに参加しているのかもしれない。

 

「・・・・・・はぁ」

 

 どんな理由であれ、英が今ここにケイがいないのを寂しく思っているのは事実だ。あのラブソングを練習している時にも思ったことだが、ケイとはまだ知り合ってからそれほど時間が経っていない、一月も経っていないだ。だのに、ケイがいることがごく自然なことで、当たり前に思ってしまっていたから、いないことを寂しく思ってしまうのだ。

 それと、以前とは違って今は、英は明確にケイに対して好意を抱いている。だから前よりも寂寥感を強く覚える。もの悲しい気持ちになる。

 そんな感じで感傷に浸っていると、不意に音楽室のドアがノックされた。教師だろうかと思ったが返事をする前にドアが開いた。

 

「おまたせ~♪」

 

 そんな軽い掛け声とともに登場したのは、待ち焦がれていたケイだった。手を振りながらいつものような笑みを浮かべて入室した彼女の姿を見て、英の中にある『寂しい』とか『もの悲しい』とかのネガティブな気持ちが遥か彼方へと消え去って行った。

 それと取って代わるように英の中に芽生えたのは、安心感だ。自分の待ち焦がれていた、好意を抱く人が姿を見せてくれたことに対する、安堵。それはケイ本人に悟られたくはなかったから、冷静を装って話しかける。

 

「遅かったな。何か用事でも?」

「あー、うん・・・・・・。まあ、そうね。うん、ちょっとした急用」

「そうか」

 

 ケイの答えがいつになく歯切れの悪いものだったが、流石に何があったのかまでは訊きはしなかった。ケイの立場を考えれば急用が入ってもおかしくは無いし、それ以上の詮索はプライバシーにも関わりかねない。

 ケイの遅れた理由はさておき、ケイが来たのだから練習もお終いにしようと思って楽譜を閉じる。

 

「何の曲弾いてたの?」

 

 するとすぐ近くでケイの声がしたので顔を上げたら、英のそばまでケイが歩み寄ってきていた。広げていた楽譜がまだ見たことのない曲だから声をかけたようで、英も隠す必要も無かったから表紙を見せた。

 

「この前用品店に行った時に買ったやつ。俺の好きな曲だ」

「ああ、あの時のね。ちょっと見てもいい?」

「ああ、いいぞ」

 

 楽譜をケイに手渡して、英は別の楽譜をトートバッグから取り出す。ケイが来るまでは今ケイが読んでいる曲を片手で練習し続けていたので、肩慣らしは両手で弾ける曲を選んだ。

 その曲は、『トルコ行進曲』。学校の音楽の授業でも出てくる有名な楽曲の1つで、英がピアノを始めてから一番最初にマスターした曲でもある。軽快なリズムと弾むような軽い音がお気に入りで、今でもよく弾いているのだ。

 

「Jesus・・・なんて曲なの・・・」

 

 ケイが渋い表情をしたのがその声だけで分かる。ピアノを嗜む英でさえその楽譜を最初に見た時は『うげ』と声を洩らしたぐらいなのだから、素人の自覚があるケイが読めばそんな反応をするだろうとは分かっていた。

 そのケイの感想を聞いて英はふっと笑うと、『トルコ行進曲』を弾き始める。最初は軽快な音を弾くように弾いて、少ししてから低音も混ぜて弾いていく。低音と高温が混じると、どこか優雅あるいは荘厳な感じがしてくる。そして、弾いている身としても心地良くなってくる。

 曲調が変わったその直後にケイの様子をチラッと窺うと、ケイはグランドピアノの内部に注目していた。グランドピアノは天板を開けると中が見えるようになっていて、ピアノを弾いている最中に中を覗いてみると、ピアノのハンマーが弦を叩き音を出している様子がリアルタイムで見ることができる。その様子は存外面白いもので、現にケイはそのハンマーが弦を叩く様子にくぎ付けになっていた。

 そして、そんなケイは静かに笑っている。本当にピアノの中を見るのが面白いようなのがその顔だけで分かる。

 そのケイの顔を見ていると、鍵盤を指で叩き軽快なリズムを奏でている最中でも、英自身は穏やかな気持ちになれる。心が癒されるような感覚を得る。

 その笑顔を見て、自分の気持ちが変化していくのを感じて、自分はやっぱり、ケイのことが好きなんだということを、改めて思う。

 やがて『トルコ行進曲』を弾き終えると、ケイは楽譜を脇に挟み拍手をしながら英に近寄ってきた。英は、弾いている間に窺っていたケイの様子を思い出して話しかける。

 

「面白いだろ?中を見るのって」

「ホントね。今まで全然気にしてなかったけど、クセになりそうだったわ」

 

 そして今度はケイが、脇に挟んでいた楽譜を英に手渡しながら問いかける。

 

「この曲が、影輔のお気に入りの曲なのね?」

「ん?ああ、そうだけど」

「へぇ~」

 

 何かを探るかのようなケイの笑み。一体何を考えているのだろうか。

 だが人の心を読み取る術を英は持たないので、気にするのを止めて受け取った楽譜をトートバッグに仕舞う。そのまま、どの曲を弾こうか迷っていると。

 

「ところで、影輔はピアノを弾いてる時って歌わないの?」

「あー・・・歌わないっていうか、歌えない」

「なんで?」

 

 ケイの質問に、英は少し恥ずかしそうに答える。

 英はピアノ楽曲だけではなく、歌詞がある普通の曲も弾くのだから、ケイのその質問は当然のものと言えるかもしれない。だが英は、ピアノを弾いている最中に同時に歌ったことは全くと言っていいほどなかった。それは、決して英が音痴だからとかそういう理由ではない。

 

「ピアノを弾く時って、楽譜を読むのに加えて鍵盤を叩くのに集中してるんだよ。だからそれとさらにプラスで歌うってのは、なかなか難しいんだ、これが。口パクぐらいはするけど」

「そういうものなの?」

「そういうもんだ。仮に歌ったとしてもあまり上手くはないだろうし」

 

 曲を弾いていて楽しくなってくると、歌詞に合わせて口パクをすることがよくある。あるいは、聴いたことのある曲をピアノで初めて弾く際(先ほど片手で練習していた曲がまさにそうだ)には、リズムを合わせるために少しだけ歌うこともあった。

 だが、やはりピアノを弾きながら歌うということは英にとっては至難の業だ。テレビでよく見るプロの人なんかは、ピアノやキーボードを弾きながら歌っていたりする。あれは真似できないと見る度に英は思った。

 ただ、英の素の歌唱力は他人が聴くことなどできないほど絶望的というわけではなく、それなりに歌える方だと思ってはいる。単に不器用なだけなのだ。

 

「じゃあさ、影輔」

「ん?」

 

 楽譜を取り出そうとした英にケイが歩み寄ってきて、少し前屈みになって、ピアノ椅子に座っている英と目線を合わせようとして。

 

「影輔がピアノを弾いてる時に、私が歌うのは平気?」

「・・・・・・え?」

 

 突然にもほどがあるケイの言葉に、英も戸惑う。いきなり『歌う』と言ってくるとは、どうしたことだろう。

 ただケイ自身、説明が足りなかったことに気付いたようで『いきなりごめんね』と謝ってから補足する。

 

「影輔のピアノって、聴いててとっても楽しいし、心地いいの。それでピアノを弾く影輔を見てると、あなたもまた楽しんでいるのが分かる」

「・・・・・・・・・」

「それで、できることなら私も、ピアノを弾いてる影輔と一緒に曲を楽しみたいなって思うの。ただ、ピアノは無理だし、できるとすれば歌かなって」

 

 つまり、英のピアノに合わせてケイが歌ってくれる、ということか。それは英にとって思ったもいないような提案だった。

 だがそれよりも前に、1つだけ不安に思うことがあった。

 

「・・・・・・・・・もしかして、嫌だった?延々ピアノを聴くだけっていうの」

「あっ、違う違う!そんなわけないわ、嫌なところなんて無い」

「ホントに?」

 

 ケイの取り繕うような反応を見て余計に不安になってしまい、問い返すと。

 

「だって影輔のピアノ、私は大好きだもの」

 

 なんてことの無いように告げたケイの言葉は、まるで弓矢のように英の心に勢いよく命中した。

 自分のことを好きだと言ったわけではないのに、まるで自分のことを好きだと言われたかのように感じてしまって、それが嬉しかった。それは多分、これまでの英のピアノ人生の中で、英のピアノを『上手い』とか『それで食っていける』と言われることはあっても、英の弾くピアノを『大好き』と言われたのが初めてだったからだろう。

 だから、初めて告げられた言葉だったから、そして自分の好きな人から告げられた言葉だったから、胸に刺さるように心に響いたのだろう。

 

「あ・・・・・・もしかして、迷惑だった・・・?」

「いや、いやいやいや。それは無いから、迷惑だなんてそんな」

「そう?それなら・・・よかったわ」

 

 慌てて英が否定する。

 何はともあれ、自分がピアノを弾いている傍でケイが歌うというのは、確かにケイの言う通り楽しい時間を共に過ごせるだろう。それは喜ばしいことだ。

 それに、ただ曲を聴いているだけと言うのも、例え新しい曲を弾くことになっていくとしてもいずれは退屈と思ってしまうだろう。それはすぐの話ではないだろうが、そう思わせないためにも、聴いているケイもまた歌うというのは良いかもしれなかった。

 

「・・・そうだな。ケイの言う通りかも」

「?」

「いいよ、歌ってOKだ」

「YEAH!それじゃ、早速歌おうかな~?」

 

 ケイは嬉しそうにそう言うが、いきなり知らない曲を英が弾いてはケイも調子が合わなくて歌うことはできないだろう。そう考えた英は、トートバッグからある楽譜を取り出して見せた。

 

「じゃあ、この曲でどうだ?」

 

 そう言って見せたのは、ケイのお気に入りだというあのラブソングの楽譜だ。これは元々ケイが買ったものなのだが、ケイ自身はピアノが弾けないのでとりあえず英が持っておくということになったのだ。

 

「Oh,そうね。それがいいわ!」

「よし、分かった」

 

 ケイはこの曲をそらで歌えるという。初めて英のピアノと合わせて歌うにしても、問題はないだろう。

 

「いいか?」

「ええ、いつでもOKよ」

 

 先ほどと同じように、ケイはピアノの内側が見える位置にまで移動して、側板に寄り掛かるように肘をつき、英がピアノを弾き始めるのを待つ。

 英は一度ケイに視線を向けて、それにケイはニコッと笑みを返す。お互いに準備が整ったようなので、英は早速鍵盤を指で叩き曲を弾き始めた。

 まずは、ゆったりとした前奏。この曲を初めて弾いた時も前奏ではそこまで躓いたりすることはなかったので、ここは問題なく弾くことができる。

 続くAメロからはミスが目立ち始めていたので、完成してケイに聴かせた後になった今でも、まだまだ気を引き締めて弾かねばならない。

 そしてAメロに入り、楽譜にも歌詞が表記され始めたところに差し掛かると。

 

「―――――――」

 

 ケイが、歌い始める。

 ピアノの旋律に覆いかぶさり聞こえなくならない程度に抑えられていて、それでいて英の耳に届くような、程よい声量。

 そのケイの顔は、歌っていることを楽しんでいるかのように、静かな微笑みを見せていた。

 

(・・・・・・ケイって、あんな風に歌うのか)

 

 ピアノは嗜んでいるものの声楽それほど詳しくはない英は、ケイの歌声に対して文句をつけられる筋合いではない。だが今ピアノを弾いている英にとっては、そのケイの歌声は文句のつけようがないほど、聴いていてとても心が温かくなるような感じのするぐらい、とても上手だ。

 普段からアップテンポで盛り上がる曲を弾いたり聴いたりすることが多かったからか、このように落ち着いた歌声を聴くことがあまりなかった。だからこそ、今聴こえてくる歌声を聴いていると普段とはまた違う刺激を得られるのだろう。

 その新しい感覚と温かい気持ちを抱いたまま、英はピアノを弾いていく。

 ただ、楽しいピアノを弾いているのに加えて、その温かい気持ちを得たからか、それともケイが微笑んでいるのに魅せられたのか、英自身も小さく笑っていた。

 

 

 流れる旋律に乗せて、それでいてその旋律を自らの声で壊さないように、ケイは歌う。

 お気に入りの曲であり、そして英への恋心にも気づいたこの曲は、ケイの中でも最も印象深い曲となっている。

 そうして歌っている中で英の表情を窺うと、英は笑っていた。

 英が楽しそうにピアノを弾いていて笑っているのを見ると、ケイ自身も温かい気持ちになれる。楽しくなれる。

 思えば、ケイが英を最初に見た時も、英はああいう風に笑っていたっけ。

 ケイは、今のように楽しそうにピアノを弾いている英のことが好きだ。

 数日前に、ケイが英に対する恋心に気付いてからは、ケイはもう自分自身の気持ちが分からなくなって不調をきたすということはなくなった。どころか、自分のことがようやく理解できて清々しい気持ちになれた。

 そしてケイは恋心に気付いたから好きな人の前だとしおらしくなる、とはならず、むしろ英とより親密になろうと思うようになった。今日の昼食で英たちと同席して距離をほんの少し詰めたのも、今こうして英に一緒に歌いたいと言ったのも、自分から英に歩み寄って、より親しくなろうと思ってのことだった。

 だた、一緒に歌いたいと言った時は、断られたりしないだろうかとハラハラしていた。英から、趣味を邪魔されると思われるかもしれなかったからだ。

 けれど英はケイの頼みを聞いてくれた。その理由を聞いたからか、それとも別の要因があるのかは分からないが、ひとまずは安心だ。

 それと、ケイ自身が英に告げた『楽しい時間を一緒に過ごしたい』と言う気持ちも嘘ではない。ホームパーティを開くのが好きなのもそれと同じような理由だ。

 

(・・・・・・やっぱり、楽しいな)

 

 そして今実際に、英のピアノに合わせて歌っているケイは、とても楽しくて、充実していた。

 自分の歌唱力は人並みと思っていたけれど、英の綺麗なピアノの音色に合わせて歌うのはとても心地がいい。普段は机に座って聴いているだけで、そこで静かにピアノを聴いているのも楽しかった。だが、共に歌っていることで、ただ聴いている今までよりもずっと今の時間を英と一緒に楽しんでいると思える。

 曲はサビに入り、曲の中の登場人物が自分の恋心に気付くシーンになる。

 この曲を最初に弾き始めた時は、恋をする人の気持ちと言うものがよく分からずに、感情移入することもできなかった。『恋をするとこんな感じになるのかな?』としか思っていなかった。

 けれど、自分の中に恋心が芽生えた今では、この歌詞の意味を理解することができるようになった。そしてこの曲の情景を思い浮かべることができるし、登場人物にも感情移入できる。

 だからこそ、これまで口ずさんでいた時のようではなく、感情を籠めて歌う。だがそれでも、英のピアノの旋律を崩さないように声量は抑えて歌う。

 けれど今の時間は、とても楽しくて、穏やかで、心地よいものだ。

 ずっと、この時間が続けばいいのに、とさえ思えた。

 

 

 やがて曲が終わり、英とケイはお互いに向けて拍手を送る。英はケイの美声に対して、ケイは英の美しい旋律に対して。

 

「結構、歌上手かったんだな。ケイって」

「いやぁ、そうでもないわよ?」

「いやいや、でも十分上手かったって。トーシロの俺にでも分かる」

 

 その『トーシロにも分かる』という言葉は、英のピアノを褒めたケイも言っていた言葉だ。それを思い出して、ケイも思わず吹き出す。

 だが実際、ピアノを弾いていた英は要所要所でケイの歌声に耳を傾けていて、本当に上手いと思えた。それも、英のピアノに上書きするかのように大きな声ではなくて、自然に重ねるかのような声量だったから、聴いていて不愉快だとは全く思わなかった。

 

「でもこうして、影輔がピアノを弾いて、私が歌うのって・・・・・・ホントに楽しかった!エキサイティング!」

「・・・・・・・・・そうか」

 

 ケイが楽しそうにしているのを見て、英は本当に一緒に曲を楽しむことができたんだと思うし、それでよかったとつくづく思う。

 英からしてみれば今の曲は、自分が恋をしているのだと気付いたことで、以前よりも感情を籠めて弾くことができ、イメージを思い浮かべることができるようになったと感じる。曲全体の完成度も上がってきたのではないかとさえ思えた。

 加えて、英自身が恋をしているケイが歌ってくれたから、この曲を弾くことが楽しいという気持ちが心の底から湧き上がってきたのを、弾いている最中にも感じたものだ。

 

「・・・ねぇ、影輔」

「なんだ?」

 

 楽譜を閉じると、ケイがまた英の傍にまで歩み寄ってきて、問いかける。

 

「また、今日みたいに歌っても、いい?」

 

 不安の混じる微笑みを浮かべながらも聞いてくるケイに対して、『NO』と答えることは英にはできなかった。それに、先ほどのように自分がピアノを弾き、ケイが歌った時間はとても楽しく心地よかったし、何より嬉しかった。ケイの言った通り、楽しい時間を共に過ごせたからだろう。

 だからケイの申し出は、英にとっても望むところだった。

 

「・・・もちろん」

「やったー!ありがと!」

 

 そう言ってケイは右手を挙げたのを見て、英も右手を挙げてハイタッチを交わす。

 そしてそのまま、ケイは英に抱き付いてきた。

 

「!?」

 

 英は突然のことながらも、ケイの髪から漂う心地良い匂いと、女性的な柔らかい感触に宛てられて、多幸感が湧き上がってくる。

 だがすぐに英は、このまま密着しているのはマズいと判断して、名残惜しくはあるものの止めることにした。

 

「ちょっ、ケイ・・・・・・」

「あっ、ソーリー♪」

 

 英が苦しそうな声をしていると思ったのか、ケイはパッと離れて全く悪びれもせずに謝る。それを見て『勘弁してくれ』と英は呆れたように笑いながら小さく呟く。

 だが、目の前で笑みを浮かべるケイのことが、自分は本当に好きなんだなと、改めて自覚した。




恋をしてしおらしくなるケイも書きたかったけど、
ケイは逆に恋をしても変わらずむしろ逆に明るくなりそうと思って、
そう描写してみました。

感想・ご指摘等があればお気軽にどうぞ。




グランドピアノの中身、
『トムと○ェリー』のある話を見てものすごい気になるようになったのは
筆者だけかもしれません。
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