ーエレボニア帝国、遊撃士協会レグラム支部。
一昔前は盛況、とまではいかなくともそれなりの数の遊撃士たちが依頼を見に、報告しに訪れる場所。
今では二年前の事件ゆえに存続こそしているが、閑散とした雰囲気を醸し出している。
依頼がない、というわけではない。
むしろ需要が供給を遥かに上回り、人手不足ここに極まれり、といったところだ。
ここにいる『トヴァル・ランドナー』も遊撃士の一人。
帝国に残る唯一の遊撃士協会を少ない仲間と共に回していた。
つい最近にも諸事情により遊撃士が一人、しかも相当な手練れがやめてしまいそろそろ首が回らなくなりそうだ、とトヴァルは心中で愚痴を溢す。
出来れば国外からの応援、もしくは有望な新人でも入ってくれないものかと現実逃避を始めた頃にー
それはやって来た。
「すいません、誰かいらっしゃいますか?遊撃士になりにきたんですけど…………」
「ーへ?」
水色の髪をたなびかせた、少しだけ遠慮ぎみな少年がカウンターの向かいにたっていた。
◆
「アルト、姓は諸事情によりなし。16歳。使用武器は改造された導力拳銃二丁。経歴は一応帝国人、孤児として各地を転々としていたためこれもなしー」
目の前の少年ーアルトから提出された履歴書をみて、トヴァルはひきつった笑みを隠せない。
それも当たり前だ。
こんなわからないことだらけの履歴書を見せられて頭を抱えない方が可笑しい。
怪しい…………怪しすぎる。警戒するなという方が無理な相談だろう。
それに、彼が警戒するもうひとつの理由があった。
(こいつの顔、どっかで見た気がするんだよなぁ)
それもここ最近のことだ。
遊撃士という仕事柄様々な場所に出向き、いろんな人にあったりするからそれ事態は問題ではない。
しかし、心のどこかで鳴り響く警鐘は無視してはいけない気がしていた。
「あのートヴァルさん?なにか不都合でも………」
「んん、ああいや別に問題は……めちゃくちゃあるな。もう少しどうにかなんない?」
「すいません、幼い頃に両親を亡くしてそれ以降はがむしゃらに生きてきたもので…………あまり覚えてないんですよね。」
孤児としてはごく当たり前な身空話だ。
ついでに良心を持ち合わせていたらこれ以上の詮索を遠慮してしまいそうな話でもある。
良識と良心の板挟みから、トヴァルはひとまず追求を取り止めアルトを観察することにした。
水色の髪に、どこか見覚えのある柔和な顔立ち。
その上で全体的に汚れが少しばかり目立ち、服は成長して丈が合わなくなったものをありあわせの布で補てんして無理矢理着ているようだ。
生きていくのに苦労したというのは、本当らしい。
「ー猟兵か、若しくは犯罪にてを染めたことは?」
単刀直入に切り出すとアルトは苦笑を浮かべつつこう返す
「食うに困って窃盗をしたことがありました…今では深く反省していますが。やっぱり前科があるとダメですかね」
「いやまぁ、それくらいならまだ問題ないな。」
嘘はいってない、トヴァルにも誠実さは伝わったようで(怪しさ度外視して)ひとまず信じたようだ。
少なくとも猟兵をしているようなナリではないし、孤児という身の上で多少の危ない橋はわたらざるを得なかったのだろうと判断した。
悪い奴ではない、それはトヴァルの勘が告げている。
ついでにここで断ろうものならそのまま路頭に迷いそうだと、良心が嗣げる。
長くはない逡巡のあと、彼が決断したのはー。
「ーわかった、ひとまずテストをしてみよう。まず先に風呂入ってからな。」
「本当ですか!ありがとうございます!」
見も蓋もない人手不足の現状そして良心の呵責に負けたのだったー。
作者は閃の軌跡2までしかやってないやれてない未熟者です…………すまない、すまない…………PS4用意しなきゃ()