ポケットモンスター 侵食される現代世界 作:キヨ@ハーメルン
昨今の異常をポケモンによるものであると断定する
そう日本政府がポケットモンスター、縮めてポケモンを公式に認めたのは記憶に新しい。そしてそれが驚きを伴いつつも、スムーズに受け入れられていったのもまた同じだろう。
あの発表から間もなく一週間。今我々の隣にポケモンはいない。だがテレビをつければポケモンを目にするし、ポケモントレーナーになろうとポケモンを探す人もそこまで珍しくはなくなった。今はまだ、我々の隣にポケモンはいない。しかしそう遠くない未来に、ポケモンは我々の隣に来る事になるだろう。直径5センチ程のボールの中に入ったり、姿形が大きく変わったり、物理法則に逆らって空を飛んだり……そんな不思議な生物が我々の隣に来る日はそう遠くないのだ。
さて、そんな変化する状況で人々の助けとなるべくこの『月刊ポケモン』を発行する事になった我々編集部だが……一つ、疑問があった。
ポケットモンスターとは何か?
根本的な、酷く根本的な事だが我々編集部はそれを知らなかったのだ。
いや、勿論ポケモンが不思議な生物である事は分かる。だが彼らがどこから来たのか? 彼らは何なのか? そんな哲学的とも言える、しかし根本的な事を我々は知らない。
ポケモンはどこから来て、どこへ行くのか?
哲学的かも知れない。だが重要な事でもある。
この難題に対し我々編集部が出した答えは……専門家に聞く。これだ。まだ新しい存在故に数は少ないものの、だからこそ一流の専門家達に話を聞く事にしたのだ━━
・新進気鋭の植物学者は語る
・二人目のポケモントレーナーの苦労
・モンスターボール解析の裏話
広告 これで胃痛ともオサラバ! きのみ成分を使用した最新胃薬!
・ポケモン求めて、今日も関東を走る
・来日した生物学の権威に聞く
……………………
…………
……
さて、ここまで多くの専門家の声を紹介し、ポケモンとは何なのか? その答えがオボロゲながら見えてきた。
しかし、まだ後一人、どうしても話を聞かなければならない存在が残っている。そう最初のポケモントレーナーにして最初のポケモン専門家、不知火白だ。
だが彼女に今現在コンタクトを取るのは酷く難しい。そのポケモンに対する知識の深さと、幼いといっていい見た目からくる襲撃を恐れた政府と財界によって厳重な警戒が敷かれているからだ。
しかし彼女に話を聞かずしてポケモンは語れない━━
そう確信した我々編集部は独自のルートを通じて不知火白への単独取材の許可を獲得。彼女に話を聞く機会を手に入れた。
とはいえ相手は幼い少女。あまり威圧的にインタビューする訳にもいかず、我々は彼女と同年代かつ同じポケモントレーナーをインタビュアーとして送り出す事にした。
バタフリーのトレーナー
ピカチュウのトレーナー
ユニットを組んでアイドル活動をしている彼女達と、不知火白による少女三人のポケモントレーナーによるポケモン談義。そこで我々は驚くべき事実を知る事になる━━
……………………
…………
……
不知火白(以下シロ)「よろしくお願いいたします」
冷水紗輝(以下サキ)「はい、よろしくお願いします」
遊山香(以下カオリ)「お、お願い、します……!」
『三人の少女とポケモン達の和やかな━━1名を除く━━写真』
それぞれの手持ちを外に出して始まった少女トレーナー三人による談義。最初こそ遠慮するような空気があったが、数分もすれば古い友人の様な気安さを感じる程に話は盛り上がっていた。
(中略)
シロ「そういえば今回のこれはインタビューとの事でしたが、私は何を話せばいいのですか?」
サキ「それならこちらが質問するから、それに答えてくれれば……カオリ」
カオリ「はい。先ず最初の質問は『ポケモンとは何なのか?』です」
少女達三人の談義が一段落し━━限界だったのかカオリも途中でバタフリーを降ろして━━いざインタビューへと入る。その最初の質問はポケモンとは何なのか? だ。哲学的ともいえる質問だったが、白氏の返答は早かった。
シロ「ポケモンはポケモンです」
カオリ「いや、それはそうなんだけど……もう少し詳しくお願いできるかな?」
シロ「そうですね…………家族、ですかね」
サキ「家族」
シロ「はい。当たり前に、自分の一番近くに居てくれる存在。それが私にとってのポケモンですし、そういう存在の事を世間では家族とよぶと思うので」
サキ「なるほど。ポケモンは人の家族に成りうる存在だと」
シロ「はい。犬や猫よりももっと身近に、近くに居てくれる存在だと思っています。……これは、サキさんやカオリさんも実感しているでしょう?」
カオリ「あー、確かに。この子と居る時間結構長いし……家族と言われても違和感ないかな」
サキ「まぁ、ね」
ポケモンは家族。それはつまりポケモンと人は隣人や友人を越える関係になるという事で、未だ多くの問題が山積している中でその考えを語るのは、流石最初のポケモントレーナーといったところか。白氏のポケモンへの愛は本物の様だった。
シロ「他に何か質問はありますか?」
カオリ「えーと……それじゃあ『今後ポケモンとの関係はどうなるのか?』について聞いても?」
サキ「出来れば今後予定しているイベント等があれぱそれも」
シロ「ポケモンとは仲良くなっていきますよ。間違いありません。そしてイベントですが……んー、言っても良いのかな? 良いか」
カオリ「お、何かまだ発表してない情報が?」
シロ「はい。今話していいのは『ジム』と『リーグ』の話ですね。『法案』や『関連商品』の話は駄目なので」
さもありなん。しかし『ジム』と『リーグ』の話も興味深く、更に詳しく話を聞く事になった。
シロ「ポケモンジムについては半年を一つの目処とし、先ずは関東に8ヶ所をオープン。その後様子を見て増設していく予定です。ポケモンの捕まえ方や育て方といった基本的なレクチャーから、ポケモンバトルに勝つ為の訓練まで幅広いニーズに対応する場所になるでしょう」
サキ「ポケモンバトル、ね。これにはあまり良い声がないけど、シロちゃんとしてはその辺りどう考えてる?」
カオリ「ちょ、サキ!?」
シロ「構いませんよ。まぁ、最初が最初でしたから仕方ありませんが……やってみれば、あるいは見てみれば分かると思います。人もポケモンも、両者にとって楽しいものだと。とはいえニガテな人やポケモンもいるので、ジムの利用は強制ではありません。一度は訪れて欲しいですが」
サキ「なるほど。食わず嫌いはするなと」
シロ「ハッキリ言えばそうなります。見もしないで文句言われても困りますし」
カオリ「あ、アハハ……」
歯に衣を着せずにズバズバと物を言う二人に、カオリの胃は荒れる一方の様子。しかし談話はまだ始まったばかりだ。
サキ「では『リーグ』とは?」
シロ「リーグ、正式にはポケモンリーグですね。ポケモンに関する統括組織、そして人間でいうところの……オリンピックを開催する物になる予定です。地方ポケモンリーグ、全国ポケモンリーグ。行く行くは世界ポケモンリーグの開設、開催を目指しています。その先駆けとして半年以内にも全日本ポケモンリーグの開設、そして第1回関東ポケモンリーグを開催する予定です」
カオリ「えっと、つまり大きい大会が近々にあると?」
シロ「はい。関東中の腕自慢を集めた大会になる予定です。選考も予選もしていませんから、まだまだ参加のチャンスはありますよ。……ちなみに、お二人は参加されますよね?」
カオリ「ふえ? え、えっと、出ても良いんですか?」
シロ「出ないんですか?」
サキ「予定が合えば、かな。シロちゃんは参加する予定?」
シロ「勿論です。挑戦待ってますよ」
ポケモンバトルなら受けてたつ。そう笑顔で語るシロ氏。とはいえ以前見せつけた圧倒的な技量に勝てる者が居るのだろうか? そんな疑問を抱えつつ次の質問へと移る。
サキ「んんっ、では次の質問を……けど似たようなのを繰り返すのもあれだし、カオリ?」
カオリ「えーと、これかな? 『シロちゃんについて』聞きたいです」
シロ「漠然としてますね……私についてですか。私の経歴は聞いていて面白い物ではないと思うのですが……」
カオリ「え、えっと、それは。あ、アハハ……」
不知火白。彼女の経歴は謎に包まれているが、あまり面白い物ではないらしい。一説には過酷な幼少期を過ごしたらしいが……とはいえ、無理に聞く事もないので質問は変更された。
サキ「普段何をしているか、とかでもいいと思う」
シロ「普段……そうですね。絵を描いたり、お話したり、かな。後はポチと縁側でゆっくりしたり?」
サキ「それは、なんというか……」
シロ「ジジ臭い?」
サキ「いや、まぁ。はい」
カオリ「アハハ……シロちゃんはお買い物とかしないの?」
シロ「あまり物に執着がないので、買い物とかは必要性を感じないんですよね。日光もニガテですし。それに育ての親の影響か、のんびり過ごすのが一番性に合うので」
カオリ「育ての親……?」
シロ「東郷っていうお爺ちゃんですね。後は近所の人達? まぁ、皆お年寄りなので自然と趣味もそちらに寄っちゃって。その辺り普通の子供とは違うかも知れませんね……」
そう相棒を撫でながら語る白氏。その顔に陰りはないが、どこか寂しそうであった。
カオリ「え、えっと、お友達と遊んだりとかは……?」
シロ「居ませんし、無理ですね。それに同年代の子とはどうにも話が合わないんですよねぇ……気づいたら皆逃げてたりしましたから」
サキ「ちなみに、何の話をしてて?」
シロ「ポケモンの話を少々」
サキ「あぁ……」
シロ「でもお二人とは話が合いそうでなによりです。良ければこの後ポケモンバトルでもどうですか?」
カオリ「え゛。シロちゃんとポチに挑めと?」
シロ「んー……レベル差もありますし、そちらでタッグを組んで二対一とかどうですか?」
カオリ「い、いやーどうかな? ね、サキ?」
サキ「面白い話だとは思う。けれどまた何で急に?」
シロ「前回含めてマトモなポケモンバトル出来てないので……機会を逃したくないんですよね」
カオリ「確かに」
サキ「なるほど」
やはりというべきか。白氏は前回のポケモンバトルに不満があるらしく、本来のポケモンバトルを行いたいそうだ。
当初の予定にはなかったが、ポケモントレーナー同士という事もあり変則的なポケモンバトルが行われる事となった━━(特典DVDに続く)
前々からやってみたかった雑誌風に挑戦してはみたものの……やりたい事とやらないといけない事を盛り込んだ結果再現度が中途半端な出来になり、クオリティもだだ下がりした。反省。たぶん二度とやらない。
◇
トランセル 9.9キロ バタフリー 32キロ
コンパン 30キロ モルフォン 12.5キロ
これ、やっぱりバタフリーとモルフォン取り違えてないか……? トランセルデブってるし、コンパンはダイエットってレベルじゃねぇぞ!? ……ん? いや、あえてバタフリーとモルフォンを取り違える事で齟齬を発生させ、侵食されないようにしている可能性が……?