比翼連理の英雄伝説   作:砂糖露草

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遊撃士

 そして始まる遊撃士試験。

 思いの外、否半ば予想通りの結果になった。

 

 戦闘スタイルとしては巨狼が前に出て敵を掃討しつつアルトが残党の討伐や援護射撃を行うといったものだ。

 アルト自体、主武装が導力式2丁拳銃という決め手に欠けるものであることを理解し後方支援に徹している。

 あるいは戦術オーブメントでも持っていれば話は違ったかもしれない、しかし高額かつオーダーメイドであるそれを用意する時間はなかったのである。

 

 見た限りでは戦闘の実力は十分、成長ののびしろもまだまだありそうだ。

 唯一の懸念は、やはり身元がわからないことだがそれをいってしまえばトヴァルも人のことが言えないだろう。

 

「トヴァルさーん!どうですか!合格ですか!?」

 

 件のアルト少年は年相応の、無邪気さを見せながらまるで喜ぶ犬のように成果を見せつけてくるのでさらに毒気を抜かれていく。

 少なくとも人柄という面でも問題はなさそうだった。

 ー仮に、なにかヤバイ組織に関わっていたとしても、アルトの実力ならなんとかなるし、むしろ監視する名目も含めて近くに置いておくのも手か。

 

 そこまで考えてようやくトヴァルは口を開く。

 

 

「ああ、それだけできりゃあ十分やって行けそうだな。条件付きでだが準遊撃士として認めよう。」

「本当ですか!?」

「あくまで条件付きだからな。一人前と認めるには経験も知識も足りないから当分は俺と一緒に行動して、遊撃士としての心構えと見識を深めてもらう―多少厳しく指導するつもりだから音を上げないでくれよ?」

「はい!よろしくお願いします、トヴァル先輩!」

 

 元気のいい返事と共に敬礼をするアルトをみて、苦笑いが止まらないトヴァル。

 一先ずこれからは敬礼をするのをやめるよう促した後、彼はアルトと巨狼を伴いレグラムへの帰路を辿っていく。

 

 

 そしてこれといった災難もなく無事に町の遊撃士協会にたどり着いた彼らに新たな風が吹く―

 

「マイルズ、今帰った。それで一つ報告が-」

「ああトヴァルお帰り。帰ってすぐで悪いんだがお客さんが来てるよ。君の、というよりはエレボニア支部としての、だけどね」

「―なんだって?」

 

 唐突のことに先程帰ってきたトヴァルとアルトは目を白黒させている。

 その原因となった受付のマイルズは、件の客とやらを呼びに行った。

 

 たいした時間もかからずにマイルズは帰ってきた、二人の少年少女を連れて

 

「初めまして!あたしの名前はエステル・ブライト。こっちは相棒のヨシュア!暫くの間エレボニア支部でお世話になるわ、よろしくね!」

「ぼくはヨシュア・ブライト、エステルともどもよろしくお願いします。」

 

 元気溌剌に自己紹介をする太陽のような少女と、その傍らに寄りそう月のような少年。

 国外から異動してきた異色の二人は、今を生きる英雄達であった。

 

 思わぬ来訪者に固まってしまったエレボニア支部の二人だが、真っ先に再起動を果たしたのはアルトだ。

 

「も、もしかしてリベールの異変を解決したブライト姉弟―あのエステルさんとヨシュアさんですか!?」

「イヤー、アレはあたしたちだけで解決できたワケじゃないんだけどね」

「たくさんの先輩たちの助力と国のみんなが一丸となったからこそ乗り越えられたものだからね。自分たちだけの手柄ってワケじゃないよ」

「それでも僕には雲の上の人と同じです!よければサインを―」

「いい加減にしろアルト!」

 

 ゴツン、よく響く打撃音がなると同時にアルトの口から「アタッ」と悲鳴が漏れでる。

 硬直から抜け出たトヴァルからの指導(しつけ)の一撃だった。

 頭をさすりながら恨みがましくトヴァルを批難するアルト。

 そんなやり取りを見たヨシュアは苦笑を浮かべつつ話を戻す

 

「えっと、あなたがたがこの支部所属の遊撃士ですか?」

「そうだな。おれは正遊撃士のトヴァル・ランドナーでこっちがついさっき入ったばかりで準遊撃士()()()()の―」

「アルトです、よろしくお願いします!」

 

 こうして、リベールの英雄とエレボニアの遊撃士、そして未知数な遊撃士のたまご達の初邂逅となるのであった。

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