相棒~杉下右京の幻想怪奇録~   作:初代シロネコアイルー

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第57話 緋色の舞踏会

 霊夢と魔理沙はものすごい剣幕と共に紅魔館の中をつき進んでいく。先ほどまで影すら見当たらなかった妖精メイドたちが二人の態度に圧倒され、慌てふためいている。

 そんな妖精たちにマミが「酔っ払いがすまんの」と謝罪しながら二人の後を追いかける。

 エントランスや大広間、付近の廊下などを探して回るが、右京の姿はどこにも見当たらない。

 ドタドタと階段を駆け降りながら、他に目ぼしい場所はないかと、酔いが回って冴えない頭を必死に働かせ、二人は調べていない場所の名前を同時に口に出す。

 

「「次は図書館よ!(だ!)」」

 

 図書館の下にはフランドールの部屋もある。彼女が右京を連れて行っても不思議ではない。

 二人は目的の場所へと突っ走った。地下へ続く階段を駆け降りると、昼間見た図書館の扉が目に入り、その向こう側からフランと思わしき人物の声が聞こえる。

 

 ――これでお終いよっ!

 

 ――なんとっ!

 

 まるでフランが右京にトドメを刺すようなシチュエーション。二人は本気で焦った。

 

「おおい、霊夢マズイぞ!!」

 

「だから言わんこっちゃないのよっ!!」

 

 このままではマズイ。

 ふたりはその勢いのまま、大仰な扉を蹴り破るべく右脚を正面に出す。

 少女の蹴りとは思えないほどの破壊力を秘めた飛び蹴りは図書館の扉を容易くこじ開け、ドダン! と大きな音を室内に轟かせた。

 内部に突入した二人は室内を見回し、人気を探して図書館の奥――パチュリーの書斎付近まで急ぐ。人がいるとしたら図書館内において書斎が最も可能性があると踏んだからだ。

 鬱陶しい本棚の密林を押し退けるように進み、書斎までたどり着いた二人はフランと右京の姿を捉えて、咄嗟に声を張るのだが――。

 

「杉下さん――(おっさん――)」

 

「ハートのAとスペードのAよ!」

 

「おぉ~、僕の負けですねえ~」

 

「「へ?」」

 

 拍子抜けのあまり、ズコーっとすべるように床を転がる二人。

 それもそのはず。右京とフランはパチュリーの書斎机正面にチェスの時で使った机と椅子を持ち出して〝神経衰弱〟をしていただけ。

 

 〝デスゲーム〟をしている訳でもフランが彼を〝拷問〟していた訳でもなかったのだ。

 ズッコケる二人組に右京はいつもと変わらぬ態度で「どうかなさいましたか?」と声をかける。

 

「どうかなさいましたか?――じゃねぇよ!」

 

 心配して損したじゃないか、と食ってかかる魔理沙。

 霊夢は、彼の安否を確認してホッと胸を撫で下ろした。

 

「何はともあれ無事でよかったわ」

 

 続いてマミ、その後すぐにレミリアと咲夜が騒ぎの中心地へやってくる。

 椅子に座るフランと右京。テーブルに置かれたトランプ。スカートのほこりを払う霊夢に、吼える魔理沙。呆れながら「何もなかったんかい!!」と、ひとりツッコミを入れるマミ。

 

 後方よりその様子を確認したレミリアが、クスクスと笑いながら書斎へと歩み寄り「妹が迷惑をかけているようね」と右京に言った。

 右京が「とんでもない。とても楽しませてもらっています」と返せば、フランも「お客様を持て成していたところよ?」と誇らしげに語ってみせた。

 

 レミリアはそんな妹を「はいはい、ありがとね」と労う。

 気が触れていると評される妹が初対面の人間と仲良くできている。紅魔館の主は、これを一種の成長と見なしたのだろう。今のフランなら問題ない。レミリアは妹の行動を咎めようとはしなかった。

 そこへパチュリーが阿求と尊を連れてやってきた。フランに何かされているんじゃないのかと心配していた阿求たちだったが、彼女とトランプをする右京を視界に捉えて、霊夢たち同様、拍子抜けしてしまった。

 紫の魔女は、顔を顰めながら図書館の扉を強引に開け、靴底の跡を付けたであろう本人たちを睨みつけながら「何故、あんな開け方をした……?」と低めの声で詰め寄り、彼女らを大きく仰け反らせる。

 強い口調で相手を威圧するパチュリーを目撃した一行は、そのギャップに戸惑うも、レミリアが「あっちはあっちに任せましょう」と、気にしないように促す。

 

 右京が気の抜けたようになっているメンバーたちをトランプに誘うも皆、疲れているのでそれどころではなかった。

 仕方ないので、レミリアが混ざり、吸血鬼姉妹と表の人間が一緒にトランプをし始めた。阿求は自らの常識が崩れて行くのを肌で感じ、軽くため息を吐く。

 彼女らの後方から気が利かせたメイドたちが椅子を持ってきたので、そこに阿求、尊、小鈴、マミの四名が腰をかけた。

 正面では愉快にトランプ。背面では言い争い。どちらも人間と妖怪――種族の異なる者同士のやり取り。

 楽しそうな元上司を眺めながら、踏んだり蹴ったりな尊は「楽しそうで何よりですよっ」と投げやり気味に放って、明後日の方向に視線を向けた。

 

 

 ポーカー、ダウト、ページワンなど人気のあるゲームで遊ぶ右京たち。

 

 その頃になると扉の件も収拾がついたようで、霊夢たちとパチュリーは椅子に座りながら寛いでいる。

 ちょうど時刻が深夜零時を回った。

 小鈴がふわあっと欠伸をする。尊も若干の眠気を覚えつつあったが、ゲームに夢中な右京と吸血鬼たちのテンションは先ほどよりも高まっていく。

 

「あーなんで負けたかなー! これで二回連続よ!」

 

「うふふ、そうなる運命だったのよ――フラン!」

 

 悔しがるフランにレミリアが姉の威厳を見せつける。

 

「お二人ともゲームがお上手ですねえ~」

 

 そこに、さりげなく太鼓持ちを演じる右京という構図。彼らの宴はまだまだ終わりそうにない。

 トランプで姉に負けたのを認められないのか、ふくれっ面のフランがレミリアの隣に控える咲夜に対して「咲夜、インチキしてないよね?」と訊ねるも「そんなことしていませんよ」と返されるだけ。

 

 フランが低い声で唸ると鳴りを潜めていた狂気が冷気のように飛散し、周囲にいた人間や妖怪の背中をビクつかせる。

 ウトウトしていた小鈴さえも目が覚めたように背筋をピンと張りながら「え? 何? 何があったの!?」と寒気に震える始末。

 皆の視線が吸血鬼の妹に集中する。

 

「その狂気は相変わらずね……」

 

「少しはマシになったが、まだまだ危険だぜ……」

 

「この儂でさえ、背中に悪寒が走ったわい……」

 

 幻想郷の猛者たちも一目置くその力。フランの幽閉生活は当面、終わりそうにない。その場に居た誰もがそう感じた。妹の行動をレミリアが諌める。

 

「駄目よ、フラン。負けたからって周囲に八つ当たるのは」

 

「別に八つ当たりなんてしてないわ。ちょっと悔しいだけよ!」

 

「はいはい、あなたからすればそうなのよね……」

 

 本人に悪気がある訳ではなく、纏ったプレッシャーが強大すぎるために起こる現象。

 動物の本能に訴えかけるような強者の圧。そこに情緒不安定が重なり、誰もが委縮してしまう。

 特に機嫌が悪い時の威圧感は物凄く、館の妖精やホフゴブリンが泣き出しながら逃げ出すらしい。

 人間を粉々に消し飛ばしていたなんて噂もある。無理もない。

 妹に睨まれ、対応に困るレミリア。叱るのは簡単だが、来客の前でとなると面子的にやり辛い。

 咲夜が「まあまあ、落ち着いてください」となだめるが、機嫌が直らない。

 客人の前でカッコいいところを見せたかったのかもしれない。状況を察した右京がフォローする。

 

「フランさん。あまり、姉ぎみを困らせるものではありませんよ?」

 

「ぐぐぐっ!」

 

 悔しさを先に立て、引き下がらないフラン。右京はカバンから紅富貴のパックを取り出した。

 

「こちらの紅茶をご馳走しますから、どうか機嫌をお直しください」

 

「紅茶……? 私、血が入ったものしか飲まないけど?」

 

「血が入らなくてもおいしい紅茶です。一口、如何ですか?」

 

「うーん、ホームズが言うなら……」

 

 右京の頼みとあって渋々、フランは了承した。咲夜が妖精たちに紅茶の準備をさせる。

 急ぎ、カップとティーポットが運ばれてきた。

 メイドからポットを受け取った右京は紅茶を淹れ、カップをテーブルに置く。紅富貴の芳醇な匂いを嗅いだフランは「うちの紅茶はと違う感じ?」と興味を差し向け、カップを手に取り、紅茶に口をつけた。

 すると、フランはたいそう、驚いたように紅茶を見つめながら「これ、おいしいじゃん」と言って右京を見た。

 

「表の日本で作られた最高品質の紅茶です。お気に召して何よりです」

 

「うん、いいよこれ。うちの紅茶よりもずっと――てか、比較にならない」

 

 楽しそうに紅茶を飲むフラン。紅茶を作った本人であろう咲夜と当主のレミリアが呆れ顔で顔を合わせ、何とも言えない気持ちを共有した。

 紅茶には人を落ち着かせる効果があると言われるが、それは吸血鬼にも当てはまるのか、フランの機嫌が目に見えてよくなった。

 発せられた狂気が嘘のように消え去り、辺りを包む緊張が消滅する。魔理沙は思う。

 

「馴染んでんな――あのおじさん……」

 

「まったくね。妖怪なんじゃないかって思うわ」

 

 霊夢の発言に誰にもが否定できず、ただ傍観していた。

 紅茶を飲み干したフランはふうっと一息吐くも勝負のことが頭から離れないのか、こんなことを言い出した。

 

「お姉さまはトランプが得意だったはずよね?」

 

「ん? まぁ苦手ではないけれど」

 

「だったら、今度は私の()()()()()()で勝負してもらうわ!」

 

「得意なゲーム? おままごとかしら?」

 

「違うわ――これよ、これ!」

 

 そう言って、フランは懐から黒い絵柄のカードを取り出し、辺りをざわつかせた。幻想郷を象徴するカード、それは――。

 

「〝スペルカード〟よ」

 

 顔をニヤつかせながら、フランはレミリアにスペルカードバトルを迫った。さすがのレミリアもこれには動揺を隠せない。何故なら。

 

「いつもお姉さまは私とは戦いたがらないものねぇ~? たまにはお手並みを拝見したいわぁ」

 

「あなたねぇ……」

 

 フランは加減をしらない。そのため、対戦相手のことなどお構いなしに殺傷力の高い攻撃を繰り出す。容赦のない攻撃はかつて霊夢や魔理沙を大苦戦させた。

 今でも戦いたくない相手の上位に入るだろう。そんな狂人が、スペルカードをチラつかせ始めたのだ。

 メイドの咲夜が慌てて止めに入るも、フランはやる気満々なので言うとこを聞かない。

 客人に危害を加えないのはよかったが、その子供のような性格までは変わっていない。

 フランの行動にかつて紅魔館に手を焼かされたであろう魔理沙は、面白がって「そういえば、どっちが強いんだろうな~。気になるぜ」と煽り、周りから冷たい視線を浴びせられる。

 

 当主レミリアは判断に迷っている。戦うのは構わないが、万が一、客人の前で負けてしまっては威厳が損なわれるし、勝ったとしても大人げないと思われる可能性がある。それに戦いの余波で紅魔館が損壊するケースもありうる。

 さて、どうしたものか。レミリアは助けを求めるようにパチュリーを見やる。頭の切れる親友ならこの状況を打開する策を思い付くはずだ。

 レミリアの視線がパチュリーの視界に入った瞬間――親友はコクンと頷いてからフランに近づいて、このように提案した。

 

「客人の前で当主とその妹が戦うのは見栄え的によくない。だから――」

 

 パチュリーは戦いを煽った魔理沙を見やった。

 嫌な予感が脳裏をよぎるもすでに遅かった。

 

「そこの〝白黒〟辺りと戦うのがいいと思う。さっきから戦いたくてウズウズしているはず」

 

「おい、ちょっと待っ――」

 

「そ、それはよいですわ! ねぇ、お嬢さま」

 

「確かにそれはいいわねぇー」

 

 もうこれしかないといわんばかりにパチュリーの助け舟に乗っかる当主と従者。

 予想外の返され方に魔理沙は動揺を隠せない。それはおかしいと否定に入ろうにも自分が蒔いた種なので、うまい切り返し方を見つけられず、タジタジになる。

 フランドールを倒したことのある魔理沙だが、できれば戦いたくない。

 魔理沙は隣の霊夢に目線で助けを乞う。当の本人は知らん顔しながら、そそくさと白黒の魔女から距離を取ろうとする。

 友人の行動にカチンときた魔理沙。どうせ落ちるなら道づれにと、威勢よく啖呵を切った。

 

「ああ、いいぜ! 私と〝霊夢〟が相手になるぜ!」

 

「はあ!?」

 

 霊夢が叫ぶが、もう霧雨魔理沙はとまらない。

 

「タックバトルだ! フランドール。数合わせに姉も入れて派手にやろうぜ!」

 

「ちょっとアンタ――」

 

「ふーん、いいねぇ~。じゃあ、お姉さま、一緒にアイツらをコテンパンにしましょう!」

 

「はぁ……?」

 

 魔理沙はノリに任せて霊夢とレミリアを無理やり巻き込んだ。

 拒否しようする霊夢だったが、魔理沙に「妖怪ハンターの力を表の人間に見せつけるチャンスだぜ?」と担がれてから続けざまに「ここで引いたら巫女の名折れだぞ」と、脅され、レミリアもレミリアで、フランに「あら、お姉さま――お客様に吸血鬼の力を見せつけるチャンスよ! ……まさか、負けるかもなんて思ってないわよね?」と、挑発される。

 

 そこまで言われたら当主としては引けないだろう。レミリアは余計な真似をした魔理沙をキッと睨みつけてから、咳払いと共に重い腰を上げ――。

 

「やってやろうじゃない――」

 

 フランの隣に並び立った。納得がいかない霊夢だったが、妖怪に交戦の意思を表されて戦わないほど、博麗の巫女はおとなしくない。

 袖からスペルカードを掴むと、フランたちと相対するように前に出る。

 

「やるからには本気よ? またコテンパンにしてやるわ!」

 

 その威勢のよいセリフにレミリアが反応する。

 

「ふん――それはこっちのセリフよ? 最近はご無沙汰だったけど、ちょっとやそっとで腕は衰えない。アンタを跪かせるなんて訳ないわ。精々、実力を出し切ることね――」

 

 挑発に継ぐ挑発。両者とも戦うと決めた瞬間から、いつもの勢いで相手を牽制。自らと場のテンションを上げていく。

 

「今度こそこの世から追放してやるわ!」

 

「やれるもんならやってみな!!」

 

 啖呵を合図にするかのようにカードを正面にかざした後、レミリアが来客の安全を配慮――図書館の奥を指差し、翼を羽ばたかせて飛んでいく。

 霊夢は鼻を鳴らしながら、レミリアを追い、魔理沙とフランも彼女たちに追従。派手に暴れ始めた。

 

 ――マスタースパーク!

 

 ――レーヴァテイン!

 

 ――夢想封印!

 

 ――スピア・ザ・グングルニル!

 

 図書館内にスペルの発動音が鳴り響き、星の極光が放たれ、紅蓮の炎が辺り一面を激しく焼き払い、虹色の光弾が重力を無視して動き回ったと思えば、突如現れた真紅の槍が全てを引き裂く。

 次々と巻き起こる衝撃と爆発。もはや戦争である。

 来客に危害が及ばないようにパチュリーが、右京たちの周辺に結界を張って「ここからでないように」と忠告する。

 右京は結界ギリギリまで近寄り、彼女たちの戦いを興味深そうに観察。つられるように稗田の御子がその隣で目を輝かせる。

 空中を飛び回り、弾幕を撃ち合い、四人がスペルカードを展開しあう。思わず右京が唸った。

 

「やはり、すごいですねえー! 幻想郷ならではの光景です――荒々しさの中に華がある」

 

「それが幻想郷のウリですから」と阿求。

 

「元気じゃのうー。儂にはあんなの無理じゃわい」とマミ。

 

「え、マミさんもあれくらいできるんじゃないですか?」

 

 さりげなく尊が訊ねると「まぁ、できなくはないが――」とマミは何気なく呟き、小鈴が感心したように声をあげる。

 戦いは激しさを増していくが若干、レミリア側が有利のようだ。彼女が誇る高速の槍さばきとフランの巨大な炎剣のリーチに苦戦――霊夢、魔理沙共々、攻めあぐねているのが主な理由だ。

 猫を被っていた時とは別人のようにその瞳から紅い閃光をギラギラと迸らせ、攻防を繰り広げるレミリアの姿にインスピレーションを掻きたてられた右京が、カバンから真っ白い紙とペンを取り出し、カバンを下敷きにして〝何か〟を書き始める。何気なく、尊が後ろからそっと覗く。

 

「(へー、なるほど。そーいうことですか――)」

 

 書かれている内容を見て尊は()()()()()なと考え、声をかけなかった。

 ギャラリーがいるからか、普段あまり本気を出さない霊夢も空間移動なるものを駆使しながらレミリアたちのでたらめな攻撃を躱しつつ、かく乱するように反撃に転じる。

 放っても放っても攻撃をすり抜ける霊夢に苛立ち、フランの攻撃が投げやりになったところを魔理沙が高火力で狙い撃ち、スペルカードの破壊を狙う。

 まさに技と力の連携。最近、起こった憑依異変の経験が役に立ったのだろう。少し前まで、単独で戦ってきた霊夢たちは方向性の違いから反目し合いながらも中々の連携を披露している。

 フランは連携というものをまるで知らないので、ふたりの戦い方に苦戦を強いられるが、そこにレミリアが割って入るように飛び込び、フランを守護するように立ち回る。

 まさか行動にフランは呆気に取られたような表情を見せる。レミリアは彼女に背中を向けたまま――。

 

「フラン――あなたに合わせるわ」

 

 そう言った。

 

「うん……。わかったわ!」

 

 フランは炎剣を掲げるように振り上げてから霊夢たちへと叩きつけた。

 それを先ほどと同じように空間転移で躱す霊夢だったが、空間の割れ目から出る瞬間をレミリアが狙って槍を投げつけて後方へと大きく吹き飛ばす。

 そこを魔理沙がチャンスと捉え、丸腰のレミリアへ狙いを定めるが、フランの剣撃により阻止される。なんと、フランもレミリアに促されるように連携を取り始めたのである。

 これなら負けない。吸血鬼たちが勢いを取り戻し、それぞれの得意技をガンガン放つ。人間側も負けじと、連携を強化して迎撃する。

 それから、戦闘はさらに加速――終局へと向かっていくのだが、その頃になると予め図書館に施された結界に幾重もの亀裂が走り――図書館そのものが、いつ崩れてもおかしくない状況に陥ったことで、パチュリーが戦いを止めに入って、勝負はお預け。

 戦いは引き分けとなり、夜も遅いってあって、宴はお開きとなった。


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