相棒~杉下右京の幻想怪奇録~   作:初代シロネコアイルー

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第103話 参謀、杉下右京の分析 その1

 翌日、朝五時。朝食を済ませ、身支度を整えた右京と尊が永遠亭の広間を借り、黒板を用意して会議の場を整える。

 一時間後の朝六時。第一回目の対策会議が永遠亭で開かれた。

 集まった有志は昨日のメンバーから朝に弱いレミリアと従者の咲夜に来客の対応を行う優曇華を除き、マミと文、小鈴を追加した者たちである。

 情報を収集していたら右京が復活。いつの間にか部隊の指揮官に就任していたことへ戸惑うマミと文。小鈴は目覚めてからの急展開に困惑こそしたが、阿求の体調が回復したことで落ち着きを取り戻し、右京の役職に「はえ~すごーい」と唸っていた。

 右京が簡単な挨拶を行う。

 

「改めまして交渉アドバイザー兼人里解放部隊編成および指揮を担当する杉下右京です」

 

「いきなりじゃな……」

 

 まだ理解の追いつかないマミは煙管をクルクルと動かして気を落ち着かせる。

 

「私がいない間に何があったのですか……?」

 

 訳が分からないながらも文は律儀にメモ帳を取り出し、ペンを右手に持った。

 右京の肩書きが長いと思った魔理沙が一言。

 

「長いから()()でいいんじゃねぇかな……?」

 

「私もそれでいいと思います」と霊夢が賛同した。

 

 右京は「わかりました。今後は参謀という肩書きで通します」と語った。

 続けて尊が挨拶をする。

 

「参謀補佐の神戸尊です。よろしくお願いします」

 

 彼が頭を下げると参加者から拍手が起こった。キリのよいところで右京は話を進める。

 

「早速ですが本題へ移りましょう。状況を整理しますが、現状、里は《人里の夜明け》通称、秘密結社に武力制圧された状態にあります。表向き、彼らの目的は民主主義を導入し、人里を独立させることです。リーダー奥村の射殺により大義が生まれ、彼らの勢いに飲まれてしまった結果、このような事態を生んでしまった。デモに参加したのは主に若い世代で他の世代は懐疑的だったようですが、それは本当ですか?」

 

「本当です。暴徒になっていたのは若い世代が大半を占めていました」と阿求が回答する。

 

「私らが見た限りは若いのしかいなかった。特にごっついヤツが多かったぜ」

 

 魔理沙がそう述べると霊夢と慧音も首を縦に振った。

 稗田邸の戦いに参加した尊も「間違いありません」と認めた。

 

「となると昨日、伺った社会基盤を担当する四家の構成員が暴徒に加わった可能性が高い。火口家は壊滅し、ご当主が死亡。他の構成員は捕縛されている。この情報提供者は文さんでしたね」

 

「はい。配下の鴉から訊きました。確かです」と文が頷いた。

 

「普段から素行の悪い者が多く、問題を起こすことも多々ある。離反の疑いがあるのは水瀬と土田の二家。これも間違いないでしょうか?」

 

「風下家は現在、火口家同様に占拠されているので間違いないかと」

 

「わかりました。提供感謝致します」

 

 火口は壊滅。風下は占拠。里で結社&離反組に反抗できる勢力はいない。

 右京は怒りを込めて断言した。

 

「如何に大義があろうとも対抗勢力の拘束と追放、殺害を行う集団はテロリスト以外の何者でもありません。彼らの行為を断じて認める訳にはいかない。今現在、里がどうなっているか情報を持っていらっしゃる方はおりますか?」

 

 マミが手を挙げる。

 

「狸たちを配置して情報収集を試みたが、あちこちに毒餌を撒かれてのぅ。とてもじゃないが里の中までは探れんかったわい」

 

「毒餌をばら撒く。……明らかに対策を講じられていますね。文さんの鴉はどうですか?」

 

「それが今朝になってから投石や縄で追い払われて、安定した偵察ができないのです。離れたところかなら偵察できるのですが、着地させて行動させようにも毒餌を食べてしまうリスクがあって難しいです」

 

 と、文は額を押さえた。

 

「狸や鴉を使った内部偵察は難しそうですね。わかりました、報告ありがとうございます」

 

 眷属対策はばっちりであった。結社は情報の重要性を熟知している。

 今までいなかった頭脳派の敵に阿求が深い息を吐く。

 

「こんな対策をよく思いついたものだわ」

 

「あぁ厄介だぜ。ーーそうだ、幽霊を使っての偵察ってはどうだ」

 

 魔理沙が幽々子を見ながら言った。しかし、本人は首を横に振る。

 

「幻想郷において幽霊は一般人でも見えるからね。気づかれると住民に危険が及ぶかもしれない」

 

「うーん、じゃあ蝙蝠ってのは? レミリアなら使役できるでしょ?」と霊夢がアイデアを出す。

 

「蝙蝠は暗闇で活動でき、かつ知能も高いと言われます。よい案かもしれません。ただ蝙蝠は目があまりよくないことで有名です。超音波だけでどこまで情報を収集できるのか。気になりますね」

 

「アイツなら無数の蝙蝠に分裂できるからそれでいいんじゃないか?」と魔理沙。

 

「さすがはレミリアさんです。ですが、仮に偵察がばれてしまった場合、その時点で結社が凶行に及ぶ可能性もあります」

 

「む……難しいのぅ。儂が変身術を駆使して潜入するのもよいが強い衝撃を与えられると解除されてしまうからのう……」

 

 マミはどこか弱気に唸った。

 あらゆる可能性を考慮し最善の手を考える。参謀というのは行動の方針を決める立場故、簡単に物事を決定することはできない。

 悩む参加者に混じり、眉間にシワを寄せていた阿求だったが、妙案を思いつき、手を挙げた。

 

「でしたら十六夜さんに偵察をお願いしては如何でしょうか?」

 

 すると右京の瞳が大きく見開かれた。

 

「確かに彼女の能力なら気づかれずに偵察が可能ですねえ。となると問題は()()()()()()()()と能力の()使()()()()()()でしょうか」

 

「時間停止の持続力と再使用可能時間?」

 

 聞き慣れない言葉に霊夢が疑問符を浮かべる。右京が博霊の巫女のほうに視線を向けた。

 

「例えば、敵陣のど真ん中で能力が切れてしまった場合や時間停止能力のクールタイム中、敵に見つかればその時点でアウトな訳です。ですから、能力に効果や制限について正しく知っておく必要があります。十六夜さんがここにやってこられたら伺わせて頂きましょう」

 

「なるほど……」と霊夢は納得したように頷いた。

 

「次は結社の今後の動向についてです。彼らは里の独立を謳い成功させました。次に彼らが取る行動は人里の安定化だと思われます」

 

「安定化? 今の里はアイツらの物だぜ?」

 

 今度は魔理沙が疑問符を浮かべた。

 

「里は未だ不安定のままです。稗田さんを支持する意見も多いでしょうし。結社からすればそう遠くない内に彼らを排除したいと考えているはずです。例え力づくになったとしても」

 

 しかし、右京の予想に阿求が意見を述べる。

 

「私は()()()()()()()()()()()と念を押しました。これ以上、里人に手を出そうものならそれこそ結社は終わりです。妖怪たちに潰される」

 

「しかし代表の田端はこうも言ったそうですね。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と。この幻想郷には人と見分けのつかない妖怪もいます。早い話、厄介な人間に妖怪の疑いをかけて見えないところで拘束する、もしくは()()なんてやり方も可能かと」

 

「えぇ!? そんなぁ――酷い!! 酷すぎます!!」

 

 里人の小鈴は珍しく目に涙をためて怒る。彼女の家族は未だ里に取り残されている。心配になったのだろう。

 右京は彼女の気持ちを汲んだ。

 

「心中お察しします。ですが彼らの手口を見ると、ありえないとは言い切れません」

 

「う、うぅ……」

 

「小鈴ちゃん、大丈夫よ、大丈夫だから」

 

 涙ぐむ小鈴の背中を霊夢が右手でそっと擦る。

 

「アイツら、里人に自由をもたらすとか言いながら、そんなことやんのか……」

 

 憤る魔理沙を余所に文が言った。

 

「行動が矛盾してませんかね。平等を謳っておきながら他者に苦渋を強いるとは――目的のためなら何をしてもよいと考えているんでしょうか。それが民主主義なのですか?」

 

 どんなに綺麗事を並べても結局、お前たちも暴力に頼っているじゃないか。

 文は彼らの矛盾を的確に捉えていた。それは右京も同じだった。

 

「民衆の意思を尊重するのが民主主義です。彼らのやっていることは民主主義を建前にして敵を作り、自分たちの思想を押し通す。いわば()()ですね。演説といい、やり方といい――どこかナチス・ドイツを率いた《アドルフ・ヒトラー》を彷彿とさせますねえ」

 

「ナチス・ドイツ。嫌な響きじゃ」

 

 マミは嫌悪感を上まで表した。

 

「アドルフ・ヒトラー……。確か、表の政治家でしたよね?」と阿求。

 

「ご存じでしたか」

 

「前に幻想入りした資料か何かで名前を見かけただけですが。その方はどのような人物なのですか?」

 

「ヒトラーはカリスマ的な政治家であり、演説の天才。そして、表の歴史上一、二を争うほどの《独裁者》と称されます」

 

「《カリスマ政治家》で《演説の天才》で《独裁者》ってどういうことだよ!?」

 

 魔理沙の声が裏返った。

 

「今から説明します――」

 

 そう言って右京は十分ほど、ヒトラーについて一般人が知る範囲で説明した。

 反応は様々だったが、話を聞いた者たちはヒトラーによいイメージを持たなかった。

 質問者の魔理沙がコメントすべく口を開いた。

 

「……いろんな意味でぶっ飛んだ奴だけど、今回の暴動と直接、関係あるのか? 演説して間もおかずに暴動を起こした訳じゃないだろ?」

 

 直後、右京は首を横に振ってから人差し指を立てた。

 

「僕が注目したのはその手法――英語で言うと〝プロパガンダ〟」

 

「「「「プロパガンダ!?」」」」

 

「そうです。結社が一連の騒ぎで用いたものは紛れもなくそれに該当します」

 

「英語わからない……」

 

 苦言を呈する霊夢に右京は「解説しますから大丈夫」と告げ、プロパガンダについての説明を行う。

 

「プロパガンダとはざっくり言うと《宣伝》です。人間社会ならどこでも使われる技術なのですが、政治面でも使われ、その場合は心理戦や世論戦とも表現されますね。大まかに分けると事実(公的機関などが正式に提示したもの)に基づく宣伝である、ホワイトプロパガンダ。虚偽の情報や誇張を使う宣伝、ブラックプロパガンダ。真偽不明の情報を流す宣伝、グレープロパガンダ。企業が己の利益のために行う宣伝、コーポレートプロパガンダ。相手のプロパガンダに対抗するための宣伝、カウンタープロパガンダの五種類があります。今回使用されたのは主にこの内の三種類、ブラックプロパガンダ、グレープロパガンダ、そしてカウンタープロパガンダが当てはまると思われます」

 

「ますますわからんな」

 

 魔理沙は困惑する。

 その中で阿求や永琳と言った知識人たちはその意味にピンときたようで興味を持って耳を傾けている。

 右京が続ける。

 

「諸説ありますが、まずブラックプロパガンダは聴き手に嘘または誤った情報を正しい情報のように与えることで世論を操作しようとする手法です。証拠も何もないにも関わらず『あいつは嘘を吐いて皆を騙している』と言って誘導しようとするやり方などが該当しますね」

 

「言われてみれば、結社はやたらと妖怪や稗田家を悪者にしてな」

 

「そうだな」と慧音が頷く。

 

「次にグレープロパガンダ。これは情報が曖昧で真実かわからないにも関わらず発信して誘導しようとする手法です。今回のケースだと具体的な証拠や情報源を詳しく示さず、聞いた話や噂話をあたかもそれが真実であるかのように聴かせた。これが該当しますかね」

 

「結社の言い分の大半がこれですよね!」

 

「そうじゃな! まったく、あやつらめが!」

 

 結社にいいようにされた妖怪ふたりは憎々しげに吐き捨てた。

 

「最後にカウンタープロパガンダ。相手のプロパガンダを潰すべく対抗できるプロパガンダをぶつける行為です。援護に回った稗田さん側のマミさんと射命丸さんの正体を適切なタイミングで暴露した行為が該当するでしょう」

 

 右京が語った途端、妖怪ふたりは「すまん……(すみません……)」と謝った。

 参謀がさり気無くフォローを入れる。

 

「仕方がないことだったと思いますよ。相手は多くの妖怪の情報を所持していたのですから。仮にマミさんたちが援護しなくても他の画像と動画――恐らく霊夢さんや魔理沙さんが妖怪と仲よくしているように見えるものを使って扇動していったでしょうからねえ」

 

「たく、アイツら、どこでそんなモノを手に入れたんだよ!?」魔理沙が舌打った。

 

「ホント、ふざけんじゃないわよ!」

 

 霊夢は妖怪巫女と言われたときを思い出して腹を立てた。

 

「そこも後で考察しますが。皆さん、ここで一旦、奥村の演説を聴いてみましょうか」

 

「聴くって、どうやってですか?」

 

 文は首を傾げるが、すかさず尊が「ここに記録してあります」と、スマホで録音したデータを再生した。

 音声データは遠くからの録音だったために、ところどころ聞こえにくい箇所があった。その部分をマミや文、慧音が補完したことでほぼオリジナルに近い演説内容の再現に成功する。

 一連の流れを直に確認した右京は唸った。

 

「改めて思いますが、この演説はよく練られていますねえ」

 

「はぁ!? どこかだよ! デタラメばっかりじゃねぇか!?」

 

 魔理沙が食ってかかるが右京は涼しい顔をしていた。

 

()()()()()()()()()()で、ですよ。感情を刺激するような演説で人々を勢いに乗せて一体感を出している。感情へ訴えるプロパガンダの典型例と言ってよいでしょう」

 

「感情へ訴えるプロパガンダ……?」と阿求が声を出した。

 

「感情を煽って冷静さを失わせ、自分の思った通りに人々を誘導する。今はそう理解して頂ければ」

 

「なるほど……。しかし、この演説のどういった部分が当てはまるのですか?」

 

「奥村は強い口調かつ攻撃的な物言いで根拠のない事実をあたかも真実のように語り、ブーイングを受けるも一切動じず反論し続けることで強い人物を演出した。これも聴き手の感情を高ぶらせるレトリックの一つです――そこに腹を立てた上白沢さんが口を挟んだ。そこでも奥村は負けずといい返し、ミスを誘った」

 

「ミスというと?」

 

「肘をぶつけて団員を転ばさせてしまったところです」

 

「あ、あれは向こうが勝手に主張しただけで、私は軽く触れただけです!!」

 

 食らいつく慧音に右京が人差し指を立てた。

 

「ええ……。恐らくそれは相手側の()()でしょうね」

 

「演技!?」

 

「そうです。奥村は檀上に立って話していますので、多くの人から見えますが、上白沢さんが何をしているのか確認できるのは正面に近いグループだけでしょう。混雑しているならなおのことです。つまり、結社のメンバーがあなたに押されたと言われても信じてしまう人が一定数いるのです。そこに聴衆が援護したことであなたは謝罪へ追い込まれた。おまけにその少し前、無意識にとはいえ、相手の言い分に黙ってしまいましたね? そこを後方の聴衆に()()と捉えられ、あなたは焦った。このことで聴衆にあなたが()()()()()()()()()()()()()()という印象が植えつけられてしまった。極めつけは奥村の挑発によって冷静さを失い、彼を打ってしまったことです。片や奥村は冷静に対応し、完全に差ができてしまった。ここで上白沢さん=悪者という図式ができあがり、議論の流れを結社側に奪われてしまったのです」

 

「そ、そんな……」

 

 右京の解説を聞かされ、慧音の身体から力が抜けた。

 

「話を戻しましょう。追い詰められた彼女を見かねたマミさんが議論に参戦しました。マミさんは正体を偽りながら、奥村と議論を行いましたが、奥村は聞く耳を持たず、さも当然のように稗田家へ責任を押しつけた。埒が明かないと思った射命丸さんが参戦した。ここまで合っていますね?」

 

「うむ(はい)」

 

 本人たちが頷いた。

 

「射命丸さん、あなたが参戦した際、あなたは自身の正体を偽り、そこを奥村に指摘される。ですが機転によって回避に成功。奥村を批判して狼狽えさせた。そのとき、あなたは何を考えましたか?」

 

「えーと、チャンスだと考えて潰してやろうと思いました」

 

「あなたは怒涛の畳みかけを見せた。聴衆も射命丸さんの言い分を支持し、後一歩で主導権を取り返せた」

 

「そうです! そのタイミングで私たちの正体をバラされたのです!」と、文は悔しさを顕わにする。

 

「奥村は狙っていたのでしょうねえ。カードを切るタイミングを。だからあえて狼狽えたフリをした。ぼくにはそう思えてなりません」

 

「なんと!? そこまで考えておったのか!?」とマミが驚く。

 

「態度こそ反抗的だが、頭は回る。評判通りの人物だったのですよ。そこから一気に流れが奥村へ傾き、正しいのは奥村で悪いのは妖怪側であり、彼女たちが擁護した稗田家が雇った工作員だと決めつけられてしまい、お三方の話に誰も耳を貸さなくなり、挙句捕まえられそうになった」

 

「「「……」」」当事者三人は無言で俯いた。

 

「そこに奥村が待ったをかけた。聴衆の支持が自分に傾き、視線を釘づけにした段階で彼は敵に情けをかけて民主主義を訴え、広場にいた里人の心を完全に掌握したのです」

 

「……そう聞くとドラマみたいな流れよね」

 

「ですね」

 

 黙って話を聞いていた幽々子と妖夢がそのようにコメントした。

 口元に手を当てながら沈黙を貫いていた輝夜が手を挙げた。

 

「だけど、そこまで上手く運ぶのかしら? 少し都合がよすぎると思うのだけど……」

 

 皆、同じような反応だった。その中にあって阿求や幽々子、永琳は何かを察したように「まさか、そういうこと?」とある可能性を疑う。

 瞬間、右京がいつものポーズを取った。

 

「普通に演説したならここまで上手くはいかないでしょうねえ~。元々、印象が最悪なのですから。聴衆の誰かが議論の誘導でもしてくれない限りは」

 

「だろ? ありえないぜ? そんな話」

 

「そう誘導――しかも聴衆側が」

 

「え、だって印象最悪なんですよ? 誰が肩を持つんですか?」と小鈴が訊ねる。

 

「結社のメンバー。または息のかかった者」

 

「えぇ!? 結社メンバーが聴衆のほうにいる訳――」

 

 直後、小鈴の言葉を永琳が遮った。

 

()()――そう考えているのよね、杉下さんは」

 

「おっしゃる通り」

 

「「「「「えぇ!?」」」」」

 

「息のかかった者に第三者を装わせた上で紛れ込ませ、内と外で対象をコントロールする。実はこれ――よくある手なんですよ」

 

「「「「「なんだってーー!?」」」」」

 

「そう考えれば辻褄が合うんですよねえ。議論が奥村の理想通りに進んだことが」

 

「つーことは……アレか。あの演説は全部()()()()()()()ってことか……?」

 

 魔理沙の問いかけに右京は静かに頷いてから「ええ。この後の展開も含めれば、ほぼ間違いかと」 と断言した。会議場に何度目かの衝撃が走り、参加者全員の視線が参謀に突き刺さるのだった。




作者はプロパガンダの専門家ではないため、記述や使用例等でご迷惑をお掛けするかもしれません。

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