聖王女と召喚士の歩む世界   作:かぴばらさん32号R

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Vividアニメ化決定ヒャァァァァフゥゥゥゥッ!!!

テンション上がってやる気のでてきたぁぁ!

夏休みに更新が早くなるかと思ったらそうでもなかったよ!


第十話 セイクリッド・ハート

 

「ただいまー」

 

「ただいまでーす」

 

 寄り道をしながらもちょっと急いで帰ってきた二人は、いそいそと靴を脱いでリビングへ向かう。

 なんだかんだで、なのはの言う『いいこと』が気になる様子。ヴィヴィオは鼻歌を歌い、零は奇妙なステップをきざみながらクルクルと回る。特にこれと言った意味のない行動である。

 

 友人のいつもの奇行は見なかったことにしつつ、ヴィヴィオはドアを開け放つ。後ろで「かまって!」と幻聴まで聞こえたような気がしなくもなかった。

 

 

『とうとう追い詰めましたよ、スカルエッティ! クラウスを返しなさい!』

 

『くっくっくっ....聖王女、お前は私の罠に嵌ってしまったのだよっ!!』

 

『ダメですオリヴィエ! こっちに来てはいけないッ!!』

 

「どうして覇王がヒロインなんだろ......?」

 

 大型の液晶テレビから流れる映像と音声。

 と、それに釘付けになっている女性が一人。

 

「....フェイトママぁ......なに見てるの?」

 

 怒りを抑えているのか、わなわなと肩を震わせて静かに、ヴィヴィオは自分の複製母体が主人公を務めるアニメを嬉々として見る女性、フェイトに声をかける。

 

 静かな怒気を含んだその声に素早く振り返ったフェイトは怒りに震えるヴィヴィオを視界に入れるやいな、ただでさえ白い肌をさらに蒼白にする。

 ヴィヴィオはなぜかこのアニメが好きではない。理由は誰にもわからないが、とにかく嫌がる。零やフェイト、なのはにも見て欲しくないと言うほどにだ。よほど深い理由が有るのかと思われているが、実はけっこう単純だったりするのはまた別のお話。

 

「..........おおおおかえり。ヴィヴィオ、零」

 

「ただいま。フェイトママ、なんでそれ見てるの?」

 

「....あ、新しい魔法の研究材料!! ディバインバスター・改とか! アクセルスマッシュ・メテオとか! カッコイイでしょっ!?」

 

「ディバインバスター・改もアクセルスマッシュ・メテオも零くんの技じゃん。そーいう言い訳はよくないと思いますけどっ!」

 

 めいっぱい頬を膨らませて怒るヴィヴィオにフェイトが必死にごめんごめんと謝る中、何事もなかったかのようにリリカル★オリヴィエを視聴する零。他人の魔法技術や技を積極的に取り入れる傾向にあるためか、アニメや漫画などは真剣に見て、その技を真似ようと努力したりする。

 けれどもそれがリリカル★オリヴィエだった場合、ヴィヴィオが許すかと言えばそんなことはなく、無言で零の手首と制服の襟元を掴み、身体を腰に乗せるように勢いをつけて、ソファー目掛けて––––投げる。

 

 一瞬、宙を舞う零。完璧に決まった投げに僅かに驚くが、身体が床と垂直になる位置に差し掛かったところで表情が引き締まり、手首を掴むヴィヴィオの手を掴み返す。

 後は重力に任せてソファーへ強制ダイビングする、予定だった。予定だったのだ。しかし、あくまで『予定は未定』。

 

 

 高町ヴィヴィオは宙を舞っていた。

 

 

「––––うぇっ」

 

 目に映ったのはなんの変哲もない茶色の木の床ではなく、白い光を放つLED電球と同色の天井。自分の腕を掴んで投げているのは先ほど投げたはずの零になっているという怪現象だ。

 ソファーと背中が熱いキスを交わす直前で零は器用にヴィヴィオの腕を引っ張って、そのまま自分の腕の中へとスッポリ収める。

 

 お姫様だっこの完成。

 

「あっぶなかった....ヴィヴィオったらいつのまに投げの練習なんてしてたのさ? 初めて見たけど」

 

「君をいつかぎゃふんと言わせようとなのはママから習ってたんだけど、見事にカウンター転移で避けてくれやがったね。また飛ばすの早くなってない?」

 

「そりゃぁ、ヴィヴィオは魔力を通しやすい体してるから飛ばすのは簡単ですし。てか本気で床に叩きつけるような速度じゃなかったでしょうに」

 

「......さてさて、どうでしょ」

 

「優しいねぇ、ほんとに」

 

 自身の魔力を循環させた物体と自らの位置を入れ替えるという高位魔法をサラッと発動させることに「ずるいずるい」とバタバタ足を振り抗議し始めるヴィヴィオ。そんなこと言われてもどうしようもない零は、腕から落ちないように頑張ってヴィヴィオの体を抱える。

 その隙にフェイトは記録再生装置からリリカル★オリヴィエのディスクを取り出し、

 

「バァンっ」

 

 虹色の弾丸による狙撃で破壊される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「たっだいまー! みんなー、なのはさんのお帰りだよーっ!!」

 

「なのはママ、なんかお酒くさいんだけど」

 

「どうしてもう出来上がってるんですかね....」

 

「なのはだからね。仕方ないね」

 

 太陽は沈み、午後七時四十分に差し掛かろうとしたところで高町家の家主の一人、高町なのはが仕事を終えて帰宅してきた。顔はほのかに朱色に染まり、吐く息はアルコール臭が強い。右手には教導に関する資料が入っている鞄、左手にはなにやら怪しい箱の入った紙袋を持っていた。

 とりあえずヴィヴィオに抱きつき、その酒臭さで思いっきり拒絶される様子はまさしく酔っ払いそのもので、拒絶されたショックで項垂れるなのはをフェイトが励ますまでが高町家の日常。

 その間にせっせと食器を並べて夕飯の用意をする子供二名。いつものことなので気にはしない。

 

 なのはが立ち直り、準備が整ってから、ほんの少し遅めの夕食始まった。

 

「なのはママ、ビールは一本だけだからね」

 

「えぇーっ!? 私、今日は頑張って教導してきたんだよ? 部下の恋愛相談にも乗ってきたんだよ?」

 

「関係ないし。って、部下の恋愛相談? だからお酒が入ってたんだ....」

 

「そうそう居酒屋で。それでね、その子が好きな人っていうのが面白い人でさ! お酒が好きなのに酒癖があまりよくなくて、おまけに魔法戦では鬼畜砲台なんてあだ名が付けられてるんだって! そんな人がいるのなんて聞いたことなかったから、誰か教えて? って言ったら、顔真っ赤にしちゃって。 なんでかな」

 

「....どっかで聞いたことのある人だね、零くん」

 

「俺に話を振らないでよ」

 

「なのは......青春は魔法に捧げたもんね」

 

「ん? どしたの三人とも?」

 

 

 なのはやフェイトの仕事、零とヴィヴィオの学校の話題を話しているうちに家族四人での楽しい夕飯の時間は過ぎていった。

 

 食後は洗い物を片付け、各々が自分の好きなことをする時間であるが、今日は違う。なのははみんなをリビングに呼び、紙袋から二〇センチ四方ほどのラッピングされた箱を取り出し、机の上に置いた。

 何事かと頭の上にハテナマークを浮かべるヴィヴィオ。零とフェイトはこの箱の中身がなにか分かったらしく、二人でニコニコと笑う。

 一つ咳払いをして、なのはは声高々に説明する。

 

「えー....こほん。本日は我が家の可愛い子供たちのであるヴィヴィオと零君が四年生へと進級しました。周りの人からの暖かい心遣い、姉弟二人の支え合いもあり、ここまで大きく育ってくれてママは大変嬉しく思います」

 

「ヴィヴィオがおねーちゃんだって。ヴィヴィオお姉ちゃん」

 

「当然でしょ。世話のかかる弟の面倒を見てるんだからね」

 

 先の酔っ払いオヤジのような雰囲気とは打って変わって深い愛情を感じさせる『母親』となったなのはに二人は照れ臭そうに笑う。養子ではない自分のこともしっかり家族として入れていることが零は内心とても嬉しかったりするが、言葉には出さない。

 ヴィヴィオもこれまでの生活を心の中で振り返り、色々なことがあったなぁ、と少し感慨深くなった。

 

「仲睦まじいのはいいけどまだ続きがあるからお静かに!....で、ヴィヴィオの方はそろそろ魔法基礎も板に付いてきたということなので、そろそろ自分の愛機(デバイス)を持ってもいいころだと判断しました」

 

「ほ、ほんとっっ!?」

 

「うん。だからこの箱の中身は今日、マリーさんから預かってきたヴィヴィオの専用デバイスなの」

 

 専用デバイス––––その響きだけで気分が高揚し、心臓の鼓動が高鳴るのをヴィヴィオは感じた。 夢にまでみたデバイスへの想いは零とその相棒との関係を見ているだけで日に日に強くなっていた。生涯のパートナーともなり得る存在との出会いに心躍らないはずがない。「開けてみて!」と急かす零の声のままにラッピングを解き、ゆっくりと蓋を開けた。

 

「––––––うさぎ?」

 

 箱の中に中に鎮座していたのは、箱の大きさに対してやや小さいでは? と疑問持つくらいのサイズの赤い蝶ネクタイが特徴のうさぎのぬいぐるみだった。

 だが、ヴィヴィオはこのうさぎを知っていた。忘れもしない、なのはが初めて買ってくれたうさぎのぬいぐるみのデザインとそっくり、いや、全く同じものなのだ。ちょっと涙ぐみそうになるのを、なんとか我慢する。

 

「..........ありがとう、ママ」

 

 箱から視線を外し、なのは達の方を向いたヴィヴィオの瞳は潤んでいた。

 

「....ちなみにぬいぐるみは外装、まぁ..アクセサリーみたいなものだから。中身は普通のクリスタルタイプだよ。フェイトちゃん、花粉症になちゃっみたいだからティッシュちょうだい」

 

「なのは、せめてこっちを向いて言うべきだよ。はい、ティッシュ」

 

 後ろを向きながらフェイトに渡されたティッシュで鼻をかむなのは。お酒が入ると何故か涙脆くなるので、一年中花粉症と偽ってこうしてフェイトにティッシュを貰う。

 可愛い一面を持つ母に意識を注いでいると、ふと背後からトントン、と肩を叩かれたような感覚が。

 

「なぁに零くん?」

 

「ヴィヴィオさんや。俺が真っ正面にいるのを見えないと申すか」

 

 真っ正面で自分を見つめる零。

 

 

 では誰が?

 

 

 くるりと首だけを横に動かすと、先ほど箱に入っていたうさぎのぬいぐるみがフワフワと浮遊し、ビシッ! と手を上げてご挨拶しているではないか。

 

「ぴーーっっっ!!!!????」

 

 人からでたとは考えられないくらいの甲高い悲鳴?のようなものを上げ、目にも留まらぬ速さで零の後ろに隠れるヴィヴィオ。その悲鳴に反応して零も反射的にバリアジャケットを展開してし、臨戦態勢に入りかける。

 

(あ、あれ? これデバイス?)

 

「ぜっぜぜ零のくんっ!!お化け! うさぎのお化け! なんとかしてぇぇっ!! ディバイン––––!」

 

「違う違う! ヴィヴィオこれデバイス! ヴィヴィオのデバイスだって!! っ、させるかァッ!」

 

 発射直前の高速砲撃魔法《ディバインバスター》のスフィアを魔力を纏わせた右手で握り潰し、零はヴィヴィオを羽交い締めにしてしっかりデバイスであることを確認させる。

 数秒間興奮状態だったヴィヴィオも少しずつ冷静さを取り戻し、「もう、大丈夫」と言って羽交い締めを解いてもらい、恐る恐るふよふよ浮くうさぎのぬいぐるみを手に取る。

 

「ふ、ふかふかしてる」

 

「....浮遊は第四世代型デバイスの独立稼働技術の一つだから、お化けじゃないってことは言っとく」

 

「知ってるもん!!」

 

「なんで変なとこで強がるのさ....」

 

 デバイスを抱きしめ、あっかんべーするヴィヴィオの対応にやや困りながら、スフィアを握り潰した衝撃で僅かに裂けたグローブをチェックし、バリアジャケットを解除する。

 

「ごめんね」

 

 ヴィヴィオは砲撃を撃ち込もうとしてしまった愛機となりうる存在に謝罪した。すると、デバイスは気にするな、と言わんばかりにヴィヴィオを慰めようと周りを飛び回り、必死にジェスチャーを行う。

 その姿が可笑しく、クスリと笑うヴィヴィオにデバイスは安堵を表現するかように動きを止めた。

 

「一応その子にはヴィヴィオの最新データの適応と術式の最適化、エルとかレイハさんとかバルさんの一部運用データを流用したりしてるんだけど、基本的に中身は真っ白なんだ。名前もまだないわけ」

 

 なのは達の代わりに零はデバイス関する説明をする。デバイスを抱えたままくるんと一回りした後、ヴィヴィオは堂々と言う。

 

「んふふ。実はもう決めちゃってるんだぁ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ヴィヴィオのデバイスのデータ登録は、家の敷地内の小さな庭で行われた。

 虹色に光輝くベルカ式の魔法陣が、中方に立つヴィヴィオを幻想的に演出させている。

 

「––––マスター認証、高町ヴィヴィオ。術式はベルカ主体のミッド混合ハイブリッド」

 

「あら、零君とは逆なんだ」

 

「俺は汎用性重視の戦い方ですので、ミッド主体ベルカ混合の方がいいんです。てか、今まで見てきたでしょう....」

 

 どこか抜けてる零となのはの会話はガンスルーしてヴィヴィオは登録を続ける。

 

「わたしの愛機に個体名称を登録。愛称(マスコットネーム)は『クリス』。正式名称––––『セイクリッド・ハート』」

 

「....っ! ......っっ!!」

 

「もう、嬉しいからってそんなに泣かないで。はい、ティッシュ」

 

 感動のあまりポロポロと涙を零すなのはと手際良くティッシュを渡すフェイト。二人の行動に苦笑いしながらも、登録は最終段階であるデバイス展開に移る。

 

「いくよクリス!」

 

〔....!〕

 

 新たなマスターの意気込みに答えているのか、大きく手を振り上げ、ポーズを決める。

 

 

 

 

「セイクリッド・ハート! セーーット、アーーーーップ!!」

 

 

 ミッドチルダの夜空に一筋の光柱が立ち昇った。

 





Q:クリスの外装ってなのはに貰ったぬいぐるみのデザインじゃなくね?

A:そっちの方がなんか感動するからそうしました。


意見、感想を貰えたら嬉しいです。

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