ヒロアカ好き女子、明日奈がゆく!何故か次元越えちゃった私のヒーローアカデミア 作:弱虫あくび
あのーほら、“ひよ子”っていうお菓子あるじゃないですか、美味しいけど口ん中の水分なくなるやつ。
あれ食べるの抵抗しません?こう、ひよ子の顔見ると口に入れるのが嫌になると言いますか……抵抗しちゃうんですよねぇ。
共感者は今のところいません。はい。
何が言いたいかと言われると、まあ特に何かを言いたい訳ではないです。
鳩サブレは立体的じゃないしあれ鳩じゃないんで、大丈夫です。
『あかね荘』という2階建てアパートの2階角部屋を後にした私は、この世界がどこの何なのかを知るためにも、まず人通りの多い場所に行こうと思った。
ここら辺も人がいない訳ではない。アパートあるくらいだし。言うなれば静かな住宅地だ。好きなんだよねぇ、こういう廃れてない静かな感じ。人が少ない早朝の学校みたいな静けさとか。
でも静かなら尚の事、大通り行かないと。普通の家々だけでこの世界を知るなんて不可能に近いからね。
はあぁと白い息を吐きながら、部屋から拝借してきたコートの上から身体をさすった。やっぱりコート着ても寒い。着ないよりは全然マシだけど、それでも下の方は極薄生地のままだから。北国生まれだから寒さには一応の耐性あるつもりだけど。
まあ我慢出来るし歩いてれば慣れるよね。
玄関を出る時、唯一の持ち物であるスマホの電源を入れてみた。
恐ろしい事に何故かスマホはワープ先の世界にきちんと応じている。今までがそうだったんだから、きっと今回も大丈夫。
スマホには“2月12日 10:13”という文字。
2月かい!!そりゃさみーわな!
でも今のところは全然空腹も感じないから、昼ご飯は食べなくても平気かな。それに1日2日なら何も食べなくても餓死しないからね。
心配なのはそれ以降だ。どうやって生きてけばいいんだろう。義務教育真っ最中野郎が無一文で所持品スマホだけだなんてそれこそ、○と千○の○隠しみたいに「ここで働かせて下さい!」方式になる……路上ダンボール生活になる……
沸々と未来への憂鬱感が募る中、方向音痴野郎は直感と反対方向へ進んで行く。
少し歩くと、いかにも奥様ぁ〜って感じのおばちゃ…お母様方が大きな家の近くで話していた。会話が耳に入る。
「ねえ、ぜひまた誘ってくださらない?」
「そうね。
「勿論よ〜!でも、あなた方の
「そうかしら?でもねぇ……」
んん?会話に違和感を感じる。“個性のおかげ”とかって言ってたよね。普通はそういう言い方しないと思うんだけどな。
「ねえ、ちょっとそこの君」
てゆーか日常生活でそんな言葉あんま使わなくない?
ん〜〜てことは、この世界は普通とは異なる意味の
「前を歩いてる黒いコートのお姉さん!」
だあああああああああ!?!?
うっそでしょおおおおおおおお!?
ま、マ、マジでマジなのマジマジなの!?この世界って、この世界って…!!ぼ、ぼぼ僕のヒー
「ねえちょっと!!聞こえてる!?さっきからあなたのこと呼んでるんだけど」
……?え、なになに…?
いきなり腕を掴まれ我に返る。そして一気に現状の危機を、あの時の…襲われ死にかけた時の恐怖を思い出した。
脚が固まって動けなくなる前に腕を強く振り払い、後ろを振り返らずに走り出す。
ちょ、やば、気付かなかった!こんな時にまた!?もう、もうあんな怖い思いしたくない!!早く逃げなきゃ!!
「えっちょっと何で逃げるん!?待って!」
不審者の言うことなんか聞くわけないでしょ!!声的に女性っぽいから女性不審者なんて珍しいけど、このご時世この世界なら十分有り得るし!
「待ってってば!ねえ!!」
まだ追いかけてきてる!いや段々近づいてきてる!?足速くない!?ヤバいこのままじゃ追いつかれるっ!どーする!異能使う?追い払う?でも腕触られただけだから、使っても正当防衛にはならないしっ…
迷いながら走っているうちに、また腕を掴まれてしまった。今度はがっちりと。
「はぁっ、はぁっ、やっと捕まえた!もう逃がさんで!」
「い、嫌…!離して!!やめて!!私っ…私、まだ死にたくない!!!」
「は、はあっ??……あ、もしやうちを不審者か何かと勘違いして」
「不審者以外に何があるの!!」
そう言うと、その女性はいきなり
「あっははははは!」
笑い始めたのだった。
「はあ〜笑った笑った!」
女性はひとしきり笑うと、笑いで目に溜まった涙を拭った。
…勘違いだったのかもしんないけど。何なのこの人、いきなり笑い出して。こっちなんか怖くて涙溜めてたってのに。
「…何がおかしいんですか。あと、もう逃げないんで手離してくれません?」
嘘。怪しかったら全力で逃げてやるんだから。
「ああ、ごめんごめん。いやね、不審者だと思われたの初めてだったからなんか新鮮でさ。これからは気をつけるよ」
不思議な人だな。変な人じゃない事は分かったけど、ある意味変人って感じ。
「自分がちょっとそういう人に敏感になってただけなので、気にしないで下さい。勘違いしてしまってすみませんでした」
「…へえ、そうだったんだ。構わないよ、こっちこそ気にしないで」
それじゃあ、みたいな別れる雰囲気になってるけど、あれ?
「あのそれで、何か用があって私を呼び止めたんですよね?」
「そうだそうだ!ちょっと君に訊きたい事があったんだよ」
え、さっき会ったばかりの赤の他人に訊きたい事なんてあるの?まさか、今までずっと騙されてたんじゃないよね…?
「…何ですか」
「あのさ、今日が平日なのは知ってるよね?祝日でもないのに何でこんな所を歩いてるのかな?君、学生だよね。学校行かなくていいの?」
「!!」
訊かなきゃ良かった訊かなきゃ良かった訊かなきゃ良かった!!!
かんっっっぜんに忘れてた!!!言い訳するとね、いろいろと起こりすぎて考える余裕なかったのよ!!ど、どうしよう!取り敢えず何か言って誤魔化さないと!
「ああ、今日うちの学校休みなんです。あのほら、開校記念日で」
「へぇ〜そーなんだ〜」
「はい、そーなんです」
「……」
「……」
「嘘だね」
バ、バレたぁぁぁ!!
「いやそんな」
「いいや。嘘だよ確実に」
ど、どうしてそんなに自信持って言えるんだ?何かしらの理由がなければこんな…あっ、もしかして、この世界が私の考えてる世界と一致してるなら…
「そういう“個性”を持ってるから分かるんですか?」
「うん、そうだけど」
やっぱりそうなんだ。この世界は【僕のヒーローアカデミア】なんだ。
「それで?どうして嘘なんて吐いたの。何かやましい理由があるからでしょ。教えて」
「嫌です。出会ったばかりのあなたに教える筋合いはありません」
「なら無理矢理教えてもらうまでだよ。うちの個性は、相手の思考を知ることが出来るものだからね」
「なら私も個性を使って逃げるまでです。それとも戦ってみますか?あなたの個性は確実に戦闘向きじゃない」
2つの異能力を持ってる。国木田さんに格闘術も教わってそれなりに出来る。思考が読めてこっちの動きを知れるとしても、それに合わせ体が動かなければ意味がない。つまりこの場では女性の方が分が悪い。
平日の真昼間、人通りの少ない静かな住宅地で鋭い目と目がぶつかり合う。漫画やアニメだったら真っ赤な火花が飛び散るところだろう。
しばらくそのままでいると、耐えられなくなったのか女性は深い溜め息を漏らした。
「…うちの名前は知想諒。学生達の訪問カウンセラーみたいな仕事をしてる」
「え?」
「すっかり名乗り損ねてたわ。別に君と戦闘したくて話しかけたんじゃないんだよ。うちの正体が謎めいてるから、ちゃんと話してくれないし信用してすらもらえてない。そうじゃない?」
確かにそれもあるっちゃある。
少しだけこくんと頷く。
「だから軽く自己紹介したってわけ。うちの主な仕事は心理カウンセラーなの。だから悩み事とか特別な事情があって学校を休んでるんなら力になるし、相談に乗るよ」
何なの。ただの良い人なんじゃん。ちょっと拍子抜けしたわ。
「それで君の名前は?」
「霧ヶ谷明日奈と言います。中3です。呼び止められた理由は分かりました。でも私の悩みは計り知れないものなんです。だから知想さん」
「諒で良いよ。苗字呼びは慣れない。うちも明日奈ちゃんって呼ぶから」
「…諒さん。お言葉は嬉しいのですがすみません、言えないです。ていうか言わなくてももう知っちゃったんじゃないですか?」
「ん?どゆこと?」
「とぼけないで下さい。さっき睨み合ってる時
今までの人生のおかげで人の機微なんてちょちょいのちょいなんだから!…ちょちょいのちょいは言い過ぎた。でもなんとなくなら分かるんだから。侮ってもらっちゃあ困るんすわ。
「へえ凄い!分かったんだ!気づかれないように
「心配せずとも理解してます。…どこまで知ったんですか?私の事」
深くまでまだ知っていないのなら。
「いや〜普通の顔してるように見えると思うけどね、凄く困惑状態。さっきと反対でうちには明日奈ちゃんが変人に見えるよ」
で、す、よ、ね〜!!ですよねもう遅いですよね知っちゃいましたよね〜!
「変人に見えるってことは、やっぱり信じてないんで……へっ…くしゅんっ!」
うう、くしゃみして思い出した。めっちゃ寒い!我慢出来るとは言ったものの、流石に何もしないで外に立ってるだけは無理だわ。
「ここで立ち話するのも凍えるだけか。んじゃアパート行こっか」
「え、アパートって誰の」
「うちの」
えっ!いくら良い人でもそれはちょっとなんか、ね。知らない人にはついて行くなって言われてるしでも寒いし…
んーーそれなら!だったらもう!
「でしたら、わ、私のアパートに行きましょう。それなりに近いので!」
「明日奈ちゃん、アパート住まいなの?その歳で珍しい」
「その理由もちゃんと全部話すので。取り敢えず向かいましょう。寒いです」
てことで私は呆気なくアパートに引き返すはめになったのでした。めでたしめでたし。
––––じゃなくって!!私のアパートって言っちゃったけど、あの部屋って私のものじゃないよね?
目が覚めたらそこに居たってだけで、もしかしたら全く知らない誰かが住んでるんじゃ…たまたま部屋主が長期旅行とかしてたから生活感が無いように感じたのでは…?
だ、だとしたらヤバいかも。てかヤバい。アパート行くのやめとく?でもここで「やっぱりダメです!」とか言ったら絶対怪しまれるし。こうなったら部屋主がいないことを願うしかない!!
アパートに向かいながらそう考えていて、ふと思う。今の考えも、この人にはお見通しなんだろうか。
さっき相手の思考が分かるって言ってたからな。個性で知れる範囲内なら丸分かりだよね。
でも、例えば学校でクラスメイトにそんな個性持ってるなんて知られたらいじめに発展しかねないよね。もしかしたらこの人もいろいろと大変な辛い経験をしてきたのかもしれない。
…人それぞれに、それぞれの苦労があるんだよね。そう思うと、なんかね。信じても良いんじゃないかと思えてくるよね。
「ねえ、明日奈ちゃん」
「は、はい。何ですか」
呼ばれて少しビクッとする。丁度、諒さんのことを考えていたところだったから。
「アパートの名前は何て言うの?」
「えっと、“あかね荘”です」
「なーんだやっぱりか!ここら辺にあるアパートっていったら2つしかないからね。うちが住んでるもう1つの方は、“ひだまり荘”って言うんだよ」
「へえー」
「知らなかった?」
「…はい、初めて知りました」
この人、私を試してる?なんかそんな気がしてならないんだけど。思考って言うけど、どのくらい知れるのかは不明瞭だからなぁ。教えてくれないし。
え?質問してないから?ああ、そういえばそうかも。じゃあ単刀直入に訊いてみるしかないかな。
と思ったんだけど。
「よし到着!」
あかね荘に着いてしまった。もう、せっかく訊こうと思ってたのに。
仕方ないか、続きは部屋でってことで。
「こっちです」
まあ、私の部屋があったらの話なんですけどねぇ〜。
2階の1番奥のドアの前まで行くと、ポケットに入れておいた鍵を持つ。カチャリと心地良い音がし、私はゆっくりとドアを開けた。
お願い、お願い!どうか部屋主いませんように!!もう願うのみっ!
ドアを開け玄関に足を踏み入れる。
あ、投稿頻度は低いです。不定期更新です。
毎日更新とか2日に1回とか、自分には出来ませんすみません。
1ヶ月に1回くらいで考えてもらえると良いかと。
よろしくお願いします(。-_-。)