カードファイト!!ヴァンガードG IF 〜夜薔薇の先導者〜 作:バンドリーマーV
「「「「「グレードアップ、おめでと〜っ!!」」」」」
クロノ「…へ?」
カムイ「よし、始めるか!」
いきなりクラッカーの紙を浴びて、クロノはキョトンとしていた。
今日はクロノのグレードアップ兼ハイメ戦のサプライズ祝勝会である。
カードキャピタル2号店の店内には、アン、カムイ、シン、トリニティドラゴンがいた。
クロノ「お祝いだなんて、そんな大げさな…俺いいですよ!」
カムイ「ば〜か、何遠慮してんだよ!シンさんだって店早く閉めて使わせてくれてんだぞ?」
クロノは本日の主役と書かれたタスキをかけられる。
とりあえず乾杯して、食事をしながら盛り上がる。
シン「クロノ君、この短期間でグレード2になるなんて、なかなかのものですよ」
ちなみに、グレード3にアップすれば、ヴァンガード普及協会が主催する大会に出られる。
カムイ「それも、あのハイメ・アルカラスに勝ってポイントゲットだもんな!すげぇファイトだったよな。今思い出してもゾクゾクするぜ!」
カル「ホントすごいです!4枚すべて違うグレードのカードを引き当てるなんてまさに奇跡!いや、最早神秘です!」
アン「…………」
カルのその言葉を聞いて、アンはクロノとハイメのファイト時に、自身が体験した不思議なことを思い出していた。
──現実のようなイメージ。
まるで、その後のファイトの展開を予言するように動いていた、ユニット達の姿。
ミステリーフレアのスキルで公開されたユニットまで、1枚も違わず一致していた。
アン(あれは、なんだったんでしょうか…?)
その後、トコハやクミ、シオンも合流したのだが……
シン「鍋って…カムイ君、これはどうゆうことですか…!?」
カムイ「大丈夫です!全部俺のおごりですから、シンさんは気にせずに!」
シン「いや、そうじゃなくて店で鍋っていうのはちょっと…!」
湿気でカードが反ったりする危険が。
そんなシンの心配をよそに、鍋パーティーが始まってしまったのだが……
アン「…?」
アンが何だかよくわからない具材を取った。
アン「…?なんでしょう、おもち?」
ツネト「それは俺様がコッソリ入れておいたイチゴ大福だ!戻しちゃいけないのが鍋のルールだぜ!」
バァンッ!!
「「「!?」」」
机に手を叩きつける音がした。
トコハ「イチゴ大福ぅ?なぁにが鍋のルールよ、不作法働いといて、鍋語らないで……」
アン「あ、あの、トコハちゃん…?」
トコハ「いい?鍋っていうのはね…ダシと食材が渾然一体となって奏でる、美しいハーモニーを味わうものなの!それをウケとか狙って妙な食材入れて、言っとくけどそーゆうの、全然おもしろくないからね?寧ろ寒いから!!まったく、鍋に対する冒涜よ!──ホント、止めてほしいわァッ!!!」
アン「ひいっ!?」
トリドラ「「「す、すみませぇんッ!!」」」
いちご大福は怯えきったトリドラが全部食べることになった。
トコハ「そのお肉、まだ早い。隣の白菜を取って、食べごろだから。そのしいたけはOKです!」
クロノ「いちいちうるせぇなぁ…」
シオン「いわゆる鍋奉行ってやつだね」
アン「にぎやかで楽しいです!」
シン「あぁ…店で鍋パーティーしたなんてことが、もしミサキにバレたら何て言われるか…!!」
トコハ「そういえば、クミちゃんもグレードアップしたんだよね?」
クミ「うんっ!やっとクエスト達成して、グレード1になったの~」
クロノ「じゃあ主役交代っと…」
クロノは恥ずかしがっていた『今日の主役』のタスキをクミに渡そうとするが……
アン「せっかくだからもうちょっとつけてましょうよ!」
クロノ「勘弁してくれ…」
クミ「しんどうく~ん」
クロノ「ん?」
パシャ。
クロノ「お前!?なにとってんだよ!」
クミ「なんとなく、記念にー♪」
アン「じゃ、じゃあ私も…」
パシャ。
クロノ「おい!?」
「「「あはは!!」」」
更に、腹ごなしに卓球が始まる始末。
シン「あぁ…絶対怒る、絶対怒る…!店内で卓球なんて、ミサキが知ったら絶対怒ります…!」
怯えるシンの近くで、電話が鳴った。
シン「はい、カードキャピタ…」
ミサキ『もしもし、シンさん?』
シン「うわっ、ミサキっ!」
姪っ子にしてオーナー・戸倉ミサキの声にビクリとするシン。
ミサキ『シンさんまだ帰ってこないの?』
シン「あっ…あぁ…在庫の整理にちょ〜っと手間取ってねぇ…!」
ミサキ『なんか騒がしいけど、どうしたの?』
シン「あっ、いや、その…!気のせいですよ気のせい!忙しいから切りますよ!」
ひとまず電話が終わって一安心と思いきや……
クロノ「おおおおおりゃああああっ!!!」
シン「ひぃっ!?スマッシュはやめてください!禁止ですッ!!」
ショーケース直撃により、卓球は中止となった。
その後も色々あって、『朝までヴァンガード』なんて企画が始まった。
みんなノリノリ過ぎである。
カムイ「シンさん、悪いんですけど皆の家に電話して、事情を説明してください!あいつら、中学生なんで…」
クロノ「あ、俺は大丈夫です」
アン「私も大丈夫ですので…」
クロノは忙しくなかなか帰って来れない叔母が今日も仕事で不在、アンは両親の海外勤務と姉の多忙でほぼ1人暮らしのため、連絡を断った。
「「「……zzz……」」」
『朝までヴァンガード』なんて言っていたが、数時間後には、半分以上が眠気に負けて寝落ちしていた。
起きているのはアン、クロノ、シオン、トコハだけである。
トコハ「ちょっと…!…ふふっ、あははは!」
アン「?えっ、ちょっと新導くん!?」
クロノ「フフ…!」
クロノは寝ているツネトの顔に落書きしていた。
トコハ「私も〜♪」
アン「えぇっ!?」
トコハまで落書きを始める。
アン「えっ、えっと…?…………」
……ゴクリ……
アン「…………」
シオン「えぇえっ!?」
深夜テンションか、楽しそうに見えてしまったアンは、誘惑に負けて落書きに参加した。
シオン「ちょ、ちょっと!3人ともやめなよ!……!?」
「「ふふ~ん♪」」
クロノ&トコハ、満面の笑み。
シオン「ぼ、僕はそんな事…しない…!」
クロノ&トコハ、満面の笑み(2回目)で迫る。
アンは横からスッとペンを差し出した。
シオン「や、やめろおぉ〜!?」
数分後。
シオン「…………」
シオンはハイライトが消えた目で、カムイの顔に落書きしていた。
「「おぉ…!」」
アン「あの〜、綺場くん?目が…」
カムイ「……ん……」
「「「「!!!!?」」」」
四人は慌てて店の外に逃げ出した。
トコハ「ふー、驚いたあ。私達、共犯ね!」
シオン「ハッ!?何故だ…何故僕はあんな事を…!?」
アン「あ、正気に戻った…」
クロノ「フッ…」
「「「「あははははっ!!」」」」
四人は笑い合った。
こうして、四人の絆は深まったのだった。
翌朝。
「起きて。シンさん起きて」
シン「ん…?あれ…?いつのまに、寝ちゃったんでしょう…?」
ミサキ「おはよう、シンさん」
戸倉ミサキ、満面の笑み。
シン「どうわぁああ!?ミサキっ!?」
ミサキ「これ、ど〜ゆうこと?」
散らかりに散らかった店内で全員寝落ちしている。
結局、クロノ達四人も落書きされていた。
カムイ「うぅん…あれ、ミサキさん!?」
ミサキ「まったく、何やってんだか…」
毒気を抜かれたミサキは思わず笑う。
ミサキ「事情は後でしっかり聞かせてもらいます」
シン「は…はい…!ひぃっ…!」
ミサキ「はい、皆で掃除!その前に、全員顔を洗いなさいッ!」
揃って落書きだらけで起き出したクロノ達に、笑いが堪えられないミサキであった。