相棒~杉下右京の幻想怪奇録~   作:初代シロネコアイルー

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第175話 再会

 暗闇が徐々に薄らいでいく。小鳥たちがさえずれば、呼ばれるように地平線の向こうから朝日が持ち上がる。太陽はすべての生命に起床を促すように、上から光を当てていくのだが、翼を持つ者はその光の塊さえも見下ろすこともできる。

 

「もう朝か。新聞、配らないと」

 

 幻想郷にそびえる妖怪の山の上空で、大量の新聞を抱える黒翼を広げた少女が重い眼を擦った。あくびが出て、連動するように涙が出る。徹夜で作業して新聞を擦り終えたのか、黒い髪の毛はところどころ寝癖がつき、ボサついていた。

 

「それが終わったら新しいネタ、探さないとなぁ。なにか、あればいいんだけど」

 

 そう言って、少女は迫りくる朝日を振り切るように薄闇の中へと飛び込んでいった。

 同じころ、永遠亭の縁側に広がる庭で、右京は昇る朝日を真正面から浴びていた。永遠亭から貸してもらった灰色の着物が光の粒を吸い込んで、絵画のような非現実的な世界を創り出す。

 

「気持ちいいですねえ」

 

 東京の朝とは違い、機械が軋む音も喧騒なく、動物たちの生活音だけが耳に届く。深呼吸と共に空気の味を確かめれば、不純物の入っていない清らかな味がしたような気がした。

 

「空気も澄んでいる。やはり幻想郷はすばらしい」

 

 小鳥たちが奏でるオーケストラとステージを彩る竹林、それを朝日の照明が照らす天然のコンサート。右京は、両腕を広げて感動を表現した。その勢いのまま、空を仰ぎ、天を讃えると、薄黒色を含んだ雲が揺らいだような気がした。彼が目を細めると白いシャツと黒いスカートをはいた少女の姿が瞳に映った。

 

「おやおや」

 

 ひとひとり、浮かせられるほどの大翼を羽ばたかせる人影だ。あのような人物は幻想郷にゴロゴロいるが、独特の赤帽子をかぶる種族は限られている。しかも、どこか知人に似ていた。ものは試しに、と右京が手を振った。

 すると、影は一時停止して、数秒後に急降下を始め、地上三十メートル辺りで減速。若干の砂埃を舞い上げながら右京の正面に両脚を曲げて着地する。

 翼を持った少女は、立ち上がってから驚いたように第一声を発した。

 

「あの、杉下さん、ですよね!?」

 

「お久しぶりですね、射命丸さん」

 

 彼女の正体は右京たちと協力関係にあった新聞天狗、射命丸文だった。狡猾でふてぶてしい態度を取る曲者で、売上のために右京たちを苦しめた妖怪だったが、ひょんなことから共闘する形を取る。人里解放に尽力したことが評価され、記者生命をつなぎとめた彼女は以前と同じように新聞を刷っては、ばら撒いている。

 

「ど、どうやってここへ?」

 

「現時点では、偶然が重なった結果、としか言えませんねえ」

 

 語尾を伸ばして、スマイルをくれる刑事に、彼女はイラっとした態度をみせる。

 

「いやいや、そんな偶然が重なった程度で幻想入りなんてできる訳ないですから。どこか、霊的地場の強い場所から移動してきたんですか?」

 

「はてはて、どうでしたかねえ〜」

 

 空の一点を見つめ、右京は考える素振りする。実際は演技にすぎない。文がそれを理解できないはずもなく、イライラを募らせていく。

 

「なにか、思い出してくれません? きっと、皆さん、知りたがると思いますよ!」

 

 知りたいのは記事にして売上を伸ばしたい文本人だったりするが、表情に出せばバレてしまう。焦りは禁物。わかっていても、焦らしのプロである右京を相手するのは難しく、はぐらかされる時間が長引くほど、顔の血管が浮き出てくる。爆発寸前の新聞天狗を横目でチラリと窺った右京は「そろそろですかね」と、心の中で呟いてから両手を叩いた。

 

「あっ。そういえば」

 

「なにか思い出しましたか!?」飛びつく速さも天狗級な彼女は相手の話すら遮ってしまうが、右京はマイペースな手つきで、懐から写真を取り出して見せた。

 

「この人物に見覚えはありませんか?」

 

「いえ、ありませんが。誰です? この方」

 

「幻想郷テロ事件の黒幕と思しき男です」

 

「は、はい!?」

 

 事件が風化しかけていたので、すっかり忘れかけていたが、幻想郷テロは文にとって他人事ではない。策略に引っかかり、結社進撃のきっかけを与えてしまったのだから。あまりの屈辱に夢の中でうなされることもしばしば。文は血相を変えて詰め寄った。

 

「この男が犯人なのですか!? コイツがッ!」

 

 感情が先行して口調が荒くなる。今にも写真の中の人物に殴りかかりそうだ。

 

「ほぼ間違いないと思いますが、確かめる必要があります。幻想郷に迷い込んだこの人物を外へ送ったのは霊夢さんでしたよね?」

 

「そう聞いてます」

 

「この写真をお預けします。霊夢さんもしくは里で彼のお世話をした慧音さんに確認してきて下さい。確認が取れれば、この男が黒幕です」

 

「りょ、了解しました!」

 

 写真を受け取った文はすぐさま、飛び立って空を駆け抜けていった。見送った右京がそのまま明けた空に浮かぶ雲を眺めていると縁側の雨戸が開く音がした。

 

「朝から誰と話していたの?」

 

 雨戸を開けたのは白い寝間着姿の輝夜だった。振り向いた右京は笑いながら「我々がよく知る新聞屋さんですよ。僕の代わりに霊夢さんに確認を取りに行ってもらいました」と語ってみせる。

 

「あの厄介者を顎で使うなんてね」

 

 かぐや姫はわらじを履いて、紳士の側に並ぶように立った。風を浴びて絹のような長髪が揺れ動き、丸い瞳に空の色が混ざり、身にまとうオーラが一層、輝き出す。どこまでも絵になる少女だ、と右京は微笑んだ。

 

「本当にいい景色です」

 

「私も気に入っているわ」

 

「いつも、この景色を堪能できる輝夜さんが本当に羨ましいですねえ」

 

「そんなにかしら? ……表の日本ってそこまで汚れているの?」

 

「残念ながら、都会になればなるほど、緑は失われています。昔の景観を残すのは開発が進んでいない地域だけです。そこも徐々に人の手が入っていき、鉄やコンクリートの人工物に取って代わられる。逃れられない定めです」

 

 かぐや姫の時代と異なり、現代人は物質的豊かさを求めて自然を破壊する。経済や国民、技術的意義など、様々な理由をつけてはその都度、緑を消し去り、青を穢す。

 近年、環境破壊は深刻化しており、このままでは地球が持たないと本気で危惧する者も多い。意識の高い活動家たちが常に声を上げ、政府や無関心な国民たちと激しい議論を繰り広げている。

 その映像を想起されると右京は口を結んだ。トーンから相手の心情を理解した輝夜もつられるように表情を硬くする。

 

「なんだか、悲しいわね」

 

「だからでしょうか。ここにいると非常に落ち着くんですよ」

 

「ここは、ひともカッパも入ってこないから、ずっと変わらない。変化を求める者はつまらないと言うけれど、そこがいいところだと思っているわ。これからも、きっと……」

 

 空を舞う無数の鳥たちの姿がふたりの情緒を誘い、幻想の朝に花を添える。この空が、この日々が、どこまでも、いつまでも続いてほしい。同じ雲を見上げるかぐや姫の心情を察した右京は「僕もそう思います」と同意した。

 

「ありがとう」

 

 どこか安心した輝夜は縁側まで移動してからそっと腰を下ろした。

 

「ところで、杉下さん。昨日、言いそびれたのだけど……」

 

「なんでしょう?」

 

 振り向いた右京に彼女がある頼みごとをする。

 

「私。以前から表の料理が食べてみたかったの。もし、よかったら、なにか作ってくれない?」

 

 目を閉じ、手を合わせて頼む姿は可憐の一言に尽きる。見た目の年齢が離れているにも関わらず、まるで心臓を鷲掴みされるような感覚を味わった右京は心の内で「さすがは伝説の美少女。世の男たちを虜にしてきただけのことはある」と改めて称賛した。

 ちょうど、自炊用の調理器具や調味料、スパイス等の材料は揃っている。このお姫さまに作ってあげるのも悪くない。もしも、一流の味を知り尽くした彼女から高評価を得られたのであれば、それはそれで肴の酒になる。料理の腕に多少、覚えのある和製ホームズはその申し出を受けることにした。

 

「わかりました。お作りしましょう。どのような、お料理がいいですか?」

 

「食べたことない料理かな。幻想郷じゃ食べられない品がいいわ。可能ならだけど」

 

「幻想郷じゃ、食べられないーー洋食ですかねえ?」

 

「悪くはないけど、紅魔館で出るようなものはちょっと遠慮したいかも。この前、食べたとき、冷めて固くなっているのが多くて、味もなんか独特で苦手だったのよね。だから良いイメージがなくて……」

 

 立食形式はテーブルに出された直後はいいが、時間が立てば冷えてしまう。タイミングが合わなければ、冷たい料理を食べるなんてザラだ。メニューや材料、味つけも右京たちのような客人に出すコース料理とは異なり、節約を念頭に置いていたはずだ。生粋のお嬢さまである彼女とは、なにもかもが合わなかったのだろう。

 

「となると、和食辺りですが。僕が持ってきた材料だと、お味噌汁くらいしかお作りできません。ふむ……」

 

 約二週間分の食料と調味料等を持ってきているが、保存可能な材料が中心であり、簡単な料理しか作れない。洋食は本人の希望とは違う。

 かと言って、中華料理を用意するだけの材料はない。さて、どうするべきか。視線を上に投げてから右京は頭を回転させて、脳内からバッグの中の材料のリストを引きずり出す。考え始めるのと同時に、あるメニューが思い浮かんだ。

 

「大正時代に海外から伝来し、独自のアレンジが加えられた結果、現代日本の国民食にまで成長した料理があるのですが。それならどうでしょう?」

 

「へー。面白そう。洋食なの?」

 

「洋食ですね。しかし、世界的には日本独自の料理、つまり日本食として扱われており、各方面から高い評価を得ています。僕自身、いくつかレシピを持っていましてね。結構、自信があるんですよ」

 

「そうなんだ。うん、それでいいかも。朝ごはんに間に合うの?」

 

「レシピの都合上、完成までには色々、手を加えなければならないので、最低でも二時間、いや三時間程度は欲しいですね」

 

「じゃあ、お昼かお夕飯ね。楽しみにしてるわ♪」

 

 

 輝夜と別れ、寝床に戻った右京を、目を覚ました尊が待っていた。

 

「どちらに?」

 

「朝日を拝みに。途中、射命丸さんが僕のところを訪れてくれたので、南井の写真を渡して、霊夢さんに確認を取ってくるように頼みました」

 

「見返りは要求されましたか?」

 

「いえ、特には」

 

「珍しいですね。よほど、腹を立てていたのかな」

 

「でしょうねえ。人間相手にあそこまでコケにされたのは初めてでしょうから」

 

「プライド高そうですしね。当たり前か」

 

 初対面であるにも関わらず、バチバチのオーラを放出してきた姿を思い出し、尊は小さく笑った。その間に、右京はバックを開け、調味料や香辛料の確認をしだした。

 手際よく、並べられていく中身が入ったチューブ、瓶、そして市販のルー。日本人ならなにを作るのか、想像がつく。興味深そうに様子を見ていた尊が細い目を大きく開いた。

 

「安定のキャンプ飯ですね。朝食にするおつもりで?」

 

「実は輝夜さんに表の料理を作って欲しいと頼まれましてね。お昼かお夕飯にお出ししようと考えています」

 

「お肉、あるんですか?」

 

「台所にいた優曇華さんに訊いたところ、猪肉があると言ってました」

 

「猪肉ってイノシシですよね? 結構、独特な食感だから、この料理に合うのか未知数だな……」

 

「工夫すれば問題ないかと」

 

 ニヤリと笑う右京。我に秘策ありといった具合だろう。彼の腕前が並の一般男性を遥かに凌ぐと知っている尊はふっと笑ってから「楽しみにしていますね」と告げ、外の空気を吸いに部屋を出ていった。

 部屋に残った右京は手に持ったスパイスの小瓶を左右に振ってからかぐや姫を喜ばせる算段を整える。

 

 

 朝八時。居間でふたりが食事を食べ終えるのと同時に縁側に三つの影が差し込み、上空から三人の少女が降ってくるように降下。途中で器用に減速してから綺麗に着地する。

 ひとりは右京の頼みを引き受けた新聞天狗。残りふたりは、黒い魔女帽子をかぶったやや小さい金髪の少女と赤いリボンで髪をとめる巫女服の少女だった。

 着地音を聞き、視線を向けた右京と尊は彼女たちの姿を捉えると、すぐに立ち上がって、縁側まで駆け寄った。

 少女ふたりも特命係の姿を見た途端、驚きのあまり、言葉が出せずにいた。無言のまま、再会を終わらせる訳にはいかないので、右京が口火を切る。

 

「お久しぶりですねえ。おふたりとも」

 

「やっぱり、おじさんたちだ……」

 

「そう、みたいね……」

 

 少女たちは、挨拶もおぼつかない様子で右京たちを凝視している。ふたりの正体は霧雨魔理沙と博麗霊夢だった。ともに幻想郷の中で事件を捜査し、ときに味方、ときに敵。状況に応じて立場を変えてきた、特命係幻想郷支部を語るには欠かせない存在。実に一年ぶりの再会である。

 

「どうも。元気だった?」右京の隣に立つ尊が問いかけると、ふたりが「まぁな(はい)」と頷いてみせる。

 

「そっちも元気そうだな」

 

 鼻を鳴らす魔理沙だが、どこか嬉しそうだった。霊夢も言葉に出さなかったが、ホッとした顔をしていた。如何に厄介者だったとはいえ、心配していたところもあったのだろう。しかし、用を思い出した霊夢が目つきを鋭く尖らせて、右京に詰め寄った。

 

「それより、写真の男が黒幕だって本当ですか!?」

 

「あなたが送った人物が彼であるのなら黒幕です。見覚えはありましたか?」

 

「はい。間違いありません。あの男です!」

 

「そうですか」

 

 これで南井十が黒幕であると断定できた。物証は残っていないが、状況から判断すれば疑いようもない。それは宿敵と思っていた相棒が犯した罪がまたひとつ、増えたことの証でもある。右京は心の傷が疼くのを感じ、静かに鼻から息を吐いた。

 そして、右京は自ら痛みを広げるかのように協力者へ表に帰ってから自分たちがしてきた捜査とその結末をメリーの話だけを除いた要点だけを伝えた。

 話を聞かされた三人の中には色々な感情や考えが渦巻いていた。

 

「まさか、戻ったあとにも殺人事件を起こしていたとはなぁ……」

 

「いざ、逮捕してみれば記憶喪失でなにも聞きだせず、脱走からの行方不明……」

 

「崖の上でもみ合った形跡と血痕が発見されたけど、辺りからは黒幕以外の靴跡は見当たらなかった……」

 

 魔理沙、文、霊夢はそれぞれコメントしてからさらに考察してみたが、答えを出せず、眉間にシワを寄せて唸るばかりだった。

 

「犯人が姿を消した以上、捜査はここまでです。仮に見つかったとしても、記憶が戻る可能性は低く、真相は闇の中でしょう」

 

「なんだかなぁ……。勝ち逃げされたみたいで嫌だな」

 

「まったくだわ」

 

 犯人をとっちめてやりたかった人間ふたりからため息が漏れた。結局、裁かれなかった南井十はある意味、逃げ切ったともいえる。本来なら逃した刑事たちにも小言を言いたいところだが、彼女らも派手にやらかしているので何も言えない。

 やり場のない怒りをどこにぶつければいいのか。少女たち三人は地面を不満げに睨みつけていた。ふいにその後方から、ふたりの人物が現れる。

 

「おぉ、杉下どの。こっちにやってきたのか」

 

「アンタら、また幻想入りしたのか!?」

 

 耳と大きな尻尾を出したマミと地面スレスレまで伸びた銀色の長髪が特徴的な藤原妹紅だった。

 声に反応して振り向いた霊夢が「なんでアンタたちがここにいるの?」と訊ねる。

 マミは「新聞天狗が騒がしいと狸の部下が言っていたもんでの。昨日は竹林で妹紅どのと飲んでいて、竹林の自宅に泊まらせてもらっていたから、一緒に様子を見にきたんじゃよ」と答えた。

 付き添いの妹紅も頷いてから特命係に視線を向けて「今度はどうやってここに入ってきたんだ?」と問いかける。

 

「どうしましょうか?」

 

 五人から視線が集中する中、尊は正直に話すべきか迷い、右京に判断を仰いだ。元上司は「そうですねえ」と一拍置いて、懐にしまい込んだ葉っぱを取り出した。

 

「この葉っぱを神社の境内で月にかざしたところ、光に包まれて幻想入りできました」

 

 日光を反射してキラキラの輝く葉っぱを見て、なにかを感じ取ったのか、彼女たちは驚いた。その中で霊夢がいち早く動いて、葉っぱを右京から預かる。

 

「この葉っぱ。間違いない。霊力が宿っているわ」

 

 巫女は相手の手元にある段階から、葉っぱ自体に霊力が漂っていることを察知していた。裏側もくまなく観察してみるも、霊力を発しているという点以外、わからない。魔理沙や文も手に取って、色々と観察するも正体までは突き止められない。

 様子を見守っていた妹紅が「旦那はアレがなんだか、わかるか?」と問いかける。マミは右京にちらっと目配せしてから「()()()()()()()()()」と、ごまかした。

 戸惑う尊だったが、右京本人は「そうですか。なるほど」と相槌を打つにとどめる。やはり、マミは無関係を装うつもりのようだ。バレてしまうと面倒なのだろう。

 

 すぐに魔理沙が葉っぱをどこで手に入れたのかを訊ねてくるも、右京は永遠亭の住民に行った説明を繰り返す。ジャーナリストから「なにか、思い出せることは?」と問われた際も「これが、特にないのですよ」とお得意の演技で難なく乗り切る。

 最終的に根負けした魔理沙と霊夢が追求を諦めて縁側に座った。ふたりは喉が乾いたことを理由にして優曇華にお茶を求める。嫌がる優曇華だったが、永琳からお茶を淹れるように指示を受け、面倒くさそうに台所に向かう。

 同じく右京も「ついでに僕たちも失礼します。やることがあるので」と断りを入れ、嫌がる尊を引き連れて縁側を離れた。詳しい説明をせず、立ち去った彼らの背中に五人は戸惑いの目を向けていた。そこに事情を知る輝夜が、

 

「ふたりはね、表のお料理を作ってくれるのよ」

 

 と、笑いながら言った。

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