ポケモンSVや色々アプリとか触って至り書き始め当初ほど保てなくなったモチベーション等言い訳は多々ありますが、本来に期間が空いてしまって申し訳ありません。来年こそは本作ゆゆゆい編を完結させることを目標に頑張りたいと思います。
FGOにて念願のメリュジーヌ確保、かつ宝具5に出来ました。嬉しい限り……後は何とか120まであげたい←
では、今年最後のお話をどうぞ。
「赤嶺さん!? これは一体どういうことですの!?」
「あはは、私こそが敵だったんだよー。ごめんねー嘘ついて。盟友の子孫を見ておきたくてね」
「なっ、なっ……!」
バーテックスだと教えられていたハズの相手が実は顔見知り、味方であったと知った夕海子。当然、それを教えた赤嶺に向かって振り返り問い質す。ただその表情は怒りや悲しみではなく、困惑の方が大きいようだ。
そんな彼女に返ってきたのは本当に悪いと思っているのかどうか分からない笑みと軽い謝罪、そして嘘をついた理由らしき言葉。一見して反省の色も罪悪感も見えない赤嶺に夕海子は思わず言葉を失っていた。
「赤嶺ちゃん!」
「1体1の決闘も終わって、いよいよ私との攻防戦も大詰めだね。高知で待ってるよ」
“そこで決着を着けよう。来ることが出来たらね”。そう言って赤嶺はこれまでのように姿を消した。自身は特に何もすることなく新しい仲間の1人を騙し、自分達にぶつけた事に憤りつつ今回はそうやって同士討ちさせるのが目的だったのかと美森が口にする。すると、友奈が少し沈んだ表情でポツリと呟く。
「……赤嶺ちゃんは私との戦いで、もっと技術に頼ることが出来たと思うんだ」
「それは……確かに思い返してみれば、あの時はただただ真っ正面からぶつかり合ってたって感じだったねぇ」
「うん。あの時、赤嶺ちゃんは正面から勇者パンチの……気持ちのぶつかり合いで勝負してきた。赤嶺ちゃんはそんな人だから。今のはただ、本当にからかってただけの気がする」
「いや、それはそれで質が悪くないか……?」
「高知に行けば分かるってことだね、結城ちゃん」
「うん。今度で決着か。その後はお友達になろうね、赤嶺ちゃん」
先日の決闘を振り返る友奈の言葉に、楓を筆頭に皆も頷く。戦闘技術を使っていたというより真っ向から力と力をぶつけ合っていただけと言っても良かったあの戦い。対人に特化した勇者であるといういつかの彼女の言が正しければ、もっとやりようはあっただろう。それをせずに真っ直ぐにぶつかってきた……ぶつかってきてくれた彼女を、友奈は何となくどう言った人物なのか理解していた。
故に、断言こそ出来ないがきっとそうだろうと思えた。その意見に対して銀(中)が苦笑いを溢すのは仕方ない事だろう。とにかくその真意が知れるのは高知だろうと言う高嶋に、友奈はこの場から居なくなった赤嶺に向けてそう宣言するのだった。
「……どうやら、仲間が迷惑をかけてしまったようね。私は
「うぐっ」
「いいのいいの楠さん。この世界に召喚された直後なんだからワケ分からなくて当然よ。こっちに被害らしい被害もないしね」
「かはっ」
「取り敢えず部室に来てくれないか? 亜耶……国土 亜耶から詳しい話を聞いてくれ」
「っ! 亜耶ちゃんが来ているのね」
「アーヤの名前を聞いて明らかにホッとしているね~。アーヤの人望が垣間見える~」
「亜耶ちゃんも楠さん達を待ち望んでいたいたしねぇ。仲良さそうで何よりだよ」
芽吹が勇者達を攻撃していた夕海子の代わりに謝罪する後ろで本人が胸を抑えてダメージを負っているのを全員がスルーし、夕海子ではなく芽吹にフォローを入れる風。その言葉にもまたダメージを受けている者が居るが誰も気にしなかった。
若葉から亜耶の名前を聞くと芽吹だけでなく他の防人の3人の表情も明るくなる。亜耶にとってだけでなく、彼女達にとっても亜耶は大事な存在なのだということがよく分かる。その事に園子(中)と楓は顔を見合せて笑みを浮かべ、その後に全員が樹海から元の場所……部室へと戻っていくのだった。
部室に戻ってきた勇者達。そして樹海へと向かった時にはなかった防人達4人の姿を見て巫女達は今回もまた無事に戦いを終える事が出来たのだと悟った。突然樹海で極彩色の光に呑み込まれたかと思えばどこかの部屋に、防人スーツから自分達が通う学校の制服に戻っている事に驚いていた防人達だったが、加えて亜耶が芽吹に向かって笑顔で抱き着いてきた事に驚き、同時に彼女の姿を見て安堵の表情を浮かべた。
そして積もる話もあるだろうと1度防人達と亜耶だけを別室に移動させ、話が終わるまで勇者達も巫女達と暫しの休憩を挟む事にする。樹海でのあれやこれやを話したり、飲み物を貰ったり、次の戦いの事を考えたりと各々思い思いに過ごしていると少しして別室の扉が開く。真っ先に姿を見せたのは、申し訳なさそうな表情を浮かべた夕海子だった。
「国土さんから話は全て聞きましたわ。皆さん、大変申し訳ないことをしてしまいました。ごめんなさい」
「いいのいいの。じゃ、この話はもう終わりね。後は楽しいトークターイム!」
「実際そこまで被害受けてないしねぇ。過ぎたことを気にしても仕方ないわ。歌野の言う通り、今後は仲間として仲良くしていきましょ」
(うぐっ……ゆ、許して頂けるのは感謝しますが……なんでしょう、このなんとも言えない悔しさは……)
改めて自身が赤嶺に騙され、本来仲間である勇者達へと攻撃した事を深く反省し、謝罪する夕海子。その姿を見た勇者達は誰1人として責めることもせずに受け入れ、歌野と風が代表するようにそう言葉を掛ける。後から入ってきた亜耶と他の防人達3人も謝罪が受け入れられたことに安堵の様子を見せる。
が、本人は風の言葉に感謝半分、実際バーテックスとの共闘とはいえ録な被害を与えられなかったこと……被害らしい被害がないことそれ自体は喜ぶべきことではあるのだが、自身の力が通用していないも同然であるので悔しさ半分の言葉にし難い気持ちになっていた。
そんな彼女の心境はさておき、改めてこの世界にやってきた防人達に説明をしていくひなた。本来、防人の戦装束……
「神樹様も防人全員を呼ぶ程の余力はなかったようですが、4人も来て下さり心強いですよ」
「こんな素敵な勇者様軍団の中に加えられたって事は私達、いよいよ認められたんだねメブ!」
「どうかしらね。使えるものは何でも使うって精神かもしれないし」
「それでも選ばれたという事だから。それにお爺ちゃんと三ノ輪達とまた会えて嬉しい」
「心理を解析するようになってきたわね、しずく。ところで、樹海の時から言ってるその“お爺ちゃん”ってまさか……」
亜耶から事前に聞かされていた事であるが、勇者とは別に組織され、活動をしていたという防人はこの世界に来た4人を加えた32人が居るらしい。もしその全員が召喚され、かつ全員の戦衣が勇者達と同レベルに性能を引き上げられていたとすれば大幅な戦力の向上が出来た事だろう。現実は4人で精一杯だったのか、それとも他に理由があるのかはわからないがこの場にいるのが全員なようだが。
その32人の中から自分達が喚ばれた事に興奮した様子の雀。反対に芽吹は良く言えば冷静に、悪く言えば若干悲観的な意見を述べる。しかしそれに対してしずくは選ばれたという事実は変わらないのだと言ってのけ、小さな笑みを浮かべて楓と新士、銀(中)と銀(小)の4人に視線を向ける。大きな仕草こそ無いが、嬉しいという感情が見て分かる姿にほっこりとした空気が部室を満たしていた。
「芽吹ちゃんは、夏凛ちゃんと一緒に特訓してたんだよね。頼もしいよ」
「わ、わたくしも同じ環境でしたわよ。頼りにして下さいまし」
「ふふ、頼りにさせてもらいますねぇ、弥勒先輩」
「確かに芽吹さん、なんか強いオーラ出てますもん。三ノ輪 銀です、宜しくお願いします」
「宜しくね、三ノ輪 銀ちゃん」
勇者になる前に共に訓練していたと聞いていた友奈が芽吹の近くに行き、夏凛を良く知るが故に彼女もまた同じくらい強いのであろうと考えたのか、それとも特に深い考えはないのか笑顔で言う友奈。その言葉に反応したのかまだ少し悔しさが後を引いているらしく少しどもりつつ夕海子も声を上げる。樹海での事があるので勇者達も防人の仲間も苦笑い気味だったが、新士だけは朗らかに笑ってそう返していた。
そんな彼とは別に銀(小)は友奈の言に同意し、戦った姿こそまだ見ていないがそういった雰囲気を感じ取れたのか人懐っこい笑みで自己紹介をする。そんな彼女に、芽吹は先程とは違って口元を和らげ、挨拶を返した。その様子を見て夏凛が少々驚きの表情を浮かべていたが、気付いた者は居なかった。夕海子が勇者達に握手を求めたりそれに答えたりとしていてそっちに気を取られたのもあるだろうが。
「神世紀も時代が進むと勇者になる人数も増えてくるんだな」
「でも私達、芽吹ちゃん達が頑張ってるの全然知らなかったんだ」
「そうだねぇ。彼女達には悪いけれど、防人という存在は聞いたこともなかった。そもそも大赦の関係者と直接会うこともあんまりなかったくらいだし……」
「現実世界でのアタシ達のお役目は終わったものだと思っていたけれど……そういう訳じゃないのかも」
「でも今回みたいにちゃんと事情も話してもらって、皆と一緒に戦えるなら、私は……」
「我が妹ながら勇者ねぇ。まあそれは戻ってから考えるとしますか」
ちらりと小学生組に向け、その視線を勇者部と防人達に移しながら小さな驚きを含めて呟く若葉。神世紀の勇者は小学生の時点で4人、そこから追加で4人増え、更に勇者と似たような存在である防人達32人全員が加わるとなればその数は40人にもなる。驚くのも仕方ないだろうが、この世界で亜耶と出会うまで勇者部はその存在を知らなかったのが実態だ。
そもそも、楓が言ったように大赦の関係者と直接会うことはほぼなかった。せいぜいが病院の医者や旅館の従業員で後は端末の文字による連絡程度。防人の“さ”の字も知らされる事はなかった。しかし防人達は勇者達の事を知っている。そういう違いもあり、雀が言った“認められた”という言葉もまた意味深に思える。
それらの事から風は“元の世界に戻ればまた戦わされるのでは”と不安に駆られるが、妹の頼もしい言葉もあって考えを後回しにする事にした……結果として、その不安は最悪に近い形で的中してしまうのであるが、それはまた別の話だ。
「やー、部室がよりみっちりになったね。わいわいで楽しい!」
「男女比が更に広がったから自分達としては肩身がより狭くなったねぇ……」
「カエっち達なら皆気にしないんよ~。それでも気になるならわたしにくっつけばモウマンタイ~♪ 園子の
「ふふ、それじゃあお邪魔しちゃおうかねぇ」
「園子先輩……勉強になるな~。ねぇねぇアマっち~」
「はいはい。自分もお邪魔させてもらうねぇ」
「「にへへ~♪」」
(乃木は中学生になってもお爺ちゃん好きなのは変わらないみたい……)
だが、新たな仲間は全員が女子。男子2人他女子という圧倒的な男女比に楓達は苦笑いを浮かべるが、その言葉に真っ先に反応した園子(中)が彼の右手を引いて自分の左側に寄せる。そのままちゃっかり手を繋ぎながら腕に抱き付き、流石に少しばかり恥ずかしいのか頬を染めていた。そんな彼女と顔を見た楓は朗らかに笑い、そのままされるがままにする。
当然、室内での行動なので全員がそのやり取りを見ている。特に杏は両手で顔を隠しながら指の隙間からガン見しているというお約束な事をしていおり、しずくと亜耶を除く防人組も男女のあれこれを匂わせる行為にどこか挙動不審になっている。そんな周りとは違い園子(小)は新士の手を引き、それだけで悟った彼も彼女の左側に寄った。神樹館に居た頃から変わらない2人の関係性を見て、しずくは懐かしさを感じて内心ほっこりとしていた。
「楠 芽吹が夏凛と知り合いというのは分かったぞ。銀達と楓達としずくも知り合いなのか?」
「私は神樹館小学生だった。お爺ちゃん達とは同学年で、三ノ輪とはちょっと話した事がある程度。お爺ちゃんとは偶然話す機会があって、そこからたまに勉強を見てもらったりしていた」
樹海の頃から疑問に思っていたのだろう、球子が5人に問うと直ぐにしずくから返答が来る。が、実のところしずくは楓達が自分の事を覚えているとは思っていなかったらしい。というのも学校は同じでも小学生組とはクラスが違う上に相手は勇者のお役目を担い、彼女は神樹館に居るとはいえ一般生徒。そうそう話す機会も接触する機会も無かっただろう。
実際、美森と須美、園子ズの4人は彼女の事を知らなかった。4人は面識が無いことを申し訳なく思うが、そんなことはないと本人は首を横に振った。記憶力のある4人が知らない以上、本当に会ったことは皆無に等しいのだろう。むしろ楓達はともかく、ちょっと話した程度の事を、それも名前までしっかり覚えている銀達の方に驚くべきだ。
「4人がお役目で頑張っている事は聞いていたから……一緒に戦えるのは喜ばしい」
「そんで? 加賀城 雀と東郷達が知り合いなんだな」
「そうなんですよ。本当に恐悦至極で……」
「でも自分は会ったこと無いんだよねぇ。自分がちょっと勇者部から離れてた時期のことらしくて」
(その時にうっかり“もう一人居ないんですか?”と聞いてしまって色々と誤解を招きそうになったとは言えない……!)
樹海でも言っていたが、雀は元の世界で勇者部に来たことがあるらしい。その時はまだ楓は神樹の中に居たので彼女との面識は無い。尚うっすらと冷や汗をかいている雀が招きかけた誤解の内容として楓のファンだのスパイだの面白半分(主に風が)な疑惑というか疑問だったのだが、最終的に“勇者部は有名だから”で強引に納得させたようだ。
「防人だったんだね雀ちゃん。あ、呼び方は雀ちゃんでいい?」
「チュン助でもなんでも好きに呼んで下さい。え、えへへ……」
「あーいいね、ユニークなアダ名だよ。可愛い~、チュン助~」
「ありがとうございますぅ乃木様! チュンチュン!!」
「なんか亜耶とは別の意味で下からねぇ。ふつーで良いのよふつーで」
「いえいえ、私は戦闘になれば皆さんに守って貰う立場ですので、これぐらいは!! 出来ればあの空飛ぶ何かに乗せて貰えれば本当に……」
「良いけれど、自分達は上空の敵を担う事になるからあんまり守る余裕はないかも知れないよ?」
「あ、い、今のは無しでお願いします……大変失礼しました……チュンチュン……」
友奈、園子(中)の言葉に全肯定というかどうにも媚を売っているように見える雀に風は思わず苦笑いしながらその必要はないと告げる。亜耶は当初こそ明らかにへりくだった様子で勇者達に対して敬っていたが、今はもう敬意こそ持てどそこまでではない。そもそも勇者達は先輩後輩、先代今代の勇者としての礼儀や敬語等は使うが基本的に明確な上下関係を築くのは好きではないのだ。必要以上に下手に出られても困るだけである。
が、雀としては重要な事なのか態度は改める様子はない。なんなら守って貰えそうな相手として飛行手段を持つ楓にちらちらと何度も視線を向けてあわよくば地上より安全そうな上空に……という思惑が透けて見えた。しかしながら彼女の思惑とは違い、上空組は地上組と比べてたった4人で上空の敵を相手取り、更には地上の援護もする激戦区である。そう言われては雀は申し訳なさそうに謝罪し、小さくなりながら芽吹の後ろへと下がっていく。
「こんな事を言ってるけど彼女は立派な戦力よ。普通に扱って構わないわ」
「な、なんて殺生な事を!! 生存戦略を邪魔しないでよメブー!!」
「め、芽吹さんに抱き付いた。というか、張り付いた……?」
「こっち側にもよく抱き付いたり張り付いたりする人達が居るけどね。にしても面白い人達だね、これから宜しく! 良いところだよ~、仲良くやりましょ」
「様々な縁を持つ人達が集う。これも神樹様のお導きですね」
(近くにいるからか亜耶ちゃんからの信仰を強く感じる……心が芽生えたからかな、信仰を感じるのがこんなにも嬉しいよ)
後ろに下がる雀の背中を押して前に出し、彼女の思惑など関係ないとあっさり戦力だと告げる芽吹。そんな彼女に下手に出てた態度はどこへ行ったのか、不満たらたらに彼女に抱き付く雀。それは杏の言う通り抱き付くというよりは張り付くといった方が正しいくらいの密着具合で、その様子には既視感がある雪花は今正に似たような状況にある楓達と園子ズに笑いながら視線を向ける。
そうして彼女が防人達を迎え入れる言葉を改めて告げた事で、再度歓迎ムードに包まれる部室。和気藹々とした空間に、亜耶は目を閉じて手を合わせ、神樹への感謝と信仰を示す。その心は神樹を構成する神々に、神奈にしっかりと届いており……神奈は胸に手を当て、亜耶を見ながら嬉しそうに、優しく微笑んでいた。
「だいたいの自己紹介は済んだけど、まだ知っておいて欲しい事があるわ。しずく。今、皆に“シズク”を紹介出来る?」
「ん、さっきから準備してた。多分これならいけそう……せーの!」
「はぁーっ! 勇者様達、夜露死苦! 山伏 シズクだ!」
「「わぁっ!?」」
「「ワイルド!?」」
「ああ、以前亜耶ちゃんが山伏さんの名前を2回呼んだのは聞き間違いじゃなかったんだねぇ……成る程、こういうことだったのか」
「ちょいとかーくん、受け入れるの早すぎやしないかねチミィ」
芽吹はまだ教える事があるとしずくへと視線を送り、それを受けた彼女は1度目を閉じる。それを不思議そうに勇者達が見つめてほんの数秒、次の瞬間にはこれまでとは売ってかわって荒々しい口調と好戦的な表情のしずく……彼女達が言う“シズク”が顔を出した。その豹変ぶりに思わず亜耶を除く一年生ズが声を出して驚き、高島と千景の2人は感想らしき声を漏らす。
しずくと同じ顔、体なのに何故か髪型まで変わっているように見えるシズク……具体的にはしずくの時は前髪が片目を隠していたのだがなぜか両目が見えるようになっている。そんな彼女に声を出したかどうかの違いはあれど驚きの様子を見せていた勇者達だってが、唯一楓だけは納得したように頷き、受け入れている。そんな彼に、雪花は呆れ気味にツッコミをいれていた。
「なんだそれ一発芸か!? 凄いな、本当に別人みたいだぞ」
「しずくさんの別人格ですのよ。直ぐ慣れると思いますわ」
「俺は楠のモノだからな、楠が勇者様達と一緒に戦えと言えば戦うぜ。爺ちゃんともな」
「“爺ちゃん”はカエっちの事だとして……その前のところ、もう少し詳しく聞かせて欲しいなー。“モノ”とはいったい?」
「簡単な事だ。俺は自分より弱い奴には従わない。勝手にやるのが信条だ」
球子はいまいち良く分かっていなかったようで一発芸か何かと勘違いしており、夕海子から簡潔に説明されていた。その後コショコショと杏から耳元に小声で説明され、本当に分かっているのかふんふんと頷いている。シズク本人は無視して話を進める。腕を組みながら自信満々に、ハキハキとそう言った彼女の言に誰よりも早く飛び付いたのは園子(中)。
シズクの返答はシンプルで少々挑発的にも聞こえるモノだった。防人になった当初もこのような感じだったらしく、ならばという事で芽吹が彼女と勝負をし、結果芽吹が勝利したのでそれ以降は彼女に従うようになったと言う。話を聞いた勇者達は成る程と頷き、誰かさんは素早くメモを取っていた。
「豪快な歓迎なんだね。分かりやすいって言えば分かりやすいんだろうけど」
「ま、今は楠そのものを気に入ってるから勝手にしろって言われても着いていくだろうが」
「私もメブに着いていくよ、どこまでも。メブ党だから」
「ふっ、わたくしもそんな感じですわ。なんだかんだで、わたくしと芽吹さんはコンビみたいなところがありますから」
「えっ?」
(そのコンビの相手は何を言われたかわからないって顔してるけど、気付いてないのかねぇ……)
(気付いてないんだろうね~。あ、わたしはカエっち党だよ~。あとわっしー党とミノさん党でもあるよ~。それからゆーゆ党と~……)
これまでのやり取りで追加で分かったことは、しずくにはシズクという別人格が存在し、そのシズクはかつては力関係で、今は本人を気に入ってるから芽吹と共に戦っているらしいという事だ。それを分かりやすい関係だと雪花が纏め、自分も自分もと雀、夕海子も主張する。コンビ発言に関しては夕海子からの一方通行な認識のようだが。
そんな2人の反応の差に思わずクスクスと小さく笑う楓と小声で会話する園子(中)。その中でどんどん彼女の入っている党が増えていっているが、楓はそれを朗らかな笑みで時々相槌を打ちながら聞いていた。
「おぉ……慕われているリーダーなのだな、芽吹」
「それはもう! 防人全員が芽吹先輩の事を好きですよ。勿論、私も!」
「素敵な関係です。是非是非近くで勉強させて下さい~」
周りから慕われているのだと分かる芽吹に若葉は感嘆の声を漏らす。亜耶は即座に肯定し、防人であるなら自身を含めて誰もが芽吹という人間を好いているのだと力説。その関係が素敵なのはともかく何を勉強するつもりなのかは園子(小)本人とその未来の姿である園子(中)のみぞ知る。
そうして自己紹介や知っていて欲しい事柄、防人達の仲の良さをよく知ることとなった勇者達。親睦も深まったところだが、話はまだ終わらない。防人達という新たな戦力が加わった以上、次に話すべき話題は当然……徳島奪還のこと。
「これだけ戦力が揃えば、激戦となっている徳島でも優位に立ち回れるな」
「相手の抵抗も相当しぶといけど、女子力で圧倒出来るってもんよ」
そう、先代勇者のリーダーと勇者部のリーダーが話そうとしたところで、戦いの話になる雰囲気をぶった切るように夕海子が口を開く。
「ところで皆様に1つ質問があるのですが」
「名家、弥勒家の事はご存知でして?」
反応は、純粋に聞き覚えがなく首を傾げる者、何故今ここでそんな話を? と疑問符を浮かべる者、そして今その話いらねぇだろと若干のイラつきが混じった者に分かれるのだった。
今回は相違点もお休みです(!?)
防人組は結局あまり設定は変わらなさそうです。ただまあ本編通りしずくが楓に懐いていたこと、銀の生存等から多少変わりはしますが……ところでしずくが直接会っていた小学校時代と今の楓では彼女にとって大きな違いがあるんですが、お気付きですかね? ヒントは、本来ならばある筈の無いものです←
さて、今年も本作をご愛読、誠にありがとうございました。来年は最初に番外編として個別√を書く予定です。まだ書いてないツインテールの子が居ますよね……ダレナンダー。
それでは、あなたからの感想、評価、批評、pt、質問等をお待ちしております。来年も宜しくお願いしますv(*^^*)