今回もほぼ零とヴィヴィオの絡みだけだよ!
今回から「・・・」を「....」に修正。
〜主な登場人物〜
『紅影 零』
Stヒルデ魔法学院在学中の初等科四年生。この物語の主人公。思い立ったら即行動をモットーに生きる。ヴィヴィオには過度なスキンシップをよくとる。
『高町ヴィヴィオ』
Stヒルデ魔法学院在学中の初等科四年生。零とは幼馴染であり親友。零に対して素直になれないことが多々あるのが悩みなツンデレ少女。
『高町なのは』
時空管理局本局戦技教導隊所属の教導官。エース・オブ・エースの二つ名を持つオーバーSランク魔導師であり高町ヴィヴィオの義母。よくヴィヴィオと零の関係にちょっかいをかける。
後方支援!その5
「あぁぁ......。この原稿用紙も見慣れたよ......。反省文、いったい何枚くらい書いてきたんだろ」
「この原稿用紙全部使ったら五○○枚突破かな」
「普通は人間、生きててそんなに反省文は書かないような気がするんだけど」
「そーいうのも経験だよ、け・い・け・ん」
零の大人ぶった台詞を特に気にすることなくスルー。幾度となくお世話になっている生活指導室で向かい合うように机をくっつけ、もくもくと反省文を書き続ける。
相当数をこなしているだけあってか、シャープペンシルは止まる気配を見せず、紙の上をサラサラと流れるように滑り、マス目を埋めていく。ものの数分もしないで、原稿用紙の数は半分を切る。
「......りんご」
ぽつりと呟かれた単語。謎の呟きに、ついに頭がおかしくなったのかと懸念を抱くヴィヴィオだったが、視界に入った表情がニッコリ笑っているのを確認した。四年間の長い付き合いから導き出されるその行動への答えは----。
「ゴリラ」
しりとりである。
「ラッパ」
「パラガス」
「スイカ」
「蚊」
「カカロット」
「トマト」
「トウ○バ」
「バット」
「....トイレ」
「レート」
「........と、トリック!」
「クライアント」
「.......!戸!」
「TO○O」
「..........」
しりとりが終わった、強制終了された。正確には、零が机から体を乗り出してヴィヴィオにデコピンをかました。
「いっつ!?い、いきなりデコピンは酷いんじゃないっ!」
「ヴィヴィオ、俺がしりとり弱いこと知ってて無限ループさせてくるもん!ちょっとくらい手加減してくれたっていいじゃん!」
「待ちガイルとか無限昇竜をこよなく愛してわたしに嫌がらせしてくる君よりましですーっ!」
「なにおう!?」
先程のシャープペンシルを動かす音だけが響く空間から一転、指導室は子供同士の喧嘩特有のなんとも言えない空気に包まれる。
なんで弱いのにしりとりしたんだよ、という問いがあるならば、その回答は『零がそういう性格だから』で、片付いてしまう。有言実行、即断即決。悪く言えば後先考えず突っこむ暴れ牛だが、良く言えばその場その場での適応能力が高い優秀な人材----と言えないこともない。
頬を膨らませ、じーっと睨み合うことでお互い主張を譲らないスタイルを築く。この二人は仲が良く、とてもいいコンビではあるが、それゆえにか小競り合いを頻発させる傾向がある。『喧嘩するほど仲が良い』のことわざはこの二人のためにあるようなものだ。
「........君って人は本ッ当に、頼りになるときはそこそこカッコいいくせに、他は全然ダメだね。わたしがいないと世界一ダメダメだよ」
「........ヴィヴィオは、外見も中身も世界一可愛いくせに、それ隠そうとツンツンしてるのがダメだ。個人的には大好きだけど、社会的にはダメ」
「そういうの、戯言っていうんだよ、騎士様」
「そっちこそ、そういうの戯れ言っていうんだよ、お姫様。あと、騎士じゃなくて王子様の方がいい」
なのはママより強くなったらね、と悪戯な笑みを作り、デコピンし返す。騎士と呼ばれるより王子様と呼ばれるのを望む零としては、いささか不満らしく、むっすりした顔つきになる。
なのはママより強くなったら----管理局の『表』の絶対的エースを超えることなど容易ではない。 とんでもない精度で変態軌道を描く誘導弾。フィールド、バリア、シールドの多彩なプロテクションにバリアジャケットの装甲防御能力に直結する三○以上の防御用積層構造が生み出す圧倒的な堅さ。隙あらば敵を呑み込む一撃必殺の大出力砲撃。最近は娘を溺愛する少年を屠るために、かつての教え子に格闘技術を教えてもらっているとかいないとか。
召喚魔法の『到達点』にまで至った零との魔法戦は相性最悪なのだが、なのはは彼に敗北を経験させられたことがない。
『絶対的な経験差』。それこそが、ほぼ全ての魔法才能において、高町なのはを上回る紅影零が勝利を収められない原因だ。
「なのはさんに勝つとかそれなんて無理ゲー......。あの人との魔法戦は八割型バインド合戦だし、あっちの魔法はどの距離でも一発一発が一撃必殺の攻撃なのに、こっちは近距離じゃないと決定打が撃ちこめないときた。厳しいよ......」
練度が大きく関わるバインドを主体に置いた戦闘は魔導師歴一○年越えのなのはに軍杯が上がる。発想の鬼の零とて、経験の差は覆しきれない。
机に乗り出していた体を椅子に戻し、ヴィヴィオは苦虫を噛むような顔した零に前回のなのはとの魔法戦の感想を告げてみることにした。
「わたし、絶対無理とは思わないよ?この前だって、バリアジャケット大破まで追い詰めてたしさ!」
「大破させた瞬間にリアクターパージ....もとい、指向性爆発反応装甲に吹っ飛ばされて、バランス崩したとこに砲撃叩き込まれたけどねー。半壊してたとはいえ、杖無し砲撃でジャケットを抜くってさ......ちくせう」
前回、二ヶ月前のなのはと零の模擬戦は二時間にも及び、見る者を釘付けにする白熱の試合だった。
息つく暇もなく桜色の閃光が舞い踊り、空を翔ける閃光を墜とさんと、強大な爆炎が空を朱に染め上げた。
自分の『狩場』の遠中距離をシューターと変則的な射撃魔法で維持。その隙間を縫うようにして砲撃を放つなのは。
研ぎ澄まされた射撃を変換資質の炎熱で焼き払い、砲撃を晒しつつ距離を置かれぬよう、チェーンバインドをメインとして射撃魔法を織り交ぜながら徐々に接近する零。
魔力量は拮抗。多大な魔力を消費する砲撃、それに対抗するべく数多に展開されるミッド・ベルカ術式。そこから二時間に及ぶ完全な消耗戦へと突入し、燃費で勝った零がなのはをジリジリと追い詰め、模擬戦開始から二時間でついに必殺の一撃を決めた----はずだった。
確実に防御を抜くはずの一撃は、なのはのバリアジャケットの自動防御機能『リアクターパージ』により威力を大幅に削られ、決め手とはならなかった。
巻き起こされた魔力爆発に体制を崩してしまう零に送られたのは、勝利の歓声ではなく、高速砲撃魔法『ストライクスマッシャー』。愛機レイジングハートを左腕と同時にバインドされている状況で右手から撃ち出された威力を犠牲に発射速度を求めた砲撃。
本来、威力は期待出来ないものだが、零のバリアジャケットの半壊、なのはがありったけの魔力を注いだこともあって防御を貫通。結果、なのはの勝利で決着がついた。
不屈のエース相手に大健闘したのだから、誇ってもいい。しかし、本気で勝つつもりだった零としては誇れるはずもなく、得意の戦術勝負、ジャケットの装甲強度で負けたショックで三日ほど引きこもってしまった。
当時の心境を思い出したのか、整った顔が苦さを通り越して、渋さと辛さが混ざったような謎の表情に変わる。
あまりの奇妙な表情に少し吹き出しかけたヴィヴィオは、零がぶつけてくる『こっちは真剣なんだぞ』という視線を感じ取り、ごめんごめんと謝る。
「男の子ならそんなこと気にしないの!それよりさ、写真撮ろうよ写真。お世話になった人達に、わたし達は今日も元気でやってますよーって」
「むむむぅ......確かにヴィヴィオの言うとおりかな。男ならくよくよしてないで、対なのはさん戦術を練り直すべきだね!まずはデバイスを使用不能にしたくらいじゃ砲撃を阻止不可能なことを理解したから、両手両足拘束したところに集束打撃を------」
『私が手足からしか砲撃を出せないと、いつから錯覚していたの?』
「あ、だめだ。あの人なら目からでも口からでも砲撃しかねねーわ。たぶん、召喚獣全解放して攻めてもドロッとしながら破壊光線を撃って殲滅してくるわ」
「 人の母親をどこぞのですぞが口癖のム○クみたいな巨神兵扱いしないでよ。目とか口から砲撃とか、さすがに無いから。........無い、よね..........?」
砲撃をこよなく愛する母親を頭に浮かべ、いくらなのはママでも出来ないと自分に言い聞かせる。
この一ヶ月後、実物を見ることになるのを、二人はまだ知る余地もなかった。
「っと、話が逸れちゃった。写真を撮るんだっけか。でもさ、それなら俺とヴィヴィオの二人だけより、コロナとリオも一緒に」
「却下」
「ほぇ?でも」
「却下」
「......お、おう。ヴィヴィオがいいならいいけど」
「そう。君とわたしと二人でいいの。それに意味があるんだからさ」
同じクラスの学友、コロナ・ティミルとリオ・ウェズリーも一緒に写真を撮るべきではないかとの提案を、却下の一言でバッサリ切り捨てる。
ヴィヴィオは、本当にいいのか首を捻る零の制服を掴み、強引に自分の横に引き寄せる。足をもつれさせ、倒れそうになる姿には目もくれず、馴れた手つきで撮影用のホロウィンドウを用意。タイマー設定まで済ませた。
「あとは......これかな」
撮影の準備を終え、次は髪を縛る二本の青いリボンを解く。縛られていた金色の髪が下ろされ、両耳を完全に覆い隠す。
腰まである長い髪を手に一つに纏める。二本の青いリボンのうち一本を口に咥え、鏡も見ず器用に纏める位置を微調整して、最終的に頭のてっぺん近くでもう一本のリボンを使う。
振り向きざまに柔らかい髪がふわっと揺れた。男性の半数は萌え、女性に求める髪型。
「じゃんっ」
ポニーテールだ。
「ポニテ....だと......?」
「ふふん。君の大好きなポニテだよ?しかも、いつものサイドポニーじゃなくて普通のポニテ。こっちの方が好きなんでしょー?知ってるよわたし」
「よし早く写真を撮ろう。そしてどっか遊びに行こう。もちろんその髪型で」
「素直でよろしい」
犬の尻尾が付いていたならば、千切れんばかりに振っているのが簡単に想像出来るほど、目を輝かせ喜ぶ零を見て、ヴィヴィオの顔が今日一番の嬉しさを見せる。
「はやくはやく!」
「はいはい、わかったから。どこにも逃げないから急かさないで」
タイマーを一○秒に設定し、二人は横に並ぶ。その間の距離、約五センチメートル。
カウントは順調に進む。二人の距離に変化はない。
「......、」
「......、」
カウントの電子音が変わり、スリーカウントに。
三、
二、
一、
「そーれ、えいっ!」
「わわっ!?」
残りカウント一秒のところで、零がヴィヴィオを自分に引き寄せた。
悪戯っぽい笑顔の零と驚きに包まれるヴィヴィオのツーショットは、二枚目を撮る間も無く、自動で送信された。
送信された写真は見る者を微笑ませ、嫉妬させ、そして。
「あの二人はまたですかっ!?」
シャッハを怒らせた。
『お世話になった人』には、当然シャッハも居るわけです。
この写真を送るの原作では放課後にヴィヴィオ、リオ、コロナの三人を撮った写真を送ることになってます。ちょくちょくオリジナルだね!
意見、感想、どんどんください。
次回→作者の頑張り次第、でも夜天の方も更新しなきゃ。