明音とコータがトラップの設置を終えると警戒しながら正面玄関に向かう
周りを見た感じ、ここ以外の出入り口は封鎖済み
唯一開いていた出入り口には血痕が奥へと続いている
避難所の連中が去った後に誰かきたのか?
沙耶「出入り口はみんな閉じられてるようね」
孝「じゃなんでここだけ中途半端に開いていたんだ?」
麗「床にちょっとだけ血が落ちてる、誰かがあとで入り込んだのよ」
冴子「これからどう動く?」
「ひとまず弾薬を優先的に探せ、武器は今の物で十分だ、それと情報収集だ」
先ほどの嫌な予感も加味すれば索敵も必要
おそらく警察の標準装備されている拳銃とその弾薬はほとんどないだろう
なら拳銃保管庫より証拠品保管庫が現実的か
「あさみさんとコータで証拠品保管庫を見に行け、場所はあさみさんが知ってるはずだ、コータは学校から持ち出したドリルを持っていけ、この署の改装記録だとあの辺りのロックなら開けれる」
あさみ「わかります!ってどうして署の改装記録を知っているんですか?一般には出回らないはずなのに?」
コータ「イエス・サー!あっあさみさん、拓真はアジア方面の国連軍所属だから一国家の警察の内部情報なんて筒抜けだと思いますよ」
あさみ「元警察官には複雑な話ですね」
「まぁそこは聞き流してもらって、沙耶は情報収集を頼む、一番確実なのは通信指令室だ、電源は生きていればだがな、麗と孝は先行して脅威の排除、智江と静香先生も一緒に行ってください」
沙耶「任せて!」
麗「わかったわ」
孝「了解!」
智江「はい!」
静香「わかったわ~」
「明音とメアリーは屋上を目指して周辺索敵、明音は署の正面でいつでも撃てるようにしとけ」
明音・メアリー『了解!』
「冴子は俺と来い、一階の探索と先に来た人達を探すぞ、血の量と行先だとトイレの方だ」
冴子「心得た」
「よし、何かあったら無線で連絡する事、各自行動開始」
皆が頷きながらそれぞれの方向に動き出す
俺と冴子も周囲を警戒しつつ血痕を追いかける
この出血量だと失血死はなさそうだ
だがさっきからこちらはそこそこ大きな音や声を出している
その時点で来ないという事は警戒しているか、既に《奴ら》になっているか
答えはすぐだった
トイレの方からこちらに近づく影が二つ
動きでわかる、あれは《奴ら》だ
すると二体の男女が姿を現した
「冴子は右の奴を殺れ、俺は左」
冴子「承知!!」
冴子の踏み出しを見ながら俺も紅桜を左の女性の額に突き刺した
冴子の方は男性の首に刀を突き刺し処理した
女性は手に包帯の手当の痕
男性は首に噛み痕
「噛まれた恋人を手当するためにここにきて《奴ら》になった恋人に噛まれたか」
冴子「恋人?」
「これを見ろ」
冴子「ッ!」
俺は冴子に2人の男女のツーショット写真を見せる
そこにはプリクラで作られたのか
ポーズを決めた下辺りに"ずっと一緒"と書いてある
最後は悲惨な結末だったかもしれないができれば来世では一緒に幸せになってほしい
それが俺ができるせめての手向けだ
俺は2人の遺体を横に並べる
生憎ハンカチなどの持ち合わせがないから顔を隠す事はできないが安らかに眠ってもらおう
その後、冴子と一階を探索したが特に目ぼしいものはなく
皆が行ったであろう上階に進む
二階に人の気配はない、となると三階か?
二階へ向かう階段に警察官の遺体があった
頭の損傷具合からすると一度自決しようとしたがし損ねて《奴ら》になった後に明音達に処理されたか
他にもちらほら《奴ら》の後に死体になったのがある
避難する前に噛まれた、もしくは可能性がある人は置いて行ったのだろう
三階に上がると明音とメアリー以外のメンバーがいた
麗「拓真!」
「状況は?」
麗「今平野とあさみさんを中心に証拠品保管庫の中を調べてる、私は見張り」
「そうか………………麗、何かあったか?」
麗「……うん、さっき階段で加藤のおじさんが《奴ら》になって表れたの、明音がすぐ頭に撃って倒れたけど」
「なるほど、あそこの警察官は麗の知り合いだったのか、大丈夫か?」
麗「今は大丈夫、それにお父さんがまだ見てないの」
「なら避難したんだろ、大丈夫だ必ず生きてる」
麗「うん!」
冴子「そろそろいいかい?」
麗「ッ!?」
「ああ、問題ない、コータ達の所に行こう」
俺は麗の頭を少し撫でて保管庫に向かう
麗は一瞬冴子を睨んだ気がしたが状況は切迫している以上納得したようだ
いや俺も余裕があればもう少し麗と話したかった
果たして次落ち着くのはいつになるやら
保管庫に入るとたくさんの銃器や弾薬があった
あさみさんが弾薬を運び、コータが選別している
てか思ったより多いな
近くに空港と港湾があるからか密輸しやすかったのか?
「コータ」
コータ「拓真!」
「首尾は?」
コータ「順調、むしろ思ったより弾が多いと思う」
「主に多いのは?」
コータ「東側の弾薬の方が多いね、まぁ使ってる組織が組織だからかもしれないけど」
「こっちの主な弾薬は西側だからな、でもその様子だとそっちもそこそこありそうだ」
コータ「うん、当面は困らないぐらいはあるよ」
「そいつは上々、それとコータこっち来い」
コータ「なに?」
俺は彼女達から離れる
この距離なら聞こえないだろう
これから話す事はコータにとった大事な話だ
「コータ、さっき正面入り口に爆薬を仕掛けてもらったな?」
コータ「うん、あれの回収の手伝い?」
「違う、あれは100%使う」
コータ「それってまさか」
「ああ、敵が来る」
コータ「!ヤクザの連中?狙いは証拠品保管庫の武器弾薬?」
「流石だな、そこに追加するなら俺達の恋人達も入る」
コータ「ッ」ギリッ
「コータがどれだけあさみさんを好きなのかはよくわかったよ、だからこれは最終確認だ」
コータ「・・・・・」
「その銃で殺せるか?既に死んでいる《奴ら》ではなく生きてる人間を」
コータ「正直わからない、でも撃たなければあさみさんが危険に晒される、そうだよね?」
「そうだ、彼女は人を撃ち殺すのは厳しいだろう、だが抵抗しなければ殺されるか、捕まってあいつらの性奴隷になるだろうな」
コータ「なら答えは決まってるよ、あさみさんを危険に晒すぐらいなら僕は敵を殺すよ」
「よく言った、ただ初めて人を殺すんだ、辛くなったら足を狙え、動けなくすれば後は俺が始末する」
コータ「わかった」
「このまま保管庫の整理を頼む、敵が来たら正面入り口に近い窓から射撃しろ」
コータ「イエス・サー!」
俺はコータに保管庫に戻ってもらう
沙耶達はまだ降りてこないという事は何か手こずってるのか?
今のうちに麗の要件を済ませよう
「麗、お父さんの職場はどこだ?」
麗「!こっち!」
「冴子、見張りを頼む」
冴子「心得た、彼女を見てやってくれ」
「当然だ」
俺は麗が走った方向に走る
麗が入っていった部屋の表札は"公安係"
あれ?この騒動の前に裏でバチバチと諜報戦でやりあってた部署じゃね?
極東軍諜報部から”日本の床主市の公安はどうなってる!?”って苦情来てたな
あれ麗のお父さんに仕業だったのか
うわぁちょっと入りづらい
まぁ入るけどさ
入ると麗が呆然としていた
麗「誰も………誰も………」
「麗」
麗「拓真、お父さんが………」
「調べるぞ、麗のお父さんがどこに避難したかわかるはずだ」
麗「!うん!」
しかしPC含めた電子機器はやっぱり死んでるか
この様子だと諜報部との暗闘(?)の記録も消えてるか
紙媒体の記録は後で部隊を派遣して処分させるか?
いや今そんな事気にしてる場合じゃない
ん?ホワイトボートに何か書いてる?
これって………………
「麗、これを見てみろ」
麗「え?この字………………お父さん!」
「"生存者は新床第三小学校へ!"かこれで避難民の行き先はわかったな」
麗「良かった!よかったぁ!!拓真ぁおとうさんいきてるよぉ」
「本当によかったな、お父さんの安否がわかって」
しかしなぜ新床第三小学校なんだ?
後で沙耶に聞こう、何か情報を持ってるかもしれない
麗を落ち着かせて一度部屋を後にする
冴子と合流して2人に階段を見てもらう
俺は上に上がり通信指令室に向かう
指令室の入り口に孝がいた
見張りだろう
「孝」
孝「拓真!」
「《奴ら》は?」
孝「明音達と倒してこの辺りにはいないと思う、念のためここで見張りをしていた」
「沙耶達は中に?」
孝「ああ、さっきJアラートがどうのって言ってたぞ」
「Jアラートだって?」
Jアラートは全国瞬時警報システムは地震やミサイル攻撃などの有事に警報や情報を衛星経由で全国に伝えるシステムだ
それが今見えているのだとしたら非常電源は生きていたというわけだ
俺は指令室に入る
そこには智江と沙耶が何か操作をしている
沙耶「見つけた!」
智江「やった!」
「何を見つけたんだ?」
静香「拓真君、いたの?」
「先ほど来ました、沙耶何か情報あった?」
沙耶「自衛隊の救出作戦が明後日の午後に数時間だけ実施される、場所は新床第三小学校!」
「避難民が急いでここを去った訳がわかったな、さっき麗のお父さんの部署に行ったら生存者は新床第三小学校に向かえって書置きがあった」
沙耶「おそらくだけど小学校は無事だったんじゃないかしら?そしてそのまま避難所兼脱出ポイントになった」
「おそらくな、これで孝の母親と麗の父親の居場所はわかったわけだ」
沙耶「平野の方はどうなの?」
「弾薬を見つけた、今纏めてもらってる所だ」
沙耶「なら終わり次第出発しましょ!」
「ああ、そうだn──『拓真!』──どうした?」
明音『敵影補足、数は50人前後、銃器で武装してます、地元のヤクザだと思う』
「了解、ある程度引き込んだら爆薬を起爆しろ、事前報告だけ皆にしてやってくれ」
明音『了解、それまで発砲禁止?』
「そうだ、爆破後攻撃開始だ」
明音『了解、アウト』
できれば来てほしなかったんだがな
こうなったら殲滅するしかないな
俺は無線機を全員に繋ぐ
「全員聞け!お客さんだ!ヤクザの構成員約50人が銃器を含む武装をして警察署正面より侵攻中、全員戦闘用意!明音とメアリーは屋上から、コータは3階から、孝と冴子、麗は2階の階段付近に移動、沙耶と智江、静香先生はこのまま指令室で待機、あさみさんは保管庫で待機、この後明音が正面入り口に仕掛けた爆薬を爆破する、混乱した所を攻撃する」
明音・メアリー・コータ『了解!』
沙耶「わかったわ」
智江「うん」
静香「・・・」コクッ
孝「わかった!」
冴子『承知!』
麗『うん!』
あさみ『あ、あさみも戦います!』
「それは許可できません」
あさみ『なんで!?』
「あなたは元とはいえ警官です、いくら相手がヤクザでも生きて人間を撃ち殺せますか?」
あさみ『そ、それは、でもあさみもコータさんの役に立ちたいんです!』
コータ『あさみさん………』
「…………ならスポッターと索敵をお願いします、コータに危険人物を伝えてください、コータを言われた対象を優先的に排除、ただし無理はしないでください、いいですね?」
コータ『イエス・サー!』
あさみ『はい!』
「俺は今から2階に向かう」
沙耶「拓真」
「ん?」
沙耶「気をつけなさい」
「当たり前だ、ちょっと掃除してくるだけだ」
俺は沙耶の頭を撫でて動き出す
さっき孝も智江と話をして先に二階に向かっていた
さて邪魔者を排除するか
俺は口角が上がってる事に気づきながら駆け出した
次回『防衛戦』