女神転生とソードアート・オンラインのコラボ
いけるんじゃないかと思い、思いついたシーンをとりあえず書いてみた。

そんな中途半端なモノですが楽しんで頂けたら幸いです。

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真・女神転生SAO デビルサマナー キリト

西暦2022年、1000人のユーザーによるベータテストを経て、サービスが開始された世界初のVRMMORPG「ソードアート・オンライン」

約10000人のユーザーが仮想空間に囚われ4000人以上もの人が死んだ最悪の事件が引き起こされる。

 

その事件が解決されて数年後、仮想空間ではある噂が実しやかに囁かれることとなる。

 

『あの子、ゲームから出てきたモンスターに食い殺されたらしいよ』

 

密室でゲームをしていたプレイヤーが、まるで獣に食い散らかされたような有様で殺される事件。

そんな事件が何件もおきて世間を騒がせていた頃。

『ソードアート・オンライン』で二年間を戦い抜き、事件の主犯を倒した少年 キリト。

そんな彼に一通のメールが届く。

 

メールの着信音。

日常的でありふれた事象に対して彼は特に警戒することなく。

無意識に近い慣れた動作でスマホを操作して件名をチェックする。

 

「メールか、どれどれ」

 

そんな気安い様子で画面に表示されたメールに彼は絶句する。

 

差出人は『KAYABA』

 

件名は『悪魔召喚プログラム』

 

それは、彼の過酷な戦いの始まりを告げる滅びの笛の音であり。

神と悪魔と人を巻き込んだ最終決戦(ラグナロク)の始まりを告げるラッパの音色だった。

 

 

 

 

・・・sin

 

・・・真・

 

・・・真・megamitennsei

 

・・・真・女神転生

 

・・・真・女神転生SAO

 

                   真・女神転生SAO

                  デビルサマナー キリト

 

 

 

 

001

 

総務省総合通信基盤局高度通信網振興課第二分室、通称「仮想課」の職員。

菊岡誠二郎は、キリトを呼び出し。

まるであたりまえの世話話でもするかのように昔話をきりだす。

 

「もう、三十年くらい前になるかな?1990年代、キミのお父さんやお母さんの青春時代・・・

 いや子供時代かもしれないな。

 昭和が終って平成が始まったばかりでね。

 その時代はネットが始まったばかりで

 5ギガくらいの容量のパソコンが15万くらいしたものさ。

 ページ一枚開くのが精一杯で三枚も開けば動きが止まってしまう程度の性能だったよ。

 そんな時代でもネットゲームはあってね。

 今回の事件と“同じような事”があったのさ」

 

菊岡は、そこで話をきり心を落ち着かせるようにコーヒーを一口ふくむ。

 

「・・・それは、やっぱり」

 

「そう、悪魔さ。

 悪魔との契約は煩雑だ。

 時にささやきかけ、心を惑わし狂わせる。

 そうしておきるヒューマンエラー。

 契約の小さな穴を突き、広げ、契約者の魂を貪り喰う。

 

 そんな危険な契約をコンピューターで代行するて発想があってね。

 なにせ、機械は狂わない、間違わない、単純な作業を苦にしない。

 それまで、専門家にしか手を出せなかった悪魔契約のハードルを大きく下げることに成功した。

 それが、悪魔召喚プログラムさ」

 

キリトの質問を菊岡は肯定しキリトが手に入れたモノについて解説する。

 

「でも、それは危険じゃないか?」

 

「その通り、どんなに優れたプログラムでもバグや想定外の運用で停止する事もある。

 だから、今みたいに“悪魔に食い殺された”犠牲者が多くでたものさ。

 ハードルが下がった分だけ大量にね」

 

「そんな、本末転倒じゃないか!!」

 

そして、キリトが提示した危険性を肯定してみせる。

 

「時は、世紀末。

 カオスの悪魔やロウの悪魔である天使をバックに持つ宗教団体は次なる千年のイニシアティブを得るために…。

 危険と解っていても手っ取り早い戦力の増強を欲したのさ。

 宗教戦争というヤツだな。

 ただ、信仰が厚い者、神のもたらす奇跡に縋って後に引けなくなった者。

 そのプログラムを持っているのならば、解るだろう?

 低位の悪魔が操る回復魔法ですら現代でもありえないゲームのように凄まじい効果を表すものがある。

 限定的な死者の蘇生すら可能にする、その力に縋る者は今でも多い」

 

「…それは……」

 

その気持ちは、よく解る。

アインクラッド内で死者を蘇らせる事のできる限定アイテムが手に入るクエストがあると知った自分は…。

それこそ、死に物狂いになって、そのアイテムを求めたものだ。

 

「当時、戦後から半世紀たち。

 戦争の悲惨さを忘れた人々は、世界を大きく変える変革を望んでいた。

 人々を導くメシアの登場を熱望し、その力により世界が救われることを望んでいた宗教。

 『信じる者 皆 救われる』と謳うメシア教。

 世の束縛に囚われず、自然と一体化することを重視していた宗教。

 『生きる者はいつか死ぬ 形あるものはいつか壊れる』と謳うガイア教。

 この二つの勢力の争いは大きなうねりとなり、世界すら飲み込もうとしていた。

 

 日本の行く末を憂い古き神々と契約し部下を率いて東京を制圧したゴトウ一等陸佐。

 天使達より、救世の使命を与えられ武力行使を開始したトールマン アメリカ合衆国大使。

 

 そんな時、悪魔召喚プログラムを使い悪魔を従え。

 アスラ王を始めとした仏尊や天使達を電脳世界に封印した少年がいた。

 

 本来の名を失い。

 ほとぼりが冷めるまでの数年間を放浪し名を変えて日本に帰ってきた少年。

 

 彼の新しい名は茅場晶彦……キミが殺した、かつての英雄だ」

 

「…そんな、年齢が合わない。

 それならば、茅場は50近い歳だったことになる」

 

キリトの疑問によくある事さと菊岡は答える。

 

「神隠し、行方不明になった人物が不思議な世界を旅して帰ってくると百年が経っていた。

 力を得すぎたが故に人から外れて不老を得た。

 この世界では年齢を伸ばす手段なんていくらでもある。

 

 そんな彼が仮想空間にゲームを作った。

 まるで人々を鍛える為に作ったような空間、極めつけに『―――これはゲームであっても遊びではない』

 

 彼の事を知っていた人間は戦慄を感じたものさ。

 そして、事件がおきた……」

 

「知っていたなら!!

 解っていたなら!!

 何か手を打てたんじゃないのかよ!!」

 

激昂するキリトに諦観した賢人は答える。

 

「あの世界をデリートする事は、そこに封じられた悪魔達の解放を意味する。

 誰も手が出せなかったよ。

 かつて、世界を滅ぼしかけた悪魔の軍団、黙示録の天使達。

 だからこそ、4000人以上の犠牲者を出しても、君が彼を倒すまで誰も手が出せなかった。

 今でも大変さ。

 彼が残したイースターエッグ、古き神々は未だにそこに存在する。

 ガイア教とメシア教の連中は、その恩恵や加護を求めてあのサーバーを狙っている。

 4000人の生贄を得た彼らは封印の隙間から、かつての力を取り戻しつつあり。

 復権を狙っている」

 

「……4000人の生贄……!!

 まさかっ」

 

キリトは、ある噂を思い出す、VRの世界で死人と出会った。

メッセージを受け取ったなどという噂。

単純にメールが配信される時間がズレたとかだろうと考えていたソレが、違うとすれば……。

 

「もちろん、解放された魂がある事も確認している。

 だが、多くは未だにあの空飛ぶ鉄の城の中だ」

 

「……サチ!!」

 

鉄の城で死んだ、常に死への恐怖に怯えていた気弱な性格の少女。

その姿を思い出しキリトは胸をかきみしる。

 

 

 

 

002

 

渓谷を吹き抜ける風が笛のように音を鳴らし。

甲高く響くその音色は人の悲鳴のようにも聞こえた。

 

魔王モロク

 

古代の中東で崇拝された神の名。カナンの神の別名であり

「涙の国の君主」、「母親の涙と子供達の血に塗れた魔王」とも呼ばれている。

困難を乗り越える対価に子供の生贄を求める古き神の一柱。

 

目の前にそびえたつのは七つの生贄台をもつ牛の頭部を持った巨人のブロンズ像。

 

「サチの魂、返してもらうぞ」

 

『異な事を言う。元々、貴様のモノでもあるまい。

 力無き者の戯言など無意味と知れ、欲しければ力をもって奪いに来るが良い!!』

 

まるで、洞窟の奥から反響してくる木霊のような声が響き、30メートルを越える巨大なブロンズ像が立ち上がる。

 

「召喚!!」

 

キリトの力強い叫びと共に、あらゆる国の聖言が記されたシステムウィンドが開き空中に投影された六芒星から仲魔が呼び出される。

 

霊鳥 ヴィゾフニル

北欧神話の光り輝く雄鶏。

『木のヘビ』という意味の名を持つこのヴィゾフニルは、神樹イグドラジルの頂上で自ら輝き。

イグドラジルは、その光を浴びることで自らを空に浮かび上がらせるという。

 

その光を受けてキリトは、まるで翼があるかのように空を駆ける。

遅れて後に続く幻魔ハヌマーンが続く。

インド神話の叙事詩『ラーマーヤナ』で英雄ラーマを助けて魔王を戦った事で知られる猿神。

風神ヴァーユの息子である彼は自在に空を飛び味方全ての攻撃力を強化するタル・カジャを唱える。

 

「うぉぉぉおおおおおお!!」

 

様々な思いを込めたキリトの雄叫びと笛の音のようなブモォォォというモロクの唸り声が響く中。

かつての後悔と嘆きを乗り越え、明日へと進むための戦いのゴングが嘆きの谷に鳴り響いた。

 

 

 

 

 

 

003

 

それは、毒を吐く邪龍。

竜王ファフニール。

北欧神話の『古エッダ』、『ヴォルスンガ・サガ』などに登場する魔竜である。

持ち主に永遠の不幸を与える黄金を生み出す指輪の富に眼がくらみ猜疑心と強欲から毒を吐く巨大な爬虫類に変身してしまった。

哀れな男の事であると伝承では語られている。

 

幸運から竜を得た少女に対する嫉妬や妬み。

幸運を呪う怨嗟の嘆きが生体マグネタイトを生み出し、悪魔に憑かれた人々が少女を襲った。

それを倒し、少女を救ったキリトだが、そのどす黒い怨念は幼竜ピノにまとわりつき。

巨大で醜い竜と化した。

 

「ピノ、待ってて!!

 今、助ける!!」

 

人の感情が力となるのであれば、勇気や愛もまたエネルギー足りえる。

プラス方向の生体マグネタイトのエネルギーを纏った刃を握り、少女を抱えた少年は力強く前に踏み出す。

 

「いいか?

 シリカ、ヤツの毒は死ぬほど痛いぞ」

 

「でも、私は友達を諦めるつもりなんて欠片もありません」

 

「いい返事だ。

 ディスポイズンを使うのは任せた突っ切るぞ!!」

 

一面、毒の沼地となってしまった大地を踏みしめ少年と少女は走る。

ただ、今は大好きな友達の為に

 

 

 

 

 

004

 

背筋に走る強烈な寒気。

死の気配と言って良いソレにキリトは飛びのく。

 

その瞬間に走る斬線、あらゆるモノを切り裂くそれは建物の壁をバターのように切り裂き一瞬も停滞しない。

カーテンに燃え移った火のように壁を微塵とした斬線が止まる事なくキリトを襲う。

 

白刃を潜り、錬気の剣に手をかけたキリトは、剣に気を送り込み生み出した輝く刃で相手の制空権に切り込む。

相手の烈火のような攻めを流れる水が如き剣戟で受け流す。

 

風が唸る。

暗く情念すら込められた闇色のマグネタイト光を纏った刃と闇の中においても衰える事のない鮮烈な青白い希望を込められた白刃。

緊急召喚された仲魔の補助魔法が二人を包み斬激を受ければアスファルトに蜘蛛の巣状のヒビが入り。

足場にされた電柱は斜めに折れ、小枝のように断ち切られる。

人を悪魔と戦える領域まで押し上げるハーモナイザーが唸りを上げて二人に人外の力を与える。

 

「楽しいよ、キリト。

 キミがこの世界にくるのを待っていた。

 寿がせてくれ、私は今、喜びの中にいる」

 

「貴様の顔など、見たいと思った事は一度もない。

 よくも俺の前に顔を出せたなPoH(プー)」

 

かつて、SAOで最も猛威を振るったPKギルドが存在した。

 

笑う棺おけ(ラフィン・コフィン)

 

「ラフィン・コフイン」のリーダーにしてSAO事件の中で最も人を殺した男。

SAO事件の最中、殺人ギルド「ラフィン・コフィン」の結成をアインクラッド中に宣言。

以後、攻略組にギルドが潰滅させられるまで多くのSAOプレイヤーを殺害、恐怖させた。

彼らが壊滅したラフィン・コフィン討伐戦は、事件中におきた明確な人と人との殺し合いである。

その全面衝突を自ら画策し、キリトが正当防衛とはいえ殺人を犯したとき。

腹を抱えて笑っていた狂人である。

 

「イッツ・ショウ・タイム」

 

その掛け声と共に電光の如く両者は踏み出し剣を打ち付けあう。

魔力衝撃が周囲を薙ぎ払い、コンクリートの破片が宙を舞う。

打ち合わされる剣と剣は快音をあげ、金属の反響する音がビルの谷間に鳴り響く。

それは崩れ逝く壁や街路樹の低音と剣と剣の打ち鳴らす高音。

拍手のような音と共にガラスが砕け散り、二人は地面を踏み抜きながら盛大なタップ音を掻き鳴らす。

ビルに反響する低音と高音の音とあいなって荘厳な戦場音楽となって周囲になり響く。

 

月を背景に二人の剣士が舞い踊る。

それは、もはや伝説の領域。

嘗て、神話の英雄たちが打ち鳴らした音楽に相違なかった。

 

彼らは敵同士だ。

互いに遠慮や斟酌などする余地の無い。

出会ったならば、必ず打ち倒さねばならない敵だ。

 

当たるはずの攻撃を回避される。

当たったはずの攻撃を防がれる。

 

流水のように攻撃を仕掛けてくる。

炎のような一撃を放ってくる。

 

先も勝敗も見えぬ戦いに血沸き、肉が踊る。

背筋が痺れ魂が震える。

 

両者は口の端を獰猛に吊り上げながら吼える。

 

寂しさも苦悩も忘れ二人の剣士は心を真っ白にしながら踊り続けた。

 

 

 

 

 

 

005

 

豹の頭部を持ち、両手に片刃の剣であるシミターをもった筋骨隆々の男。

 

30の軍団を率いる序列57番の地獄の大総裁、堕天使オセ。

ソロモンに由来するとされる5つの魔法書『レメゲトン』その第一部とされる『ゴエティア』に記された悪魔である。

 

その軍団に捕らえられた仲間や魂を救い出す為に彼の宮殿へと侵入するキリト。

仲間を救い出した彼を迎えたのは、その背後に自らの軍団を従えた総裁オセ自身。

 

『キミは自分が王や教皇になりたと思った事は無いかい?

 キミには、それだけの力があり、私はソレを手助けする事ができる。

 私の手を取りたまえ、多くの人々を救いたいと願うなら。

 かつて、ソロモンがそうしたように』

 

「違う、誰かが支配して作る平和なんて夢みたいなものだ。

 誰か一人が作った平和は、争いを望む一人の手で簡単に打ち崩される。

 皆が王にならなければならない。

 自分で決めて、自分で歩み、自分で未来を積み上げていかなければならない。

 誰かに積んでもらった平和に寄りかかるだけでは、いつか崩れて多くの人が犠牲となる」

 

『なるほど、個人を見れば確かに、そうした強い者もいるだろう。

 だが、人の大半は弱いものだ。

 誰かが導かねば、すぐに潰れてしまう程に』

 

「それでも俺は、人を信じて前に進む。

 この命、ある限り」

 

繰り広げられるレギオンバトル。

救い出された人々と悪魔の軍団による大規模集団戦

魔法が飛び交い剣戟の音が響く、空気の焼ける戦場の臭いが満ちる。

空の七割を埋め尽くす漆黒の弾丸による雨。

それが自分を狙う悪意の塊であると認識すれば、誰であろうと足が竦み、心を恐怖が満たすだろう。

 

だが、その絶望に真っ向から立つ“少年”は違う。

体を捻り、ステップを踏み。

踊るような剣戟で弾雨を掻い潜る。

 

「ユイ!」

 

『はい、援護するです』

 

キリトは己の小さな娘に呼びかける。

三十センチほどの小さな娘が妖精の羽をひるがえし、くるりと回ってキリトの頭上に降り立つ。

 

『メシアライザー』

 

広域を覆う回復魔法が放たれ、敵から放たれた万能魔法『メギド』によって傷ついた仲間達を癒す。

獣の眼光を光らせ生体マグネタイトの力を増大させたオセが行動力を増して切り込んで来る。

 

『やはり、キミは王に相応しい人間だ』

 

「違う、人は自らの力で道を切り開いていける!!」

 

地力が違う、武暦が違う。

生きて百年、己の力だけでは岩すら砕くのが困難な人間とは基礎が違う。

いかに、技術で補正をしようと生命体としての絶対的な差が悪魔と人間の間にはある。

手数が多い、こちらが一手打つ間に相手は二手も三手も打ってくる。

 

「スイッチ!」

 

一人で足りぬならば、群れればいい。

人は、単体で見れば取るに足りぬ脆弱な生き物だ。

それを惑星最強の生き物に押し上げたのが、多人数による大規模な連携であり。

技術の共有による擬似的な進化だ。

 

スキルアプリによって再現された“ゲームの技”が素早くパートナーとの位置を切り替え。

嵐のような斬撃からキリトを逃がす。

 

キリトと位置を切り替えられたパートナーたる少女、アスナは十分に力を溜めた剣戟をオセに叩き込む。

 

「マザーズ・ロザリオ」

 

細剣から放たれた11連撃がオセを切り刻むが、それでも足りない。

周りから回復魔法が飛んで来る前に、一息で決着をつけなければならない。

 

踏み込んだキリトは風を感じた。

自分の背中を押す柔らかな手、勝利の追い風、祝福のエール。

 

『止まるな、キリト』

 

それは、今は亡き少女の声。

精一杯に自分の人生を駆け抜けた少女のエール。

それがあれば、何が足りないというのか。

 

「ノヴァ・アセンション」

 

体勢を崩したオセにさらなる連撃が叩き込まれる。

その凄まじい轟音と大地の砕ける音に戦場の音が止まる。

 

「俺たちの勝ちだ」

 

剣を高々と掲げて彼は勝利を宣言した。

 

 

 

 

006

 

エギルの店で買い物を終えたキリトは、ふと一枚の絵が眼に止まる。

 

首を切られた悪魔の死体と切り取った悪魔の首を掲げる白銀の騎士の絵だ。

 

「そいつが気になるかい?

 そいつは、悪魔を殺した正義の騎士の絵さ」

 

「いや……でもコレは」

 

エギルの言葉にキリトは疑問を呈する。

それも、そのはず。

悪魔を倒した騎士の鎧は、悪魔の頭から滴り落ちる血で赤く汚れ。

騎士の影は人のモノではなくコウモリの翼と角を持つ悪魔のような姿をしていた。

 

「悪魔を倒せるモノは、いつか悪魔のようになってしまうという暗喩さ。

 暗喩というには、いささかストレートな絵だがね」

 

「そうだな、力を持ってるヤツは常に問われる。

 誰かにじゃない。

 自分に…」

 

自分の心に過去の出来事に問いかけるように答えるキリトに苦笑いを浮かべてエギルは声をかける。

 

「悪魔に魂を乗っ取られないよう、お気をつけて……」

 

キリトは、ああと答えて扉を開ける。

カラン、カランと鳴るカウベルの音が彼の行く末を祝して鳴っていた。

 

 

 

 

 

 

 


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