THE NOT SIGNALS −Segregated world−   作:穏詠 桜太

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少し長引きそうなので急遽、中編を入れました。


#3 最初の出会い 中編

「ところでさ、お菓子持ってる?」

森の中を上田は、横腹のポケットから飴玉を取り出し、口の中に放り投げる。

彼はそれを口の中でころころと転がしながら話を続けた。

 

「持ってるなりゃ、その分を俺にくれよ。――――もし別の話なら......フヒヒッ。

って、こんなの面白くなかったな。お前にとっては」

 

まず上田は両手を獲物を狩ろうかというような威嚇の格好をして斎賀を嘲笑する。

やはり、あいつはこの状況でもからかい好きだということが彼には再び理解した。

こういうことに気付き始めたのは、あの時以降からだ。

その過去は、あまりに酷く、拭いきれないものだった。今ではその過去を口にするのは

到底やれたものではない。それを思い出した途端、横腹が痛み出した。

 

「っ――――それもう飽きたからさ、別のものにしちゃえば?」

 

途端に腹を隠して、しかめっ面を上田を見据えた。

その表情を見て上田は「チェッ」と舌打ちをして、

 

「お前らしくないなぁ、オレのネタをそうやってすぐに飽きるの。はっきり言う。気持ち悪いぞお前」

「そっちに対しても、同じ意見を述べるよ。だから、君のさっきの、撮っておいたよ。見る?」

 

上田の表情を真似て、斎賀は上田が持ち出した飴玉が入っていた同じところのポケットから

あるものを取り出した。それは父親から入学祝いで、買ってもらった

青色のガラパゴス携帯を取り出し、画面を上田の方へと向けた。

 

「ちょっ、いつの間に」

 

調子に乗って罵っていた姿から一変。口角が下がり、目じりが下がった。そんな彼の表情を気にせず、

斎賀はもう一度携帯のカメラのシャッターを切った。直後、

画面にはその瞬間を収めた彼の顔が窺うことができた。

この時の以前から、彼に見られないよう隠し撮っていた。理由は――――なんとなく。

 

「おい、携帯は持ち込み禁止だったはずじゃ」

「いやさ、遭難とかこんなことに逢ったら万が一の時に備えるよう、持って行っても

構わないと言っていたからな」

「......っち、持ち込みの話は聞いてねぇ。まず第一に勝手に撮んじゃねぇっつーの」

 

上田は斎賀の携帯を奪い取ると、操作し始めた。電子音が数回鳴ると、

紙をくしゃくしゃと握る音が聞こえた。思ったよりも嫌だったのか、

自分が写ってる写真を探しては、それを消していることが窺えた。

話を変えるが元々、修学旅行における携帯電話の持ち込みは禁止されていた。

が、生徒による異議の申し立てにより後に改正され、災害時などの非常事態のために

持ち込みが可能になった。この時の団結力はやけにまとまっていた。

余程、携帯を持ち込みたかったとでも言えるし、行き先が問題を持っている噂もあることからだろう。

 

――――そして、ちょうどその頃に使い所が出てきたのである。

 

「さっき言ってたように、救助隊を呼ぶ」

 

斎賀の携帯の番号に「119」と入力した。これで自分の声が届いて、

救助隊が助けに来てくれるのだろう――――そう信じた。

 

 

「発信」と書かれたボタンを力を込めて押す。

 

ツー、ツー、ツー、と話中音が耳に響く。

 

すると、機械のようにそのまま文字を読み上げていくような、女性の声でこう告げられた。

 

 

「おかけになった電話は、電波の届かない場所にある、または電源が入っていないためかかりません」

 

 

上田の顔は――――まるで血を抜き取られたかのように、顔面蒼白となった。

血の気が引いていく。まるで絞首台に乗った、死から免れようとする死刑囚のように――――。

画面を見ると、右上に「圏外」と記されていた。

それをお互いに見合うと、互いに絶望した――――。




遅い遅い遅い.....投稿する間に3Dモデリングや本作の構成などをして、コス撮影したり、その他諸々してました.....(小声)
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