世界最凶の個性『らしい』(憑)   作:枝豆%

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3話

 「お!オメェあん時の坊主か!?」

 

 ヴィランとして対立しているのに、黒ひげは全く危機感のないことを言う。そして声をかけられた張本人である緑谷出久は、どうしていいか分からないがとりあえず頷いて見せた。

 

 「無個性でオールマイトにも捨てられたオメェが卵たぁ。いい!!いいじゃねぇか!!!!ロマンってモンが詰まってやがる!!!!持たざる者がこのステージに立てたんだ、まぐれでも何でもいいじゃねぇか!!!!!」

 

 褒めているのか、それとも貶しているのか…分かり難いから緑谷は考えることを辞める。

 この人の思考はかなり吹っ飛んでいる、対面したことは今回を入れてたったの二回だけど、それでも昔から知っているかのような扱いが出来た。

 

 

 「だから!!!!!生き残ってみろよ!!坊主!!!!」

 

 

 

 

 「──お喋りはそこまでにしとけ、ヴィラン」

 

 迅速。

 まさに忍者の如く速さとしなやかさで黒ひげとの距離を詰めたイレイザーヘッド。すぐさま個性を使い、得意の捕縛術で黒ひげを縛り上げる。

 

 「お!なんだこれ!?」

 

 イレイザーヘッドは所謂マイナーヒーロー。

 オールマイトのようにメディアにあまり晒されていないから、戦法が分からない。

 よってヴィラン側の対応が遅れる。

 

 そしてイレイザーヘッドはその隙を見逃さなかった。

 

 

 縛り上げられた黒ひげはイレイザーヘッドによって引き上げられ、そして地面に叩き付けられた。

 

 

 「ガバッ!!!」

 

 叩き付けられた衝撃で黒ひげは血を吐き人体に致命傷とは行かずとも、重症レベルの傷を負わされる。

 

 

 「いてぇ!がぁーー!!イッテェェエエ工!!!!!」

 

 数合わせの雑魚ヴィラン達と同じように広間に転がされる。

 瞬く間に広間には20人近くイレイザーヘッドによって転がされていた。

 

 

 「チッ、あのオッサン…舐めプしやがって」

 「それでは私は卵達の方を」

 

 死柄木弔は悪態をつき、黒霧は生徒と13号の所へと個性を使って移動した。

 

 そして黒霧は手筈通り、固まって動いていた生徒とプロヒーローを引き剥がし、別々の場所へと転移させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ゼハハハ!!なんでも吸い込むってか!?掃除機かよ」

 「品のないヴィランですね!!」

 

 イレイザーヘッドにダウンさせられたと思った面々がここに居れば目を疑っただろう。何せ言動はデカいものの瞬殺された雑魚ヴィランがプロヒーローでありこの中の雄英組では最強に位置する13号と互角の戦いをしていたのだから。……いや、むしろ13号は劣勢とも言える。

 

 

 

 黒ひげは13号のブラックホールが発動したと同時に、そこいらで伸びている雑魚ヴィランを手に取って13号に投げつけた。

 

 「な!?」

 

 13号は急いで個性の発動を止める。

 当然意識のないヴィランはブラックホールの中に吸い込まれることは無かった。

 

 「おいおい、プロヒーローともあろうモンが悪党一人殺れねぇのかよ!!」

 「僕達はヒーローですからね、殺しはしないんですよ」

 

 「それは違ぇだろ、見たところお前さん人を殺せねぇな?」

 「何を根拠に」

 

 「なーに、簡単なことだ。殺れる奴と殺れねぇ奴には決定的な差がある。あっちの包帯の兄ちゃんはやる気になれば殺れる奴さ。だがお前は違う、いや、既にやってるからテメェにこびりついてるのかもしれねぇなゼハハハハハハハハ!!!」

 

 

 恐らく黒ひげの言葉は的を射ている。

 実際13号はヴィランを一人として吸い取っていない、身動きを取れなくさせるために個性を使っているだけだ。

 決定的だったのが、黒ひげがヴィランを投げた時に個性を自発的に止めたことだ。そこまで見ればどれだけ馬鹿でも答えにたどり着ける。

 

 

 「俺とお前さんの個性(能力)は似ている。だが俺とは決定的な差があるんだよ」

 

 

 「それは俺が悪党だってことだ!!黒穴道(ブラックホール)!!」

 「それは僕の専売特許で──」

 

 

 すぐさま異変に気付く13号。

 それはまさにイレイザーヘッドの個性のように、全く個性が発動しなかったからだ。

 だが黒ひげから放たれる闇は止まってくれない。それは13号の足元に海のように広がり沼のように沈んでいく。

 

 「なんで、僕の個性が!!!」

 「不思議か?自分の個性が発動しないことが?俺に言わせりゃ常に個性が使える方が疑問だぜ」

 

 

 

 「何故疑問をそのままにしておく?」

 

 「何故個性は生物に宿る?」

 

 「何故無個性は生まれてくると思う?」

 

 「何故個性婚は存在すると思う?」

 

 

 

 

 黒ひげから語られたのは、この世でまだまだ分かっていない未だ未知の部分だった。

 個性とは何か、突然あらわれた超常の力。

 それを日常的に使うが本当は分かっていない。例えば火を吐く個性があったとしよう。

 そしてその次の疑問は、それはどうやって起こっているのか。特殊な器官がある訳でも、息が特殊な訳でも何でもない。

 なのに何故火を吐けるのか。

 

 揃えて皆は口にするだろう「分からない」と。

 

 だが分からないのはいい。それはまだ誰も調べたことがないのだから。

 だが何故それを分からないままにしているのだろう。

 

 

 それこそが黒ひげの最凶最悪とも言われる所以だ。

 誰も黒ひげを理解していない。

 彼は一人の敵である前に戦士である。

 そして戦士である前に黒ひげという人物は──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──学者である。

 

 

 飲み込んだのは13号だけに非ず、辺りに転がっているまだ息のあるヴィラン達も闇に飲み込まれた。

 辺りには人の欠片もなく、ただ黒ひげ以外はいない。

 

 

 「ゼハハハハハハハハ!!!!プロヒーローもこんなもんかよ。この調子じゃ雄英高校落とすのも楽勝だぜ!!!!」

 

 懐にあるウィスキーを飲み、独特な笑い方で周りを見渡す。

 どうやら、もう一人のプロヒーローは最初の中央広間にいるので、自分も其方へと向かおうと決めた。

 

 

 「おっと、忘れてたぜ。今出してやるよ」

 

 

 「解放(リベレイション)

 

 そう言って闇から放たれたのは大勢の人。

 ヴィランから施設の建物やらと飲み込んだ何もかもが吐き出された。そしてその中に先程まで黒ひげと戦っていた13号も出てきた。

 

 「お前の個性も中々だが、完全に俺の下位互換。必要ねぇな」

 

 黒ひげは意識のない13号にそう吐き捨て移動した。

 途中にラッパ飲みした勢いで、喉に絡まった痰を宇宙服を着て倒れている奴の顔面に吐き捨てた。

 

 

 

 




黒ひげは能力とか以前に知略に長けていると思う今日この頃。
そして自然と多くなってしまう「ゼハハハ」いや、黒ひげって基本的これくらい笑ってるけどちょっと字ズラだとウザイな。
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