【本編完結】原作に関わりたくない系オリ主(笑) IN ダンまち   作:朧月夜(二次)/漆間鰯太郎(一次)

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本日最後の投稿です。
最初にある程度雰囲気がつかめる程度の話数を出したかったというのと、書き溜めが10万字ほどあり、変なとこで切って推敲しながら投稿している関係で、3話でキリが良かったという事情がありました。なにとぞご理解下さい。


酒は呑んでも飲まれるな

 夜の闇に包まれたオラリオ西地区。

 そこにある冒険者たちがよく利用する酒場、豊穣の女主人は賑わっていた。

 それはロキ・ファミリアが遠征成功の打ち上げを行っていたからだ。

 

 主神であるロキは可愛い子供たちが無事に帰ってきてご満悦だ。

 その楽しい気分からか、しきりにお気に入りの剣姫にちょっかいをかけ拒否されるという行動を延々とループしている。

 その姿は新人歓迎会で可愛い女社員に「仕事とは~」等と誰も求めていない蘊蓄を垂れ流すサラリーマン上司めいている。

 

 その反対側の席では狼人のベートがチラチラと剣姫の様子を窺い、フィンとガレスはボソボソと何やら会話をしている。

 互いに新人の頃は犬猿の仲だったが、古参になった今では軋轢も無い様だ。

 

 ここではよく見かける光景である。

 それ以外にも客で埋まっている。

 そんな中を泳ぐ様に可愛らしい従業員が酒を料理を運んでいた。

 

 その時だった。

 バーン! と入り口のドアが開いたのは。

 これには酔いを楽しむ客達も反射的に入り口を見てしまった。

 

「FOOOOOOOOOOOOOOOOOO↑↑↑」

「よっ! ライト様っ! 素敵ですっ! 大冒険者様っ! カッコイイヤッター!」

「ライト君、ボクは信じてたよっ! 君は今、最高に輝いている! カッコイイヤッター!」

 

 入ってきたのは赤装束の大男だ。

 大声で奇声を発しながら、ズンズンと大股歩きで店に入ってきた。

 おそらくその表情は愉悦に染まっている。

 メンポで見えないけれど。

 

 そんな彼の脇に控える小人族の少女が合いの手を飛ばし、黒髪ツインテールに巨乳で白いボディコンワンピースと言うあざとい神様が男の腕を抱え込む様に抱きつき、その胸にスリスリしている。

 その顔には満面の笑みが浮かんでいるも、如何せん瞳がヴァリスマークだった。

 

 構図としてはその店のNo.1とNo.2のキャバ嬢と同伴出勤するオッサンである。

 そんな異形の集団の襲来に、そこにいた客はシーンとなった。

 控えめに言ってドン引きである。

 天下御免の女傑と呼ばれているここの主人、ミアですら思わずごくりと唾を呑みこんだ程だ。

 

「そこな女将ッ……!」

 

 赤装束のニンジャことライトは、尊大さが天元突破した様な姿勢でミアに向かってそう言い放った。

 カウンターの向こうにいるミアに向かって指をさしているが、見下し過ぎて逆に見上げてしまっている。

 

「な、なんだい」

「この金でたらふく飲んで食わせてくれ! なあに釣りは要らない。なんだと、それでも余る? ならここにいる全員の会計、オレが受け持った!!! お前ら、呑めっ騒げっ!!」

 

 ライトがどこからともなく取り出した布袋は緩やかな放物線を描いて放られ、そしてズシンッ!! とやたらと重量感のある音と共に、ミアがいるカウンターの上に着地した。

 

「「「「う、うおおおおおおおおおおおっ! 赤い人ありがとー!」」」」

「なるほど、いいよ。金持ちは大歓迎さ。んじゃあ覚悟してなっ!」

 

 場は一瞬で沸騰した。

 もちろんいい意味だ。

 酒場の客って言うのは現金な物で、よそ者だろうが豪儀なお大尽は大歓迎なのである。

 店も金払いの良い客は大歓迎。

 どこの世界でもタダ酒ほど美味い物は無い、そう言う事である。

 

 赤い人ことライトは、空いた席に辿り着くまでにいた従業員たちにチップを握らせていく。

 この瞬間、ライトはこの店にとって最高の客であると認識されたのである。

 その証拠に一瞬で満面の笑みを浮かべたアーニャ店員が、あざとい神様と反対側の腕に絡みついた。

 

 これはサービスでは無い。マーキングだ。

 この素敵な客は自分のものにゃ! そう言う事である。

 出遅れた女従業員たちはグヌヌと悔しがっている。

 若干一名、呆れたように溜息をつくリオン店員だったが、きちんとチップはせしめている。

 

 席についたライトはおもむろにメンポを外し、その両サイドにはヘスティアとリリルカが着席。

 

 それと共にミアから指示されたこの店最高級の酒を店員が持ってきた。

 メンポの下はルーネス風のイケメンな訳だが、今は成金感が凄い。

 感? いや、成金そのものである。

 そしてジョッキを持つと、ヘスティアとリリルカもグラスを掲げた。

 見れば他の客もサービスされたジョッキを持っている。

 

「それでは皆の衆、この良き日を祝し、乾杯!!」

「「「「「乾杯!!!!」」」」」

 

 そして一斉にジョッキが合わされた。

 宴の始まりである。

 

 さてなぜこんな事になっているかと言えば、ダンジョンから戻ったライトはエイナの所に向かい、これを売りたいんだが? とドヤ顔をした。

 エイナはひっくり返る程に驚いた。

 初日に24階層まで行った事への説教も忘れて。

 

 なにせヴィーヴルのレアドロップだ。

 ライトは知らなかったが、そもそもヴィーヴル自体が希少過ぎるレアモンスターだ。

 故に行ったから出会える訳じゃない。

 

 さらには基本は落ちてもせいぜい爪や鱗程度だ。

 それでも高額では売れるが、それ以上に貴重な涙、これを彼はゲットしている。

 そこでエイナは震え声で言った。

 鱗や爪は買い取れるが、涙はやべえ。好事家がいくらでも金をだすレベルでやべえと騒ぎ、その興奮になんだなんだと集まってきたギルド関係者たちの助言により、オークションに出す事になった。

 

 とは言えオークションとは落札されて初めて値段が確定する。

 だが涙は確実に売れるだろう。ギルドはそう判断した。

 そこで過去に落札された涙の最低価格、その20%に相当する現金を仮払いとしてライトに支払うと決まった。

 そこに鱗と爪の売却額も合わさる。それがライトが手に入れたあぶく銭の詳細であった。

 

 売れてもいないのに現金を渡す事はリスクが高いと普通は考えられる。

 だが気の大きくなっているライトは、ギルドには手数料として15%渡すと宣言。

 それを聞いたギルドの偉い人や、上から聞こえてくるウラノ……天の声さんは大歓喜である。

 エイナ職員もウラノ……天の声さんに「この冒険者を見事管理した」と一時ボーナスが貰える事になりご満悦だ。眼鏡の輝きがいつもより2割増しである。

 

 だがその時リリルカに電流走る────!

 

 これはもしかして千載一遇のチャンスでは?

 このビッグウェーブに乗らなければいけないのでは?

 

 これまでオラリオの暗黒面をどうにか乗り切ってきた猛者であるリリルカ、すかさず行動に出た。

 彼女は盛り上がるギルドメンバーを尻目にライトを部屋の隅に引っ張っていく。

 そして首を傾げるライトをしゃがませると、その腕を抱きしめ、そして上目遣いで甘えた。

 

 実はこのリリルカ・アーデ。

 パルゥムとかいうチョコのソースがコーティングされている至高のアイスみたいな名前の種族である。

 なので種族特性で成人でも小さい。

 

 因みに小人と言えば例の有名な指輪にまつわる物語で、あの指輪を火山に捨てに行く種族を容易に想像できるが、あれはトールでキンな人の創作ワードなので著作権がある為に使えないのだ。

 

 さてそんな小さなリリルカだが、実はかなりグラマラスなスタイルをしている。

 特にそのバストは豊満である。

 彼女は普段、場末にも程がある宿に下宿をしているが、暗黒面を生き抜いて来た知識からか、女としての身嗜みは人一倍気を使っている。

 

 故にライトは怯んだ。

 なんだこの良い匂いは!? そして柔らかい。

 やめろ原作キャラめっ! オ、オレを落そうとしているな!?

 オレは原作キャラになど負けないっ! 

 そして放たれた彼女のセリフ、

 

 リリィ……ファミリアやめたいな~? やめるお金出してくれたらぁ……ライト様になんでもしちゃうのにな~?(チラッチラッ

 

 ええんやで^^

 

 ライトの返事は早かった。

 即落ち2コマどころか若干食い気味である。

 そして彼はギルドから大量のヴァリスをせしめると、その足でリリルカが所属するソーマファミリアに向かい、団長とソーマの頬を文字通り札束で叩いて辞めさせた。

 

 オラッ! 退団するにはナンボや! 1千万か? 2千万か?

 ほなこいつは貰ろてくでぇ~?

 まいど。

 

 その清々しい程のお大尽っぷりは密かな伝説として後世にも伝わったという。

 ついでにヘファイストスにも主神のこさえた借金を返し、ボロ教会に帰還したライトは、涎をたらして寝ていたヘスティアを叩き起こしてリリルカを眷属にさせると、祝賀会をするとここへやってきたのである。

 

 要は思わぬ大金、それも億万長者レベルを手にしたライトは調子に乗った。

 その姿はまるで、何となく買った3連単の万馬券を的中させたオッサンが、キャバクラで金をばらまき、更にはソープを2軒はしごする様に似ている。

 

 完璧なサクセスストーリーである。

 が、しかしライトは忘れてしまったのだろうか。

 ベル君ハーレムのうち、主要な二人の心を既にガッチリと掴んでしまった事を。

 

 さらにはそこにロキファミリアの面々がいる。

 ましてやヘスティアを連れてきた事でロキがアップを始めている。

 いいのか。それでいいのかライト。

 ウチら冒険者やぞ。

 

 その後はタダ酒をかっ食らう客達で盛り上がる店のなか、案の定「このドチビが偉そうに!」「なんだと! この絶壁が!」みたいな見苦しいマウントの取り合いを神たちが繰り広げ、その横でライトの強さの事を思い出したアイズが彼に突貫したのである。

 

 とは言え、思わぬ収入で気が大きくなっている癖に、如何せん酒が弱いライトは既にヘベレケ。

 しかも泣き上戸で、アイズを横に座らせると、お前はその露出の多い服はやめろ。横乳ほぼ見えとるやないかと泣きながら説教。

 実際彼女の戦闘服は身を守る気があるのかと小一時間ほど問い詰めたいスタイルだ。

 

 そこに密かに狙っていたアイズに迫られているライトにイラっとしたベートがやってきたが、ライトの意見を聞くと大きくうなずき、一緒になってアイズに絡んでいた。

 横で戦う身にもなれ、つい見ちゃうだろバカと。

 

 しかしそこにガチレズエルフが待ったをかけた。

 ちょっと待ってほしい。

 アイズの横乳は神が与えた宝であると。

 ロキもそれを肯定し、むしろ横乳見える系の服は自分が買い与えているなどと暴露。

 

 混乱を極める豊穣の女主人だったが、謎の説教を受けてオロオロしたアイズが酒を呑んでしまい、酒乱を発揮した結果店は爆発した。

 なお修理代はライトが払った模様。

 

 そう、今日もオラリオは平和なのであった。

 

 めでたしめでたし。

 

 

─────────────────────────────────────────

 

 (これまでのあらすじ)フレイヤ・ファミリアの手練れ、オッタル。草木も眠るウシミツアワー。荘厳なるバベル・スゴイタカイタワーの最上階で彼はフレイヤに命じられた。「あの子が欲しいの」神様の命令は絶対である。そんな狂信者めいた思考の下、オッタルは動きだした。

 

 見事なアンブッシュと言えよう。夜の闇に包まれたオラリオの南東地区、ここは眠らない街だ。行き交うオイラン達に男たちの欲望が溢れる。そこを歩いていたライト・ニンジャを静かに付け狙い、暗がりの路地に差し掛かった所でオッタルは躍り出たのだ。

 

「……オヌシにはこれから少し付き合って貰おう、イヤー!」なんとオッタルはアイサツもなしに恐ろしき大剣を振りきった!サツバツ!「なんたるシツレイ! オヌシはアイサツもなしに襲うか!」抗議めいたライト・ニンジャだったが、アイサツ前のアンブッシュは実際一度なら認められる。

 

 だがライト・ニンジャはオッタルが放つ斬撃をスウェーバックで躱しながら4連発のスリケンを放つ!ゴウランガ!そして仕切り直しとばかりに彼は見事なオジギを見せる「ドーモ、オッタル=サン。ライト・ニンジャです」「ドーモ、ライト・ニンジャ=サン。オッタルです」見事なアイサツが交わされた後、イクサは勢いを増した。「イヤー!」「イヤー!」「イヤー!」「イヤー!」「イヤー!」「イヤー!」どちらも一歩も引かない!タツジン!

 

「俺は神にオヌシを連れて来いと命じられた。だが俺はオヌシが憎い。あの神に気に入られるなど許されぬ!だから死ぬべし。ライト・ニンジャ殺すべし!イヤー!」「なんたる狂人のセリフか。ならばせめて苦しまずに殺してやろう。オッタル=サン、ハイクを詠むがいい。カイシャクしてやる!」

 

 勢いの増したフラッシュめいた交錯に闇が切り裂かれる。「イヤー!」「イヤー!」「イヤー!」「イヤー!」だがオッタルのスタミナが落ちてきた。明らかにスシが切れている。それを見逃す程ライト・ニンジャは甘くなかった。「イヤー!」「イヤー!」「イヤー!」「イヤー!」「グワ、アバーー! サヨナラ!」憐れオッタルの大剣は爆発四散。不壊のバフもライト・ニンジャの前では無意味であった。

 

─────────────────────────────────────────

 

 おまけ。ある日のライトのモノローグ。

 

 なんでオッタルが来たし。

 ベル君のとこいけや。

 

 いやギルドからこの前オークションに出したレアアイテムが売れたから取りにきてーって言うんで行ったんだ。

 持ち物にいくらでも入るからそこにヴァリスの山をザバーっと入れた。

 最初に手付けで貰った額の数倍以上。なんだよこの金貨の山は。

 エロ本の裏にある胡散臭いパワーストーンの広告かよ。

 庶民エイナが白目剥いてて草。

 

 んでまあ儲けたから、折角だし?

 豊穣の女主人にでもよって、持ち帰りで豪華なメシでも買って帰るかと思ったんだ。

 リリルカも結局うちに居着いたしさぁ。

 事あるごとに可愛さアッピルして金をせびろうとしてくるけど可愛いからね仕方ないね。

 

 と言っても一応神様もいるし?

 メシ食わさないとね。

 だからうちのホームと同じ西地区にある豊穣の女主人に向かった筈が……あれ~? おっかしいなぁ?

 気が付いたら南東区画にいたわ。

 

 しゃあねえな、そしたら歓楽街に寄るしかないよな。

 いや~たまたま目の前にあるし仕方ない仕方ない。

 本当は帰りたいけどまあ行くか。

 ヒリュテ姉妹の貧乳の方みたいなアマゾネスおらんかな。

 褐色の貧乳とか最高やで。

 

 とか考えながらデヘヘとこれからのピンクな展開を想像しつつ大通りで笑ってたら、褐色のガチムチに引きずられて墓地まで連れてこられた。

 どういうことなの……。

 しかもだよ、今日はオフだからニンジャスタイルじゃないからね。

 一般人だよ一般人。

 

「えーっと? 最近冒険者になったばっかのニュービー相手に何してんのお前」

 

 つい真顔で言っちゃったよ。

 

「お前は相当の実力者の筈だ。その力、試させて貰うぞ」

「ちょ、問答無用かよ。…………ってイヤーッ!!」

「あ、アバーッ!?」

「あっ……反射的にやっちまった。その、なんか、ごめん」

「………………」

 

 いきなり大剣抜いて突っ込んできたからビビってスリケン投げちゃったよ。

 そしたらオッタル、咄嗟に剣でガードしたんだけど、真ん中からボキって折れたわ。

 あれ、こいつの剣てデュランダルとかついてんじゃねえのかよ。

 

「あの、因みにそれナンボしたの?」

「………………〇〇〇ヴァリスだ」

「ファッ!?」

 

 素直に答えるのな。

 ってか若干しょぼんとしてるし。

 なんかすまん……。

 でも今のオレ、結構金持ちだけど、襲われたのに払う気にはならん。 

 

「お、お前がいきなり襲ってきたからだからっ! お、オレは悪くないっ! 【とんずら】 あーばーよー! お前の主神ビーッチ!」

 

 オレは逃げた。

 そのための【とんずら】

 剣を見ながら真顔で立ち尽くすオッタルは追っかけてこなかった。

 

 でも一応、頭に来たから捨て台詞残してきたぜ。

 ははっざまぁないぜ!(カミーユ並感)

 

 ……あれだな、素直に帰ってればよかったな。

 とりあえずミア母さんとこ行くか……。

 うん、それがいい。

 

 最近調子に乗っていた事を少し反省するオレであった。

 

 




ベル「いやー村の人が勧めるし、だったら行ってみるかな? ハーレムとか、きょ、興味あるし」
ベル「あーもうすぐオラリアだけど夜になっちゃったしこの街で一泊しようかな。メレン? へー港町で魚が有名なんだー楽しみだな」
ニョルズ「そこな少年、魚はいいぞ」

翌日、元気な姿で漁船に乗る白髪の少年が目撃されたという。

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