ガールズ&パンツァー 恋愛戦車道番外編 劇中劇がるぱんinがるぱん 作:肉球小隊
原作:ガールズ&パンツァー
タグ:R-15 ガールズラブ オリ主 残酷な描写 ガールズ&パンツァー オリ主 オリジナルストーリー ポンコツ
ラブこと厳島恋の下に一本の仕事が舞い込んで来た。
しかしそれが原因で、彼女は例によって色々と酷い目に遭う事に……。
本年もどうか恋愛戦車道を宜しくお願い致します。
新しい年を迎え連載を再開する前に、
新春特別企画という事で読み切りの番外編をお送り致します。
「一体何のつもりよ!?こっちは卒業間際でくそ忙しいのに急に呼び出して!」
ミニシアターであろうか、階段状の座席とスクリーンが配された空間で些か棘のある声をカチューシャが上げているが、周りにいる者達も同様の状況なのでそれを諌める者はいなかった。
唯一の例外は、まだ二年生であるみほがその様子にあわあわしている位だ。
「ごめんね…でもどうしても見て貰いたいモノがあったから……」
済まなそうに声を上げたのは笠女戦車隊隊長にしてボーカルユニットAP-Girlsのリーダー、ラブこと厳島恋その人であった。
「見て貰いたいモノ?それで私達をこんなシアタールームに呼び出したんですの?」
ダージリンも若干不興気な表情を見せながらも、その目は興味深げに室内を見回している。
「シアター…ここは一応学校の視聴覚室なんだけどさ……」
「F●ckin'!これのドコが視聴覚室なワケっ!?何処の世界に4DX対応の視聴覚室があるのよっ!」
「私に言われても…造ったの亜梨亜ママだし……」
「チっ!これだから
「まあまあ……それでラブよ、見せたいモノとは一体何だ?」
アンチョビがケイを宥めつつも話を先に進める。
「あ、うん…えっとね、連盟経由で戦車道を題材にしたアニメのね、オープニングとエンディングをAP-Girlsに歌って欲しいってオファーが来てるのよ……」
「ハァ?戦車道のアニメだってぇ?」
「うん…プロリーグ設立と世界大会も控えてるからさ、テコ入れの一環らしいんだけどね……」
「連盟も色々考えるなぁ……」
腕組みしたまま首を横に傾け苦笑するアンチョビから、何故かラブは気まずそうに目を逸らす。
「ラブお姉ちゃん、それでどんなアニメなの?タイトルとか決まってるのかなぁ?」
愛里寿という仲間を得て、更にボコられグマのアニメにどハマりしているみほが喰い付き気味に身を乗り出し聞いて来るが、これにもやはりラブは答える口が重かった。
「ん~っとねぇ…GIRLS und PANZERっていうタイトルの作品なんだけどさ……」
「フム、なんで英語と独逸語がゴッチャなんだろう?」
『突っ込むトコそこかよ……』
生真面目なまほらしい疑問に一同心の中でそっと突っ込みを入れているが、ラブだけはこんな他愛のない話にも乗らずに全員から微妙に視線を逸らしていた。
しかしここでそういう事には殊更鋭いダージリンがその青い目をスッと細めると、独り最前列のシートに座らされて囲まれているラブの背後に立ちその肩にそっと腕を回した。
「ねぇラブ…アナタさっきから何を隠しているのかしら?」
優しく穏やかに、だが確実に相手を追い詰める口調と声音でダージリンはラブを詰問し、肩に掛けられた手が徐々にラブの美しい首筋を締め付け始めていた。
「ダ、ダージリン!?べ、別に何も隠してないわよ……?」
「…嘘ね……ならば何故さっきから目を逸らしてばかりいるのかしら?」
「そ、それは…ホントに何も隠してないわ……げ、現にパイロット版を見て貰おうと思ってみんなをこうして呼んでるじゃない!」
ラブはダージリンの拘束から逃れるべく立ち上がろうとしたが、素早く両隣に座ったケイとナオミにより両手を肘掛に抑え込まれていた。
「ちょ!?ケイ!ナオミ!?」
「観念しなラブ、サッサとゲロっちまえよ」
「あのねぇ!だから私嘘吐いてないってば!」
「全く下品なんだから……それならその先程からの余所余所しい態度はどういう意味なのかしら?」
追及の手を全く緩める気がないらしいダージリンに、ラブは盛大に溜め息を突いた。
「も~、だから何も隠してないし嘘も吐いてないわよぉ…なによ…折角みんなにも関係のある事だからと思って連絡したのに……先に言っとくけど私何も悪くないからね!」
一方的にラブを尋問するかのようなダージリンにキレたラブが大声を出すと、さすがに抑え込んでいた三人もたじろぎ仰け反っていた。
「な、なんですの一体……?」
滅多に声を荒げる事のないラブの大声に、内心の動揺を隠し切れないダージリンは虚勢を張るようにそう呟くのがやっとであった。
「とにかく何か言うなら見てからにしなさいよ!でももう一度言っておくけど私は悪くないからね!私がいない間の事なんだから私に何か言われてもどうにも出来ないんだから!」
「どういう事だ?」
「さぁ……?」
まほとアンチョビが顔を見合わせるが、当然二人にも状況がさっぱり読めなかった。
他の者達も同様であったが、そんな事などお構いなしに目尻に涙を浮かべたラブがパチリと指を鳴らすと視聴覚室の照明が落ち、皆慌てて手近な席に腰を下ろすのであった。
そして皆が腰を下ろすのとほぼ同時にスクリーンに燈が入り、曲作りの参考にとラブ達の下へと送られて来た戦車道アニメGIRLS und PANZERのパイロット版の上映が始まった。
「ふえぇ!?こ、これ私!?私こんなにドジじゃないよぅ!」
『いやいやいや!ほぼこのまんまだろぉ!?』
スクリーンの中ではみほがブサカワな電柱に括り付けられた通学路看板に激突したり、筆箱を机から落としたり、調子に乗って踊った挙句けっ躓いて鯖煮定食を吹き飛ばし掛けたりしていた。
「う゛あ゛ぁ゛~!F-40がぁ……!」
空挺降下して来た10式戦車が、イタリアの跳ね馬を亀の子にした挙句踏み潰して伸し烏賊にした。
『教官も昔からブレてないわね……』
「ちょっとお待ちになって!私だっていくらなんでもここまで紅茶漬けじゃないし、薀蓄と諺を垂れ流しにしていませんわ!」
『充分過ぎる程にリアルだろ!』
チャーチルの車内ではティーカップ片手にダージリンが、ペコを相手に薀蓄を語りまくっている。
「これルクリリが見たら泣くぞぉ~」
「ペコの扱いも結構……」
「私……私ここまでおでこ広くありませんわ!」
『あ……気にしてたんだ!』
アッサムにどう声を掛けたものか皆が迷う中、スクリーンではピンクのあんこうスーツ姿もみほがあんこう踊りを大洗の仲間達と共に踊り始めた。
『こ、これは……!?』
「いやあぁぁ────っ!見ないでぇ────っ!」
みほが絶叫と共にわたわたと頭上で手を振ってスクリーンを隠そうとしている。
「おいラブ…そういえばお前、大洗でこれをやろうとしてたらしいじゃないか……?」
「え?あ…それは……」
「オマエな…絶対止めとけ?オマエがコレ来て踊ったらマジ犯罪だからな……いいな?」
「うぅ……」
ノンナを上回る高身長に桁外れのたわわな胸部重装甲を誇ると共に、メリハリの効き過ぎなプロポーションのラブがあんこうスーツなど着たら、それだけでエロ過ぎて放送禁止処では済まない事をアンチョビがラブに指を突き付けながら脅すように釘を刺した。
そんな事をやっているうちに場面は変わり、煉瓦積みのワイン蔵のような内装の室内が映った。
「Hey!これって戦車喫茶ルクレールじゃない!」
「あら!?ホントね、この内装は間違いないわ!」
ケイの指摘にカチューシャも同意し、丁度そのタイミングでドラゴンワゴンがケーキを搬送して来る場面に画面は切り替わっていた。
「さっきの大洗の市街地戦の場面から思っていたのですが、随分と描写が細かくリアルですね……」
画面を食い入るように見つめていたノンナが呟くと、エリカを伴ったまほが其処に現れた。
「これが私か…酷い冷血漢ぶりだな……だがそれよりも……」
『コレは…エリカが見たらマジ泣きするだろぉ……』
「エリカさぁん……」
「What's!?何よコレ……?私これじゃまるでルー大●じゃない!?」
『くっ…怖い位そっくりなんだが……』
「それよりさ、私が17ポンドぶっ放してにやけてドヤ顔とかやる事やったオッサンかよ……」
『お前アリサ毒牙に掛けた後、いつもこんな顔してんじゃん……』
自分が登場する度に、皆不平を言うが他の者から見れば恐ろしいまでに似ているようだ。
「ちょっと待ちなさいよ!あの掛け軸と襖絵はなんなのよぉ!?」
西住家の座敷の様子にカチューシャの腹筋が崩壊するが、それに合わせて出て来た家元のしほの姿は最近見た彼女の真の姿とのギャップがとても激しかった。
「あの鬼ババアぶり……実に見事な描写だ……」
「うえぇ…ここまで似せなくていいよぅ……」
「アンタ達ねぇ……」
姉妹揃って散々なもの言いにラブも呆れるが、次の瞬間アンチョビの呻くような声にいたたまれず再び目を逸らすしか出来なかった。
「ちょ、ちょっと待てぇ…私の、
『ぶっ…こ、これはヒドイ……』
「ああああんざいぃぃ……」
目を逸らしたラブとオロオロするまほ以外、全員が俯いて肩を細かく震わせている。
だが再び場面が切り替わりカチューシャが登場した瞬間、視聴覚室内の空気は一変した。
『ハァハァ…可愛いよ……カチューシャ可愛いよ……』
「ちょ!アンタ達なんなのよその目はぁ!?大体私あんな小っちゃくないじゃない!」
「そんな事ありませんよ?完璧です……」
「の、ノンナぁ!?」
『おぉ…二次元のノンナも本物同様にカチューシャが絡むとかなりヤバい……』
どうやら二次元のカチューシャの姿は、皆の内なるケダモノに火を点けたようであった。
「Wow!ラブ!今のシーンもう一度!アンジーのハロウィンの魔女のコスプレに、水着姿をもう一度見せてよ!ってかお願いだからダビングしてぇ!」
「えぇぇ……」
プラウダ戦直前の生徒会長室であんこう鍋を囲む場面、杏の開いたアルバムの中身に反応したケイが興奮して鼻血を垂らしながらラブに迫る。
『
全員のケイを見る目が痛いモノを見る目になっていたが、当の本人は一切気付いていない。
そして決勝、視聴者には胸熱な展開なのかもしれないが、当事者の姉妹にとってはやはり気まずいものがあるであろう二人揃って沈黙を貫いていた。
そのままエンディングまで沈黙が続き、照明が燈った頃漸くまほがその重い口を開いた。
「フム…やはり
「お姉ちゃん……」
二人の様子から口を差し挟めぬラブは、相変わらず目を逸らしていた。
「しかしな……」
重苦しい空気の中、まほの次の言葉に全員の意識が集中する。
「あ、あの直下の扱いはなぁ……」
『ぶふぉ!』
笑いを堪え切れていないまほの震えた声に、全員が堪えていたモノが決壊した。
「ぶははははは!コ、コイツ言いやがったぁ!」
「あ、アニメでまでネタにされるって……」
「直下さん、もう泣く処じゃ済まないんじゃなくて!?」
「んもー!お姉ちゃん!」
こういう場面でまほに空気を読めというのは、やはり無理な相談かもしれなかった。
「しかし納得いかんな……」
「な、何がよ…言っておくけど私達がかかわる事になったのは音楽だけで、作品には何も口出ししてないし出来ないんだからね!?」
急に渋い表情になったまほがラブの方を見たので、彼女も自分には何も責任がない事を強調した。
「いや、問題はそこじゃない……」
「じゃあ何が問題なのよぉ……?」
まほが何を問題視しているのか話が見えずラブは怪訝な表情を見せ、他の者達も同様にしている。
「GIRLS und PANZERだったか……?このアニメにはラブが全く出ていないじゃないか」
「ハァ?ねぇまほ、アンタ何言ってんのよ?肝心な事忘れてない?私あの頃日本にいなかったのよ!?いなかった人間をどうやって話に絡ませる気よ!?」
「そうね……」
「でしょう?ダージリンだっておかしいと──」
「確かにまほさんの言うように問題ですわ…ねぇアッサムあなたもそう思わなくて……?」
「えぇそうね、確かにその通りですわ」
「ハァ!?ダージリン、それにアッサムまで何言いだすのよ!?」
ダージリンとアッサムまでがまほに同調するするような事を言い出し、さすがにラブも堪り兼ねたように声を上げ立ち上がり掛けたが、ケイとナオミがラブの両側に滑り込むとガッシリと肩を組んで強引にシートに座らされた。
「ちょ!二人共何よ!?」
「unbelievable!信じらんない!それ本気で言ってんの!?」
「だな……」
「もう訳解んない!みんなナニ言ってんのよぉ!?」
パニック気味のラブが叫ぶと、スッと彼女の前に小さな影が立った。
「か、カチューシャ……」
「いい加減気付きなさいよ、私達はラブだけが安全圏にいる事が納得行ってないのよ!」
「そうです、カチューシャ様の言う通りですよ?」
「の…ノンナまで……仕方ないじゃない、私ずっと日本にいなかったんだからどうにもならないでしょ!?みんな一体どうしちゃったのよ!?ねぇ千代美!……千代美?」
「……」
あまりの扱いの酷さにすっかりいじけたアンチョビは、ラブの呼び掛けに何も反応しなかった。
そしてここで、まほが何やら意を決したような表情で立ち上がるのだった。
「まほ……?」
そのまほの表情に何やら不穏なものを感じたラブがその名を呼ぶが、彼女はそれが聴こえていないかのような態度で一歩前へと踏み出した。
「まほさんどうなさったの……?」
まほはラブの呼び掛けには答えなかったものの、ダージリンの問いには口を開いた。
「ウム、このアニメの制作会社に直談判に行こうと思うんだ」
「え゛……?」
突然まほが言いだしたとんでもない戯言に、ラブの背筋に冷たいものが奔った。
「Oh!それはナイスアイディアね!」
「け、ケイ!?」
「ならばいっその事このキャラクター原案の島田何某なる人物の下にラブを連れて行って、新しくキャラクターを作らせましょう」
「だ、ダダダダージリン何言いだすのよ!?」
「あら!?ダージリン、随分良い事思い付くじゃない!」
「良くない!カチューシャまでいい加減にしてよ!みんな私の身体の事知ってるでしょ!?私をアニメのキャラクターにしたら、みほの好きなボコられグマみたいにされるに決まってるじゃない!」
皆の尋常ならざる様子に、いよいよ恐怖に駆られたラブが悲鳴を上げた。
「ラブお姉ちゃんがボコ…!?ラブボコ……ボコお姉ちゃん!」
「み、みほ!?あ……し、しまったぁっ!」
後悔先に立たず、ラブの目の前で完全に目が逝っちゃってるみほが、ぐっと拳を握りしめ独り仁王立ちで盛り上がっていた。
「そうと決まれば思い立ったが吉日だよ!お姉ちゃん直ぐに行こう!」
「ウム、そうだな……連行するとしようか」
「ウム、そうだな……じゃないわよ!アンタ達何考えてんのよ!?ちょ!?何一斉に立ち上がってんのよ?や、離して!行くってどこ行こうってのよ!?ねぇ!人の話聞きなさいよぉ!」
誰一人ラブの声に耳を貸す事なくラブの両腕を後ろ手にノンナが極め、両脇をケイとナオミがガッチリ固めて視聴覚室から出て行こうとしたが、全員表情がなく目付きだけがおかしくハァハァと呼吸の方も荒くなり始めてた。
「ちょっと!連行するとか言ってナニ抑え込んでるのよ…ってスカートの中に手を突っ込んでるの誰よ!?あ…や……なんでブラのホック外す必要があるのよぉ!?ああん…先っちょコリコリらめぇ♡なっ!?イヤ…何処に手を入れて……ら、らめぇぇぇぇ────っ!」
当初の目的を忘れゾンビのようにラブに群がってやりたい放題始めるケダモノ達。
「ハァハァ……みんな止めてよ…私何も悪くないのに……ねぇ!お願い止めて……なんでよぉ!?何か言ってよ!ねぇ…ねぇってばぁ……?」
息も絶え絶えに懇願するラブの耳元で、瞳に狂気を宿したみほが囁く。
「さあラブお姉ちゃん、私と一緒にボコになりに行こうか……」
「み、みほ……?ねぇ、それってもう主旨が変わってるから……解ってるの?って聞いてる?あ…イヤ、イヤよ……イヤぁ!ボコだけはイヤぁ────っ!」
秘密警察に連行されるようなラブの悲鳴だけが虚しく響き、その声も徐々に遠ざかって行く。
しかしその後、残念ながら本編でラブの登場は確認されていない……。
「え~んた~え~んた~みっしょ~ん……うぅ……」
大分前に思い付いたはいいものの、やるならこれは番外編かなとw
本編の連載再開は、松が明けて位からになるかと思います。
昨年は夏位からやたら忙しくなり始め、そんな中どうにか投稿を続けて来ました。
今年も忙しいのが既に決定してはいるのですが、頑張って投稿は続けたいと思います。
でも去年はいっぱいいっぱいになって読みたい他の方の投稿も碌々読めなかったので、
今年はそれも楽しむ余裕は持ちたいと思います。
改めまして本年も宜しくお願い致します。