クロウ隊3番機が着任しました   作:hamof15

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遅くなってすみません。
今週中にはもう一話書く予定ですが、あまり信用しないでください。


第2話 決断

「我々と共に戦ってほしいのだ」

 

「えっ?」

 

「提督!?」

 

予想外のお誘いに、脳内がパニックになる

他国の軍、まして異世界から来たという意味不明な発言する軍人を自軍に加えようとする人がいるだろうか?

今ここにいるのだが…。

 

「君の飛行機と思われるものを君と一緒に引き上げている。勿論、戦場以外なら君の安全を保障するよ」

 

「提督! あなたは馬鹿ですか!? 相手はスパイかもしれない人ですよ‼」

 

それが正しい反応だと思う。

スパイ容疑がある奴に一緒に戦おうなんて頭がいかれてるとしか思えない。

 

「それでも、現状では圧倒的戦力不足も補わなければならない。それにもし、本当に異世界から来たのならその力が手に入る」

 

「ですがリスクが大き過ぎます‼」

 

「なら、それ以外に深海棲艦に対抗できる案はあるのかい?」

 

「それは…」

 

先ほどの説明を聞いた限りだと、無いのだろう。

打てる手は全て打っているようだった。

 

「我々は、こういう小さな希望にでも賭けないといけない程に緊迫しているんだ。だから頼む、我々と戦ってくれ」

 

どうするべきか…。

戦いを否定して、ここから出ていくか?

その場合、俺はこの地で暮らせる保証は無い。

それに深海棲艦に空爆された時、何もできず人を見殺しにするなんてできない。

しかし、ここで戦ってまたあの惨状を見るのか?

また加害者側に回るのか?

相手が絶対悪とは限らない。

もし理由があり、こちら側に非があるのなら、話し合いで和解できる相手なのかもしれない。

でも、本当にそれで戦争は終結するだろうか?

俺が居た世界のようにクーデターが起こり、また戦火が広がるのではないのか?

頭の中で様々な考えが争いあっていた。

どれが正解なのか、どれが間違いなのか…。

まず、これに答えがあるのか?

 

「いきなり決められないのも無理ないだろう。返事は明日でも構わないよ」

 

明日までに考えられるような内容じゃないような…。

 

「そうだ、私たちの鎮守府でも見学したらどうだ? これから住む場所かもしれないからな」

 

すると提督は大淀に誰か暇な艦娘を呼ぶように頼んだ。

大淀はため息をつきながらも執務室から出た。

____________

 

数分後

 

大淀が執務室に戻ってきた。

そして数秒遅れて少し小柄な女の子が入ってくる。

 

「提督、私に御用ですか?」

 

見たことない服装だった。

きっとこの世界特有の服装なのだろう。

 

「ああ、瑞鳳。この人に鎮守府に案内してくれないか。入隊希望者なんだ」

 

おい、俺はまだ入隊を希望してないぞ

 

「わかりました。じゃあ、ついてきてね」

 

「わかりました」

 

ツッコミを心に留めたままにして、瑞鳳という子について行った。

__________

 

 

「まずこの建物からだね。ここはこの鎮守府の中枢の庁舎だね」

 

赤レンガで建てられた巨大な建造物。

コンクリート製の建物以外でこれほど大きな建物は見たことは少ないだろう。

 

「この中には執務室の他にも偉い人たちが会議できる場所や作戦指揮所もあるみたい」

 

「見たことはないのですか?」

 

「秘書艦はいつも大淀さんだからね」

 

「なるほど」

 

そしてまた歩き始める。

 

「ここが兵舎。私たちが住んでいる場所ね」

 

「ここが…」

 

同じく赤レンガ造りの建物だが、先ほどの建物と比べると横に大きい印象を持てる。

 

「部屋割は姉妹たちか同じ配属の人たちが同じ部屋になってるよ」

 

ここの所属の艦娘が一体何隻いるのか知らないが、結構な数を収容しているのだろう。

 

「次は工廠だね」

 

さらに歩いていくと、いくつもの同じような形をした建物が見えてきた。

 

「あれは倉庫。主に資材などを貯蔵してる。そして奥にあるのが工廠だよ」

 

奥に少し大きめの建物が見える。

工廠という事は、装備品などはここで製造しているのか?

 

「装備はここで製造しているのですか?」

 

「大体は自分たちの装備はここで開発してるよ。私たちの装備は特別で妖精さんが作ったものしか使えないから」

 

「へ~…へ? 妖精?」

 

いきなりメルヘンな用語が出てきた。

 

「そう。例えばこの子とか」

 

すると瑞鳳さんの肩に小さな人?が昇ってきた。

それは人のような姿をしているものの、人とは明らかに異なっている。

 

「私たちの船を動かすのも妖精さんなのよ」

 

「この小さいのが?」

 

すると妖精が膨れて怒ってきた。

たぶん小さいと言ったことに不服なんだろう。

 

「そうよ、その時は少し大きくなるの」

 

実に不思議な生物(生物かどうか知らないが)だ。

改めてここが異世界なのだと実感できた。

 

「それと工廠の隣には入渠ドックと、建造ドックもあるのよ」

 

「随分立派な基地だな」

 

「この国で一番大きな鎮守府だからね」

 

少しドヤ顔をしながら説明してくれる。

そして何人か女の子にすれ違うのだが、全員艦娘なのだろうか?

 

「次はあっちを案内するね! ついてきて‼」

 

「ちょっ、待ってください!」

 

自慢するのが楽しかったのか、ペースを上げて鎮守府を回っていった。

____________

 

数十分後

 

「ここが最後かな」

 

すると、巨大な滑走路が目に入った。

平らだが舗装されていない、俺の機体は離陸できるだろうが、不安に思う。

 

「ここは最近作られたばかりなの。妖精さんが作った戦闘機を人が乗れるようにして使うために作られた場所だったはず」

 

「妖精さんが作ったものでないと駄目なんですか?」

 

「深海棲艦相手には通常の攻撃は効かないの。でも妖精さんが作った装備ならダメージを与えられるの」

 

なるほど、だから人類は負けたのか。

 

「それで人を乗れるようにしたから、艦娘が運用できないものを作ろうとしてできたのがあの陸攻よ」

 

指さした方向に、他の機体より大型の機体があった。

あれは誰が見ても爆撃機だろう。

 

「あれは最近配備された一式陸攻だね」

 

何というか、防御力の無さが見えてくる。

レシプロ爆撃機はそんなに見たことないが、素人から見ても装甲は無さそうだった。

 

「あれの隣のは?」

 

「あれは試験機だよ。名前は…銀河だっけ?」

 

「私に聞かれても…」

 

格納庫を見ていると一つだけ、見覚えがある格納庫が見えた。

大きさは他の格納庫に比べて比べ物にならない大きさだった。

それにあれだけは鉄筋コンクリート製の建物。

 

「あれは?」

 

「あれ? あんなやつあったけな…」

 

無意識に、あの格納庫に向かって歩いていく。

 

「あっ! 勝手に行かないで‼」

 

止めようと呼びかけて来るが、耳に入ってこなかった。

そして格納庫の正面に立つ。

ハンガー(格納庫)の扉は空いていた。

 

「これは…」

 

周りのレシプロ機の比べて異様な形状をしている機体。

あれはどう見ても俺の機体。

 

「F-16C…」

 

無傷の状態である。

最後は爆散したはずなのに…。

 

「なにこれ?」

 

瑞鳳さんが不思議そうに機体を見る。

この世界の人間は、たぶん皆理解できないだろう。

 

「私の機体です」

 

「えっ? これが?」

 

通常の航空機はプロペラが風を送り、推進力を得る。

それが無いのだから、不思議がるのも無理はない。

 

「今度、入隊できたら飛ばして見せますよ」

 

「うん、その時はちゃんと見せてね」

 

期待のまなざしでこちらを見ていた。

ハンガーの中を確認していると、周りにはちゃんと装備がある。

奥には大きめの箱がずらりと並んでいるのであれはきっと弾薬やミサイルだろう。

もし入隊したら、しばらく戦うことが可能な量だった。

しかし、これが尽きてしまったら補給はできるのか?

ていうか、どうしてミサイルが置かれている?

ここではまだ製造どころか、まだ設計の構想すら挙がってないはずだ。

なら、一体どこから?

この世界には謎が多い。

___________

 

p.m.7:50

 

食事を済ませ、鎮守府を見渡せる場所に案内された。

食事は間宮と呼ばれるところでしたが、軍とは思えないほど美味しかった。

ここは本当に軍なのだろうか?

そこの草原に腰を下ろす。

瑞鳳さんと一日中歩いてたため、結構疲れた。

瑞鳳さんも隣に座る。

 

「…ねえ」

 

「どうしました?」

 

静かな鎮守府を見ながら答える。

 

「どうして、軍に入ろうと思ったの?」

 

その質問は、答えにくかった。

別に今は入りたい訳でもないし、前の軍での志望理由もそこまで真面目ではなかった。

少し考えこみ、

 

「皆を守りたいからですかね」

 

と答えた。

すると瑞鳳さんが

 

「本当にそれだけ?」

 

と聞かれた。

 

「それだけですよ」

 

そう答えると少し笑顔になりながらこちらを向いた。

 

「なら、しっかりと私たちを守ってね」

 

その顔に、少しドキッとした。

 

(落ち着け‼ 俺には基地で待たせてる人が‼)

 

でも、前の世界に帰れる保証は無い。

それなら、別に浮気判定ではないのでは?

 

「そろそろ戻りましょうか、消灯時間もうすぐだし」

 

「そうですね」

 

顔が赤いかもしれないが、夜のお陰で見えてないだろう。

…見えてないと信じる。

 

「そういえば、名前聞いてませんでしたね」

 

今更ながら、自分が名乗ってないことに気が付く。

 

「パトリック・ジェームズ・ベケットです」

 

「な、長いね」

 

そうだろうか?

逆に言えば君たちの名前は短すぎる気がする。

 

「なら、PJでいいですよ。僕のイニシャルです」

 

「なら、PJさん。今日はどこに泊まる予定ですか?」

 

「あっ」

 

全く考えていなかった。

将来のことの前に今のことを考えなけらば。

 

「私の部屋、今祥鳳、私のお姉ちゃん居ないから、スペース空いてるけど、泊まっていく?」

 

さあ、おいしい展開になってきました!

他の人に言ったら死ねと思われるような展開です‼

勿論返事は

 

「なら、お願いします」

 

の一択だった。

 

「なら、ついてきてね」

 

「わかりました」

 

今なら本当に死んでも悔いはないかもしれない。

____________

 

祥鳳型の部屋

 

「ただいま~」

 

「お邪魔します」

 

中は今まで見たことない造りの部屋だった。

なんとなく落ち着くような感じがある。

普通の女の子の部屋という感じではなかった。

 

 

「そこで靴脱いでくださいね」

 

「えっ、あっ、はい」

 

「…PJさんって海外の人ですか?」

 

「そうですよ。どうしてわかったんです?」

 

「う~ん、顔と、和室を見た時、部屋で靴を脱ぐ時の反応からですかね」

 

「この部屋和室って言うんですか?」

 

「そうだよ、洋室も何室かあるよ」

 

洋室というのが俺に馴染み深いやつだろう。

 

「布団とか自分で出せる? 外国の人ってそういう文化ないんでしょう」

 

「すみません。お願いします」

 

普段はベットで寝ていたので布団の敷き方はあまり分からなかった。

ベットのシーツの交換とかだったら入隊直後に叩き込まれたが、床に寝るのは昼寝の時以来だ。

 

「よいしょっ‼」

 

重そうに布団を出す瑞鳳。

 

「手伝いましょうか?」

 

「大丈夫! 五万二千馬力の力舐めないで‼」

 

何故馬力なんだろう…。

あっ、そうか、艦娘は。

提督の話が頭に戻ってきた。

 

「よし! これで敷けた!」

 

気が付くと、布団が敷き終わっていた。

 

「あっ、お風呂に入るの忘れてた…」

 

瑞鳳さんが残念そうな顔をする。

 

「この時間はもう入れないし、明日朝風呂入ろ…」

 

そしてとぼとぼクローゼットの前に移動する。

 

「あっ、着替えるから一旦部屋から出て」

 

「わかりました」

 

下心を抑え、部屋から出る。

 

「…絶対覗かないでくださいよ」

 

「わ、わかってますよ」

 

何か見透かしたように忠告を食らう。

だが、覗くなと言われて覗かなかった男性など居ないだろう。

しかし、ドアが閉まった時に、カチャッと音がしたので施錠されたのだろう。

見れな…ゲフンゲフン…信用の無さに少し凹んだ。

そして数分後、

 

「もういいよ~」

 

と解錠した音と同時に声が聞こえた。

合図する前に鍵閉めてるから入れないよ、と言うわけにもいかずに部屋に戻ると、寝間着姿になった瑞鳳さんが居た。

ヤバい、普通に可愛い。

今夜一緒に寝ていて理性は持つのだろうか?

 

「そういえばPJさん着替えはあるんですか?」

 

「ない、ですね。来たばっかりなので」

 

ハンガーには正装とパイロットスーツとヘルメットがあるが、たぶんあれだけだろう。

 

「なら今度考えないと駄目だね」

 

「そうですね」

 

そういえば、なんで今通常勤務服を俺は着ているんだ?

今更だが、謎がもう一つ増えた。

 

「それで寝れますか?」

 

「はい、平気です」

 

「なら電気消すね」

 

「わかりました」

 

布団に入り、目を閉じる。

そして、灯りが消えて、部屋が暗闇になる。

 

「おやすみ」

 

「はい、おやすみなさい」

 

その言葉の後、今日の疲労がどっと押し寄せてきた。

そして意識が途切れるように眠った。

_________________

 

翌日 7月29日 a.m.6:00

 

起床ラッパは鳴らないが、癖でこの時間ピッタリに起床する。

そして掛布団を畳む。

布団はしまい方は分からないので後で聞こう。

今日、俺は入隊するかしないか決めないといけない。

俺は、どうするのが正解なのだろうか。

そして少し視線をずらすと、静かに寝ている瑞鳳さんが目に入った。

この子は、この子たちは戦っているのに俺は逃げるのか?

様々な感情が交差する中、逃げたくないという感情が膨らみ始める。

この子の笑顔が、この安らかな顔を守って上げれるのなら、

 

「俺は戦う」

 

起き上がり、静かに部屋を出た。

そしてハンガーに向かい、正装に着替える。

これを着るのはいつ以来だろう。

相当昔に数回来た程度の正装、これをまた着ることがあるなんて。

帽子を取り、静かに被る。

そして部屋へと戻っていった。

_________________

 

a.m.7:13

 

「んん~、あっ、おはよう」

 

「おはようございます」

 

まだ眠そうな顔で瑞鳳さんが起きる。

 

「あれ? いつの間に着替えたの?」

 

「一時間近く早く起きましたからね」

 

起床時間も自由なのか?

この規則性無い起き方からたぶんそうなのだろう。

 

「そういえば、朝風呂する予定だったのに寝過ごしちゃった」

 

不機嫌そうな顔をする。

 

「それは起きない自分のせいですよ」

 

「起こしてくれたってよかったじゃん」

 

「いや、自分で起きてくださいよ」

 

軽く会話をする。

 

「もういい、今晩絶対に入る」

 

「そうしてください」

 

瑞鳳さんが布団を畳むのを見て、真似て畳む。

が、上手く畳めない。

 

「手伝おうか?」

 

「だ、大丈夫です…」

 

自分でできると思たっが、最終的には手伝ってもらうこととなった。

____________

 

数時間後 庁舎

 

朝食を終え、庁舎の執務室へと向かっていた。

ここに来るまでに数人の艦娘に会ったが、やっぱりただの女性にしか見えなかった。

一番小さい子だと10代前半かそれ以下の子だった。

そんな子まで戦場に行くのか…。

そして、執務室の前に着く。

もう後戻りはできない、覚悟を決めろ。

扉をノックする。

 

「どうぞ」

 

執務室から返事が来る。

 

「失礼します」

 

と言い、扉を開ける。

すると机越しに指揮官は座っていた。

隣には大淀さんが立っている。

 

「それで、どうするんだい? 君の選択は?」

 

今なら別の選択もできるだろうが、もう決めたことだ。

 

「これより、貴官の指揮下に入ります。指揮官殿」

 

まっすぐと敬礼をする。

指揮官は、上機嫌な顔をしながら、

 

「歓迎するよ、少尉」

 

と言い立ち上がる。

大淀さんは少し複雑そうな顔をしながらも書類を作成し始めた。

これでもう俺は後戻りはできない。

もしかしたら後で後悔するかもしれない。

でも俺は、誰かを守るために戦えて、生き残れるならそれで良い。

そう思っていたのだった。




白雪たちが出ると思った?
残念‼ あれからしばらく吹雪型には出番がありません‼(吹雪型押しの方本当にすみません)
きっとしばらくしたら出番があるはずです‼ 第一期の主人公姉妹たちには……たぶん
空いた時間を使って全力で書いておりますので誤字が入っているかもしれません。
遅くなってすみませんでした。
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