「久しいのぅ、金時ぃ! いやぁまさかこない所連れてこられるなんて思うてもみなかったもんじゃから、なかなか貴重な体験ばさせてもうたのぅ!」
「名前間違えんじゃねえよ。銀時だっつってんだろ。お前、前に名前間違えるやつは失礼とか抜かしやがってたろうが」
「そうじゃっけ? アッハッハッハッハ!」
坂本辰馬。
かつて銀時と共に攘夷戦争を戦い抜いた男であり、現在は株式会社快援隊商事の社長として宇宙をめぐって商いをしている男である。今回銀時が彼を呼んだのは、彼の後ろにある宇宙船が関係している。
「……坂田さん。なかなか今回は骨が折れる仕事を依頼してくださいましたね……見つけるのに相当苦労いたしましたわ」
「おう、BBAだから仕方ないアルな」
「あ? 久しぶりにファイトしちゃうか小娘? テメェの身体ボロボロにしたろか?」
「おぉかかってこいヨBBA。疲れ切ったBBAの身体なんざ一捻りアル」
「なんでいきなりバトル勃発しようとしてんだアンタらはァアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
今にも戦いが始まりそうな神楽と紫に対して、新八が思わずツッコミを入れている。およそこの組み合わせが巡り合った時にはいつも起きている出来事である。
霊夢と魔理沙の二人も。
「……本当仲悪いわねあの二人」
「紫とここまで根本的にウマが合わないやつも初めてかもしれないぜ」
と、呆れる始末。
ちなみに、永琳は落ちてきた兎の看病をしており、輝夜はそんな永琳に引っ張られて中に無理やり戻されている。放っておくといつまでも銀時に引っ付いて話が進まないからという理由からである。
「しかし、月からとは……以前月に戦争を仕掛けに行ったことはありますが、今回も何かが起きているのかもしれませんね」
「何、お前ら月に喧嘩売ったの?」
「もうかなり昔の話ですわ」
「やっぱりBBAアル」
「うるせぇ黙れチャイナ」
「もういいから!! いちいち突っかからくていいから!!」
油断も隙もあったものではない。
「ところで金時。わしゃなんでここに呼ばれたんじゃ?」
「月まで行くのに必要なもん、テメェなら持ってんだろ? その後ろにでっけぇやつを」
銀時は、辰馬の背後に待機している宇宙船を指さしながら言う。
辰馬は。
「アッハッハッハッハ! これは仕事用じゃきぃ! いくら金時でもこれを丸ごと貸すわけにゃいかんぜよ。じゃから、こっちで小さい宇宙船ば用意したから、これを使うて行くぜよ」
大きな宇宙船から、一台の小さな宇宙船が現れる。
ゴゴゴゴゴ、というエンジン音と共に、それは銀時達の前に着陸した。
それはまるで、辰馬が乗ってきた船をそのままそっくり小さ目にしたものである。
「お前いつの間にこんな船作ったのかよ」
「急造品じゃが、性能は問題ないぜよ! 商いの方は陸奥に任せて、こっちはわしが行く! ……ところで、そちらのお嬢さんとても麗しいが、どうじゃ? わしと一緒にこの後一杯……」
霊夢の手を取り、謎に口説き落そうとする辰馬。
しかし、当の本人である霊夢はというと。
「ノーサンキューよ。もじゃもじゃ頭に用はないわ」
「アッハッハッハ! これはきつい一言じゃのう!」
あっけなく撃沈しているが、あまりにもポジティブシンキングすぎて皮肉が通用していない。
「……ねぇ、銀時。本当に大丈夫なのこの人」
霊夢は銀時のそばまで近寄って、小声で話しかける。
銀時は辰馬のことを呆れた目で眺めつつも、
「頭は空っぽだが、船好きで船動かす知識に関しては確かだ。本人はえらい船に弱くて乗るたび吐いてるけどな」
「使えないじゃない。誰が操縦するっていうのよ」
「操縦方法聞きながら俺達の誰かが操縦するしかねぇだろ」
「そういうことなら魔理沙の出番ね。魔理沙、頼んだわよ」
「なんか本人が関与していないところで色々と話が進んでいてびっくりだぜ!?」
気づけば何故か魔理沙が操縦役として任命されていた。
「アッハッハッハ! それじゃあいざ行かん! 月面旅行じゃきい! 金時!」
「だから銀時だっつってんだろ!? 金時だとこの小説のタイトルが『金色幻想狂騒曲』になって黄金の輝きに包まれちまうだろうが!!」
「……銀さん。そっちのほうがよくないですか?」
ぼそりと新八が呟いたが、もちろん銀時は聞いていない。
兎にも角にも、こうして銀時達は月へ赴くことになるのだった。
――そこで何が起きるのか。彼らはまだ知らない。
銀魂×東方project
銀色幻想狂想曲
第二百五十二訓 豪快に笑う男ほど頭が空っぽなのかもしれない