カードファイト!!ヴァンガードG IF 〜夜薔薇の先導者〜 作:バンドリーマーV
シユリ「何してるの?なんで貴方が、ユナサン支部のコーチに…」
カムイとシユリは、伊吹と向かい合っていた。
カムイ「あそこは最近、いい噂を聞かねぇ。俺の後輩も嫌な目にあったしな…」
伊吹「……」
カムイ「何が目的だ、伊吹。もしヴァンガードに仇をなすようなら…許さねえぞ」
伊吹「…お前達が心配するような事は何もない」
シユリ「…ッ…」
シユリの脳裏に浮かぶのは、3年前のメサイア・スクランブル準決勝。
シユリ『──イズルくんッ!』
彼女の大切な人が倒れる光景と、それを見下ろす伊吹の姿。
カムイ「──ファイトしろ。お前のヴァンガードを見せてみろ。俺が見極めてやる!」
シユリ「あぁ、先に言われちゃったね…」
伊吹「……」
伊吹もデッキを取り出す。
「「スタンドアップ、ヴァンガード!」」
カムイFV【《メチャバトラー ランボール》】
伊吹FV【《ネオンメサイア》】
カムイ「…!」
シユリ「…ネオン、メサイア…」
トコハ「あんな奴には、絶対負けないんだから!」
トコハは休憩時間、次の対戦相手、ディマイズの羽島リンに散々挑発され、完全にブチ切れていた。そんな中、その羽島リンはというと…
リン「安城マモル、ごきげんよう」
マモル「ん…?」
大会スタッフとして来ていたマモルに声をかけていた。
マモル「君は…トコハの対戦相手の、羽島リンさんだね。妹とのファイト、楽しんでね」
リン「…覚えてないのね」
マモル「…?」
そうして試合の時間になる。
リン「うふふ…楽しもうね?」
トコハ「えっ…?」
態度の違いに困惑しながらも、試合開始だ。
「「スタンドアップ、ヴァンガード!」」
トコハ「《春待ちの乙女 オズ》!」
リン「《黒衣の燭光 アズライール》」
アン「エンジェルフェザー…」
一方。
シユリ「……」
カムイV【《永劫不敗 アシュラ・カイザー》】
伊吹V【《オルターエゴ・メサイア》】
お互いグレード3だ。
カムイ「ストライドジェネレーションッ!《闘神 アシュラ・カイザー》ッ!!」
カムイがストライドする。
カムイ「スキル発動!ドロップゾーンのビクトールを山札に戻して、スキル獲得!更にコールだ!」
リアガードを展開し、連続アタックを仕掛ける。続けてヴァンガードのアタックとなる。
カムイ「アシュラ・カイザーのアタックだッ!」
伊吹「完全ガード」
カムイ「トリプルドライブッ!グレード3が出たことで、アシュラ・カイザーのスキル発動!リアガード4体をスタンドだ!
《メチャバトラー ザザンダー》2体は、スタンドした時にパワー+5000!更に《ファイナル・レンチ》のスキルで、右のザザンダーにパワー+4000!ランボールのブースト、左のザザンダーでアタック!」
伊吹「ノーガード」
伊吹のダメージが5になる。
カムイ「行くぜ!ファイナル・レンチのブースト、右のザザンダーでアタック!」
伊吹「《震脚のパルスモンク》2体でガード」
カムイ「ターンエンド…!」
伊吹のターン。
伊吹「──ジェネレーションゾーン、解放!」
伊吹「混沌を切り裂き、白き翼で描け未来!ストライド…ジェネレーションッ!《創世竜 アムネスティ・メサイア》…!」
伊吹もストライドする。
シユリ「メサイアの、Gユニット…」
伊吹「超越スキル…!呪縛(ロック)。傷みを我が力に…!タスクブレードでアタック。スキルで呪縛」
カムイ「連続で2体呪縛か。相変わらず、嫌らしい攻撃だぜ…!ガード!」
伊吹「アムネスティでアタック。スキル発動。アローザルを解呪(アンロック)!アムネスティをパワーアップ…!」
カムイ「解呪…!?お前が…」
シユリ(やっぱり、あの時とは全く違う…今の彼は…)
伊吹「アローザルのスキル、タスクブレードをスタンド、パワーアップ」
カムイ「ノーガード…!」
伊吹「トリプルドライブ…!クリティカルトリガー」
2ダメージ。
伊吹「タスクブレードでアタック」
カムイ「ガード!──へっ、だんだん分かってきたぜ。お前のファイトからは、邪なものは感じない。曲がった道を行こうとしてるわけじゃ無いようだな…」
シユリ「──うん。だからこそ、改めて聞かせて。貴方は一体、何をしようとしているの?」
伊吹「──普及協会の…延いては、ヴァンガードの未来のため。俺は、俺の使命を果たすだけだ」
シユリ「…?」
カムイ「ヴァンガードの、未来…使命って…?」
伊吹「──アローザルでアタック」
メサイアの光が、アシュラ・カイザーを飲み込んだ…。
一方。
トコハ【《ラナンキュラスの花乙女 アーシャ》】
リン【《黒衣の戦慄 ガウリール》】
クロノ「これでお互いグレード3か」
トコハ「ストライドジェネレーションッ!」
アン(ここからが勝負…)
『──警戒しろ』
アン(ッ!?)
─────
金色の槍を構えた天使が、アーシャに迫る。
その攻撃から、多くのユニットがアーシャを守る。しかし、続く一撃を防ぐことはできず、アーシャは光に飲み込まれた…。
─────
アン「──ッ!」
アン(また見えた…!今のイメージは…それに、今の声は…?)
クロノ「どうした?」
アン「あ、いえ…」
トコハ「《春色の花乙姫 アルボレア》で、ヴァンガードにアタック!」
ストライドしたトコハは、連続アタックでリンをダメージ4まで追い詰めた。
リン「…明るくて真っ直ぐなファイト。びっくりする程そっくり」
トコハ「えっ?」
リン「…安城マモルに」
トコハ「ッ!」
リン「……」
リンは幼少期を思い出す。
リン『ほらぁ、まだヴァンガードには攻撃しないであげるからぁ、頑張って~?』
当時から強く、性格も問題ありだったリンが、カードショップでファイトをしていた時…
マモル『そんな意地の悪いファイトは、やめたほうがいいよ』
たまたま居合わせたのが、マモルだった。
『はぁ?弱っちいのがいけないんじゃん』
『そういう言い方はよくないよ。キミだって、同じことされたら辛いだろう?』
『うるさいなぁ…お説教したいんなら、私とファイトして勝ちなさいよ!』
『…仕方ないな』
マモルも戸惑いつつファイトを受けたが、勝者はマモルだった。
『惜しかったね…でも、勝ち負けがすべてじゃないんだよ?一緒に楽しむのが、ヴァンガードなんだ。キミとのファイト、楽しかったよ』
マモルは手を差し伸べるが…
『…綺麗事だね』
リンが手を取ることはなかった。そして現在…
リン(…アイツは、何も覚えていなかった…)
リンのターン。
リン「ストライドジェネレーション!《聖霊熾天使 ウリエル》!」
アン(あのユニットは、さっきのイメージの…!)
リン「ふふっ、楽しもうねぇ。安城マモルの妹ちゃん」
トコハ「兄さんは関係ない!」
リン「怒っちゃダメだよぉ♪ヴァンガードは楽しくやるものだよぉ~?お兄ちゃんも、言ってるでしょ~?」
トコハ「関係ないって、言ってるでしょ!」
アン「…ッ!」
以前トコハの悩みを聞き、自分も姉と比べられてきたアンは、トコハの心中を察し、拳を握り締める。
リン「ウリエルでアタック」
リンのアタックを、トコハはなんとか凌いだが、冷静でいられるはずもなく。
トコハ「このターンで一気に、決めてやる!ストライドジェネレーション!《立春の花乙姫 プリマヴェーラ》!」
トコハはストライドして一気に攻めるが、防ぎ切られてしまう。
シオン「前のターンで手札に加えた完全ガードに加え、ドロートリガーも出てるんだ…!決められるわけないのに…!」
クロノ「落ち着け安城…!」
更には次のターン。
アン「今のターンで決められてもおかしくなかったのに、リアガードを攻撃してた…これ、多分わざと…」
クロノ「勝てるのにトドメを刺さなかったってのか、アイツ…!」
リン「こんなに楽しいファイト…簡単には終わらせないから…!」
更に…
リン「そんな顔しないで?笑顔、笑顔~。ヴァンガードは楽しくやらないとね。おにーちゃんに叱られちゃうぞっ?」
トコハ「──アタックッ!」
リン「完全ガード」
攻めきれない。
「え~っ?もーおしまぁい?もっと楽しめると思ったのになぁ…弱いんだねぇ、安城マモルの妹なのに…泣かないで?」
「泣いてないッ!」
「はいはい、終わりにしましょうね」
再びウリエルにストライド。
アン(この盤面…!さっきのイメージの…!)
リン「ばいばい、妹ちゃん?」
ウリエルのアタックが決まり、トコハのダメージは6になった。
リン「アイツ、見てくれたかしら…?」
リンは控え室に戻る。
東雲「随分楽しんだみたいだな。君があんなに感情をあらわにするのは珍しいだろう」
リン「だって、ヴァンガードって…楽しいものでしょう?」
一方。
トコハ「…ごめん、負けちゃって」
クロノ「まぁ…しゃーねえだろ」
アン「あれだけ煽られたら…」
シオン「気にすることはないよ、次で、僕が必ず勝つから」
トコハ「何それ!私のファイトなんて意味がないって言うわけ!?」
シオン「そういう意味じゃ…」
トコハ「ッ…ごめん」
アン「あ…!」
トコハは控え室から出て行き、アンが追いかける。
アン「あ…」
会場の外に出たアンは、遠くで佇むトコハを見つける。
トコハ(なんにも変わってない…煽られて、熱くなって、負けて。結局、私…)
トコハ「──チクショーォオオッ!」
泣きながら叫ぶトコハに…
アン「…ッ!」
アンが思わず、持っていたデッキケースを固く握りしめた、その時。
『──怒りが伝わってくる。気に入らないな』
アン「──ッ!?」
突然頭に響いた声に、アンはハッと顔を上げる。
アン(え…今の、誰…?)
アンは辺りを見回すが、遠くにいるトコハ以外誰もいない。
アン「……」
思わずデッキに視線を落とす。一番上にあったカードは、彼女の分身たるナイトローゼだった。
アン「…?」
同じ頃。
カムイ「お前の覚悟は分かった。けどな…もし、仲間達が危険な目に会うような事があれば…その時は、黙ってないからな」
伊吹「…好きにしろ」
伊吹は、カムイとシユリの前から歩き去っていた…。
《続く》