【IF番外編】犯罪者になったらコナンに遭遇してしまったのだが【Fate】   作:だら子

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【注意】連載中作品「犯罪者になったらコナンに遭遇してしまったのだが」のFate×コナンクロスオーバーIF番外編です


※本編とは関係なし
※オリジナル聖杯戦争
※新宿のアーチャー真名バレあり
(どうしても書きたい熱が収まらず、本編を投げ出して書いてしまった。誠に申し訳ない)


【IF番外編】犯罪者になったらコナンに遭遇してしまったのだが【Fate】

「アヤメ君、ランサーとライダーが先程退場したらしい。勿論、自らの手で死んださ! うんうん、幸先がいいネ! なんせ残りの参加者達は魔術の『ま』も知らない様なド素人達。順調に進んでいるのではないかね」

「そうか………ん?」

 

待て、コイツ今なんて言った。

 

聖杯戦争が始まって1日目だというのに何故早々にランサーとライダーが退場しているんだ。おかしいだろ。何でもう負けてんだよ。つーかランサーとライダーのマスターはどうなったんだ。あのマスターたちは時計塔出身の優秀な魔術師じゃなかったっけ?まさか死…? いや、これ以上は考えないようにしよう。気にしないようにしよう。目の前の男がニヤニヤしているところなんて私は見ていない。ランサーとライダーのマスターは生きている。いいね?

 

そこまで考えて私は溜息を吐いた。目の前にいる50代ぐらいの男――アーチャーと名乗るサーヴァントを視界に入れながら内心で舌打ちを零す。

 

(どうして私は聖杯戦争なんてものに巻き込まれているんだ。ここはコナン世界じゃなかったのか?!)

 

数ヶ月前、私はコナン御一行様と遭遇した。その瞬間、自分の前世の記憶が蘇り、この世界がコナン世界なのだと自覚したばかりである。それだけで頭が痛いのに一週間ほど前に突然右手の甲に赤色のタトゥーが出現したのだ。

 

ちなみにタトゥーが出現した時はベルモット先生からの依頼で死体処理をしている時である。死体に触れた刹那、バチィッと音を立ててタトゥーが浮かび上がったのだ。めちゃくちゃビビッたさ。慌てて死体を放り投げてタトゥーを落とそうとしても全然落ちず、死ぬほど怖かったっけ…。「え…? まさかこの死体の呪い…? ヤベー死体だからベルモット先生が私に処理するように依頼したの…? そうなの…?」と軽く絶望しかけた瞬間だった。

 

――――死体とタトゥーが光り出したのは。

 

思わず私は「突然の発光?!」と叫んだものである。というか叫ばずにはいられなかった。訳が分からなすぎて。

私が全力で困惑しているのをよそに死体の服が弾け飛ぶ。男の死体の腹には魔方陣が描かれており、赤色の光を放っていた。この時、死体とはいえまさかおっさんのフルチンを見る羽目になった私は内心で再び絶叫。そして若干泣いた。怖くて逃げることも出来ずに固まったままその光を見守る。パンッと光が弾けると同時にふわりと『何か』が舞い降りた。

 

「はははははっ! 我がクラスはアーチャー。私を召喚するとはまた酔狂なマスターもいたものだネ! いや、この状況を見るに私に『適材』なマスターか。何にせよ、よろしく頼むよ!」

 

チェンジで!!

 

咄嗟に私がそう考えてしまうのも無理はないだろう。明らかにヤベー奴が高笑いしながら空虚から登場したのだから当たり前である。しかもさ、『マスター』って何? 『アーチャー』って何…? つーか、突然何もないところから人間が現れるってどーなってんの…? やばい、やばい、前世の記憶がガンガン私へ訴えてくる。願いが叶う聖杯を勝ち取るため、過去の英雄を召喚して戦う、あの聖杯戦争だと私へ訴えてくるぅ!! 否定したいのに否定できねぇ! だって前世で目の前のアーチャーという男を見たことあるもん。こいつ有名なモリアーティ教授でしょ幾世あやめ知ってる!!

 

(ぜっ絶望した!)

 

ただでさえ周りから『モリアーティ』呼ばわりされている私が! 本物の教授を呼んだとなれば! これから先、確実に周りから『モリアーティ』と呼ばれ続けてしまうだろう! その上、コナンと戦う羽目になってしまう! コナンとも戦いたくないし、聖杯戦争なんてどうでもいいし、やる気ゼロなんで帰ってくれ。ハッ今なら令呪三画あるじゃねーか。令呪を全部使ってモリアーティに帰ってもらおうそうしよう! このまま彼のマスターになればヤベー事態に巻き込まれるに違いない。今ならまだ間に合うさ。

 

私は口を開き、「令呪を持って命ずる! 自害せよ!」と言おうとした時だった。アーチャーがニタリと笑ったのだ。思わず私はゾッとした。紡ごうとした言葉を慌てて止める。そして何をトチ狂ったのかこんなことを私は発言した。

 

「令呪を持って命ずる! じっ自害させてやろうではないか、参加する全てのサーヴァント達を! 誰にも気がつかれないまま完全犯罪を共に成し遂げよう、モリアーティ!!」

 

何言ってんだろ私。

本当に何言ってんだろ自分。

 

いや、本当に馬鹿じゃないの私? うっかり自害まで言っちゃったから、他の人間へと繋げるのはまだ分かるけどさ。何で参加するサーヴァント全員って言った? そこは誰でもいいから適当に答えろよ。例えば私の復讐対象とかさ。モリアーティ教授なら私の憎んでいる人間を軽く殺してくれるよ。何故私はサーヴァントと言った?!

 

自分の発言に血の気が引いていくのが分かった。なんせ私はただの一般人。FGOの主人公であるぐだーズではないのだ。彼らのように価値ある人間にはなり得ない。当然のようにモリアーティ教授が私に目をかけるわけがないのだ。下手をしたら本当に殺されてしまう。チラリとモリアーティ教授を見てみると彼は無表情だった。無機質な瞳が私を射抜く。

 

「曖昧かつ長期に渡る命令をしてしまうとは…。ここぞという時に使ってこそ令呪は生きるというのに」

 

ヤベー! 滅茶苦茶失望されているヤベー!!

 

モリアーティ教授って考えていることを外にあまり出さないタイプなのに出してやがる。つまり、私はモリアーティ教授に悪い意味で『素を出しても大丈夫な人間』だと思われているということだ。教授にとって私は注意を払う必要のない、どうでもいい人物になってしまったのだろう。ヤバイ、ヤバイ。本当にヤバイ。何か…何か言い訳をしなくては!

 

私は努めて冷静に教授の方へと視線を向ける。なんてことないように口を開いた。

 

「君は一筋縄ではいかないサーヴァントだろう? それ故に『無駄な理由』で令呪を使ってみせたのさ。そうすれば少しでも平凡な私に興味が向くと思ってね」

「ホォ? 」

「正直に言おう。私は平凡で、取るに足りない人間だ。だからこそ君が必要不可欠」

「願いを叶える願望機を手に入れるためにかね?」

「いや、違うよ。そんなものはいらない。願いとは自分で叶えるものだ。他人に、ましてや物に叶えてもらうなど言語道断さ」

「では、何のためにマスターはこの聖杯戦争にするんだね?」

 

完全に成り行きですけど。

 

でも、それは言えねぇ。言った瞬間、モリアーティ教授に殺されかねない。いや、殺されるならまだマシかもしれない。地獄のような苦しみを味わいながら駒として扱われる可能性がある。………何で私の周りってこんな物騒なの? 私が犯罪者だからなの? そろそろ神様は私に優しくしてもいいと思うんだ。叶うならモリアーティ教授は彼のお眼鏡に適うような人物に召喚されて欲しかった…。何で私のとこに来ているんだよ…。そう考えて、内心で咽び泣きながら私は小さく笑ってみせる。

 

「一度だけ為してみたかったのさ。『悪』が『正義』に勝つという矛盾をね。それは君――――モリアーティ教授がいなくては意味がないんだ。だからこそ私は君を召喚した」

「……その口ぶり、まるでホームズがこの聖杯戦争に参加するような言い草だネ? 彼が『この時代』に『この場所』で『この聖杯戦争』に召喚される確率なんてゼロに等しいというのに」

「ホームズは必ず現れる。嘘なら私を殺して構わないよ」

 

そろそろ口を慎め私。

 

ホームズが参戦する保証はないと言うのに何故、私はこんなことを言った?! モリアーティに殺されないためとはいえ、こんな嘘をついてどうする?! 冷や汗で背中が濡れてきた。怖い。マジで怖い。自分の発言を取り消したい。

 

(ここはコナン世界だ。モリアーティが召喚されたとなれば、必ずホームズも来る……はずだよね…?)

 

……召喚されるよね? そうだよね? 本音を言うとホームズが参戦など絶対に嫌だ。だが、教授にあんなことを言ってしまった手前、ホームズが召喚されなければ私は死ぬ。それ故に彼が召喚されることを願うしかないのである。ああ…胃が…胃が痛い…。あー…そうだ、もしもホームズが現れなかったら、その時は江戸川コナンをホームズとして扱おう。そうしよう。それで教授が騙されてくれる気はしないけどな。辛い。

 

私が胃のあたりを撫でているとモリアーティ教授は少し意外そうな顔をした。そして次の瞬間、吹き出す。

 

「フッ、ふははは。大ボラを吹く君に興味が湧いた。マスターの思惑に乗ってみるのも一興。この世紀の大犯罪者、ジェームズ・モリアーティが手伝ってやろうではないか」

「アーチャー、その『マスター』呼びはやめくれないか。私のことはあやめと呼びたまえ」

「では、アヤメ君と。さあて、この聖杯戦争をありとあらゆる戦争の中で最も面白いものにしてやろうじゃないか! なあ、我が共犯者殿?」

 

モリアーティが私へと手を差し出す。その手を静かに取った。盛大に顔を引きつらせながら私は内心で嘆く。

 

――――どうしてこうなった、と。

 

 

 

 

 

 

『幾世あやめ』という人間は凡庸であって凡庸でない。そして、非常につまらない存在であり、非常に興味深い人物である。

 

私、ジェームズ・モリアーティは自身のマスターをそう評価していた。

 

周りの人間はきっと「このような矛盾を孕んだ評価は評価とは言わない」などというだろう。しかし、『幾世あやめ』という人間には不思議とこの評価が実にしっくりきていた。

 

目の前にいる『幾世あやめ』に視線を向ける。彼女はいつも通りの人畜無害な表情を浮かべていた。私は彼女が紅茶を飲む姿を見ながら優雅に笑ってみせる。

 

「アヤメ君、次はアサシンあたりを狙うかい?」

「ああ、それがいいだろう。私たちにとってホームズ以外で厄介なのは暗殺者だからね。サクッと自害してもらおう」

 

幾世あやめはサラリと人の命を弄ぶ言葉を紡ぐ。邪悪で、人道に外れ、人として破綻している『殺人』という行為を彼女は日常かのように語っていた。

 

それなのに。

それなのにもかかわらず、幾世あやめは『普通』だった。

 

どこまでも、驚くくらいに普通だったのだ。周りが到底無視できないような言動をしているというのに、彼女に『死』は似合わなかった。相変わらず『幾世あやめ』は平凡だとしか思えなかったのである。

 

(思わないのではなく、『思えない』人間、か)

 

歪としか言えないそのマスター。矛盾に満ちた彼女との出会いは、やはりチグハグで笑ってしまうほど『おかしかった』。

 

――――幾世あやめが私を召喚した場所は廃墟である。

 

その時の彼女は男の死体を引っ張っていた。ゴム手袋をはめた手を真っ赤に染めながら、目を見開いて私を見ていたのを今でも覚えている。『まさか召喚できるとは思わなかった』、そういう顔をしていた。正直なところ半信半疑だったのだろう。彼女は純粋な魔術師ではなく、一般人に近い人間だ。それ故、サーヴァントが本当に召喚できるかどうかまで分かっていなかったに違いない。

 

(……このマスターは『駄目』だネ)

 

『幾世あやめ』という女に私が抱いた第一印象は『群衆に紛れて分からなくなってしまうような凡人』だった。言い換えれば、『どうでもいい』。

一応、召喚時には彼女に対して「私に『適材』なマスター」と言っている。それは半分本心であったが、同時に嘘でもあった。

 

幾世あやめは不確定な情報でも『願いを叶える聖杯戦争』の参加権を得るために殺人を犯している。友人と笑い合う姿の方が似合う女性がそれを成した――――普通の人間ならばそんな彼女の存在に目を奪われるのであろう。周りの人間はきっと『私』にお似合いなマスターだと思うに違いない。

 

だが、それだけでこのジェームズ・モリアーティの興味を引く対象にはなりえない。何故ならば、簡単に言ってしまえば殺人など誰にでも出来てしまう事象だからである。圧倒的で、熱烈で、強烈で、心臓が高鳴るような美しい『死』を魅せてくれるのはほんの一握り。それこそ一世紀にいるかいないかの確率である。ジェームズ・モリアーティはその『一世紀にいるかいないか』の稀有な犯罪者だったからこそ、自分以外の犯罪者の魅せる『死』には厳しかった。故に、『幾世あやめ』の『殺人をしているのに平凡に見える』という特質はそこまで自分の興味を引かなかったのである。

 

(あまり気乗りしないなァ。この女、ここで殺してしまおうか)

 

通常通りのダンディなアラフィフの私ならばある程度聖杯戦争に付き合ってやっただろう。最後にマスターがどうなるのかは保障してやらないが、きちんとサーヴァントとして仕えるつもりだった。だが、それも幾世あやめが貴重な令呪を無駄に消費したことにより全てが無に帰すこととなる。

 

この女とくればわざわざ令呪を使って『全サーヴァントを自害させる完全犯罪を成そう』と宣言してきたのだ。思わずこの命令には鼻で笑いそうになったものである。令呪は本来、切り札であるべきものだ。その為、ほとんどのマスターはここぞという時にしか使用せず、また、命令は明確なものか瞬間的なものにする。彼女の令呪の使い方はどれにも当てはまらないどころか、簡単にサーヴァントに解除されてしまうようなものだった。

 

『生きていることさえも許せない愚か者』

 

幾世あやめへの第二印象は『自分の視線にすら入れたくない』だった。もうこのマスターに仕える気はない。さっさと殺そう。そう考えて私は女へ殺気を送った。それにより、この愚者は自分が殺されることにようやく気がついたのだろう。慌てたように取り繕う言葉の数々。「無駄な理由で令呪を使い、自分に興味を向けさせようと思った」だの、「悪が正義に勝つという矛盾を成すために君を召喚した」だの笑えるようなことばかりを言ってきたのだ。

 

(本当に救いようのない愚か者だ。もうお前は死ぬのだから言い訳などせずともいいのに)

 

この程度の女なら人差し指だけで殺せるだろう。それくらい弱く、貧弱で、いっそ哀れに思う程に何もできない存在なのだから。まるで処刑人かのように指を動かそうとした時だった。女がこう言ってきたのだ。

 

――――ホームズがこの聖杯戦争に必ず現れる、と。

 

とんだ大ボラだった。呆れて笑うこともできない愚かしい戯言。あまりに馬鹿馬鹿しすぎて思わず自分の指が止まってしまうほどである。ホームズがこの時代、この場所に、この世界に召喚される確率などゼロに等しい。ありえない、その一言だろう。……そうさ、ホームズがこの戦争に参加するはずがない。「もっとマシな命乞いにした方がいい」と言って、この女を殺してしまおう。そう考えて、再び指を動かそうとした瞬間、バチリと女と目があった。

 

死を目前にしている時でさえ平凡な瞳。

あまりにも愚鈍で評価するのにも値しないその瞳に『誰か』が一瞬、映ったのだ。

 

(ああ、そうか、)

 

同時に唐突に理解する。この女にもいるのだ。ライヘンバッハへ突き落としたいと思うような探偵が。『幾世あやめ』という女は『探偵』を知る者の目をしている。これは探偵と対面したことのある犯罪者にしかできない目だ。この女は凡ゆる謎を蜘蛛の糸のように張り巡らせ、探偵を狩ろうとしている。凡人で、大した特徴もなく、取るに足りないちっぽけな存在が牙を研いでいるのだ。凡庸な身からは考えられない内心の熱烈さに自分の口元が歪むのがわかった。

 

(……気が変わった。このマスターを殺すのは止めよう)

 

殺すのはもっと後で構わないだろう。折角召喚されたのだ。今殺しても、後で殺しても大差はないはず。愚かなこのマスターの生き様を見るのも一興。

そう考えて、私は女に手を差し出した。彼女、幾世あやめはにこやかに笑いながらその手を取る。

 

――――こうしてチグハグな幾世あやめと私は契約を交わしたのだ。

 

だが、想像した通り、契約しても幾世あやめは愚鈍なままだった。私がサーヴァントになろうとも彼女の性質は変わらなかったのである。少し飽きが来たなと思った時、それは起こった。

 

街中で偶然、ランサーとライダーのマスターに遭遇したのだ。

 

その時の私とマスターの幾世あやめは買い物をしていた。私だけはランサーとライダーのマスターの全貌を把握していたので、これは面白くなるかなと笑みを浮かべたものである。そんな中、少しだけランサーとライダー関係の情報を私から仕入れていたはずの幾世あやめは無反応だった。いや、無反応というよりも買い物に気を取られすぎて二人のマスターを見てもいなかったのである。

 

(…やはり、この女はいささか愚鈍がすぎるな)

 

冷たい目で幾世あやめを見下ろした瞬間だった。彼女が小さく笑ったのである。しかも、先程まで視界にすら入れていなかった筈のマスター達を見ながら楽しげに笑みを浮かべていたのだ。それに不覚にも私は目を奪われる。その時だけ自分は取るに足りない、興味を抱くにも値しないはずの女に惹きつけられていた。目を細めたまま彼女はポツリと呟く。

 

「楽しみだなあ」

 

そして次の日。

次の日、ランサーとライダー並びに彼らのマスターは自害した。

 

おかしい。おかしい。ありえるはずがない。彼らに自害する理由などはなかったはずだ。久々に私は慌てて事件のあらましを調べ上げた。だが、信じられないことにただの自殺でしかなかったのだ。あのランサーとライダーのマスター達は聖杯戦争の重みに耐えきれず、自害しただけだというのである。また、二人のマスターのサーヴァント達はそれを責任に思い、自ら命を絶った。

 

これだけ見れば単なる偶然だ。だが、偶然に片付けてしまうには幾世あやめの言動がおかしかった。本当にこれは偶々起きたことなのか。偶然ならばそれはそれでいい。だが、もしもこれが意図的なものであれば。幾世あやめの手によるものだとするのなら、それは――――。

 

「面白い」

 

反英霊として世界に認められた悪名高き犯罪者『ジェームズ・モリアーティ教授』に、幾世あやめは喧嘩を売ったのも同然である。彼女は味方でありながら、味方ではない。私が評価する側であったはずなのに、いつのまにか評価されていた。

 

なんて『幾世あやめ』という人間は興味深くて興味深くはない存在なのだろう。もしもランサーとライダー陣営の死が偶然ならば幾世あやめは愚鈍のままだ。対して、これが意図的なものであれば私に相応しいマスターである。だが、分からない。どちらが正しいのかこのジェームズ・モリアーティにも分からなかった。この様な経験は久方ぶりだ。いや、同業者に限定するなら初めての体験である。

 

だから、凡庸で愚かしくて、だが、非凡な存在である『幾世あやめ』に私はこう言うのだ。

 

「さあて、完全犯罪を成し遂げよう」

 

ジェームズ・モリアーティはニッコリと笑った。

 

 

 




この後、聖杯戦争の参加者がほぼ探偵で構成されていると知り、幾世あやめの目が死ぬ。


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