最近思いついたのでささっと小説にしてみました。
この1年ですっかりFateの世界に引きずり込まれてしまった虹野。
残業代が一切支払われないブラック企業に務める傍ら、なんとかFGOのイベントだけは完走を目指して周回に勤しんでいた。
「それで、あなたそれなりの歳なわけでしょ?FGOが好きとか言ってて彼氏ができるとでも思ってるの?」
「う、うるさい…!あなただってよく分からないアニメが好きって言って合コンで引かれてたじゃない!」
「私は課金をしていない」
「そこになんの違いがあるのよ!」
「違うのだっ!」
ブラック企業には心が壊れた社員がたくさんいる。
今私が一緒にランチを食べているのも、そうした闇に目覚める者の1人だった。
…まぁ、職場の先輩なんだけど。
「それで…昨日の合コンだけど、気になる人から連絡はあった?」
分かってて聞くのだから性格が悪い先輩だ。
「そういう先輩はどうなんです?私はまだ23だから余裕ありますけど?」
「ふっ、やっぱり私の目にかかる男は2次元にしか存在しないわね」
「痛い…今年27になる女性の発言とは思いたくない…」
日曜のランチ時、さすがに店はお客さんでいっぱいだ。
私と先輩のように普通にオシャレな会話を楽しむ女性客もいれば、
カップル客も数組。
「お待たせしました。こちら、醤油ラーメンです」
チッ、せっかく3行でオシャレな店にしてやったのにこの店員め、
余計なセリフを挟めてくるんじゃねぇ。
「そんなことより先輩!先月、17万かけてイリヤを召喚した話をしましたよね?」
「1日10回くらいしてるからもういいです」
「そうとは言わず聞いてくださいよ!」
「やだよ」
「そのイリヤちゃん、やっと最終再臨までできました」
「おそくね?」
「いやぁ。クロに美遊に種火がなくなっちゃって」
「だっさ。それを見越して種火ストックしとかなきゃまだまだだね。新米マスターくん」
「そういう先輩はどうしたんですか?ほら、凶骨が足りない騒いでたじゃないですか」
「なんか適当に使ってたらストックが100切ってほんと焦ったよねーあの時は」
「100?」
「え、100切ったら泣きたくならない?」
「今私26ですけど」
「まだまだだね新米マスターくん」
こうして私は今日も下らない会話をしている。
前の彼氏と別れて早1年。
オタクすぎて幻滅したってはっきり言われて早1年。
それから社会人になって、仕事さえすれば後は自由になって、
オタクこじらせて、なんとか今日まで生きてきた。
そろそろ結婚とかいろいろ意識しはじめなきゃなのかなぁ、
と思うけど、まだいいや!って思いもあったり。
結局、ふわふわした人生を歩んでいるわけだ。
特にこうしたい、こうなりたいって思いもないままで。
現実逃避ではないけど、地に足をつけていないような。
「故に――」
故に、思う。
「体はお菓子でできていた」
「はいはい、バカなこと言ってないでカラオケ行くよ!」
「先輩!さすがです!新しいプリキュアの歌あるかなぁ?」
こうして今日もだらだらと偽りの楽しい日々を過ごしています。