神の幼馴染   作:〆鯖缶太郎

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【注意】
・芳賀若菜に対するイメージが大きく損なわれる可能性があります。

 それでも気にしない読者様だけご覧ください。
 諸事情によりスマホから投稿しているので、誤字や文が変になっていたら申し訳ないです。


芳賀若菜

 世界に名だたる料理人を輩出してきた遠月茶寮料理學園。その背景には、圧倒的とも呼べる実力主義の教育方針が存在する。

 

 高等部に於ける卒業到達率――僅か1%。

 

 遠月学生にとって学園生活とは毎日が戦いで、一年生から二年生に至るまでに90%の者が退学を言い渡される。そこから更に厳選に厳選を重ね、全ての審査を潜り抜けた生徒のみが卒業に至るシステム。自ずと最高峰の料理人が生まれるのも頷けるだろう。

 そして そんな思考を巡らせれば、誰もが興味をそそられる議題が一つ浮かぶ。

 

 ――遠月学園に於ける歴代最高の料理人は、果たして誰なのかという疑問が。

 

 非常に難しく、証明の仕様がない問題だ。

 まず一番に、遠月学園の歴史は90年以上ある。中には既にこの世を去った者もいる為、全てを食し 比べる事は不可能だ。

 加えて、料理そのものが幅広すぎるというのも問題だろう。ジャンルによって性質が異なり、それに優劣を付けるなど『単純にどちらが美味しいか』を除けばできるはずもない。

 

 最善の案を考えようと悉く否定され、結局は誰も辿り着けない結論。

 唯一指標としてあるのは、遠月学園に残された卒業試験の点数ぐらいだろう。そして 歴代最高得点を獲得した料理人の名は堂島銀。結局そこで、多くの者は落ち着いてしまう。

 事実、一流の料理人の中でも堂島を尊敬し、一番の料理人だと憧れる者も多い。そういった面で見れば、堂島銀こそが歴代最高の料理人と呼べるのではないだろうか。

 

 だが、一部の者は断固として否定する。

 卒業試験――それは当然ながら、卒業まで至らなければ記録に残らないものだ。つまり、途中で何らかの理由で堂島をも超える存在が退学していた場合、当時を知る者のみにしか分からない歴代最高候補が生まれる。

 

 その一人として名高いのが、堂島と時を同じくして学園にいた才波城一郎。

 遠月十傑評議会では堂島に次ぐ第二席。それだけ聞けば劣っているようにも思えるが、世界若手料理人選手権コンクールである『BLUE』に選出された実績や、百年に一人の逸材と呼ばれた事実。他にも堂島との料理勝負で非公式も含め 勝ち越していた点など、料理人として見たならば確かに歴代最高と呼んでも遜色ないだろう。

 消えた天才。城一郎をそう呼び、惜しむ者も少なくはない。

 

 ――ならば彼女は、消失した天災だろう。

 そう言って、堂島と城一郎の存在を鼻で笑う者がいる。

 ――あぁ、勘違いしないでくれ。羨ましいんだよ、彼女を知らない青い君達が。

 そう言って、皮肉りながらも妬ましがる者がいる。

 

 信じられるだろうか? 中等部一年生にして、遠月十傑を相手に食戟で下した生徒がいた事実を。その後の食戟で、全戦全勝を成し得た生徒がいた事実を。歴代最速で遠月十傑 第一席の座に着き、学園の数々の記録を塗り替えた生徒がいた事実を。

 そして――彼女に関するほぼ全ての記録が、抹消された事実を。

 

 名前を呼ぶ事すら 烏滸がましい。

 

 彼女の痕跡は記録から消えようと、当時を共にした者の記憶から消えることは決して無かった。いや、或いは消えているだろう。卒業すらできず、料理人に成り損なった者であれば。彼女の料理を直視できていた者であれば。

 一流の料理人。卒業まで至った者は、ただ一人を除いて彼女の料理を見ることすら拒んだ。

 

 歴代最高の――最恐の料理人は、間違いなく彼女である。

 

 

 

〆〆〆〆〆

 

 

 

 それは彼女が――芳賀若菜が遠月学園を訪れてから五回目の春。

 無事に高等部二年生へと進学を果たした若菜は、三月にあった三年生の卒業と共に遠月十傑 第一席の地位を引き継いだ。

 当然一年生の頃にいたのは第二席。本来であればその時点で第一席であったが、十傑に関する下地が一切なかったが為に、一年間は第二席という形で過ごす事となっていた。

 一年生にして第二席。二年生にして第一席。そのどちらも遠月学園では初の快挙であるが、彼女を知る者からしてみれば 成るべくして成ったというのが正しいだろう。

 その中でも最も評価されているのはやはり、食戟である。

 初回の食戟で当時の十傑の一人を下し、以降も全戦全勝。当初こそ若菜の境遇やその事実により周囲から避けられていた彼女ではあるが、それは時間が段々と解決していった。

 

 ――異常も長く共にすれば正常となる。

 

 実際に遠月十傑となったことも大きいのだろう。今も変わらず学園で友と呼べる者はおらず、周囲からは勝手に『孤高』などと言われているが、中等部一年生の環境と比べれば大分改善した。

 繰り返すが、学園で日常会話を楽しむような先輩も後輩も同級生もいない。

 

 そんな ほんの少しだけ余裕のできた若菜にも、未だに慣れない集まりがある。

 

「――以上になりますが、何か質問は?」

 

 若菜は問いかけながら、円卓を囲う同僚へと目配せした。

 物音一つしない部屋の中。彼女の声に応える者は誰一人としておらず、身動き一つない。そして始まりから終わりまで、声を発した者も 目が合った者もいなかった。

 

 ――まただ。

 

 遠月十傑評議会。その定例会は若菜が十傑の一員となって以来、この状況が続いている。昨年は一応、第二席という立場であったが故に議長ではなかった。だからまだ少なからずの問答はあったが、若菜が第一席を引き継いでからはそれすらない。

 一応、名指しで聞けば答えてはくれる。声を引きつらせ、目に見えてビクつかれながらではあるが。

 

「では……」

 

 そう締めくくり、空気の悪い部屋を後にする。

 自分がいなくなれば、少しは空気も良くなるだろう。彼ら、彼女らが怯えているのは、他ならぬ自分自身のせいであるのだから。

 

 ――何が悪いのだろうか。

 

 食戟が行われる会場に向かいながら、若菜は思案する。

 他の十傑メンバーの自分に対する扱いは異常だ。若菜から直接、何かをした記憶はない。一体自分の何にそこまで怯えているのか。どうすれば良好な関係を持てるのか。

 

「今に始まったことじゃ、ないけどね……」

 

 若菜が歩けば人が割れ、道が開ける。

 誰も隣を歩こうとはしない。興味深そうに、遠巻きにただ眺めるだけ。

 

 

 

「……行ったか」

 

 廊下から響く足音が遠ざかり、扉越しに聞こえなくなってから暫く。室内にいた一人がそう呟いた。

 半ば止めていた息を吐き、そして大きく吸う。それに倣うかのように、他の者も深呼吸をし、それぞれが思い思いの楽な姿勢をとった。ある者は円卓の上に足を投げ出すが、その行為を咎める者はいない。

 

「この後って確か、食戟だっけ? あの人」

 

 名前は当然知っている。だが話を切り出したその者は、今しがた部屋を退出した若菜を『あの人』と呼び。周囲の反応から察するに、それがこの十傑メンバーの若菜に対する呼び方だと分かる。

 

「確か今日でゾロ目……555連勝、だったかな?」

「おいおい。まだ勝敗は分からんだろ?」

「へぇ……。じゃあ見てくるってこと? あの人の食戟を?」

 

 問われた者は、冗談はよせと首を振った。

 

「俺様に料理人として死ねってか? 悪かったよ。ま、結果なんて分かり切ってるわな」

 

 そう。結果なんて分かり切っている。

 若菜に勝てる者はこの学園にいない。ここにいる者達が束になって挑んだって、勝てる未来が見えないのだから。

 そして若菜本人に悪気は無かろうと、食戟で挑んで文字通り死ぬのは自分らである。食戟のお題。それを何かの間違いで自身の得意料理などにしてしまえば、尚の事。

 

「相変わらず、化け物だな」

 

 化け物という表現すら、生温いだろう。

 料理人として生きたいのであれば、彼女の調理姿を見てはならない。料理人として生きたいのであれば、彼女の料理を食してはならない。

 実力の差に愕然し、灰になってしまうから。自分が今まで費やしてきた人生全てを、否定されるから。

 彼女を直視できる者。それは料理人として出来損ないの者だ。

 

『諸君の99%は、1%の玉を磨くための捨て石である』

 

 総帥の言葉を借りるのであれば、99%の捨て石しか、彼女を見ることはできない。料理人として未完成の者だけが、見ることが敵うのだ。

 

 

 

『勝者は――芳賀若菜!!』

 

 観客席を埋め尽くさんばかりの生徒。

 司会者の勝利宣告に場内が沸きあがり、若菜に一時の心地よさが訪れる。

 若菜が輝ける唯一の舞台。ここでならば、学園にいる誰もが見てくれる。自分を認めてくれる。興奮してくれる。

 けれど――この会場を出ればまた、一人ぼっち。

 

「今日はやけに歓声が大きかった気がするけど……何でだろ」

 

 勝利だけが目的の若菜にとって、勝利数など何の意味も無い。

 ただただ、仲良くなる方法を。友達を作る方法を考えるだけだ。

 

「そう言えば一年前の子、頑張ってるかな……」

 

 春。食戟を終えて会場を出た一年前。今と同じような状況で、少年と若菜は出会った。

 

 

 

『俺を――弟子にしてください!』

 

 あまりにも唐突な告白だった。

 会場を出た直後。息を切らしながら走って来たその少年は、若菜に臆することなく手を差し出し、頭を下げた。

 一瞬思考が停止した若菜は直ぐ様持ち直し、少年を観察する。

 シワの無いピッチリとした制服。新品同様の革靴。襟についた校章は、以前卒業した三年生と同じ色――つまりは中等部一年生。

 

『じゃあ、食戟する?』

 

 いつもと変わらぬ口調で、あまりにも気軽に、食戟を口にする。

 若菜に声を掛けてくる生徒は、決まって食戟に関することだ。故に今回も了承の返事を交わして終わるだろうと思ったところで。

 

『って、それで私が負けたら、師匠になる必要はないか』

 

 師弟関係なのに、最初から師になる予定の自分が負けては意味がない。少年が勝とうが負けようが、結局何も得られないことに気付き、考え直す。

 だからその日――。

 

『……なら』

 

 ――若菜は遠月学園に来てから始めて、己の欲を言ったのかもしれない。

 

『もし君自身が私と肩を並べられる料理人になれたと思ったら。その時はまた、声を掛けてね。そしたら師匠になってあげるよ』

 

 君自身が――。あくまでも、本人の意思でそう思ったのであれば。今からでも言ってくれれば、私はあなたを弟子として迎え入れる。

 それは決して、友達と呼べるものではないだろう。けれど、若菜にとって遠月学園で初めて、交友関係が生まれるかもしれない相手。

 上手い誘い方など分からない。本音を言えば、今からでも弟子にしてくれと言ってほしい。若菜にとって精一杯の答えに、だが少年は気付いた様子はなく。

 

『分かりました』

 

 決意を胸に抱いた少年は、それだけを残して走り去った。

 

 

 

「ほんと馬鹿だよなぁ……私」

 

 漸く手に入れられたかもしれない形の無いソレを、目の前で逃した。

 少年の名は聞きそびれてしまったが、一応十傑の権限を使って調べてはある。

 四宮小次郎。遠月では珍しい、若菜と同じ庶民であると。

 

「庶民か……。あの子は苦労してないかな」

 

 思えば若菜がこうなった切っ掛けも、元を辿れば庶民であったからだ。ただの庶民であったならば、こうまではならなかっただろうが。

 

 そして結局。あの日以来、少年とは会っていない。

 

 

 

〆〆〆〆〆

 

 

 

 その日は珍しく、夜風に当たりたい気分だった。

 寝て起きるだけの住みかと化したホテルを出て、当てもなく校外へと若菜は繰り出す。

 十傑に加入してから度々ある仕事以外で外出するのは……しかも、こんな夜も更けた時間は遠月に入学してから初めてかもしれない。

 実家に関しては現状について話したくも無いため帰る事はないし、普段は外に出る理由がないからだ。

 ただこの日は何となく、人混みに紛れたい気持ちだった。

 

 若菜は学園で常に距離を置かれる。

 それは当然、若菜という人間を相手が知っているからだ。だが、相手が若菜を知らなければ距離を置く理由もない。

 十傑となり、視察のために久方ぶりに外を歩く機会があった時は驚いたものだ。誰も若菜から距離を取ろうとはしない。すれ違う時、ぶつからないように歩くだけだ。

 来賓として会場に呼ばれた時もそうだ。寧ろ相手側から積極的に話し掛けてくる。

 若菜の心に明確な余裕が生まれたのも、それ以来だろう。ずっと居場所がないと思っていたのに、学園から一歩踏み出せば様変わりする景色。

 

 高校生がこんな時間に出歩くのはまずい。

 だから態々、雑誌を見て適当に注文した服を着て歩く。注目されたいが為に練習したメイク術も合わせれば、そこにはとても高校生とは思えない女性がいる。

 美というものを気にしていない若菜であるが、身長も容姿も間違いなく一級品だ。それこそ適当に雑誌の服を身に付けるだけで、モデルもかくやという着こなしをしてみせる。

 仮に警察に何か注意されようと、十傑の……それこそ第一席であれば そんなものはあってないようなものだ。

 

 ――初めての都会の夜の街。

 人混みに流されて歩くだけでも気持ちがいい。耳に届く喧騒が心地いい。

 

「お姉さん。うちのクラブ、寄ってかない? お姉さんだったら可愛いし 割引しちゃうよ!」

 

 ふと声を掛けられ、辺りを見渡した。

 歩いている内に奥深い中心地帯まで来たのか、周りにはクラブやバーといった店が立ち並んでいる。

 本来であれば当然、若菜が入れるような店ではない。声を掛けてきた男も、無理矢理客引きをしている訳でもないので、断れば諦めてくれるだろう。

 けれどこの日の若菜は、興味が勝った。こんな私の為に声を掛けてくれたのだからと、お世辞でも可愛いと言ってくれたのだからと、誘われるがままに入って行った。

 お金の心配だってない。何故なら若菜は遠月十傑 第一席。これは自分のメンタルケアのため……延いては創作意欲を掻き立て料理に活かすためだ。今まで全く使ってこなかったのだから、散財したって関係ない。

 仮にぼったくりだろうと、今の若菜であれば百万単位でも余裕で出せる。

 

 それからだろう。若菜が夜な夜な街へ繰り出すようになったのは。

 初めはお世辞だと思っていたが、若菜は自分自身を過小評価しすぎていたと気付き始めた。

 料理を知らない者達からしてみれば、若菜は上客以外の何者でもない。美人で金があって押しに弱い。そもそもメイクをしたその姿は、若菜を知る者からしても決して彼女であるとは分からないだろう。

 それ程までに別人で、誰もが関係を持ちたいと思った。学園内で関係を持ちたくないと思われていた若菜が、外の世界では誰からも求められた。

 求められることが若菜にとって快感で、何でもやれるだけの金があって、実行した彼女がいた。

 相手が男でも女でも関係ない。やる事成す事が刺激的で、様々な経験ができる。いつからかその身すらも差し出して、ひと月も経たない内に何十人と体の関係も持った。

 避妊に気を付けようが、それだけの事をすれば――結末も自ずと分かるだろう。

 お腹には、誰の子かも分からない子供ができていた。そして、気付いた。自分は何をやっていたのかと。

 

 

 

「総帥。話があります」

「急にどうしたのだ、若菜よ?」

 

 茶を啜りながらのんびりと腰掛ける総帥に、自身のお腹を擦りながらのんびりと 若菜は言った。

 

「子を――授かりました」

「――――ッ!!」

 

 辛うじて吹き出すことはなかったが、直後に総帥は激しく咳き込んだ。

 けれど若菜は それを気にも留めない。何故ならそうなるだろうと思いながら、態と話を切り出したのだから。

 今の若菜には総帥に対し、それだけの事ができる心の余裕があった。

 

「つきましては、私の退学手続き・住居及び仕事場の提供を、遠月十傑 第一席の立場から申請します」

 

 

 

〆〆〆〆〆

 

 

 

「号外! 号外! 号外だーッ!」

 

 春の暖かな風に乗って、遠月学園の主要道にそんな声が響き渡っていた。

 多くの生徒が歩く方向とは逆に走り抜けるその生徒は新聞部の一人。今この瞬間、遠月校内の各地で号外の声が上がり、新聞がばら撒かれている事だろう。普段の号外であれば手渡しであるが、今はそれすら惜しいといった様子だ。

 皆が皆、足元に来た新聞を何気なく見下ろし。次の瞬間には拾い上げ、穴が開くほど読み込む。

 それはこの男とて、例外ではない。

 

「嘘……だろ?」

 

 後の遠月十傑 第一席である四宮の瞳には、新聞の内容が冗談としか思えなかった。

 

『芳賀若菜 退学』

 

 デカデカとそんな見出しが付けられていた新聞を握りしめ、駆け出さずにはいられなかった。

 

「ちょっと、四宮!」

 

 隣を歩いていた同期である水原の声など届かない。

 まず間違いなく、今回の件を知っている者の元へと四宮は向かう。そしてその者は――総帥は、まるで四宮が来ることが分かっていたかのように待ち構えていた。

 

「これは一体、どういう事だ!!」

 

 部屋に入るなり新聞を叩きつけた四宮を、総帥は品定めするかのように見やった。四宮は挨拶なしに 不法侵入に近いにも関わらず、全く意に介していない。

 

「ふむ。お主が四宮小次郎で間違いなさそうだな。芳賀若菜から儂のもとへ来れば伝えるよう、伝言を預かっておる」

 

 

 

 ――ただ一言、『ありがとう』と。

 

 

 

〆〆〆〆〆

 

 

 

「ねぇ青葉。約束して欲しいことがあるの」

 

 我が子を遠月学園の入試試験に送り出す直前、若菜は屈み込んで青葉と視線を合わせた。

 

「お母さんは昔、この学園で失敗しちゃったわ。取り返しの付かない失敗。だから青葉には、同じ気持ちを味わって欲しくない」

 

 青葉は本来の実力を既に抑えられる領域であり、そして素直で聞き分けがいい。

 これから伝えることも、本人の意思に反するかもしれないが、きっと分かってくれるだろう。

 

「手を抜きなさい。今年はえりなちゃんがいるから、彼女なら間違いなく満点を取る。だから青葉は、満点を取らないこと。それと余程の理由が無い限り、少なくとも中等部にいる間は食戟をしないこと。……えりなちゃんと緋沙子ちゃんとは、仲良くね」

 

 自分と同じ道を辿らない為にも、なるべく目立ってはならない。えりなと仲が良い時点で目立つだろうが、それは仕方のないことだ。

 せめてえりなと緋沙子と変わらず、今の友達としての関係を保ってくれればと 若菜は思った。

 




 ここまで読んでくれてありがとうございました。
 『一皿目』に若菜は座学に難があるとありますが、それは若菜なりの皆に受け入れてもらおうとした結果です。
 入試で満点の首席なのに何で? と思った読者様が今までいたかもしれませんが、態と手を抜いた結果 点数的には難があるとなっていました。

 ここで芳賀家に関して軽く補足しておきましょう。
 幼少期。若菜は自身に料理の才があることに気付き、長所だから伸ばそうと独学で勉強したと『孤独な生徒』にあります。
 庶民であるはずなのに、何故独学で料理を勉強できるだけの設備が整っているのでしょうか?
 それは芳賀家が薙切家と同じように『神の手』を生み出していたからです。
 じゃあ何で庶民になるか疑問でしょうが、これは神の手が秘匿された結果です。神の手の放つ光は強すぎ、神の舌を持つ者以外には毒にしかなりません。だから過去にも迫害され、しかし神の舌には必要不可欠とされていました。
 因みに神の舌が生まれたとき、時を経たずして神の手が生まれ、対を成すその存在は何の因果か必ず廻り合います。
 以下、軽くメモしてあったやつのコピペ↓



 神の手、その存在が公になってはならない。
 将来、何かの間違いで流出してもならない。
 誰かが言った、記録から抹消しよう。
 誰かが言った、時間が経てば記憶からもなくなる。
 誰かが言った、神の舌は絶望を余儀なくされるのか。
 誰かが言った、神の舌と神の手は惹かれ合う。
 誰かが言った、両者の関係を断ち切る事は不可能だ。

 だがしかし、それでも神の手の存在は いつの日か公になってしまうのではないか。

 誰か言った、それが神の手の運命(さだめ)なのだろう。



 まぁそこまで深く設定を考えた訳でもないから、許してね。
 そして本文に戻りますが……若菜の過去、大丈夫だったかな……。
 最初からこうしようとは決めていましたが、やはり父親が出張か単身赴任か何かでいないって設定のが単純で損なわないしいいかもですね。

 伝言で伝えられた若菜の四宮へのありがとう。そこに何が含まれていると感じるかは人それぞれです。けれど一つだけ確かなことがあるとすれば、若菜の退学を知って総帥のもとまで駆け込んだのは 恐らく四宮だけであり、若菜もそれを予感していたのでしょう。



 今までありがとうございました。
 また何処かで私の小説と廻り合った読者様がいれば、よろしくお願いします。

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