ヒロアカ好き女子、明日奈がゆく!何故か次元越えちゃった私のヒーローアカデミア   作:弱虫あくび

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↑それは最早クレープと呼ばないのではないか。


クレープ然りラーメン然りお菓子然り、美味しい食べ物ほど太りやすかったりしますよねぇ。ヒドイですねぇ。ほんと、ヒドイ話ですねぇ。そこらへん、もーちょっと、こう、なんかほら、何とかならないもんですかねぇ…(語彙力もなんとかしたいねぇ)


第2章 雄英高校ヒーロー科ワクワク入学試験編
クレープって美味いよねぇ!!長きに渡って愛されてきてるもんねぇ!でも国民的長寿番組と一緒でどこか斬新さに欠ける部分もあるんだよねぇ… クレープの皮とか無くしてみたらいいのにねぇ!!


『雄英高校ヒーロー科』

 

そこはプロヒーローに必須の資格取得を目的とする養成校。全国同科中最も人気で最も難しく、その倍率は例年300を超える。

この世界の平和の象徴、オールマイトを始めエンデヴァーやベストジーニストなど、グレイトフルヒーローになるには、雄英卒業が絶対条件と言っても過言ではないのである。

 

 

 

2月26日。雄英高校ヒーロー科入試当日。

 

私、旧姓霧ヶ谷、現姓篠咲明日奈が住んでいるアパート“あかね荘”から、電車を乗り継ぎ約30分。そこから徒歩10分にあるその建物は、まるで博物館の様だった。

 

 

あ、姓変わってるけど結婚はしてないからね。離婚してもいないからね。養子になったんでもないからね。ちょっとぉ!勘違いしないでよねっ!

 

 

…………コホン。話を戻そう。

その建物は、まるで博物館の様だった。

「でっか…!」

目の前に佇む建ちっぷりに大きく驚き、小さく呟く。

実物見るとやっぱり迫力があるというか、まず大きすぎるでしょ。恐ろしさすら感じてくるわ。

 

「きんっちょーするなぁ…」

私は一度立ち止まり、大袈裟に肩を上下に動かして深呼吸する。

 

凄く凄く緊張するけど、大丈夫。だってあんなに手伝ってもらってあんなに頑張ったんだもん。きっと大丈夫。

 

 

 

 

 

2週間と1日前のあの日。

この世界で目覚め知想諒さんという心優しい人に出会った日。会話がひと段落すると、時刻は11時を回っていた。

そしてまずは大量の1万円をどうにかしようってことで、私の口座を作ることになった。

未成年の口座開設の為には、健康保険証などの身分証明書や印鑑が必要になるが

 

「あー保険証のコピーと学生証と印鑑は常備してるので」

「めっちゃ偉くない!?でも印鑑って霧ヶ谷なんじゃないの?」

「親の友人に、はんこ職人がいまして。明日奈はんこを作ってくれたんです」

「凄くない!?」

 

という私のおかげで(正確には持っていなさいと言ったお母さんと、はんこ職人さんのおかげで)保険証の名字違う問題は適当に言い訳しながら、思ったより早く口座開設を終えることが出来た。こうして大量の1万円は無事に預金された。

 

何枚かは手元に残したよ勿論。多少の罪悪感と怪しさ感じてるのに使う気満々じゃねえか明日奈さん。

通帳に記載された預金額がいくらなのか?それはご想像にお任せしますとも。ええ。

 

 

お昼前にそれを済ませることが出来たので、2人でファミレスに行き昼食をとる。がそのま、え、に!

忘れないでいてくれた諒さんは服を買おう、と言ってくれた。ひだまり荘に置いてある諒さんの車を走らせること15分。

 

そんなに都会じゃないこの街にしては規模が大きめのデパートに到着した。

 

「ここいろいろ売ってるから、服以外に欲しい物も買ってこう。昼ご飯食べれる所もあるから」

と言う諒さんに連れられ、値段的にもセンス的にも良い感じの服屋さんを見つけ、何着か服を買い。

初めてのアパート暮らしに足りない物(食料とか洗剤とか調理器具とか女の子らしさ、とか)などを粗方買い。一人暮らしにしては億万長者だからってじゃんじゃん使うんじゃなく、しっかり節約もして。

 

そうこうするうち、あっという間に1時を過ぎてしまったので昼食をとることになり。

「あの、あまりお腹空いてないので私はいいです」

「だーめ!ちゃんと三食食べんと身体に良くない!まだ若いんだから。若いうちはしっかり食べなきゃ駄目だよ?」

「それ、年寄りが若者に言う言葉じゃないですか。諒さんだってまだピチピチの20代なんですからね!」

「中学生が20代にピチピチって言わんといて… 悲しくなってくるから」

 

てことでしっかりラーメン食べて。お腹も膨れたところで買い忘れた物を買って帰路に着いた。

 

 

「あのさ、教えるとは言ったけど勉強道具は持ってる?買わなくて良かった?」

「はい。筆入れもあるし5教科テキストもリュックの中に入ってたので、大丈夫だと思います」

「テキスト持ってるんだ。もしかして受験生だからって常に持ち歩いてる真面目ちゃん?」

「not真面目ちゃんですよ。学校から配布されたんです。…そもそもお盆に家族が家を空けるので、母方の実家で3泊4日する予定で。なのに向かう途中で倒れちゃって気付いたらーって感じで、勉強道具はそのままあるんですよ」

「そうだったのかーんまっ」

「そうなんですん〜まぁい」

 

買い物の帰り。入口に出店していたクレープ屋さんに寄って車で食べながら会話していると、ふと思いついたように諒さんが言った。

 

「そうだ。ずっと聞きたかったんだけど、明日奈ちゃんはこの世界のストーリーを知ってるんだよね?」

「世界全体の事は知りませんが、昨日話した通り雄英の新1Aでの出来事ならまあ、一応は」

「じゃあさ、雄英の入試内容も把握してるんじゃないの?勉強なんかせんでも楽勝なんじゃ?」

「残念ながら筆記の出題内容は全く分からなくて。実技も合否にはほぼ関わりませんしそんなに詳しく覚えてませんし」

「なーんだ。そうなのか」

「逆に不安です。筆記も実技も」

「ん〜?筆記はうちが教えてあげるからー?」

「ひ、筆記は大丈夫だとしても実技が不安すぎて。合格出来るかどうか…」

「良い個性持ってるのに?」

「世界が変わって使い勝手も変わってたらと思うと…」

「なら実際に確かめよう!」

「…え?」

 

諒さんが車の走行方向を変え、辿り着いたのは河川敷。

 

「ここは一体…?」

「うちのお気に入りの場所。ここならあまり人も来ないし平和だし、好きに個性使って良いよ」

「良いんですか?ありがとうございます!」

 

諒さんにも協力してもらい個性をいろいろと発動してみると、使い勝手はそんなに変化していなかった。

しかし前の世界ではもう1つの方を慣らそうと頑張っていたので、まだ完璧に使い熟せていない。だから少しぎこちない部分もあったが、自分の中で1番上手く使えてた時の感覚は意外と早く思い出すことが出来た。

 

 

すっかり夕日色に染まった河川敷を後にし、車に乗り込む。

「どうだった?」

「使い勝手はそれほど変化なかったので良かったです。でも、上限に達するのが前より早くなったような気がします」

「じゃあ頭痛くなるのが早くなった?」

「はい。だから、ちょっと薬買いにドラッグストア寄りましょ」

「そうだね。にしても何でだろ」

「さあ… 世界が変わったからですかねぇ」

 

あかね荘に着き。買った物達の整理を諒さんが手伝ってくれて、これも結構早めに終わらせることが出来た。

「それじゃあまた明日…」

「ま、待って下さい。折角だから夕ご飯も食べていきません?私が全部作りますから。諒さんは休んでて下さい」

「ふーん。じゃあお言葉に甘えて」

 

そして私が作った料理を、諒さんは一口パクリ。

「どうですか?」

「…美味い」

「良かった〜」

「いや!良かった〜なんてもんやないねん!美味すぎる!店で出せるレベル!このままだと宝の持ち腐れ!料理の道に進むべきや明日奈ちゃん!!」

「これからヒーロー科の入試受けようとしてる人に何言ってるんですか。勉強教えてくれるんじゃないんですか」

「いらん!勉強なんかいらん!」

「だから家庭教師がなんて事言うんですか。そんなに褒めると逆に本音に聞こえませんよ。てか諒さんの方が料理上手そうですよね」

「う、うちはあんまり…」

あれ、急に勢いがなくなった。

「もしかして出来なかったり?」

「少しは出来るよ!ただその…あまり美味しくならなくてさ」

「そうだったんですか!スーパー才能マンだと思ってました」

諒さんの意外な一面を知れたのだった。

 

「は〜美味しかった、ごちそうさま」

「相当お口に合ったようで何よりです」

「そんでお礼と言っちゃなんだけど、入試までの2週間ここに居ていいかな。部屋も広めだし。それに明日奈ちゃんもそうしてほしいでしょ?」

「別に居てほしいなんて一言も」

「個性使わなくても分かるよ。1人になりたくなくて一緒に食べようって言ったんでしょ。もっと素直になりんさい。勉強教える代わりにまたご飯作ってよ。ね?」

「…よろしくお願いします」

「はーい。こちらこそよろしく。じゃあ今夜中にあっちのアパートからうちの物持ってこないと。手伝ってもらうからね」

「了解です!」

 

食器を片付け諒さんの私物を運び、テレビ見て風呂入った後は沢山会話をした。

諒さんが私の事を質問してくることは予想していたので、“過去のいろいろ”を話すべきか迷った。でも何故かその事を一切訊いてこなかったおかげで、話さずに済んだのだった。

 

 

一頻りガールズトークをした後はロフトで寝て、あっという間に朝になった。

「おはよ」

「……んん、おはようございます…諒さん早起きですねぇ〜ふあ〜」

「うち朝強いんだよね。明日奈ちゃんは?」

「絶対強くはないですけど、でも弱くもないです。ふああ…」

「弱そうだね」

「あくびがいっぱい出るだけです」

 

「まあどちらにせよ、ちゃんと起きてもらわないと。これから頭使うんだから」

「何してたんですか?」

「明日奈ちゃんのテキスト5教科、全部見せてもらってた。夏休みの課題は?」

「8月18日のチェック日までの分は全部終わってます。あとは国数英が4ページずつと、()()()に置いてきた作文とか5教科以外だけなので」

「ふむふむなるほどね。…うん、出来た」

「あ、あと塾行ってたので数英は夏休み以降の単元も少し習ってます」

「…もうちょっと早く言ってほしかったなあ」

「す、すみません」

「もう。んじゃあここはこうで… おっけー!完成!」

「その紙は?」

「君専用、目指せ合格アメリカンドリームプラン!!今日から2週間、これに沿って勉強してもらう。最初に言っとくけど、厳しいよ?昨日は良い息抜きになったろうし、これからはがんがんじゃんじゃんやっていくからね」

「か、覚悟の上です!」

 

 

 

 

……そういえば“目指せ合格アメリカンドリームプラン”ってなんか、めっちゃデジャヴだよなぁ。

 

 

 

玄関で自分の受験番号5723が書かれた受験票を見せ、実技試験説明会場に向かう。

会場はコンサートホールのような広さで、人がまばらに座っていた。

 

座る席は予め決まっているので自分の受験番号の席を探す。お、見っけた。良かった、後ろの端の方だ。

その席に座るとふぅぅ、と一息つく。んーこういう時間が緊張するんだよねぇ。何か気を紛らわせたいな。単語帳でも見てよっかな。

 

リュックの中を漁っていると、誰かが座る気配がしたのでちらっと前を見る。

「–––––っ!!!」

 

目の前に、蛙水梅雨ちゃんが、いる。

 

あ、あ、危なく声出すところだった…!

ま、まじかまじか!!あの梅雨ちゃんを!!こんなにも間近でこんなにも早く!!見ることが出来るなんてぇ!!やばいやばい、今ので勉強したの全部吹っ飛んだわ!嘘だけど!!

私が興奮状態になっていると、ふいと梅雨ちゃんが振り向いた。ばっちりと目が合ってしまう。

 

「っ…!!」

やばいやばいやばい目合っちゃったぁ!!!どうしよぉ!!いやどうしよーもない!こりゃ無理だ!このまま終わらそお願い!そのまま前向き直して梅雨ちゃんお願い!!

 

しかしあの梅雨ちゃんが、目が合いそれだけで終わらせる筈がなく。

 

「初めまして。ここにいるみんなが争うことになってしまうけれど、お互い頑張りましょう。ケロッ」

「う、うん!お互いがん、頑張ろうねっ!」

 

梅雨ちゃんが再び前を向くと同時に、会場が少し暗くなる。

しゃしゃ!喋っちゃった〜〜〜〜〜〜〜!!よしもう、もう頑張ろう頑張ろう!!これを力に変えて頑張ろうぜ明日奈あぁぁ!!

 

この緊張時に梅雨ちゃんを見れて話せたことに幸せを感じ、鼻息荒くやる気を入れるのだった。




2次元にワープしたのが8月15日で、夏休みの課題中間チェック日が18日。受験生で課題も一段と多いうえに体育会系文化部で忙しいはずなのに、3日前にはチェック日までの課題済ませてるという。意外と計画性あるかと思ったら、後半余裕ぶっこいて結局作文は最終日にやる系女子、明日奈ちゃんです。


次回、やっと実技試験始まる。

(追記)
受験しに来てすぐ実技始まりそうですが、よくよく考えれば筆記のが先じゃね?(感想より、指摘され気づきました)
だがもう遅い!!いろいろ編集!めんどい!やあ!
ってことで変えるつもりは毛頭ございません。だからスルーして?お・ね・が・い♡(きもい)

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