【本編完結】原作に関わりたくない系オリ主(笑) IN ダンまち   作:朧月夜

15 / 28
なんやかやあってかばんちゃんも合流したサーバルとベル。
ベルは帰り道を。かばんは自分がどんな存在かを。
それを見つけるために図書館へ向かったが、やがてそれはえいゆーとは何か、そして自分は何が出来るのか? そんなそんざいいぎを探す旅へと変化したのだ。

さらになんやかやあって

かばんちゃん、サーバルを助ける為に巨大なセルリアンにダイブ!
  
 突  然  の  死(死んでない)
 
それに対して

サーバル「かばんちゃんを返してよー!!」
ベル「かばんを……返せッ!!!」

だが彼らはあまりに無力だった。
しかし…………


原作に関わりたくない系オリ主、まさかの覚醒? 急の終

 足音が近づいて来た。

 フレイヤは苦虫をかみつぶした様な表情。

 対してイシュタルは勝ち誇った様な表情。

 互いに対照的であった。

 

 ここに来てフレイヤは悟った。

 今の構図は外からどう見えるのか、と。

 宴の準備をして迎え入れたイシュタル。

 翻って自分はどうか。連れて来た眷属は全て第一級冒険者のみ。

 宵闇の中に潜ませたそれ以外の眷属はいるが、少なくとも現在神殿の中にはレベル6以上を護衛として配している。

 

 逆にイシュタルはどうか。

 団長のフリュネ以下、主だった実力者の姿はない。

 唯一アイシャの姿はあるが、ただそれだけだ。

 そこでギルドの存在はこの状況をどう見るか。

 

 現実の状況など関係ない。

 フレイヤの周囲に魅了でイエスマン化した男神もいない。

 これは神会で票を集める為の場では無い。

 ならば単純に、夜更けに他ファミリアに宴会に参加するとやってきて、その上で主神を亡き者にしようとしている……そんな構図に見えないだろうか?

 今はそうじゃないにしても、狡猾なイシュタルがこれからギルドの職員に何かを語ったなら?

 恥も外聞も無く、フレイヤに襲われたと訴えたなら?

 

 つまりはそう言う事である。

 満面の笑みを浮かべたイシュタルを睨みつけながら、フレイヤはどう動くのが最適かを考え始めた。

 そして、

 

「あ゛~……お忙しい所申し訳ないが、ワシはオラリオのニシで金貸しをやっとるライトっちゅうもんですわぁ。イシュタル言う相手に用があるんだが、どの方でっしゃろか?」

 

 そこにいた全員の目が点になった。

 特にフレイヤの顔は永久保存版と言える程に。

 

 足音の主はギルド職員では無く、全身真っ白のスーツに黒いピンストライプの派手なシャツ、そしてヘビ革の靴と言ういかにもそっち系のファッションで纏め、髪はテカテカのポマードで固めたオールバックのライトであった。

 どこで手に入れたのか黒いサングラスをして、口はヘの字に曲がっている。

 

 その横にはすっごい小さいが、真っ赤なパンツスーツ姿のリリルカアーデが、同じようにサングラスをして控えている。

 どこかいい女風な態度でツーンとしている。

 

「イシュタルは妾だが……お前は何しに来た?」

「いやぁギルドのエイナっちゅう女と話しましてな? ワシもここに用事がありますさかい、せやったら、内容も大した事なさそや言うし、ワシが代わりに行きますわ言いましてん」

 

 未だ状況を理解している者は誰もいなかった。

 オッタルだけが凄いライトを見ている。

 何してんのお前的な感じで。

 

「ほんでぇ本題なんですがねえ、そこにいる春姫っちゅー女、是非ワシに譲ってもらいたいんですわ」

「何を言っているか理解しているのか若造」

「へえ、解ってまさぁ。だからぁ穏便に済む間に、渡せ言うとりますんやぁ」

 

 下手に出ている風に見えるが、実際は慇懃無礼もいい所。

 歓楽街の女王を相手に睨みつけ、あまつさえライトは煽る様にヘラヘラ笑いながらそう言った。

 

「要はですな、アンタらが小細工した案件はとっくに露見しとるんですわぁ。こう見えてワシは中々に人脈が広うおましてな。中には何といったか、そう、ヘルメスっちゅうのがおりましたなあ。殺生石言う珍しいアイテムをワシに見せてくれましてん。このヘルメス言う神はちょいちょい悪さをする言うんで、ちょいと絞めてやりましたら、そのアイテムを貰いましてな。ついでに色々囀ってくれましたわ。そのアイテムの使い道とかそう言うん諸々をな」

 

 ライト劇場が開幕していた。

 誰一人動かない。

 チャッと外したサングラスの下は鋭い眼光。

 大柄な体格と相まって妙な威圧感があった。

 

「そもそもの話なんやけどな。同じような時期からワシが金を貸してる相手が次々焦げ付きましたんや。特に細々とやっている道具屋や鍛冶屋、そんな場所で。それまではきっちり返済をしてくれた生真面目な連中や。そこにヘルメスっちゅー神の話から調べてみれば、アンタの差し金らしい言う事がわかりましたんや」

 

 これは実際、ほとんどは本当の話だった。

 別にライトは金融屋をしていた訳では無く、投資基金を立ち上げていた。

 それはかなり前に話は遡るが、ライトが集めた金額は結構な規模になっていた。

 それをヘスティアファミリアで消費出来るレベルでは無いし、かと言ってマンパワーの足りない自分たちで商売を立ち上げる訳にもいかない。

 

 そこである程度の纏まった金額を運用する法人だけを立ち上げた。

 その業務内容は”廃業する冒険者が商売で独立する際に投資をする”という物だ。

 発想としてはベンチャー企業へと投資である。

 

 冒険者とはレベルの如何に関わらず、何かしらの恩恵を持っている。

 それを生かして商売をするのなら、一般人よりもアドバンテージになる。

 それはある種の担保であるし、恩恵が生きているという事はどこかの神の眷属であるという証である。

 それこそが何よりの担保だろう。

 

 冒険者としての自分を諦めようと、商売で心機一転踏み出す。

 その心意気を後押ししようというのがライトの考えだ。

 彼らは必死だ。もし主神の評判に泥を塗る様なマネをすれば破門されるやもしれない。

 そうなれば破滅だ。故に必死にやる。

 

 そうして始まったライトの投資事業は少しずつ結果を見せていく。

 この活動にはギルドも好感を持ち、ギルドとして見どころのある廃業冒険者をライトに斡旋する様になった。

 これらが実れば、将来的に冒険者たちの引退後もカバーできるのだから。

 ライトもギルド側に投資した情報の詳細を開示している。

 恩恵持ちが一般社会で恩恵依存の犯罪を行わない為の抑止力として、ギルドにも把握させた方が得だと考えての事だ。

 

 この投資はライトに対し自分の事業計画を申告し、いくつかの審査の結果に上限額が決められ、それで初めて投資金が渡される。

 これに返済義務はない。ただし5年間、詳細な帳簿をライトに報告する義務がある。

 そして5年後、利益が出ていれば事前に取り決めてある率でライトに支払う。

 もしそれに見合う結果が出てなくても、将来の展望が予想出来たなら、改めて審査の後、投資が増額されるという物だ。

 

 だが、その中の何人かが姿を消した。

 オラリオそのものから。

 投資金については返済義務はないとは言え、姿を消した当人はギルド的にも将来性はあると言われた者達なのが不審である。

 特に個人で鍛冶屋を始めた青年などは、ライト個人でヘファイストスに顔つなぎもしてやったほどだ。

 真面目にやっている限り喰いっぱぐれは無いだろうと言う状況なのだ。

 

 なのでライトは自分で動く事にした。

 他の仕事で色々やりすぎた結果、時間が空いたという事情もあったが。

 というより単純に金を持ち逃げされたならそれはそれでいい。

 その相手に才能が無かった事と、それを見抜けなかった自分の間抜けさと言う意味で諦めもつく。

 だがこのケースはそうじゃない。主神に挨拶も無く姿を消しているのだから。

 

 そうして色々と情報が集まってきた。

 オッタルからの話でイシュタルファミリアの話を微かに思い出した。

 そこにヘルメスとの邂逅を経て、完全に思い出した。

 ベルがいない事の影響か、本来の流れとは別の方向に流れた事には焦りを覚えたが。

 

 そしてこれはヘルメスとイシュタルの抗争の影響だと確信したライトだ。

 当然自分の足で歓楽街に通い、春姫の存在がさらに確信を深める。

 活字の中の春姫は、実際に触れてみるとただの世間知らずのガキだった。

 既に散々悪事の片棒担がされているが。

 

 原作を思い出した所でヘルメスから殺生石を巻き上げ、これ以上の介入をしたなら容赦しないと釘を刺し、ついでに面白そうなサンダルを奪い、さらにはライトが手の回らない場所への情報収集に動いて貰った。

 俺に旨みがないじゃないかとボヤくヘルメスにライトは「死ななきゃ安いって言葉は実に的を射ていると思わないか?」と言われ黙ったという。

 この男、実に悪役ムーブが似あう。

 

 これらの事で着地地点が見えたライトの動きは早かった。

 早々にギルドに根回しをしたのだ。

 おうエイナ、この後ヒマか?

 え、ライト氏……私何か悪い事しましたか(震え声)

 ジュージュー苑で吐くほどおごったるわ。

 いきます♡

 エイナは即落ちした。

 

 そして最高級の焼肉に終始アヘ顔のエイナに爆弾が落とされる。

 おう、エイナ。お前散々食ったよな?

 ギルドの一番偉い奴を連れて来いよ。え? 無理? 

 ほほう、この伝票いる?

 うむ、うむ。実に協力的で嬉しいなァ。

 悪魔かこの男。

 

 そして自宅に帰って一家団欒中のロイマンが招集され、イシュタルファミリアの一連の流れを証拠付きで聞かされた後、この一連の抗争はギルドで公の問題にせず、ライトに調停役を任せる許可を約束させたのである。

 ギルドとしても引退冒険者たちの安否も気になる所だ。

 最終的にギルドがケツを持つにしても、結果的にライトが穏便に済ませるならばギルドとしても上々であるのは間違いないのだ。

 問題はイニシアチブがヘスティアファミリアという零細である事くらいか。

 その上でライトはこの日を迎えたのである。

 

「つまりだ、おどれらのやった事はギルドも既にお見通しっちゅーこっちゃ。せやから、ワシの一存でアンタらはこのまま現状維持、それで収めたる言うてんのや。そしてフレイヤはん」

「…………何かしら」

「このワシが恩に着るっちゅーことで、ここは一つ、矛を収めてくれんやろか? アンタも吐いたツバ飲めん言うのはようわかります。せやけどここは、女神様の懐の深さ、このライトに見せてくれませんやろか?」

 

 腰を落として頭を下げ、それでも目だけはフレイヤを睨むライト。

 二人の視線が交錯し、どれくらいの時間が経過しただろう。

 無表情のフレイヤがふっと微笑んだ。

 

「帰りましょうオッタル。せっかくの宴だったけれど、興が削がれたわ」

 

 こくりと頷くオッタルの肩を撫でると、フレイヤは踵を返した。

 そして去り際、ライトの耳元で何事か囁くと、そのまま眷属と共に彼女は消えた。

 とは言え、企みを一方的に潰されたイシュタルの腸は煮えくり返っていた。

 それを物語る様にライトに殺気がこもった視線を飛ばしている。

 だがライトは場違いなまでの微笑みを見せる。

 

「ワシは……ってもうこのキャラいいか疲れた。フレイヤも帰ったし。あのさ、オレね、歓楽街が大好きなんだよ」

「はっ?」

 

 ライトの急激なキャラ崩壊に唖然とするイシュタル。

 あまりのギャップにそれまでの怒りを忘れポカンとしている。

 

「歓楽街ってのはさ、絶対になきゃいけない必要悪なんだわ。誰もが毎日楽しく生きてる訳じゃねえ。それに、仕事にありつけねえ女たちの居場所でもある。オレはさ、そんな雑多な歓楽街で、知らねえ奴と何となく盛り上がって話をしたり、飛び込みで買った女が思いのほか上手くて驚いたり……リリ蹴るんじゃあない。まあ、つまりだ、アンタの作ったこの歓楽街は、ただのセックスサービスの場所じゃあねえんだ。それをだ、たかがアンタの嫉妬程度で失くしてどうすんだよ。アンタが知恵を絞って色々やったつもりだろうが、あいつらは最悪、ゴリ押しで全部有耶無耶に出来るんだぜ? 舐め過ぎだよアンタ」

「……それは」

「だいたいさ、あの女がどんだけモテるか知らんけど、あいつが女王でございとどれだけ目立とうが、オレは悪いがアンタの方を尊敬するね。オレは今日乗り込むまでの間、アンタの傘下の店のほぼ全てに顔を出した。ババアに片足突っ込んだ古参の娼婦が言ってたぜ? イシュタル様にゃ足を向けて寝れないってさ。アンタは歓楽街に訪れる男どもの心を救い、アンタが囲っている女たちの人生を救ってんだ。それがどれだけ尊いか、オレは理解できる。だからさ、こんな下らん事で消えるなんて勘弁してほしいぜ」

 

 静まり返る広間。

 そこに娼婦たちのすすり泣きの声が混じる。

 女を張り続ける彼女達は客達から様々な人生模様を聞くのだ。

 それを何度羨ましいと思ったか。

 けれどもこうして、自分たちを理解してくれる男の声を聞けば、少しは報われたという物か。

 

「…………それで、お前はこやつが欲しいというか」

「ああ。くれよ」

 

 じっとライトを睨むイシュタル。

 微笑みを絶やす事無くそれを見返すライト。

 周囲の女たちはこの成り行きを呼吸も忘れて見守っている。

 そんなイシュタルの横で、春姫が震えた。

 

「ライト様……」

「惚れたか?」

「何言ってんだ。見てくれは女女してるが中身はまだガキじゃねーか」

「ライト様?」

「呵々、呵々、お前はよきおのこだな。いいだろう。こやつをくれてやろう」

 

 イシュタルが笑った。

 そこに憎しみの混じる嫌な気配はない。

 なるほど、いいじゃないか。

 自分の歓楽街をこれほどに愛してくれる男がいる。

 ならそれでいいじゃないかと。

 

 そうして、一先ずこの騒動はある種の収束を見た。

 イシュタルはフレイヤに対し、言質を取らせる表現では無かったが、ギルドを介して謝罪をし、フレイヤも謝罪を受け取った。

 ギルドもこの対応にメンツを保った。

 

 そして────

 

「お前は今日からウチの子な。ライト団長って呼ぶがいい」

 

 会心のドヤ顔のライトである。

 それを見ていたリリルカが無性にイラつき、スネを蹴り上げた。

 

「あの、春姫は本当に外にでてもいいのでしょうか……?」

「オレが今度イシュタルの晩酌に付き合うという条件の元、お前はオレの物になったんだ。これは元主神の決定だ。ギルドも知っている。だから遠慮する必要はねえ」

「そうですよ春姫さん。この人は言いだしたら聞きやしないんです。リリもそれで苦労してますから」

「ひっでえなあオイ」

「だったらもっとリリを可愛がってくださいねっ!」

「草」

「何ですかそれ。意味はよく分かりませんが嘲笑が含まれている事はリリにも分かるんですからね!」

「草草の草」

 

 そうして昼間の様に明るい歓楽街の大通りで、ライトとリリルカの追いかけっこが始まった。

 それをポカンと眺めながら、その内春姫は声をあげて笑っていた。

 おかしすぎて、涙が止まらない程に。

 

 

 ★

 

 

「そっかぁ……頑張ったね、ライトくん」

「まあね。また一人家族が増えちまったけどよろしく頼むわ」

「いいさ。春姫くんもいい子だしボクは嬉しいよ」

「そう言ってくれると疲れた甲斐もあるってな。んじゃ乾杯、神様」

「乾杯、ライトくん」

 

 ライトは今日もソーマの店で晩酌をしていた。

 横には珍しくヘスティアだけがいる。

 神様、たまにゃオレとデートしようぜとライトが連れだしたのだ。

 

 もっとも、出がけにひと悶着は当然あったが。

 置いてけぼりにされるリリルカがついていくと騒ぎ、ヘスティアの一員となった後も子供扱いされる事に頬を膨らます春姫に纏わりつかれて。

 ライトは最終的に「これは団長命令であるっ!」と押し切ったが。

 

「悪いけどさ、フレイヤとロキのとこに顔を出してやってほしいんだ。結果としちゃ綺麗に終わったけどさ、二人には色々我慢して貰ったからなあ」

「うっ、苦手な相手だけど、可愛い子供に頼まれたら断れないさ。いいよ、次の神会が近いから、その時にでも話すさ」

「すまんね」

「その代わり、今夜はボクが満足するまで付き合う事、いいねっ!」

「仰せのままに」

「えーなにそれ」

「ん? オッタルのマネ」

 

 そうして二人は笑った。

 明け方まで飲んで、へべれけになったヘスティアを背負ってホームに帰る。

 ふとライトは背中の重さを感じながら、足を止め空を見上げる。

 

「さって明日から何すっかねえ……」

 

 明けの明星を眺めながら、そう呟くライトの横顔には、充足感の籠った笑みがあったのである。

 




博士「さあ、とっとと野生開放するのです」
助手「我々の群れとしての強さを見せるのです」

ピッポー ポッピポー♪

上様「成敗ッ!」
旦那「セルリアンか……豚の様な悲鳴をあげろッ!!」
海賊「遅れちまったなベル。道が混んでてね」
神様「このままじゃ……こんな所じゃ終われねえ。だろ?ベル」

憐れセルリアンは爆発四散。
じゃぱりパークに平和は訪れ、かばんは海に向かいベルは安堵し、確かに見えた辿り着くべき場所へと向かったのである。


 ────────────────────

これで一応春姫編は終わりとしますが、後日エピローグ的な話を投下します。
話中で回収していない桜花と命の話や単純な後日談、そして春姫に寄せた話等がこれに含まれます。
そっちはまあ、水か木か? その辺までお待ちくださいまし

 ▲ページの一番上に飛ぶ
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。