ガンランスの話をしよう。 作:はせがわ
わたくしの名はプリシラ。悩み多きモンスターハンターですわ。
「あぁ、今日もガムートが倒せませんでしたわ……。
どうもあの雪ドッカンが躱せませんの」
わたくしにとって、あのガムートの攻撃範囲の広さは脅威ですわ。もう何度雪だるまにされた事か。大変こまっちんぐですわ。
「おっ、プリちゃーん! キークエの調子はどう?」
「あ、ごきげんようですわモブハンターさん。
えっと……まずまずと言った所でしてよ」
「そっか~。……あ、アタシ今日ディアブロスを倒してきたのっ!
これで晴れてG級ハンターよっ♪」
「えっ!? もうあのディアブロスをっ!?」
友人のモブハンターさんは、同期のハンターの中でも今
狩りも上手で人柄も良く、とっても可愛らしい子ですのよ。
それに比べてわたくしは、キークエ失敗ウーマン……。
「おめでとうございますモブハンターさん。
お喜び申し上げますわ」
「えっへっへ~! ありがとうプリちゃんっ!
しばらくこっちの集会所には来られなくなるけど、お互い元気でやろうねっ」
笑顔で手を振って去って行くモブハンターさん。そんな彼女を見送りながら、わたくしの心はどんどん沈んでいきますわ。
わたくし一生懸命がんばっているつもりなのですけれど、どうして上手くいかないのでしょう?
このままでは同期のみんなにも置いて行かれてしまいますわ……。
………………………………………………
ああっ! なんという事なのでしょうっ!?
今日あのモブハンターさんが、わたくしの憧れの弓使い先輩とPTを組んだ事を知りましたわっ!
ふたり寄り添いながら、一緒にお買い物している所をお見掛け致しましたの!
うらやましいですわ。うらやましいですわ。
それにひきかえ、今日もキークエ失敗のわたくし……。ガムートのせいでどんどん消散剤を消費していきますわ。
わたくしそろそろ雑貨屋のおばちゃんに“消散剤の子“として顔を憶えられそうな勢い。このままではいけませんわ。
「――――おやプリシラ、久しぶりだな」
「……あっ、貴方はソフィーさんっ!」
ウンウンと悩んでいるわたくしのもとに現れたのは、ガンランサーのソフィーさん。
強くて、綺麗で、とっても優しくて。現在もランク解放ハンターとして第一線でバリバリやっているお方なのです。
ナイショですけれど、わたくしが密かに尊敬している凄い先輩なんですのよ。すごくキラキラしてますわ。
……そうだっ!!
「あの……ソフィーさん。
どうやったらわたくし、ソフィーさんのようになれますの?
わたくしもソフィーさんのような立派なハンターになりたいんですの」
「えっ」
恐らく生涯一度もそんな事を言われた経験が無かったのか、随分と狼狽えているご様子のソフィーさん。
しかしながら、このようなチャンスは滅多にございません。わたくしひたすらグイグイと迫っていきますわ。
「あぁ……えっとなプリシラ? 実は私には秘密があってな。強い味方がいるんだ」
「強い味方? いったいなんですの?」
「ふふっ、………それはこれさっ!!」
わたくしの前に〈ババーン!〉とばかりに差し出された、一冊のカラフルな表紙のテキスト。
「“
これは! あのCMや広告でもお馴染みの、かの有名な銃槍ゼミですのっ!?
数多の芸能人や有名ハンターたちもやっているというっ!!」
「あぁ。これのおかげで私はG級になれたし、ランク解放も出来た。
1日15分の勉強で楽々ステップアップだ。
もし興味があればプリシラもやってみると良い」
「やりますっ、やりますわソフィーさん!
帰ったらすぐ資料を取り寄せてみますわっ!」
………………………………………………
「届きましたわっ、銃槍ゼミ上位講座ッ!!
パパやママに見つからないよう、玄関前で張り込んでいた甲斐がありました!
さっそくやってみましょうっ!」
包装をこじ開け、ダンボールに詰まった教材&銃槍を取り出していきますわ。こうしているだけでなにやら胸が高鳴って参ります。
「なんと……とても教材とは思えないようなカラフルで見やすい教科書。
わたくしのような勉強嫌いな子でも、これならば取っ付きやすそう」
「あらっ! なんと分かりやすく的確な説明文なのでしょうっ!
モンスの攻略や弱点表ばかりか、必須スキルや連携攻撃の派生表……。
大切な部分は、しっかりと大きく色付きで書かれてるっ!
とても頭に入ってきやすいですわ!」
「参考書を読んでいて、
こんなにも“問題を解いてみたい“と思えたのは初めてです。
すごいですわ銃槍ゼミ……!」
「これならわたくしでも頑張れそうっ。早速やっていきますわっ!」
ペンを握り、机に向かうわたくし。
もう見ているだけでワクワクしてくるようなカラフルな教材。若者の心をばっちり掴むオシャレなデザインの銃槍。どれをとっても素敵さMAXですわ。
「………………………………あれっ!? もう1時間も経ちましたの!?
まるでクイズを解いているかのような感覚でどんどん進めている内に、
もうこんな時間になってしまいましたわっ」
「もう次に! 次に! って感じで楽しく進めていけちゃいますわ!
すごい……、これ全然“勉強だ“って感じがしませんの。
これならわたくしでも、続けていけそうですわ……!」
ドキドキしている胸を押さえ、今日の手ごたえを感じるわたくし。
素敵な物に出会った時の、あの高揚感。それを今たしかに感じておりますわ!
………………………………………………
「さぁ今日も銃槍ゼミを始めますわよっ!
しっかり事前に時計も見ておきますわ。
時間配分が大切だってテキストに書いてありましたもの」
「ウソ……銀レウスって翼が弱点でしたの……!?
竜なんだし、てっきり頭や首なんだとばかり……。
勘違いしやすい部分も、しっかりワンポイントで押さえて下さってますのね!」
「ほうほう……フルバーストから即竜撃砲へと移行出来ると……。
これはロマン溢れる連携ですわっ! さっそく練習致しましょうっ」
「今日お友達に『最近プリちゃん調子いいね♪』って言われちゃいましたわ!
出てます! 成果出てますわよ銃槍ゼミ! サイコー!!」
「きゃー♪ やーっとオストガロアを撃破しましたわぁ~!!
あと一息でわたくしもG級っ、がんばりますわよぉ~!!」
「ヒートゲージを維持出来れば、こんなにも討伐時間が変わってきますのね……!
奥深いですわガンランス! 楽しいですわっ!」
「あっ! この攻撃、銃槍ゼミで出たヤツですわ!!」
家での勉強、そして狩場でのクエスト。その二つがまるで歯車のように上手く周り、ドンドンわたくしのハンターライフが充実していくのが分かりますわ。
一日たった15分のお勉強で、こんなにも毎日が輝かしい物となるなんてっ!
効率良くお勉強が出来るおかげで、趣味のテニスやニャンター育成もし放題! 充実した毎日ッ!!
「疲れましたわ……闘技大会5連続はやり過ぎたでしょうか?
流石に今日は勉強する気が起きませんけれど……。
あっ、確か教材の中にDVDのヤツがあった気が! これに致しましょうっ!」
……10分後、ですわ。
「……ん? 今の連携はどういった意味でおこなって……。
あっ、そうか! ここは竜の一番の弱点部位ですから、
下手に砲撃に頼るより、斬撃メインで連携した方がダメージを稼げますのねっ!
ちゃんと解説のテロップ付きで、疑問も即! 解消ですわっ!」
「三人称視点に加えて、実際にモンスと戦っているかのような視点の映像も……。
これなら何をしているのか分かりやすいし、臨場感もありますわ!
何より飽きさせない為に、見せ方やBGMを工夫していらっしゃる!」
「これならお勉強って感じじゃなく、
映画を見ているような感覚で楽しく覚えられますわっ!」
素晴らしいテキストの数々に、お勉強を頑張る程もらえる“銃槍ゼミポイント“で景品だってGET!
わたくし最近、ガンス抱き枕を頂いちゃいましたわっ!
「ふむ、バルファルクのソロ討伐を?
もうプリシラも立派なG級ハンターだな」
「ありがとうございますわっ、ソフィーさん!」
「今日はありがとうプリちゃん! すんごい助かっちゃったよっ」
「ユーアーウェルカムですわマイフレンド!
同期の仲間じゃございませんか♪」
「プリちゃん。君とPTを組みたいんだ。
僕と一緒に戦ってくれるかい?」
「えっ……弓使い先輩っ!?
でもあのあのっ! 確か先輩は……あのモブハンターさんと……」
「あぁ、モブ子ちゃんの事かい?
彼女G1のテツカブラに心を折られちゃってね……家に引きこもったんだ」
「ええっ!? まぁ……そんな事が……」
なんという事でしょう! あんなに輝いていた彼女であったというのに……G級という名の荒波に呑まれてしまったのですね。
図らずともライバルと差が付いてしまった感。彼女も銃槍ゼミをやっていたら良かったのにと、悔やんでも悔やみきれません。
「わたくしでよろしければ、ぜひお受け致しますわ♪
不束者ですが、なにとぞ……」
「プリちゃんが一緒なら100人力さっ。
一緒に最高のハンターを目指そうっ」
あぁ……、なんという幸せ。なんという僥倖!
やってて良かった銃槍ゼミ! ですわ!
その後もわたくしは順調に狩りを重ね、そしてついにカマキ……アトラル・カの討伐に成功!
見事ランク解放ハンターの仲間入りを果たしたのですわ!
「ガードなさい。 一歩も退かず、その場で――――
貴方の持つ大盾を信じるのですわ」
「ガンランスなんて、ただの武器。
こんなの誰にだって出来るんですわ。……握る事を恐れないで」
「どの位置に立つか、という事。
……いちばん怖い攻撃は、左右どちらから来ますか?
ならば自分がどこに立てば良いのか……もうお分かりね?」
「はいっ! プリシラさん!」
「ありがとうプリシラさん!」
「プリシラさん! ステキーッ!!」
今ではわたくしも、指導をする立場……。
沢山の新人たちに囲まれ、毎日忙しくも楽しく過ごしておりますわ。
『わたくしは先輩に勧められて銃槍ゼミを始めたのですけれど……、
正直最初は、懐疑的でしたわ。
だって、こんなテキストなんかで本当に強くなれるのかしらってw』
『でも尊敬する大好きな先輩からの勧めでしたし、
それにやってみたらもう……これが本当に面白くってw』
『今まで狩りなんて、ずっとフィーリングでやるばかりだったのに、
しっかり目的意識を持って戦う事と、目標を持つ事の大切さが分かって……。
これって実生活でも役立つ事ですわよね。
人生において、非常に大切な事なのですわ』
『当時は分からなかったけれど、それが銃槍ゼミで身に付いていたおかげで、
自然と物事が上手くいったり、好きな人とお近づきになれたりしたのかなって……。
って、これは言い過ぎかもしれませんわねw』
『――――自信を持って言えます。わたくしは銃槍ゼミに出会えて良かったと』
『G級になれたのも、そして今もわたくしが成長し続けていけるのも……、
みんな銃槍ゼミで学んだ事があるからなんだって』
――――さぁ君も! 今すぐ銃槍ゼミで本当の自分を見つけよう! ですわっ!!
「好きです弓使い先輩ッ! 付き合ってください!」
「ごめん。僕ガンランサーの子はちょっと……」
―――Fin―――