THE NOT SIGNALS −Segregated world−   作:穏詠 桜太

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話が少し長いため一気に書き上げてしまうと投稿が長引く可能性があるため
急遽前編、後編に分かれて書き上げます。


#2 最初の出会い 前編

 

――――そこは狭く、そして息苦しかった。とても窮屈で、今すぐここから逃げ出そうとしたが、

四方八方冷たい鉄板で作られた密室の中である。

上から押し潰されたかのように壁がへし曲がっており、ほふくの姿勢でないと

移動に十分な空間が取れないほどだった。以前に置き去りにされていた荷物がわずかな道をふさいでいる。

ここに籠ってもなにも出来るはずがない。彼はここから出ることにした。

 

――――ここに至る経緯は鉄塊に押しつぶされる、その瞬間に斎賀が落ちた地点に、

奇跡が降り立ったのか一つだけ割られた窓に気づかないうちに身体が入り込んだようだ。

ちょうどいいところで落下したらしく、無傷で済んだという。

 

 

自分を包んでいったあの閃光――――

 

落ちていく自分――――

 

動けない恐怖――――

 

 

もはや、あの時に感じたことを言葉に表しても、三つしか思い浮かばない。

狭い通路を這いずりながら思い浮かびながら、向こうから光が差してくるのが見えてきた。外だ――――。

しかし、本来自分がいたはずの場所とは違い、木漏れ日が差し込む樹海――――。

立ち上がって土汚れをはたき落とすと、振り向くと自分がこれまでいた場所だった。

上から何か大きい物に押し潰された鉄塊は、そこがかつて自分が過ごしていた所だということが

斎賀には分かった。鉄塊の背後には斜面を擦って出来た土色の山肌が露わになっている。

そこを擦りながら落ちて行ったことは分かるが、何故鉄塊を押し潰した原因の物が無いというのだけは、

どうしても推測は出来なかった。

 

「うごっ...あう......こっちだ――――」

 

向こうから声が聞こえる。誰かがこちらに向かうよう促された気がした。声の発信源が自分がいたところと

一緒だということが勘付いた。早足でそこに向かって、鉄塊との距離が近づくことに一枚板の薄い鉄板が

鈍い音を立てて振動する。その隙間からー本の腕が差し伸べられていた。

 

「今あけるから待って!」

 

やることは即興で行った。まず斎賀は負担の少ない薄い鉄板を引き抜いた後、次に巨大な鉄塊を下から

少しずつ負担を増やして持ち上げていく。そこから抜け出すようにと声をかけると、下敷きになった男が

這いずりながら姿を現した。土まみれの全身を見せつけると、斎賀は安心して持ち上げていた鉄塊を

一瞬で手を放した。ガンッ、という音で胸に衝撃が伝わった。

 

「ああ、助かったぜ。おかげで泥だらけだけど」

 

土まみれの学ランをはたきながら感謝の述べから一言付け加えた。

 

「お前に助かるとはね、からかっていた俺が悪かった気分だ。ってここどこか言ってみろよ?」

「わからない。山の麓だと思うけど、ここみたいに樹海があったことは知らない。とにかく、

ここから抜け出そう。もしかしたら救助隊が来るかもしれない」

 

男の名は『上田 智』。斎賀とは小学校時代から知り合っており、一緒に遊ぶなどの仲であった。

しかし、中学校に入学した数日後、事故に巻き込まれたことをきっかけに変わってしまった。

以前の口数の少ない控えめな印象から小突き回す癖のある姿になった。――――あくまで自分以外だが。

斎賀の提案に男は納得するかのように首を上下にうなずく。テレビで見たように、災害が発生したら

救助隊や警察などが捜索に出るはずだからだ。

 

「おけ。もし、開けたところについたら救助が来るんだよな」

「――――だな」

 

二人は冷静に対応し、その場から去っていった。

 




おくれましたすみません!!!!
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