色々と立て込んでたの!!
妄想ばかりで筆が進まなかったりしたの!!
許して!!
あとヴィーシャがただのギャグキャラになってるけど許して!
このヴィーシャはいせかるから輸入してきたヴィーシャだから!
「ばれんたいんでー……ですか?」
自分に割り当てられた時間での治癒を終え、迎えに来てくださった我らが『白銀』、ターニャ・フォン・デグレチャフ少佐の口から、聞き慣れない単語が飛び出しました。
……ご挨拶が遅れました。私はフリューア・アーデルハイト軍医中尉であります。
放っておけば無休にて治癒に没頭する為危険、などという判断を上にされ、私が休暇などで手が空いているときは各地の野戦病院などに私の活動が許可された時間が流布されるようになり。
私の姿を確認した関係者はすぐさま本部に報告。
本部経由でデグレチャフ殿の耳に入り、私の活動時間を過ぎると、なんと迎えに来てくれるようになりました。
曰く、
「自分を犠牲に無限に活動しそうで怖い」
だとか。
流石にデグレチャフ殿から、死ぬなと命令をされた身ですから、働き過ぎての過労死なんてヘマはしません。
第一、そうなってしまっては私の死に場所は固い地面になってしまうわけでありまして。
どうせ死ぬのならばデグレチャフ殿の腕の中と決めているのであります。
「そうだ。まぁ……色々と思惑のあるイベントだが、簡単に言えばチョコを送りあう習慣の様なものだ」
「チョコッ!!?」
当たり前のようにデグレチャフ殿の隣を歩いておられるセレブリャコーフ中尉が途端に大きな声を出されました。
……チョコなんていつも私があげているでしょうに。
「落ち着きたまえ中尉。ただ渡すだけでなく、日頃からの感謝の気持ちやこれからもよろしくと言った気持ちを込めて相手に送るもので、あるいは異性に好意を伝えるために――」
「デグレチャフ殿はどなたかにお渡しするご予定がっ!?」
「あ、……いや、特には無いが……」
デグレチャフ殿が異性に? 好意を伝えるために?
……どうしましょう。デグレチャフ殿がもし異性の誰かにチョコを渡した場合、
その場合は果たしてデグレチャフ殿の好意を受け取ったと言えるのでしょうか?
「そこで、まぁ異性に渡すよりは気楽であろう同性の我々でチョコを送り合わないか、という提案でな」
「是非!!」
「チョコッ!!」
涎を隠しもせずに……というか返事がチョコになってしまっているセレブリャコーフ殿を尻目に、私たちは手作りのチョコを送り合う約束をしました。
へ? もちろん材料のチョコは私の大量にある在庫からでありますよ?
ふへへ……、このチョコにこれとこれを混ぜてデグレチャフ殿に食べさせれば……。
*
「邪魔するぞ、アーデルハイト殿」
「お邪魔しま~す」
偶然私の家の前で居合わせたでしょうデグレチャフ殿とセレブリャコーフ殿を迎え入れ、女子会チョコパーティの開催をここに宣言させていただきます。
「何もない家ですが、どうかおくつろぎください」
「いや……謙遜でも何でもなく本当に何もないな」
私の家の中を見渡してデグレチャフ殿が呟きますが、失礼な。
ちゃんとベッドとテーブルと椅子があるではありませんか。
これ以上、何が必要と?
「さて、まずはアーデルハイト殿のチョコから頂こうか」
席に着くなりそう言われたデグレチャフ殿は、私に目配せをします。
ええ、大丈夫です。しっかり準備いたしましたから。
「はい。と言っても私は特に工夫は無くてですね――」
そういって取り出したのは大きめのボールが二つ。
片方には湯を。もう片方には溶かしたチョコレートを。
「焼いたパンや各種フルーツ、マシュマロなんかもございます。これらを溶かしたチョコに付けて食べていただこうかと」
「素晴らしい。チョコフォンデュというわけだ」
「チョコ!!」
というわけで早速お二方にフォークをお配りし、予め切ったり焼いたりしていたパンやフルーツをお出しします。
しかし、ご自分でこのようなものが食べたいと私におねだりしてきたデグレチャフ殿が、まるで私が望んだものを出したかのように振舞われるのはいささか気になりますね。
……こう、部下の前で自分が欲したという弱みを見せたくないということでありますか?
「あぁ……白パンに絡むチョコのなんと美味しい事か」
「流石にチョコだけですとすぐ固まってしまうので、アルコールを飛ばした赤ワインだったり、ミルクを入れてあります。口に合ったようで何より」
「実に素晴らしい味だ。セレブリャコーフ少尉を見たまえ。一心不乱に食べているぞ」
「――ハッ!? 私は何を!?」
どうやらセレブリャコーフ殿はデグレチャフ殿の言葉で正気に戻ったようでありますな。
良かった良かった。これで――。
これで、デグレチャフ殿と合法間接キスが出来るチョコの海を私も味わうことが出来ます。
最初は何にしましょうか。……マシュマロにしましょう。
感触的に唇に似ていますし、これをデグレチャフ成分の溶けたチョコに浸せば、それはもうデグレチャフ殿とキスをしているも同義。
うへ……うへへ////
「どうしたアーデルハイト殿? 先ほどから食べていないように思えるが?」
「――ハッ!? い、いえ。このようにワイワイと卓を囲むことが珍しく、思わず感慨に耽っておりました」
「あー……。貴官は少々――いや、かなり働き過ぎだ。もう少し自分を労われ。その内生活を私と共にせねばならなくなるぞ?」
え? 願ってもいませんが? それはどれくらい自分を犠牲にすればついてくるオプションなのでしょうか?
おはようからおやすみまでデグレチャフ殿と一緒?
何んですかそのヴァルハラを超越した空間は。
「ほら、また手が止まっている。早く食べねば少尉が全て食べてしまうぞ?」
「――ハッ!? いただきますであります!」
促され、ようやく最初のマシュマロにありついた私を見て、デグレチャフ殿は――、
「こうして賑やかに食べるのもいいものだ。そうだろう? アーデルハイト殿」
と、私に微笑まれました。
もう、それだけで、私のお腹は一杯です。
ぶっちゃけデグレチャフ殿にはワイン入れたチョコレートボンボンとかを渡したかったけど、それをすると作者の脳内で全年齢対象では書けない描写がふんだんに入った文章になって公開できないためあえなく却下。
このチョコフォンデュの後にはヴィーシャが淹れたコーヒーと紅茶に舌鼓を打ち、二人が作ったチョコを楽しんで終わりです。
え? なんでその描写が無いかって?
……作者が全くと言っていい程料理が出来ないし味の描写が苦手だからだよ!!