カードファイト!!ヴァンガードG IF 〜夜薔薇の先導者〜 作:バンドリーマーV
大会からの帰り道。
クロノ(安城と綺場も落ち込んでいた…俺が見たことないくらい…)
クロノ「…ん?」
一人歩いていたクロノは、近くの公園に人影を見つける。
クロノ「…!?」
人が三人倒れていた。クロノは慌てて駆け寄る。
クロノ「おい、大丈夫か!?…って、お前ら…あの時のイカサマ野郎共…!?」
トリックトリックの姿に怒りがこみ上げるが、三人揃って震え上がっているのを見て、困惑が勝った。
クロノ「お、おいお前ら、本当にどうした…!?何があった!?おい!」
「!ひぃっ!」
三人は後ずさる。
「ご、ごめんなさいぃっ!あの時は本当に悪かった、悪かったからっ!」
「だからやめてくれ!お前あの女の仲間なんだろ!?」
「大会でのことは本当に謝るからっ!だからもうやめてくれぇっ!」
クロノ「お、おい何の話…おい待てっ!?」
トリックトリックは必死に走って逃げて行った。
クロノ「…な、何なんだよ…?」
数日後。
クロノ「安城、綺場!」
「「ぅ…」」
大会以来カードキャピタルにも顔を出していない二人は気まずそうだが、クロノのメッセージの内容は無視できなかった。
トコハ「あれ、どういうこと?」
シオン「日下部さんの様子がおかしいって…」
クロノ「あぁ。まず…あの大会の日の夜のことなんだけどな…」
クロノはトリックトリックのことを話した。
トコハ「あのイカサマ野郎どもが、そんなことに…?」
シオン「確かに、尋常じゃないね…けど、それと日下部さんがどう関係があるんだい?」
クロノ「本題はここからだ。そのこと、日下部にも話したんだよ。カードキャピタルで会った時にな。そしたら…」
アン『──へぇ~…いい気味ですねっ♪』
アンは、満面の笑みでそう吐き捨てた。
クロノ『お、おい…いくらなんでも、さすがにあれは…』
アン『いいじゃないですか。あぁいうクズは、痛い目見ないと人の苦しみが分からないんですよ。彼らにもいい機会だったんじゃないですか?』
クロノ『お前、何言って…なんか変だぞ…!』
アン『私、おかしいことなんて言ってませんよ』
歩き去るアンを、クロノは呆然と見送るしかなかった。
トコハ「ウソ、いくらイカサマ野郎が相手でも、あのアンちゃんがそんなこと言うわけ…!」
クロノ「ほんとなんだよ…!それにあいつら…」
『やめてくれ!お前あの女の仲間なんだろ!?』
クロノ「って…」
シオン「女、仲間、か…つまり君は…あのイカサマチームを震え上がるぐらいに痛めつけたのが、日下部さんだと言いたいのかい?」
トコハ「そ、そんなわけないでしょっ!アンちゃんがそんなこと…!」
クロノ「俺だって信じたくねぇよ!けど、状況からして…!」
トコハ「そんなの…絶対信じないからッ!」
クロノ「安城!」
トコハが駆け出す。
シオン「新導、安城さんは僕が追いかける。今君が追っても逆効果だろうし…カードキャピタルにでも行って、日下部さんがいたら様子を確認してくれ」
クロノ「わ、分かった…」
しばらくして。
アン「~♪」
クロノ「……」
クロノはカードキャピタルでデッキ調整をしているアンを遠くから見ていた。
カムイ「今んとこは異常無し、か…」
クロノ「はい…」
クロノはカムイにも事情を話していた。
カムイ「しかし、急に人が変わったみたいに、か…なんか、昔を思い出すぜ」
クロノ「え?」
カムイ「いやな、俺の仲間が、昔一時期…ん?」
アン「さて、クエストでも…」
アンはクエスト受付マシンに向かった。
アン「新導く~ん、一緒にいかがですか?」
クロノ「お、おう」
二人でクエストをチェックしていると…新しいクエストが上がった。
【ストレス発散に付き合え!弱ぇ奴お断り!】
クロノ「なんだよこれ!」
カムイ「マナーってもんを知らねぇのか!」
アン「そうですね…気に入りませんね…」
カムイ「あぁ、全くだ!」
アン「──気に入らないので潰しましょう」
アンはそのクエストを受けた。
クロノ「はぁ!?」
カムイ「え、おい!?」
アン「行ってきます」
クロノ「おいちょっと待て…!」
カムイ「し、シンさん!ちょっと出てきます!」
シン「…特別ですよ。今回は明らかに異常事態です」
クロノとカムイは、アンを追いかけて店を出た。
シオン「いた…!」
トコハ「アンちゃん…!」
クロノから連絡を受けたシオンとトコハも合流すると…
スギル「日下部アン…!お前がこのクエストを受けたのかよ!」
アン「はぁ、誰かと思ったら…」
ディマイズの刈谷スギルだった。
スギル「ちょうどよかったぜ…お前には会いたいと思ってたからなぁ!」
アン「私は全く会いたくないですが」
スギル「うるせぇッ!お前に負けてから、俺の生活はクソ同然だ!今まで下だった連中に見下され、支部でもお荷物みてぇに扱われて…!」
アン「自業自得でしょう。人間関係に恵まれなかったようで、ご愁傷様です」
スギル「こ、このクソガキィッ…!」
アンは馬鹿にするような笑みを浮かべていた。
トコハ「…っ…あれ…ほんとにアンちゃん…?」
シオン「あんな顔、初めてだ…」
スギル「馬鹿にしやがって…!だが、そんな暮らしも今日で終わりだ!この場でお前に勝って、またのし上がってやんよッ!」
アン「まるで成長してませんねぇ…できるならやってみればいいです」
ファイトの準備をする二人を、クロノ達は不安の中見ていた。
「「スタンドアップ、ヴァンガード!」」
アン「《お化けのぴーたー》」
スギル「《星輝兵 ダストテイル・ユニコーン》!」
そしてファイトは進み、お互いG3。
アンはナイトローゼ、スギルは《星輝兵インフィニットゼロ・ドラゴン》だ。
スギル「行くぜぇッ!ライド!ストライドジェネレーション!《星雲竜 ビッククランチ・ドラゴン》!」
スギルがストライドする。
スギル「スキル発動!1列オメガロック!」
アンの縦一例のリアガードが、2ターンに渡りロックされる。
スギル「ビッククランチでアタック!」
アン「ノーガード」
スギル「トリプルドライブ!チッ、トリガー無しかよ」
一点通る。
スギル「次だ!ラドン、行けぇッ!」
アン「ガード」
スギル「ターンエンドだ」
アン「私のターン…スタンドアンドドロー。ジェネレーションゾーン、解放」
アンがストライドする。
アン「《蝕骸竜 ジャンブル・ドラゴン》。スキル発動。山札の上から4枚をドロップゾーンへリその中のノーマルユニット1枚につき、パワー+5000。
ノーマルユニット2枚、パワー+10000。トリガーユニットが2枚以上なので、ドロップから《覇王の影 サルタナ》をコール。
サルタナのブースト、ジャンブル・ドラゴンでアタック。サルタナのGブレイク、ヴァンガードをブーストした時、パワー+4000」
スギル「ハッ、ロックを恐れて前1列空けたか!どれだけパワー上げようがムダなんだよぉッ!完全ガード!」
アン「トリプルドライブ。ゲット、ドロートリガー。ターンエンド」
スギル「ギャハハッ!同じ手は通用しねぇんだよぉッ!馬鹿じゃねぇの!」
トコハ「あいつ、馬鹿にして…ッ!」
アン「──馬鹿はそっちですよ」
スギル「何ぃ…!?」
アン「今に分かりますよ」
スギル「うるせぇッ!負け惜しみしてんじゃねぇよ…!ファイナルターンだッ!」
ファイナルターン宣言に、クロノ達が目を見開く。
スギル「ビッククランチのストライドで、準備は整った…!行くぜぇッ!《星輝兵 ヴェノムダンサー》に、ブレイクライドォッ!」
ブレイクライドは、ダメージ4以上でライドされた時に発動する。
スギル「インフィニットゼロのブレイクライドスキルぅッ!ヴェノムダンサーにパワー+10000、更にサルタナをロックだ!ランタン二体はスキルでパワー+2000!そして、シークメイトぉッ!」
ドロップから4枚山札に戻し、スキル発動。
スギル「キタキタキタぜぇッ!お前らやっちまえぇッ!双闘(レギオン)!《星輝兵 ソードヴァイパー》!」
ヴァンガードサークルに二体並ぶ。
クロノ「なんだこりゃあ…!」
シオン「ストライド、ブレイクライド、レギオンの合わせ技で、この盤面を…!彼も大会から進化している。ここから、ヴェノムダンサーのレギオンスキルが来たら…!」
スギル「ラドンをもう一体コール!右のラドン、ネオンのブーストでアタック!ラドンはパワー+3000だ!」
アン「ガード」
スギル「左のラドン、ランタンのブーストでアタックだ!」
アン「ノーガード」
アンはダメージ4。
スギル「行くぜぇッ!ランタンのブースト、ヴェノムダンサー、レギオンアタック!パワー39000だぁッ!」
アン「ノーガード」
トコハ「!クリティカルが出たら終わりなのに…!」
アン「出ませんよ」
「「え?」」
カムイ(トリガーが、分かってる…?この人が変わったみたいな態度…先を見通したようなファイト…まさか…!)
スギル「ハッ!出るか出ないかなんて言い切れるわけねぇだろ!ツインドライブ!…ドロートリガー、パワーは右のラドンにだ」
アンはダメージ5だが、負けにはならない。
アン「ほぉら」
スギル「ハッ、ここをしのいだぐらいで偉そうにッ!ヴェノムダンサーのレギオンスキル!相手のロックカード1枚につき、リアガード一体をスタンドする!お前のロックカードは3枚!ラドン二体と、左のランタンをスタンドだ!」
クロノ「もう2回アタックかよ…!」
スギル「右のラドンでアタック!」
アン「ガード」
スギル「決めてやる!ランタンのブースト、左のラドンでアタァックッ!」
アン「完全ガード」
スギル「な、何ぃっ!?」
スギルのアタックは、全て防がれた。
スギル「た、ターンエンド…ッ!」
シオン「防いだ…!」
アン「ドヤ顔でファイナルターン宣言しといて、かっこ悪いですねぇ」
スギル「て、てめぇ…!」
アン「じゃあ、今度は私が見せてあげます。これが本当の…ファイナルターンですッ!」
「「「「!?」」」」
全員が驚愕する。
アン「私のターン。スタンドアンドドロー…ジェネレーションゾーン、解放!」
【コスト《不眠船長 ブラックギーク》】
アン「未来を阻む全てを、葬り去れッ!ストライドジェネレーションゾーンッ!」
黒いオーラと共に現れるのは、アンの新たなGユニット。
アン「──《怪雨の降霊術師 ゾルガ》ッ!」
【G4《怪雨の降霊術師 ゾルガ》 11000+15000→26000】
スギル「グッ…!」
アン「ナイトローゼのスキル発動。ドロップから《腐蝕竜 コラプトドラゴン》をコール、パワー+2000。スキルでパワー+3000。
ドロップからユニットをコールしたことで、ゾルガのスキル発動!
カウンターブラスト、Gベルソナブラスト、そしてドロップから1枚バインド。バインドしたカードのパワーと能力1つを、このターン中、コールされたユニットに与えます」
クロノ「パワーとスキルをコピー…!?ってことは…!」
アン「バインドした《不死竜 ボーンドラゴン》のパワーとスキルを、コラプトドラゴンに与えます!」
コラプトドラゴンにパワーが加わり、パワー25000となる。
スギル「何ぃっ…!?」
アン「更に《パーティング・シェイド》をコール。さぁ、行きますよ…!」
邪悪な笑みを浮かべたアンの瞳に、虹色の光が輝いていた。
スギル「ひっ…!?」
スギルはその気迫に、思わず後ずさる。
カムイ「まさか…ッ!アンちゃん!」
アン「?」
カムイ「まさか…聞こえてるのか…!?カードの声がッ!」
「「「!?」」」
アン「え…聞こえてますよ?カムイさん、知ってるんですか?」
カムイ「…!」
カムイは愕然とする。
カムイ「アンちゃんは…PSYクオリアを…!?」
アン「まぁ、いいや…」
アンはカードに手をかける。
アン「ゾルガで、ヴェノムダンサーにアタック…!」26000
スキル「チィッ…!完全ガードだッ!」
アン「トリプルドライブ。ファーストチェック…セカンドチェック…ゲット、ドロートリガー。パワーはコラプトドラゴンに。
サードチェック…ゲット、クリティカルトリガー…!効果は全てコラプトドラゴンに…!」
スギル「なっ…!?」
アン「ふふっ…!」
アンの目で、虹色の光は輝きを増し…そのイメージが、その場の全員を飲み込んだ!
スギル『…!こ、ここは…!?』
クレイの大地に立つスギルの前に、アンがライドしたゾルガが現れる。
シオン『なっ…!?』
トコハ『何これ…!?』
クロノ『嘘だろ…!?』
カムイ『間違いない…!これは…!』
アン『前にも言いましたよねぇ…私、あなたみたいな人、大嫌いだって…!』
ゾルガの攻撃がスギルに迫る!ガードによって防がれたが…
スギル『うわぁあああっ!?』
余波でスギルが悲鳴を上げる。
カムイ「やめろアンちゃん!その力は、そんなふうにつかうものじゃねぇ!」
アン「なに言ってるんですかぁ…この人みたいなクズは、痛い目見ないとわからないんです。
見下されて、踏みにじられるのがどんな気分か…自分が他人にしてきたことを、自分の身をもって味わってもらわなきゃあ…。
もっともぉっと苦しめないと…アハハ…!」
クロノ「お前、なに言ってんだ…!」
ニコッといい笑顔を見せているのが、逆に狂気を感じさせる。
アン「そう…こんな奴らを叩き潰すためにも、もっと強くならなくちゃ…強くならなくちゃ…!アハハッ…!アハハハハハッ!」
アンがラストアタックのカードに手をかける。
アン「パーティング・シェイドのブースト…!コラプトドラゴンでアタックッ!コラプトドラゴンが獲得した、ボーンドラゴンのスキルを使用!パワー+3000!」46000
スギル(ふ、防ぎ切れねぇ…!)
スギル「ノー、ガード…!」
スギルは現在ダメージ4。クリティカル2のアタックがヒットした今、ダメージチェックでヒールトリガーを引かなければならない。
スギル「ダメージチェック…!…!ヒールトリガーッ!これ、で…?…!」
アンのダメージは5、スギルより多かったことで、ヒールトリガーは発動しなかった。
アン「だから言ったでしょ?今に分かるって」
シオン「これは…!?」
カムイ「…分かってたんだ…アンちゃんには、ファイトの先が見えてたんだ…ッ!」
トコハ「ま、まさか…さっきのターンでアンちゃんが、アタックをノーガードで受けたのは…こうなるのを、読み切ってたから…!?」
クロノ「マジかよ…!?」
スギル「ひぃっ…!?」
再びイメージに引きずり込まれたスギルを、コラプトドラゴンが見下ろす。
スギル『や、やめろ…やめてくれぇええッ!』
『『ガァアアアッ…!』』
コラプトドラゴンが口から放ったエネルギーが、スギルを飲み込んだ…!
スギル「うわぁあああッ!?」
ダメージ6が落ち、敗北と同時に…スギルは悲鳴を上げて倒れた。
アン「ふふっ…!アハハッ…!アハハハハハッ!」
高笑いするアンを、クロノ達は呆然と見る。
スギル「あ、あぁ…!ひぃい…!」
カムイ「お、おい大丈夫か…!」
震えるスギルを、カムイが助け起こす。
アン「さぁて、クエスト達成ですかねぇ。でも、あなたのサインなんて欲しくないので、これで失礼しますね?」
アンはデッキを仕舞い、歩き出す。
クロノ「待てよッ!」
アン「?」
クロノ「どういうことだよ…!この間イカサマ野郎をあんな状態にしたのも、お前なのか!?」
アン「あぁ、あいつら…そうですよ?だって当然の報いじゃないですか。汚い手使って、新導くんに濡れ衣着せて…私の大事な友達に手を出したんだから。挙げ句何の反省もなく私に突っかかってきて、みんなのこと馬鹿にするから」
クロノ「お前…ッ!」
アン「待っててくださいね?羽島リンも、東雲ショウマも、私が叩き潰して…トコハとシオンを傷つけたこと、死ぬほど後悔させてあげますから…!アハハハハハ…ッ!」
アンは歩き去った。クロノ達は、その姿を呆然と見送るしかなかった…。
《~続く~》