聖王女と召喚士の歩む世界   作:かぴばらさん32号R

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せっかくリメイク版なんだからハーメルンにも投稿したかったのですよ。

のんびり見てってくださいな。


第一話 全ての始まり

後方支援その1!

 

 午前四時五十九分時。長いようで短い夜が終わり、ようやく日が登り始める時刻。仕事のある大人達は起床し、子供達はまだ夢の中にいる時間。

 時はなににも妨げられることなく順調に進む。十秒、二十秒、三十秒----六十秒。

 

 ピピピ!ピピピ!ピピピ!

 

 ごくごく一般的な、アニメや漫画に出てきそうなくらい普通の目覚まし時計の音が、とある一軒家の一室に響き渡る。

 ちょうどいいサイズの学習机、ハート型の折りたたみ式テーブル、白いカーペット、オシャレなカレンダー。その部屋は、いかにも年ごろな女の子らしさがある。派手でなく、なかつ質素でもない、普通の中の普通。

 そんな部屋の一角にあるベッド。膨らみのあるピンク色のかけふとんがもぞもぞと動く。もちろん中身はこの部屋の主。

 

「ん、んぅ........」

 

 かけふとんにスッポリ埋まっていたであろう顔が半分ほど出てくる。

 美しい金色の髪。微睡みの中うっすら開かれるは紅玉と翡翠の瞳。顔全体が現れなくとも、この部屋の主が少女であり、男性の目を惹きつける魅力があることがわかる。

 

 少女の名は『高町ヴィヴィオ』。Stヒルデ魔法学院在学の初等科四年生で今年で十歳になる少女だ。

 その正体は四年前、次元世界を震撼させたJS事件の核となった存在で、ゆりかごの聖王女オリヴィエ・ゼーゲブレヒトの聖骸布から作り出された人造魔導師、クローン体。

 なのだが、本人はそこまで気にしていなかったりする。今では毎日元気な生活を送っている。

 目覚まし時計が鳴ったということは起床時間であることを意味する。ヴィヴィオは日々ランニングをすることが日課になっているので、パジャマからジャージに着替えようと起き上がろうとする。

 

「........んん?」

 

 ふと、ヴィヴィオは体に違和感を感じた。体が動かない。具合が悪いわけでもないはずなのに体が異常に重たい。まるで何かに抱き着かれているような、そんな感触。

 だが彼女は体が動かないという違和感を気にする様子はない。あくまで手足も首から上も問題なく動く。加えて、抱き着かれているという感覚はしょっちゅう体験していた。緊張する必要性はまるでない。

 朝起きたらふとんの中で抱きついてる人。そんな人間、ヴィヴィオは一人しか知らない。

 そーっと、ふとんをめくり中を覗く。

 

「くひゅー....くひゅー..........」

 

 静かに寝息を立てる黒い物体が自分の胸に顔を埋めているのが見える。それが人間の頭だと理解するのにさほど時間はかからなかった。ヴィヴィオの中でこの抱き着いている人間が誰であるかが判明した。

 

「ぜろくーん。ぜろくーん、おーきーてー」

 

 ヴィヴィオは黒い頭の人物を『零』と呼び、その頭をポンポン叩く。小さくも暖かい手に数回触れられた頭はピクリと動き、一度ふとんの奥深くに潜る。

 すると暗いふとんの中が朱に輝き、ヴィヴィオから抱き着かれている感触が消えた。

 同時に白いカーペットに朱色のミッド式魔法陣が出現し、その中心に人影が現れる。

 朱く照らされた人影。真っ黒で飾りっ気のないズボン、近代的なデザインの茶色いベルト、展開されているミッド式魔法陣と同じ朱色で染められている少し襟の立ったフード付きの厚めなロングコート、背中の部分には不死鳥『朱雀』を彷彿とさせる金刺繍が施されている。ベルカ勢の騎士甲冑の内側に見られる黒に金色のラインが入ったインナーを着込み、両腕を組んでいる。

 肩まで届く黒髪が放出される魔力に吹かれゆらりゆらりと舞う。開かれている瞳は左右ともに血のように紅く、魔力光の影響で怪しい光を灯す。

 

「シャバデゥビタッチヘーンシーン!シャバデゥビタッチヘーンシーン!」

 

「あふぅ......。はいはいシャバデゥビシャバデゥビ」

 

 まだ眠そうにあくびをしながらふとんを押し退け、ベッドの上にちょこんと座るヴィヴィオ。腕を回し大きく背伸びして息をはく。

 

「おはよ零くん」

 

「ん。おはよヴィヴィオ」

 

 互いに何事もなかったかのようにあいさつをする。「髪、とかそっか?」と言う零に「ありがと」と小さな笑みを浮かべるヴィヴィオ。どちらもこのやりとりが日常のようなテンポで進む。

 零はすぐさまベッドに飛び乗る。どこからともなくブラシを取り出し、ヴィヴィオの長い髪の毛をとかし始めた。枝毛一つない金髪はゆっくりとブラシに撫でられ、細かいホコリなどを取り除かれる。

 

「いやはや、いいなーヴィヴィオ。こんなに綺麗な髪を持ってて。俺にも分けてよ」

 

「出来ないこと言わないの。君の髪だって充分綺麗でしょ?そっちこそ分けてくれたっていいんじゃない」

 

「ヴィヴィオはこの髪だから可愛いんだよー。よって黒髪など必要無しっ!」

 

「可愛いって言葉は安売りするものじゃないんだよ。ばか」

 

 ヴィヴィオは零の言葉を突っぱねるように言い放ち、黙り込む。

 ブラシが髪をとかす音だけが早朝の薄暗く静かな部屋を満たす。やがて零がブラシを動かす手を止め、ヴィヴィオの背中をポンと叩く。

 

「終わりましたよお姫様」

 

「うむ。ごくろうであった」

 

 ブラシを通しホコリっぽさが消えた髪を満足そうに見つめ、ベッドから立ち上がる。そのままクローゼットのある位置まで移動し、両開きの扉を開いて幾つかのハンガーにかかった服をいじる。

 

「どのジャージにしよっかなぁ」

 

「あ、そうだヴィヴィオ」

 

 零の呼びかけにピンクや水色のジャージを手に取りつつ背中を向けながら「なにー?」と返事を返す。零は自分の髪にブラシをかけながらポツリと。

 

 

「昨晩触ってみて思ったんだけどさ。ヴィヴィオの胸って歳のわり成長してるからもうブラが必要だと思うんだけど––」

 

「––––覚悟はいいね?」

 

「へ? いや冗談––」

 

 ジャージ二着が中を舞い、虹色の軌跡が零の顎を捉えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 もう一つの魔法少女リリカルなのはvivid。始まります。

 




主人公は初代よりひどい変態さんだったりする。

意見、感想、待ってます。

次回→作者の頑張り次第
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