カードファイト!!ヴァンガードG IF 〜夜薔薇の先導者〜   作:バンドリーマーV

18 / 20
今回から少しの間、オリジナル展開が続きます。


第18話「昏き覚醒」

 

シオン(東雲さんは、僕のことを詳細までリサーチしていた…僕は、彼の顔と名前しか知らないのに…)

 

 

試合前、偶然対戦相手の東雲ショウマと出くわしたシオン。東雲は至って紳士的にシオンと握手したが、その情報収集に隙はなかった。

 

 

MCミヤ『チームトライフォー、綺場シオン選手対、チームディマイズ、東雲ショウマ選手!試合開始です!』

 

 

アン(ここまでの二人、性格が悪いにも程があった…この人は…?)

 

 

シオン「フィールドは、東雲さんが決めて頂けますか?」

 

東雲「いいのかい?」

 

シオン「先程のお詫び、という程のことでもないですけど…」

 

 

東雲の服には、シオンと廊下でぶつかってしまった時にできたコーヒーのシミが。

 

 

東雲「では、遠慮なく」

 

 

会場の照明が消える。

 

 

東雲「光あれ」

 

 

東雲が指を鳴らせば、青い光が灯る。

 

 

東雲「ユナイテッド・サンクチュアリ、奈落の神殿」

 

 

いよいよファイト開始となる。

 

 

「「スタンドアップ・ヴァンガード!」」

 

シオン「《閃きの騎士 ミーリウス》!」

 

東雲「《革の戒め レージング》」

 

シオン(ジェネシスか…)

 

 

そして、ファイトは進み…

 

 

シオン(読まれていた…僕の攻撃が…)

 

東雲「フッ…仕方ないさ。時間が無かったんだってね?今回」

 

シオン「そんなことまで…!?」

 

東雲「当然さ、君だって調べていたはずさ。時間さえあれば」

 

シオン「ッ!」

 

 

 

東雲「解き放て、滅びを告げる狼の顎門。ライド、《神界獣 フェンリル》!」

 

 

更に…

 

 

東雲「ジェネレーションゾーン、解放」

 

 

【コスト《幸運の女神 フォルトナ》】

 

 

東雲「フハハ…!黄昏の世界に…終末の裁きをッ!ストライド、ジェネレーション!《大天使 ドゥームブレイス》!超越スキル、ソウルチャージ!」

 

 

スキルで支払ったソウルを補充しつつ、ドロップしたカードを再コール、更にパワーアップまで。

 

 

クロノ「使った分のソウルを毎回補充出来るなら、息切れなしでスキルが使える。しかもユニットまで戻ってくる…!」

 

アン「こんなのがターン毎に続いたら…!」

 

 

アタックが続く。

 

 

東雲「俺みたいな庶民にはわからないけど、大変なんだろうなぁ…あの綺場一族の御曹司ともなればさ。」

 

シオン「ッ!」

 

 

ダブルクリティカルトリガーのアタックが決まる。

 

 

「言い訳はしません。みんなそれぞれ忙しいのは一緒です!」

 

「謙虚だな。だからここまでやって来れたんだろうねぇ。尊敬するよ、心から。でも不思議だなぁ。綺場の跡取りでフェンシングの選手。それだけでも大変なのに、どうしてヴァンガードまでやろうと思ったんだい?」

 

「特別なんだ…言い訳はしない。僕は、僕自身のために、必ず勝利を掴んでみせる!」

 

 

シオンのターン。

 

 

シオン「ストライドジェネレーション!《閃火の聖騎士 サムイル》!」

 

 

スキルでユニットを展開しつつ、サムイルのスキルで追加ダメージ。

 

 

東雲「すべてを取る…か。すごいなぁ君は…でもさぁ…」

 

 

完全ガード。

 

 

東雲「可能なのかなぁ、そんな中途半端」

 

シオン「ッ!?」

 

アン「…ッ!」

 

 

アタックは全て防がれ、シオンは動揺、アンは拳を握り締める。

 

 

アン(この人も…ッ!)

 

「ホントはとっくに気付いているんだろ?君では俺に勝てない…!ストライドジェネレーション!」

 

 

再びドゥームブレイスにストライドし、ユニットを展開、パワーアップする。

 

 

東雲「これが最近のお気に入りでね。大きな大会では使ってるんだ、いつも」

 

シオン(情報さえあれば、対策もできていたはず…!)

 

 

アタックが次々と決まる。

 

 

東雲「仕方ないさ、忙しかったんだ。準備が足りなかったんだよ、今回は」

 

シオン「ち…違うッ!」

 

 

 

アン(また、好き放題に…ッ!)

 

トコハ「何やってんのよ…!こんなの全然、アンタらしくないじゃない…!」

 

クロノ「しっかりしろ!お前のファイトを取り戻せ!一緒に上まで行くんだろ!」

 

 

 

東雲「新導クロノに、日下部アンさん、だっけ?君とチームを組んだことで、彼らは格段に強くなったな。俺の仲間もあっさり負けてしまった。きっともっと強くなる…ヴァンガードに全てをかけられるからね」

 

シオン「違う…言い訳はしない…!僕は…っ!すべてを掴んでみせる!僕は、綺場シオンだ!」

 

 

《神聖竜 セイントブロー・ドラゴン》にストライドし、猛攻を仕掛けるが、トリガーは引けず、防ぎ切られる。

 

 

東雲「ラストターンを君に」

 

 

《神界獣 フェンリル》の一撃が、アルトマイルに決まる。

 

 

東雲「残念だなぁ。この程度だったんだな…君のヴァンガードは」

 

シオン「──ッ!」

 

 

決着…チームは敗退となった。

 

 

シオン「…すべて僕の責任だ。すまなかった」

 

トコハ「やめてよ、そもそも最初に負けたのは私だし…!」

 

クロノ「誰の責任とかじゃねぇ、俺達はチームだろ…!」

 

アン「…っ…!」

 

 

 

 

 

リン「よくやるわぁ…お気に入りのシャツだったんでしょ?それ。そこまでするような相手だったの?」

 

東雲「天翔ける鳥を籠で飼うためには、どうすればいいと思う?」

 

リン「?」

 

東雲「──翼を折るのさ。また会える日が、楽しみだなぁ…」

 

 

 

 

 

アン「……」

 

 

しばらくして、アンは一人外を歩いていた。

 

 

シユリ「アンちゃん」

 

アン「あ…シユリさん。いつの間にいなくなってたから、どうしたかと…」 

 

シユリ「ご、ごめんね、急用でさ…試合、最後だけ見てたんだけど…その…」

 

アン「──終わらせない」

 

シユリ「え?」

 

アン「…終わらせない…絶対に…

 

 

 

 

 

──許さない」

 

 

 

シユリ「──ッ!?」

 

 

ゾワリと寒気が走る。アンは無表情ながら、その目は憎悪に燃えている。

 

 

シユリ「…あ…ま、待って…」

 

 

我に返った時には、アンは既に歩き出していた。遠くなる背中を追おうとしても、足が震える。

 

 

ルナ「シユリ」

 

シユリ「あ…る、ルナ…」

 

 

シユリにルナが歩み寄る。

 

 

ルナ「大丈夫?」

 

シユリ「…怖かった…」

 

ルナ「…昔から、キレたら一番怖い」

 

シユリ「え…?」

 

ルナ「…今は何言っても聞かない…けど、注意しなきゃ…危ない、かも…」

 

 

 

 

 

帰り道。

 

 

アン(…私の友達を、あんなに、傷つけて…絶対に、許さない…ッ!強くなって、あいつらなんて、叩き潰して…ッ!)

 

 

デッキを握り締めた、その時。

 

 

『強くなりたいのか?』

 

アン「ッ!?」

 

 

デッキからカードが宙を舞い、放たれた光が視界を覆い尽くした。

 

 

アン『──!…ここは…?』

 

 

気付けば、アンは夜空の下、海賊船の甲板にいた。

 

 

『よぉ』

 

アン『!』

 

 

振り向くと、そこにいたのは…

 

 

アン『…ナイト、ローゼ?』

 

 

長い髪をなびかせる女海賊…ナイトローゼがいた。

 

 

ナイトローゼ『あたし達の先導者。お前はどうしたいんだ?』

 

アン『…私は…人を見下して嘲笑うような奴らが大嫌いです。何より…私の大切な友達を傷つけた奴らは、絶対に許さない…!私がこの手で叩き潰してやりたいッ!友達と同じ苦しみを、あいつらにも味わわせてやりたいッ!』

 

ナイトローゼ『──ハハッ!なるほどねぇ。大人しいいい子ちゃんに見えて、案外海賊向きなのかもねぇ。あたし達を選んだ理由が何となく分かったよ』

 

 

ナイトローゼは笑った後、表情を引き締める。

 

 

ナイトローゼ『だったらぶっ潰せ』

 

アン『!』

 

ナイトローゼ『その辺のゴロツキみたいな海賊と違ってな。誇り高い海賊ってのは、身内を傷つけた奴は絶対に許さない。それに…』

 

 

 

ナイトローゼ『気に入らねぇもんはぶっ潰す。それが海賊ってもんだろ』

 

 

 

 

 

アン「──ッ!」

 

 

ハッと我に返れば、元の帰り道。デッキは手の中にある。

 

 

アン(…気に入らないものは、ぶっ潰す…)

 

 

物騒な台詞が、今はやけに魅力的に思える。

 

 

「よ~お」

 

アン「…?…!」

 

 

声をかけられて顔を上げれば、見覚えのある三人組。アンは顔を顰める。

 

 

アン「…イカサマ野郎…!」

 

 

かつてクロノに暴力の濡れ衣を着せた、チームトリックトリックの三人だ。

 

 

「お~お~、怖いですねぇ。けどデカイのは口だけだよねぇ」

 

「中継見たぞ~?お前のチームボロ負けしただろ、情けね~!」

 

「残念だな~、弱いチームメイトのせいで負けちゃってさぁ」

 

アン「…は?」

 

 

──その言葉で、アンの中で何かが切れた。

 

 

アン(こいつら…ッ!イカサマして、新導君に濡れ衣着せて、綺場君とトコハちゃんまで馬鹿にして…ッ!許さない…許さない、許さない、許さないッ!!)

 

「よ~し、計画開始ですね…!」

 

「来い…!」

 

 

トリックトリックの一人が、アンの腕を掴んで無理矢理引っ張り…

 

 

アン「──ッ!」

 

「ぎゃああッ!?」

 

 

逆にアンが背負い投げした!

 

 

「いってぇ!?」

 

「「うわぁっ!?」」

 

アン「やることが小物くさい…。こう見えて道場通ってた時がありまして。特別強いわけじゃなかったけど、普通の人相手なら余裕です」

 

「くっそぉ…!これじゃあこいつらに痛い目見せる計画が…!」

 

アン「…へぇ、私の友達にも手を出すつもりなんだ…」

 

 

…やっぱりこいつら、潰さないと。

 

アンはデッキを取り出す。

 

 

アン「そうだなぁ…私に勝てたら、大人しく殴られてあげてもいいかなぁ」

 

「は、はぁ…!?」

 

アン「イカサマは、分かりますからね?…あぁ、イカサマしなきゃゲームにすらならないんだ?」

 

 

目の前の卑怯者達への怒りから、普段なら絶対出ないような言葉が、驚くほど自然に出る。

 

 

「ふ、ふざけんなッ!?やってやらぁっ!」

 

 

トリックトリックのリーダーがデッキを取り出し、ファイトが始まった…のだが…

 

 

 

 

 

ファイトは進み、お互いG3の中…

 

 

「はぁ、はぁ…!?」

 

アン「──大口叩いといて、呆気ないですね」

 

アン(…声が、聞こえる…)

 

 

カードに手をかけたアンの瞳に、虹色の光が輝いた。

 

 

『『『っ!?』』』

 

 

トリックトリックは、イメージに引きずり込まれ、気がつけばクレイの海賊船の中にいた。

 

 

『な、なんだよこれ…!?』

 

『あ、あれ…!』

 

『ひぃっ!?』

 

 

目の前に、ナイトローゼにライドしたアンがいる。

 

 

アン『──ストライドジェネレーション』

 

 

アンの姿が闇に飲まれ…《蝕骸竜 ジャンブル・ドラゴン》が、その巨体でトリックトリックを見下ろす。

 

 

『『『ひぃいいっ!?』』』

 

『『──ガァアアアアッ…!』』

 

 

ジャンブル・ドラゴンは、怨念のオーラを束ねた光線を、トリックトリックに向かって放った…!

 

 

『『『うわぁあああああああっ!?』』』

 

 

トリックトリックは為す術なく飲み込まれ…現実では6ダメージ目が通った。

 

 

「「「うわぁあああああああっ!?」」」

 

 

トリックトリックはその場にひっくり返る。

 

 

「あ、あぁああああっ…!?」

 

「ひ、ひぃいい…!」

 

「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさいぃ…っ!」

 

 

トリックトリックは涙と鼻水を垂れ流しながら

震え上がっている。

 

 

アン「……」

 

 

その姿を、目を見開いて見下ろすアン。クロノを陥れ、シオンとトコハを嘲笑った、許し難い卑怯者達が、目の前で震え上がっている光景を見て…アンが感じたのは、暗い喜びだった。

 

──あぁ、いい気味だ…!

 

久しぶりだ…長らく忘れていた感覚だった。

 

昔、こんな思いを感じた時があった…。

 

 

アン「…は…はは…あははっ…!」

 

 

口角が上がり、歪んだ笑みが浮かぶ。

 

 

アン「──アハハ…ッ!アハハハハハハハハッ!!」

 

 

 

《続く》

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。