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セカンドオピニオンがほしい。
—— 何について?
—— どの?
わたしが発明したポーション。
—— ルーナ、この話はまえにしたじゃないか。
してない。呪文を発明する話しかしてない。
—— ポーションも危険なのにかわりはない。
わかってる。だからきいてる。やる価値があるかどうかききたい。十分注意して調査してからでないと実際に調合はしないと約束するから。
—— まあそれならいいだろう。どんなポーションだ?
—— それが何の役にたつんだ?
わたしにちょっかいを出してくるあの女の子たちに飲ませて、数時間だけ大人の男の手か……それともスネイプ先生の鼻にしてあげようかと思って。スネイプ先生の髪の毛をどうやって手にいれるかはまだ考えてないけど。
—— おもしろい。やる価値はある。
ありがとう。
—— きみは悪の天才になりかけているぞ。
悪じゃない。多少いじわるっていうくらい。
—— きみがなにかを多少ですませるのを見たことがないんだが。それで、どこまでできた?
ちょっとまって。メモを書きうつしてあげるから……
……
—— よしこれで部分的な変化をさせる成分はとりだせたし、毒になる成分は除去できた。
うん。手つだってくれてありがとう。
—— うんまあ、きみが殺人をしてアズカバン送りになったらぼくを連れていくというおどしを聞かされなかったら、よろこんでほっといたんだが。
わかってる。でもありがとう。
—— いいさ。
あとは髪の毛だけだね。
—— ほんとうにスネイプの髪の毛にするのか? ダンブルドアのひげなら城のあちこちにおちてるから、ずっと簡単にみつかるぞ。
そうだけど、スネイプのほうがいやがらせになるから。
—— 本気でだいぶ嫌味がでてきたな。
でてきてない。ちょっとした仕返しをされてもしかたないくらいの相手だから。わたしだけがやられてるんじゃないし。
—— そうだな。きみは負け組のために戦うヒーローだ。
皮肉はやめて。
—— 皮肉じゃない。ぼくはこの崇高な目標を支持するよ。
はいはい。
—— 髪の毛を手にいれるめどは?
さあ。授業中は無理だし、授業時間以外は教授室に鍵がかかってるし、スネイプ先生の居住用の部屋にはいるのは自殺行為だし。
—— 多分な。
危険だからやらないほうがいいかもしれない。
—— 危険なことは、ほかのだれかにやらせるのがいいかもしれない。
それはできないよ。
—— どうして? ぼくはいつもそうした。目的に共感してくれて危険をかえりみない使命感のある人をみつければいいだけだ。
いじめっこにいたずらするためだけに焼け死ぬ覚悟をしてくれる人はこの学校じゅうにだれもいないと思うよ。
—— ああ不信心者よ。こういった仕事をさせるのにぴったりな、勇敢で無謀なバカはいつもいるものだ。重要なのはどこで探すかだけさ。
それはどこ?
—— ジニーは双子のお兄さんのことを話してくれなかったか?
フレッドとジョージ?
—— それ。ぼくの記憶がただしければ、その二人はこの手のことで仲間にするのに最適だ。
真剣に言ってるんでしょうね。
—— 楽しんで言ってる。最近はなかなかこういう機会がないからな。たまには楽しませろ。
いいよ。じゃあたのんでみる。でもことわられたら、スネイプ先生の案はなしにするかもしれない。
—— いいだろう。あとで結果を教えてくれ。
……
トム?
—— 返事はどうだった?
髪の毛が手にはいった。
—— もうか?
うん。どうやってこんなにはやくできたか知らないけど、手にいれてくれた。ポーションの味をごまかす方法も教えてもらった。
—— よかったじゃないか。だから最適だと言っただろう。
そうだけど、このせいでなにが起こるか、すこし心配になってきた。
—— 心配いらない。ばれたらあの二人のせいにしろ。もともとあのくらいの悪評があれば、だれだって信じるさ。
わたしはそんなことはしないよ。それにそういう意味じゃないから。
—— じゃあ何だ?
あの二人がわたしに注目した。この計画に感動して髪の色をわたしといっしょの色にして、わたしと三つ子だってみんなに言いだした。
—— ああ、それはまずい。
かわいらしいと思うけど。
—— あの二人がやってるほうのいたずらに引きずりこまれなければな。
たまには楽しそう。
—— きみが注目をあつめすぎると、ぼくが没収されることになりかねない。
没収はさせないよ。
—— たのむぞ。
……
うまくいった。あの女の子たちの朝食のかぼちゃジュースにポーションをいれた。悲鳴をあげて泣きながら大広間からでていったよ。笑えた。
—— ああ、かなり嫌味がでてきたな。ぼくのせいだ。
あなたのせいだね。
トム、わたしがいたずらした女の子のうちの一人のお母さんが魔法省の高官だった。すぐ犯人を見つけろっていう命令がダンブルドアにきた。重大犯罪になるって。どうすればいい?
—— あの双子のせいにしろ! 全部なすりつけろ。
だめだよトム。それはできない。ただしくない。
—— じゃあどうするんだ?
わからない。こわい。退学させられたらどうする?
—— させられない。ダンブルドアが許さないさ。
どうしようもないかもしれない。もうスネイプ先生が
—— 調べられるのか?
らしいよ。
—— 興味ぶかい。
こわいよ。わたしだってわかったら魔法省につたわって、わたしはホグワーツから追いだされちゃう!
—— おちつけ。まだなにも決まってない。なにもばれないかもしれない。気を楽にしろ。
楽にできない。
—— できる範囲でいい。
今夜は眠れないと思う。
—— できる範囲でいい。きみは落ちつく必要がある。パニックになったら怪しまれるだけだぞ。
……
スネイプ先生にばれた。
—— ほんとか。
大丈夫。魔法省には教えないって。残っていた量のポーションでは犯人をみつけることはできなかったって言ってくれる約束をしてくれた。
—— ほんとか? なぜ?
あのポーションの操作に感心したって。わたしにはポーションの才能があるから個人授業をうけてみないかって言われた。
—— すごいじゃないか。
そうだね。親切にしてくれた。
—— ポーションの才能がある生徒にはあまり出会えないんだろう。ふつうは教科書どおりにするだけだ。
たしかに。それにいじめっこへのしかえしに使ったのも気にいったみたい。
—— それはありそうだ。多分学生時代は彼もいじめられていたんだろう。
かもね。もし頼んだら髪の毛をもらえてたかな?
—— そうかもしれないが、たぶん無理だな。自分につながる手がかりを残したくはなかっただろうから。
たしかに。これから楽しみだな。
—— いいことだ。いい教師は貴重だ。
でもすこしずるをした気がする。
—— なぜ?
わたしが全部やったと思われてるけど、実際にはあなたのだから。
—— ほとんどはきみの情報と調査だ。ぼくは調整の手つだいをしただけだ。
それにあの双子も。二人にてつだってもらったことは話したけど。
—— あの二人に危険がおよばないようにしたかったんじゃなかったか。
そうだよ。スネイプ先生に教授室によばれたとき、フレッドとジョージもなぜかそれを知ってかけこんできたの。自分たちが考えてわたしはやらされただけだって言って。
—— だから完璧なスケープゴートだと言っただろう!
わたしは自分のやったことをひとのせいにしたりしないって言ったでしょ。
—— 好きにしろ。スネイプからはなにを言われた?
全部話してから、もちろんあなたのことは別にしてだけど、あの二人にもどうやら授業ではたくみに隠していたポーションの才能があるとしぶしぶみとめてくれた。二人もわたしといっしょに追加授業に招待された。
—— 二人は何て?
いくって。半分いやがらせのため、半分わたしをみまもるため。
—— やさしい。
そうだね。でもだれにも言うなって言われた。二人はせっかくの評判をだいなしにしたくないからって。そういえばスネイプもだいたいおなじようなことを言ってた。
—— つまりきみとスネイプ先生とウィーズリー兄弟が秘密の薬学クラブをひらくと?
うん。あなたよりもふしぎなことがわたしの人生にあるとは思わなかった。
—— きみよりも不思議なことはぼくの人生にはまずなさそうだ。