TS光堕ち真祖アルモちゃん   作:ちゅーに菌

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元、姉を名乗る不審者と申します。楽しんでいただければ幸いです。

初投稿は等しくホモなので全ての投稿者はすべからくホモです。






アルモちゃんとオルモちゃん

 

 

 

 

「オルモの様子がおかしい」

 

「それはどういうことだ?」

 

 虚栄の空中庭園(ハンギングガーデンズ・オブ・バビロン)建築5日目――と言っても1日半で素材の準備と大まかな設置は終了していたため、セミラミスの72時間の術式も既に終えており、宝具自体は完成している。

 

 そのため、今は立香たちとの合流を待ちがてら、超絶美女真祖オルモちゃんの対策を幾つか講じつつ、セミラミスと話をしていた。

 

「なぜ、オルモの奴は全く召喚しているであろうサーヴァントを見せびらかして来ない? 私なら必ずそうする筈だ」

 

「………………ああ、何かと思えばそう言う。まあ、確かに母上なら嬉々として来そうではあるな」

 

 普通のマスターならば、そのような自殺行為をイチイチしないと思うが、他ならぬ私ならば別である。何せ、誰よりも私自身の事は私が一番よく知っているからな。

 

 快楽主義者でお節介のクセに根は小心者にも関わらず見栄っ張り。恥ずかしながらそれが私の決して褒められない性格である。

 

 快楽主義者だから色々な英雄とよせばいいのに縁を結び、求められてもいないのにお節介を焼く。そして、小心者だったから人間の徒手武術と空想具現化を極め、危険に対処できるように死ねないのに死なないように頑張った。尚且つ生きてきて頑張った成果や、手に入れたモノを自慢したくなる。そんな人間だとしても底辺で矛盾まみれでめんどくさい生き物なのだ私は。

 

 だから私ならするであろうことをしないということは、他に何か出来ない理由があるということを、真っ先に考えてしまうのである。杞憂ならばいいが、楽観視するのはあまりにも危険だ。

 

「普通に考えれば、後方支援向きのサーヴァント――キャスター辺りを召喚したらという可能性が強いだろうな。だが、仮にメディアや、キルケーなどのかつては魔法使いと呼ばれていた大魔女クラスを喚んでいれば、多かれ少なかれ支援魔術や、エンチャントをして私に挑んで来た筈だ」

 

「そもそも英霊召喚を執り行っていない可能性は?」

 

 可能性のひとつとしてそれも考慮すべきだろう。しかし、それに関しては他ならぬ私が断言できる。

 

「それこそ、有り得ない。聖杯戦争に来ていているのに、そこにサーヴァントを召喚せずに私が参加するわけないじゃないか。居酒屋に来て"とりあえず生で"をしないぐらい有り得ない」

 

「………………今だからわかるが、母上は千里眼でも持っているのか、聖杯の知識でも与えられていたのか……?」

 

「真祖の吸血鬼だぞぅ!」

 

 アー、アー、聞こえない、聞こえないー!

 

 どうやら鳩ちゃんは、私に育てられていた時に未来のスラング等を時々言っていた事を思い出し、聖杯の知識と照らし合わせて知識面のオーパーツな矛盾点に理解したらしい。私としては、"とりあえず生で"が聖杯の知識で入っていた方が驚きである。アラヤも一杯やるのだろうか?

 

「まあ、今はそんな事はどうでもいいんだ。 重要なことじゃない」

 

「………………まあよい、今さら追求はせん。他に考えられることは……使えもしない享楽家の劇作家と言った戦力にすらならないサーヴァントを引いた場合か」

 

 私から目をやや背けて、使えないことを妙に強調する鳩ちゃん。まあ、異なる世界の聖杯大戦(アポクリファ)で弄られたシェイクスピアでも思い返しているのであろう。変なところで短気だったり、小さかったりするのが、セミラミスの可愛いところである。

 

「或いは隠した方が面白いサーヴァントか、だね。実を言うとその場合だと何体か最悪のシナリオを招けるサーヴァントに心当たりがある」

 

「ほう……それはそれは――」

 

 そんな最中、ある存在を認識した次の瞬間、私は暴風と化した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何度も危ない目に会いつつ、黒いジャンヌのサーヴァントを倒しながら、どうにか竜殺しのひとり――ゲオルギウスさんを探し出し、他のはぐれサーヴァントのエリザベートと清姫とも合流して私たちは、空中庭園の準備をしているアルモさんとセミラミスさんのところに戻って来た。

 

 幸いだったのは、その後この時代のアルモさんには1度も会わなかった事だろう。戦力的にも、私の心としてもそれは本当に幸いだった……ううん、私にとっては後者がずっと大きいよね。

 

 そんなことを思うぐらいアルモさんは、私の中でいつも側に居てくれる当然の存在で、姉のようで、歳の離れた親友のようで、家族だと思う。

 

 だからこの時代のアルモさんは、とても見ていられなかった。当然だけれど私のことを一切覚えていなくて他人のようで、見た目や話し方はアルモさんなのにその中身がまるで違う、そして違うにも関わらずその慟哭は確かに心の底から魂から絞り出しているようで……家族が泣いているのに何も出来ない自分が何より悔しかった。

 

 それと同時に、私はアルモさんについてほとんど知らないということも思い知った。いや、アルモさんからすれば楽しい話でもないし、聞かれなかったからしなかっただけだとは思う。けれども私は、何年も一緒に居たのに楽しかったと本人が言っていた事ばかりで、1度足りとも人間と別れた時に悲しんだ事や泣いてしまったような出来事を知らない。それなのに私が悩みや困り事をまず相談する相手はアルモさんだ。

 

 家族なのに……そんなことも今まで気づかなかったんだね私は……。

 

 そんなことを考えながら歩いていると、丘の先ほど遠くに小さな白い影が見える。紛れもなくそれはアルモさんのドレスだった。

 

 どんな顔をして会えばいいかわからないけれど、とりあえず笑って"ただいま"と言おうと考え、意識を白い影に移すと――視界一杯にアルモさんの豊満な胸が広がる。

 

 

「アルモさ――むぎゅう!?」

 

「ハローハロー!? 私のエロースちゃん!? 5日ぶりだねぇ!? ふわぁ……はぁぁぁ……新鮮なリツカニウムだぁ……うぇへへー……堪んねぇなぁ!? あっ、ちなみに神のエロースとは知り合いだけれど、そちらとは一切関係ないので悪しからず」

 

「な、何ですかこの人は!? きしゃー! うらやま――ますたぁから離れてくださ――」

 

「あっ、きよひーだ。うぇへへ……こっちも可愛い。ヘルズキッチン以来だね!」

 

「こっ、こっちに抱き着いてきました!?」

 

「な、な……なな……なんなのよこのへんた――」

 

「エリちぁぁぁん!? 久しぶりー! 450年振りぐらいかな!? エリちゃんマジドラ☆クル! きゃわわー!」

 

「ちょっと! いきなり私に高い高いって何して――って貴方アルモーディア!?」

 

「ゲオル先生チーッス」

 

「お久しぶりですね。ええと……貴方からすれば1700年振りぐらいになるんでしょうか?」

 

「アルモさんチーッス!」

 

「マリーちゃんチーッス! …………ってあれ? マリーちゃん生きてる? 怪我とかしてない?」

 

「ええ! もう戻れないかもしれないと思ったのだけれど、虞美人さんが助けてくれたの!」

 

殿(しんがり)なんて2度とやらないわ……」

 

「むぅ……」

 

「――お帰りプロテアちゃん! 立香を守ってくれてありがとうね! いっぱいいっぱいぎゅーってするよぎゅーって!」

 

「――! えへへー! プロテアがんばりました!」

 

 

 ああうん……やっぱりこの訳のわからないぐらいの喧しさ――賑やかさがアルモさんだよね。

 

 私は安堵に胸を撫で下ろし、ひとまず胸に抱いたモヤモヤをしまいながら、随分久し振りにアルモさんに会えたような気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Leck mich im Arsch!(俺の尻をなめろ) Lasst uns froh sein!(陽気にいこう) Murren ist vergebens!(文句をいってもしかたがない)――」

 

「あっはははは! 最高だね君! 折角の美声が僕の歌で台無しなところが実にいい!」

 

「本当に台無しだよアルモさん……」

 

 その日の夜。他にもいたかもしれないけれど、ひとまずこの特異点で召喚された協力してくれるサーヴァントたちと、私たちで自然に2度目の交流を、黒いジャンヌへの作戦会議も兼ねて行っていた。

 

「――ふぅ……それで立香。オルモちゃん()に会ったんだって? なんか変わったところあった?」

 

 俺の尻をなめろ(作曲:モーツァルト)を熱唱し切ったアルモさんは、急に素に戻るとそんなことを聞いてくる。その落差に苦笑しつつもアルモさんらしいと思いながら、この時代のアルモさんと話したことについて話し始める。

 

「…………ふーん、実際、確かにジャンヌちゃんが殺された瞬間だけはそんな風に思ったよ」

 

 そんな言葉に思わず身を固くする。恐る恐るな様子で近くで話を聞いていたジャンヌも身を震わせ肩が跳ねていた。

 

「でも、あくまでもそれは思っただけだ。例えば誰だってたまに嫌なことを他人にされると思うだろう? "コイツ、殺してやろうか?"ってさ。でも実際には殺らないから思うだけだ。そして、その気持ちは2~3日もすればなんでそんな面倒なことを考えてたんだろうって思って、1週間もすれば忘れてる」

 

『あー、なんとなくわかるなそれ……思うだけなら誰しもたまにあるものね。私も生前は利権だのなんだのが目当ての連中にしょっちゅう思ったっけなぁ』

 

 通信機越しで話に加わってきたのは、ロマニではなくてダ・ヴィンチちゃんだった。一段落したのか、珍しくアルモさんと真面目な話が出来るから変わったのかな?

 

「だから、ぐっちゃんが言うようにどこかイカれてるよ、オルモちゃん。私は1ヶ月もすればジャンヌちゃんについては立ち直った。だが、アイツは多分、なんらかの理由で"ジャンヌが殺された瞬間の憎悪と復讐心"を持ち続けている」

 

『へぇ……それについてもう少し詳しく聞いてもいいかい?』

 

「そうだな……極めて高ランクの"狂化"か、"精神汚染"スキルでも付与されているかもな。喋った内容を思い返しても見てくれ。自分の事しか語ってなんざ私はしないし、そもそも端から他者の話を聞く気すらない。オルモの奴は、話が出来ているようで、一切会話として成立していないんだよ」

 

『高ランクの狂化か、精神汚染スキルか……。随分、サーヴァントに詳しいんだね』

 

 ダ・ヴィンチちゃんがそう言うとアルモさんはクツクツと笑う。そして、どこから持ってきたのか、この時代のお酒を呷るとまた口を開いた。

 

「年期が違うんだ年期が。そう言ったモノが人間様だけの武器だなんて傲るなよ天才さま? 現に人理焼却の主犯は明らかに人間業じゃない。なら私が何を知っていても問題なんてどこにもない筈だが?」

 

『あー……うん、まあ釈然としないけどそう言われちゃ引き下がるしかないや。別に私は疑ったりしてる訳じゃないさ。ただ、少しでも有益な情報が欲しいんだよこっちは。君が話したくないことがあるのはわかるけど、それも汲んでくれると嬉しいな?』

 

「わかってるわかってるって、基本私は人類の味方だよ。何せ、人間を律する存在(モノ)だからね。私としては人類が消えるととても困るんだ。――だから、レズセで許しちゃうゾ。ダ・ヴィンチちゃんのその体、堪能してみたいなぁ……アルモちゃん」

 

『ええ……』

 

「――まあ、だから個人の感情だけに任せて、無意味な大量殺戮に加担しているこの時代の私はおかしいんだ。さっさと正気に戻さないと、今に何かとんでもないことを仕出かすぞ。他に何かはないか?」

 

 今までの話でわかった事と言えばそれぐらいだった。だから私はずっと引っ掛かっていたことをアルモさんに相談する。

 

「去り際に"人間を一番殺したのってなんでしょうか?"って問題を出されたことぐらいかな」

 

『うーん、生物なら蚊。単純に考えると悪性新生物。戦争の原因だと宗教とかかな? 何れにせよ、それが何かに繋がるなんて今のところはわからな――』

 

「――――――――」

 

 すると何かに気がついたようで、アルモさんの表情が驚愕に見開かれるのがわかった。そして、片手を頭に付けて心底面倒そうな様子で天を仰ぐ。

 

「いや、違う……惜しい。全部掠っている」

 

『ほう、となると答えは?』

 

「もっとデカい括りで単純なものだ。戦争だろうが、平和だろうが、等しく人間に振り掛かるもの。蚊も癌もその一端に過ぎない」

 

 アルモさんは大きく溜め息を吐き、"最悪だ"と一言呟いてから更に言葉を続けた。

 

 

「"病"だ……人類の"病への怖れ"という概念そのものだよ。アイツ……このフランスにヨーロッパで考える限り史上最低最悪の地獄を再び顕現させる気だ……」

 

『14世紀ヨーロッパで地獄を見せた病……"黒死病(ペスト)"のことかい?』

 

 黒死病(ペスト)

 

 極めて死亡率の高い伝染病として最も有名な病のひとつかもしれない病気だ。14世紀に起きたペストの大流行では、世界で1億人ほどの人々が死に、当時の世界人口を4億5000万人から3億5000万人にまで減少させたとも言われている。特にこのヨーロッパの全人口の30%~60%が死亡したと言われていて、以降の社会構造にすら大打撃を与えたものだ。

 

「1体だけ、それが可能なサーヴァントを私は知っている。なるほど……直後の時代であるこの特異点そのものが最高の触媒というわけだ――」

 

 そして、アルモさんは重い口を開き、そのサーヴァントの名前を口にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「かァごめかごめ。かーごのなかの鳥は――♪」

 

 廃都と化した街。その中を黒い斑点が身体中に浮いた生気のない人間たちがゾンビのように徘徊する中で、金髪の吸血鬼――アルモーディアは夜空の星々を眺めながら遠い異国の童謡を口ずさんでいた。

 

 その声は歌を聞くことが出来る者がこの場に残っていたのならば、言語が異なっていようとも多くが足を止めて聞き入った事であろう。

 

 歌はアルモーディアが生を受けて以来、道具も他人もいらずにずっと行えた趣味のひとつであり、彼女の歌声が洗練されているのはある種当然とも言える。

 

「――そろそろカルデアのみんなも知った頃かな?」

 

 歌い終えたアルモーディアは、誰に語り掛ける訳でもなくそう呟くと、星に手を伸ばすように、その両腕を空に掲げた。

 

「いっぱいいっぱい、フランスのみんなが竜の魔女を怖がってジャンヌちゃんを知ってくれたし……そろそろ終わりにしようか。"また"14世紀最大の地獄を思い出させてあげよう。ううん、今度はもっともっとみんなの記憶に残るような、素敵な慰霊碑にしよう。ああ……楽しみだ――」

 

 すると心底愉しげに身を震わせながら笑うアルモーディアの背後に、いつの間にか黒いガス状で人型をした何かが現れ、彼女の背後でそっと寄り添うように立ち、影のように伸びる。それは酷く無機質で感情のないロボットのようなサーヴァントらしからぬ異様さを放っている。

 

 仮に今、カルデアがこの光景を観測していれば、即座にこのサーヴァントのような何かのクラスを断定する事が出来ていたことであろう。

 

 ――"騎兵(ライダー)"のクラスに据えられたそれは、有史以前から今日に至るまで人々の畏怖と忌避を集めてきた存在であり、風や水、鳥や人、あらゆるものに"乗って"世界に広がり、世界史上もっとも多くの命を奪ってきた。

 

 

 

「――ね? "ペイルライダー"」

 

 

 

 そう言ってアルモーディアは笑って見せるが、黒い影のようなライダーのサーヴァント――ペイルライダーは何も返さず、意思のない人形のようにただ佇むばかりであった。

 

 ペイルライダー――ヨハネの黙示録に記述されている終末の四騎士の一人。第四の騎士"蒼き死の担い手《ペイルライダー》"。黄泉(ハデス)を連れ、疫病や獣をもちいて地上の人間に死をもたらす存在とされる。

 

 そもそもソレは英霊でもヒトでもなく、かといって悪霊でも邪霊の類に含まれはしない。ソレは生命体ではなく"病"という災厄そのものがサーヴァントになった異質な存在。人類の"病への怖れ"がこの世から絶えない限りソレにも滅びの概念は存在しない。

 

 "黒死病"――14世紀ヨーロッパ最大の大災害がもたらされた土地を触媒に召喚し、自然霊であることの相似性からアルモーディアと結び付いた結果、相性が過ぎてしまったのだ。それこそ過剰極まりないほどに。

 

 その果てに、アルモーディアの人間を律する自然霊としての方向性、概念そのものが、"病"という自然災害に置き換わり固定された。

 

 故に彼女は無意識に振る舞う。自身が"病"という災害として、人間を律するために等しく全ての人間へと振り掛かるために。

 

 

「――――うふっ、ふふふ……あははは……」

 

 

 彼女の目には最早、人間は人間として映っていない。自身は死をもたらす病という自然現象、人間はソレを乗せるもの。復讐心はその上っ面を覆い、方向性にプラス補正を働かせるためのテクスチャに過ぎないのだ。

 

 故に最早、彼女の真名は既にアルモーディアではない。病という災厄――ペイルライダーそのものである。

 

 

 

 

 







ヤン()デレアルモちゃん(文字通り)

そりゃあ、人間の自然霊が自然災害と結び付いたら相性ピカイチ過ぎますよね(白目) この人、バレンタインに何くれるんだろう……?(純粋な疑問)

ペイルライダーについて知りたければFate/strange Fakeを買いましょう(ダイレクトマーケティング)。イシュタルも出ますよ(嘘偽りのない言葉)


作者に一言

  • 毎秒投稿しろ
  • 体に気を付けて毎秒投稿しろ
  • アルモちゃんのバレンタインイベは?
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