男は世界を観測し吸収する技術を得た
その技術により別世界の武器や道具を生み出すことに成功するが、男はそれだけでは満足できなかった

あふれる好奇心が死神を呼ぶことになったとしても……

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死神は闘争を求める……

「世界は一つである、と誰か証明できるものはいるだろうか?」

 

 生徒など誰も座っていない暗い講義室で、白衣を着た男は語る。

 

「そもそも世界とは一個人の価値観で変わるものでありとても不安定だ。

 それが確かにそこにあるのだと証明しようとしても、証明する人物が感じる世界を他人に完璧に教えるなどということは到底できはしない」

 

 男は語る、楽しそうでいてどこか嘆くように。

 

「なので、ここでは”世界は一つではない”と仮定して話を進めよう」

 

 男は一度目を閉じてから口を開いた。

 

「例えばそう、科学文明が我々の世界より発達した世界もあるだろう、世界の法則そのものが違っていていわゆる魔法が存在する世界もあるかもしれない」

 

 男は話を続ける。

 

「結局何が言いたいのかといえば、世界とは可能性と呼ばれるものと同義ということであり、世界を手にするということは可能性を手にするということに他ならない」

 

 そう口早に話す男の目は、ここではないどこかを映しているようでどこか光り輝いているように見えた。

 

「そこで私は生み出したのだ! ありとあらゆる可能性という名の世界を手にする方法を!」

 

 男は声高々にそう叫んだ。

 

「だが可能性(世界)を手にするのは簡単なことではない、いくつかの可能性(世界)を手にしようとしたが成功例は、まだ二回程度だ」

 

 男は頭を掲げながら残念そうに語る。

 

「だが、わたしはあきらめない。 あきらめるということは可能性(世界)を手にすることを放棄するということだ……それだけはいけない断じて認めない。 なぜなら可能性(世界)とは、あきらめなければ必ずかなうのものだから! ハハハ……ハーハっハ!」

 

 さて、この傍から見ればただの変な人物にしか見えないこの男の名は、有沢巧。

 武器から家庭の日常品まで何でも取り扱う企業Future Timesの科学者である……科学者の前にマッドが付く類ではあるが。

 

「さて、次はどのような可能性(世界)を手に入れてやろうか……ん?」

 

「あっ有沢主任!」

 

 しゃべり終えた有沢のところへ一人の科学者が走りこんできた。

 急いできたのだろうか、肩で息をしている。

 

「んー? どうしたんだい私の部下Aよ」

 

「じっ実験体が……ほかの研究員を殺害しだっ脱走しました!」

 

 実験体、いかにも不安な言葉の並びだが有沢は取り乱しもせずに

 

「フーン? で、なにが逃げたの?」

 

 軽くそう返答した。

 

「軽!? ってそれどころじゃない、異界技術同士の融合実験体です!」

 

 それを聞いた有沢は、どこか嬉しそうに

 

「マジで!?」

 

「マジです! ってなんでそんなに嬉しそうなんですか!」

 

「こうしちゃいられねぇ! 行くぞ私の部下A!」

 

「って主任早!?」

 

 走り出した有沢は部下を置いて全速力で走りだした。

 

「待っててねぇ脱走者ちゃん! お父さんが君を捕まえに(殺しに)行くよぉぉお!」

 

 顔を満面の笑みにしながら……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私は何のために生まれたのだろう。

 この研究室で生み出されてから何日たっているのかは数えていないが少なくとも1カ月は立っていると思う。

 最初にやった実験は何だっただろうか……。

 

 確か『インフィニット・ストラトス』とかいうパワードスーツだったと思う。

 1回目は限られた空間でだけだったけど、空を飛んで。

 2回目はほかの子と戦って。

 3回目は宇宙に放り投げられて。

 ……あの時は大変だったなぁ、いきなりロケットに入れられたと思ったら放り投げられて自力で帰ってこいなんていうんだから。

 あっそういえば宇宙から帰ってきた後一週間くらいの記憶がないやなんでだろう。

 

 たしか返ってきたとたん眠っちゃって、起きたら研究室のベットの上で周りに手袋とマスクした研究員の人たちがいっぱいいたけどなんだったんだろうなぁ……まあいいや。

 

 その次の実験は……そう『アーマードコア』ってやつのシュミレーションだっけ? 『インフィニット・ストラトス』と違って最初は早すぎて気持ち悪かったけど慣れたらすっごい気持ちよかったやつ。

 ドヒュウドヒュウって二回連続でやったときは研究者の人たちがなんだかすっごい喜んでたなぁ……なんでだったんだろ。

 

 ほかにもやったような気がするけどなんだっけなぁ……

「実験体9番実験の時間だ部屋から出ろ」

 あっ考え事してたら呼ばれた、行かなきゃ。

 

「はい」

 

 返事を返してから私は部屋から出て行った。

 

 

 

 

 

 

 部下Aが自身の上司である有沢を呼ぶ10分ほど前。

 研究室ではある実験が行われていた。

 実験の内容とは、異世界の技術同士の融合である。

 有沢が生み出した技術によって別世界の技術を観測し、その世界の技術を吸収することが可能になったのだがそれだけでは有沢は満足しなかった。

 

曰く「可能性と可能性を組み合わせれば、新たな可能性が生まれるじゃないか!」とのこと。

 

 そんな有沢の子供のような発想に、周りの研究者はあきれるどころか賛同するのだから、悪い意味で純粋な者たちが多かったということだろうか、上を納得させ研究費を出させているのだからすさまじい。

 

 

「実験体番号9番こっちへ」

 

「はい」

 

 研究者に連れられ、白髪の少女がやってきた。

 少女の腕には白い腕輪が付いている。

 

「では、実験を始めろ」

 

「はい、実験名称異界技術融合実験。 実験技術名『インフィニット・ストラトス』ならびに『アーマードコア』 実験開始します」

 

 そういうと、研究員は遠隔操作で少女の腕輪を起動させた。

 実験場にいた少女を光が包み込み、光が晴れるとそこには一体の『白』がいた。

 その『白』は、重厚な白いアーマーを纏い、両手には二丁のライフルを装備していた。

 

「実験は成功だ!」

 

「初の試みでしたがうまくいきましたな」

 

「今日はいい酒が飲めそうだ」

 

 現れた『白』に研究者たちは喜びの声を上がていたが、しばらくすると少女の身に異変が起きた。

 

「う……うううううううッ」

 

「ん? なんだ」

 

 研究者たちが少女を映すカメラに目を向けると少女が頭を押さえ蹲っていた。

 

「何かあったのか……? 今すぐにあれを停止させろ!」

 

 一人の研究員が少女の纏う『白』を停止させるように言うが。 

 

「だっだめです!? こちらのコントロールを受け付けません!」

「なんだと!?」

 

 騒ぐ研究員立ちをよそに少女の脳内にはシステムメッセージだけが響いていた。

 

【システム起動】

【コジマジェネレーター……OK】

【プライマルアーマー……OK】

【アサルトーマー……OK】

【両ライフル……OK】

【ミサイル……OK】

【システムオールグリ//////不明なシステムが接続されました直ちに停止してください不明なシステムが//////システムオールグリーン プログラム『J』の起動を許可します】

 

 「あ」

 

 システムメッセージが途切れると、少女の体は攣られた人形のように腕を垂らした。

 そして……

 

「なんだ……装甲の色が!?」

 

 少女のの纏う『白』だった装甲は、いつの間にか『黒』へと変貌し緑色の粒子を放っていた。

 『黒』へと変わった少女は起き上がり、両手のライフルを研究院たちへと向けトリガーを引いた。

 両手の二丁拳銃から放たれる弾丸が、強化ガラス撃ち砕き研究員たちを殺害した。

 

「闘争を……私にはそれが必要だ」

 

 少女の放つ粒子が彼女を緑色に染める。

 少女が見えなくなるほどに緑色の粒子が集まると、少女は粒子を全方位に解き放った。

 解き放たれた粒子は強烈な衝撃波と化し、あたり一面を破壊し尽くした。

 そして少女はドヒュウっという独特な音を鳴らしながら、研究所から脱出した。

 闘争を求めて……


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