そんな世界線の原作後、ラストエンブリオ前なとある日常の話。
※処女作なんで、あんまり期待しないでください
―――ノーネーム本拠地、厨房
コトコトと鍋が煮立つ音が厨房に響く。
すると、おいしすぎて顔がにやけそうな香りだけではなく、見事といわざるを得ないほど美しい
俺はその光景を確認し、取り分けてあるスープに口をつける。
「フー、フー、ズッ……ん、おいしっ」
圧倒的な種類と量のうま味が口の中を支配し、至福ともいえる満足感が食道を通り胃の中を蹂躙していく。口角も自然と持ち上がり意図せずともニヤけてしまう。
確かにこのスープを作ったのは結構久しぶりだ。だが、このスープは両手を使っても足りないほど作ってきた。それでも味見でニヤけるのを止めることはできない。
「やっぱ、
これで、このスープは完成だ。あとはこの大鍋をもって大広間に行こう。
「サバキ様ぁ!お手伝いにきました!」
「「「きましたぁ~!!」」」
ひょコン!と、かわいらしい狐耳を立てた少女とその後ろの数人の子供たちが厨房を覗いていた。
ここ”ノーネーム”に所属する子供たちだ。
俺こと、小松
「丁度よかった!今から大広間に運び出すところだ。今日は、冷蔵室に入ってるやつと、オーブンに入っているやつを頼む。俺はこの鍋の中身を持って行くから」
「「「・・・ふぁ~い」」」
一通り指示を出すが返事にいつもの元気がない。手を動かしながら子供たちのほうを見ると、ほとんどがとろけた表情で、中でも犬や狐の
「リリ、顔がにやけてるぞ?お前らも、惚けてないで早く運べ!そうしないと夕飯にありつけないぞ!」
「「「は、はい!」」」
「ふぇ?ひゃ、ひゃい!」
全員がようやく動き始めた。俺がリリとよんだ狐耳の少女も顔を赤めらせながら作業に取り掛かる。
そのしぐさは実にかわいらしものだったが、ここで弄るのはやめておく。夕飯をすべて一通りは味見したとはいえ、俺もおなかがペコペコなのだ。
〇□×△
「はい、おまちどうさま。と、言いたいところだけど、もう少し待とうか。」
「むぅ・・・お腹すいたよ・・・」
長机のいわゆるお誕生日席に座る少女に
それはそれとして、今はこの食いしん
「はいはい。あと五分もかからないんだから我慢しましょうね~」
「こんなにおいしそうな香りを漂わせる鍋を目の前にしてまだ待てと?」
不貞腐れたようにテーブルに顎をつき口を尖らせながらも、獲物を狙う獣のように目をギラつかせて鍋を見つめる我らが「ノーネーム」首領、春日部耀。まあ、ザックリいうと俺が見てきた中でも両手で数える内には入るほどの大食い娘でもある。俺がいくら作っても全てこの娘の胃袋の中に吸い込まれていく。その様はいつ見ても本当に清々しいほどだ。
だが、ここは今しばらく我慢してもらいたい。
「みんなと一緒に食べるほうがおいしいだろ?」
「・・・このドSめ」
拗ねた顔に尖らせた唇、それに上目遣い。そんな
―――――――
「じゃあ、よーちゃんの分は皆で分k「ごめんなさい調子に乗りました皆に行き渡るまでちゃんと椅子に座って待ってるからどうか
そう。今、春日部耀は
だが俺は、口ではそう言いつつも、肩をすくめて配膳に戻る。
「え?ちょ・・・。解いてくれないの・・・?」
「え?逆に解いてもらえると思ってるの?みんなで食べると言いながらも、何回、一人で先に食べ始めた?何度、味見と称して料理中の食材を食べつくした?そして、そんな悪い娘が俺の渾身の逸品を前に何の対策もしないで大人しく椅子に座ってるとでも?さらに言えば、今夜の晩飯、自分の両手を使って食べれるとでも?」
「うぅ・・・・・・・ひどい」
別にこの仕打ちは別に俺の
「さ、みんなで早く配り終わらせろ!つまみ食いはするなよ?リーダーみたいになりたくなければな!」
「「「はーい!!」」」
子どもたちの元気な声が響き渡る。
・・・そのうちの複数の男子は赤面で耀の方をチラチラ見ているし、数人の女子は手にもって運んでいる料理と俺もしくは耀を見て心なしか顔を赤くして息を荒くしている。
男子共はまあ、仕方ないだろう。そういう年頃に入りそうな年代だ。女子はとってもお腹がすいてるのかな?(小並感)
「さあ、早く終わらせてしまえ!リーダーが我慢しきれなくなるぞ!」
プラチナブロンズの髪の美少女、レティシアが子供たちに発破をかける。実質的な子供たちの統括もメイド長と同様に彼女の仕事だ。
発破かけたかいもあってか順調に配膳が進み、全員に料理が行き渡った。
「じゃ、よーちゃんから何か一言」
「え!?この状態で!!?」
まだ縄を解く時ではない。公開
そして、空気の読める我らがメイド長はもちろん俺に合わせてくれる。
「ああ、主殿たちがこのコミュニティに来て今日でちょうど1年だ。リーダーからの一言でもなければ締まらないだろう?」
「ちょっと待ってレティシア。今、わたし、縛られてるんだけど?」
「それは分かっている。だが、私にはどうにもできない。いるだろう?」
「うぬぬ...」
そう、レティシアが一切手を出すことはない。耀がこうして縛られていることに賛同しているうえに、俺と共犯なのである。
全て理解している耀はようやく観念したみたいだ。
「え~っと、こんな格好で示しがつかないけど、「全面的に自業自得だろ」...こ、こうして私たちがこの箱庭に来てから無事に一周年を迎えることができました。これは、今ここにいない十六夜や飛鳥、黒ウサギにジン、ペストに白夜叉それから、うちの稼ぎ頭、サバキのお陰です。そして私たちを支えたレティシアやみんなのお陰でもあります。ですから、「長い!ハイ皆コップ持って~」...ちょ、まだ途中なんだけど!?」
”スピーチとスカートは短いに越したことはない”っていう格言を知らないのか?
まあ、それはどうでもいい。どの道、最後まで言わせるつもりは無い。
「じゃ、このコミュの発展とみんなの幸せを願って、乾杯!」
「ねえ!私のは!?」
「「「かんぱ~い!」」」
「ねえってば!」
耀の悲痛な叫びと、子供たちが笑う賑やかな声とともに、今宵の宴は盛り上がっていく。
それはそれとして、うちの食事について少し紹介しよう。
基本的に
まあ、それでも全部で百数十枚は軽く超えるが、うちには手際のいい子が何人もいるから30分もあれば片付けも全部終わる。
ちなみに、作る方はほとんど俺一人で全部作っている、手伝ってくれる子達には主に食材の皮むきや水洗いとか、下準備が中心になっている。
時間と食材があるときはお料理教室状態になっているが。料理ができれば女も男も、モテるからな。俺は...料理の
「おいしい...おいしいよぉ」(´;ω;`)ブワッ
まあ、こんな風に泣きながら俺の作った飯を食ってくれる女の子がいるだけで十分か。
「こっちはいつもと変わらんだろ?特に変わったことはしてねぇよ。ホレ、あー...」つ
「...あむ...それが美味しいんだよぉ」(´;ω;`)モグモグ
「さあ、みんな食い終わったな?今日のメインディッシュの時間だ!」
子供たちから、待ってましたとばかりに声が上がる。
目の前に置かれたスープ皿の蓋を皆で一斉に開けていくのと同時に、あちこちから感嘆の声が上がった。
「うおおおお!!」
「すげぇぇぇ!!」
「......綺麗...」
「本来、アイスヘルと呼ばれる極寒の大陸で100年に一度しか姿を現さない、その名も“センチュリースープ”こいつはその再現の箱庭アレンジ版だ。笑いが止まらないぐらい旨いから覚悟しろ?」
おいし~、アハハ変な顔~、と騒ぐ子供たち。
こういう光景が明日も、明後日も、ずっと続くことを切に願いたい。
心許せる
耀「ところで、私はいつまで縛られていれば...?」