第FⅦ特異点 片翼の天使   作:陽朧

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2-4 宝条研究室にて②

ちりちりと頬を焦がす熱を感じ、はっと意識を浮上させる。

どうやら気を失っていたようだと、周りを見渡せばそこはカルデアではなかった。

一言で表すならば赤い世界。溶岩と炎が唸りをあげる灼熱の世界であった。

煮え立つマグマに囲まれた岩の上で体を起こしたキャスターは、そこに満ちる魔力に事態を把握する。

 

 

「おいおい、マジかよ。

強制連行(デート)先が、灼熱地獄とはなァ……。

いや待てよ、確かに身に憶えもなくはない……か?」

 

 

頬を伝う汗は、尋常ではない熱によるものかそれとも。

ぺたりと肌に付く髪を払う。赤が支配する世界で、キャスターの深い青の髪は鮮やかに浮き立っていた。

不意に、ゆらゆらと揺れていた陽炎がその動きを増す。

それに連動するように大地が揺れ、地響きが溶岩を波打たせた。

咄嗟にルーンを浮かべ、跳ね踊る火の玉から身を守ると、ぼこぼこと沸き立つマグマの動きが大きくなっていく。

そして、火山が噴火するように大きく跳ね上がった火の海から、巨大な影が飛び出て来たのだ。

 

 

「おおっと、……ったく、丸焼きにする為に呼んだんじゃねえんだろ?」

 

 

5mはあるだろうか、人型の巨人は纏っていた炎を消した。

露わになった巨人の姿に目を凝らすと、長髪の頭には右側に一本、左側には複数の、角が生えているのがわかる。

煌びやかな宝石が飾られた冠と腕輪が炎の明かりを受けて、揺れるように輝いた。

 

炎の中に出現した、髑髏や骨で出来たこれまた巨大な玉座に腰を下ろすと、頬杖を付きキャスターを眼光炯々と睨む。

威圧的なその魔力は、キャスターが知るそれとは違っていた。

 

 

「ふん、……人間とは、実に(げに)弱きものよ。

此れしきの炎にも耐えれぬか」

 

「残念だなおっさん、もう人間じゃあねえんだわ」

 

「同じことよ」

 

 

重々しい厳かな声からヒシヒシと伝う魔力に、キャスターは目を細める。

 

 

「我が名はイフリート。炎を司るもの。

異国の魔術師よ……我の炎を耐えしものよ。

お前に、知恵の炎を授けよう」

 

「……」

 

「そう警戒するな。そちらの世界に興味などありはしない。

……ただ、そうだな。これは余興だ」

 

「余興……だと?」

 

「此方のものが、紛れ込んでいるだろう」

 

「……セフィロスのこと、か」

 

「ふん。それは外皮の名であろう」

 

「外皮……?」

 

「厄介なことになっているようだな。

アレはアレであって、アレではない」

 

「……さっきから、何を言っていやがる」

 

 

イフリートという存在が、堕天使または悪魔であり天界から追放されしものであることは、何処かの本で読んだ記憶があったので知っていた。

くつりと低く喉を鳴らして笑う巨人を、キャスターは訝しげに見た。

 

 

「あの男には、二つの魂が宿っている。

……お前も感じている筈だ」

 

「確かに、異なる魔力が二つ流れているのは……知っているさ。

だが二つの魂ってのは、どういうことだ?」

 

「そうだな……。お前に、星の民の英雄と堕ちた英雄(とある二人の英雄)の話をしよう」

 

「待ちな。何故俺にそれを語る?」

 

「ククッ、……ただの嫌がらせよ」

 

「あァ?」

 

「“セトラ”には『借り』がある。

ただ返すだけではつまらんだろう」

 

「セトラだと?」

 

「ああ、その名を知らぬのか。

古代種の英雄の通称よ」

 

「ほう……。セトラねえ。

それにしてもアンタ、イイ性格してやがるぜ。

だがな、そう簡単に信じるわけにはいかねえよ」

 

「好きにすれば良い。

理解を求めようなどとは思っておらぬ」

 

 

ふんと鼻を鳴らしたイフリートに、キャスターは暫く考えるように黙していた。

しかし、聞いてみないことには始まらないだろう。

キャスターは、玉座に座すイフリートを見上げる。

悪魔と称されるこのイフリートが何を言おうが、セフィロスという男を信じると決めたのは、他でもないキャスターである。

キャスターにとってそれは、誓い(ゲッシュ)なのだ。破ることは許されない。

 

強い色をしたその瞳に、ゆるりと頷いたイフリートは、語り出す。

それはセフィロスという男が決して口にすることはなかった、真実であった。

 

 

 

***

 

 

 

窓から差し込む光が、見えざる何かに遮られているように薄暗い。

最上階であるにも関わらず、地下にいるような感覚に囚われる。

迷路のような造りをした施設内を歩き、宝条という掛札が掲げられた部屋を見つけたリツカ達は、扉の前に立った。

 

 

「あれ……。開かない」

 

 

スライド式の扉は、自動で開閉するタイプのものだ。

しかし、ぴくりとも動かない。エレベーターが動いているのならば電機は来ている筈だろうと思い、リツカは扉の周りを見回す。

 

 

「マスター」

 

「あ、認証装置……ってことは」

 

 

伸ばされたエミヤオルタの指先が示した方を見ると、そこにはこの施設の入り口にあったものと同じであろう装置が置かれていた。それならば、とリツカが見上げると、仕方ないと言わんばかりに溜息を吐いたセフィロスが装置を覗き込む。

するとまたかちゃ、という軽い音と共に扉が開かれた。

 

開かれた扉の先には、如何にも研究室という光景が広がっているのが見えた。

広い造りの筈の部屋には、実験器具や何かの資料が散乱している。

 

警戒しながらも室内へと足を踏み入れると、リツカは部屋の電気を点ける。

明るくなった部屋を見て、リツカは目を瞬かせた。

 

 

「意外と……綺麗だね」

 

 

物で溢れているとはいえ、それなりに清潔感を感じられる部屋に思わず声が漏れる。

あの宝条博士(マッドサイエンティスト)の部屋であるという先入観や、施設内の不気味な雰囲気から、もっと怪しげな部屋かと想像をしていたリツカは、安堵の息を吐いた。

 

そして、リツカは通信装置を起動すると、カルデアとの通信を試みる。

レイシフトの時と比較すると、大して距離も離れていない為か、直ぐに繋がった。

 

 

『リツカ君、どうだい?』

 

「ドクター!今、宝条博士の研究室に入りました!」

 

『良かった。無事だね……!』

 

 

モニター越しに映った見慣れたピンクの髪に、リツカは顔を綻ばせた。

何度も窮地を救ってくれた頼もしい彼の顔を見ると、何があっても大丈夫だという心強い気持ちにさせてくれるのだ。

後から多くの話し声が聞こえる。一番良く聞こえて来るのは、某ウルクの王様であろう。

 

 

「無事、なんだけど……。あの、この施設……俺たち以外、人がいなくて」

 

『人が、いない?おかしいな……ちゃんと許可は下りて、案内人が付くようにしてあるのに』

 

「正門も閉じたままだし」

 

『……もしかしてリツカ君、乗り越えたのかい?』

 

「え、あ……」

 

『まあ……仕方ない、か。

それで施設には鍵が掛かっていなかったの?』

 

「ああ、それは……掛かってた、んだけど……」

 

『……鍵を、取ってこれたのかい?』

 

「いや、その……虹彩認証で」

 

『虹彩認証?』

 

「……セフィロスの、目で……開いたんだ」

 

『セフィロスの!?……彼、施設に来たことが?』

 

「ううん、ないみたい」

 

『そ、……そう、』

 

 

リツカの話を聞いたドクターは、暫く沈黙する。

何故、施設に行ったこともない、彼の目が鍵となっているのか。

隣に座したホームズの目が、爛々と輝き始めたことに気付かないフリをしながら、ドクターはリツカに指示を送る。

今それを考えていても仕方ないだろう。そう判断したのだ。

 

リツカはドクターからの指示を受けながら、手当たり次第書類を捲っていく。

すると、あの絵画を想わせる微笑みを浮かべたダヴィンチが、机の中も捜索するように指示を出した。

 

 

「え……ええ、い、良いのかな。そのプライバシーとか」

 

『ふふ、面白いことをいうね。リツカ君。

逆に聞くけど、今まで彼らが此方のプライバシーを考慮してくれたこと、あったかな?』

 

「……ないです」

 

 

ご尤もなその一言に、反論出来るものはいない。

机の引き出しを開けると、中に入っていた書類を一枚ずつ通信機のモニターに映していく。

モニター越しにチェックされた書類を、せっせと選別するリツカに燕青が手を貸した。

 

その姿を横目に、エミヤオルタがパソコンのスイッチを入れる。

表示されたパスワード入力画面に、面倒だなと呟いた彼は、近くにいたセフィロスに視線を投げた。

その視線を察してか、目をそちらに向けたセフィロスは首を横に振る。

そして、部屋の隅に置かれた大きな金庫に目を移した。

 

 

「……」

 

「おにいちゃん、それ、開けて欲しい?」

 

「……ああ」

 

「うん、わかった。わたしたちに任せて!」

 

 

にこりと笑ったジャックが、何処からか取り出した針金を手に金庫へと近づく。

どうやら暗証番号が無くとも、金庫の上の方に付いている鍵穴を何とかすれば、開錠することが出来そうだ。

手際良く作業を始めたジャックに、その場を任せることにする。

 

 

「我らの愛する命を冒すとは……。

ああ、なんと愚かなことよ」

 

「……」

 

「此処は穢れておる。

人間の欲望を満たす為に、自然の理を歪めたな」

 

 

綺麗に磨かれた一つの実験台を見つめ、ゆっくりと呟かれた言葉には、怒りが滲んでいた。

生きとし生けるものを見守るスカディには、その実験台の上にいたものの姿が、見えているのだろうか。

忌々しいと細められたその瞳が、哀れみに揺れていた。

 

不意にかちゃ、という音が響いた。

ジャックが解錠に成功したのだろう。

中を覗き込むと、良く見るデザインのA3サイズのノートが数冊と、鍵が一つ入っていた。

 

 

「こういう所は、昔と変わりないんだねえ」

 

「……肉筆でなければ、証明出来ないからな」

 

「手柄の証明ってわけかい。科学も魔術も相違はないね」

 

 

何処にいたのか、突然現れたマーリンがセフィロスが手にしたノートを覗き込む。

実験が機械化された世の中であっても、その記録は肉筆で残されることが多い。

遥か昔に宝条の研究ノートを見たことがあるセフィロスは、このノートの持ち主が彼ではないことに気が付いた。

軽くページを捲ると、それは日記のようにも見えた。

 

 

「えーっと、何々……」

 

 

覗き込んだノートに記されたそれを、マーリンが読み始める。

室内にいた全員が耳を傾けた。

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

Mar. 10, 2013

今日、宝条博士から、とある研究プログラムに参加しないかと誘われた。

それは魔術協会の今後を担うとても重要なものらしい。

大変光栄なことだ。私は即答した。

 

Mar. 20, 2013

研究のサンプルが届いた。

これまで様々な動物実験を行ってきたが、これは何というか……。

それでも、やらねばなるまい。

 

Apr. 13, 2013

なんということだ、これは……、

魔術協会の為でも、国の為でもなかったのだ。

全てはあの、化け物を作り出す為の、餌でしかなかった。

 

Apr. 24, 2013

一人、また一人消えていく。

聞いても、辞めたとしか言われない。

だが見てしまった。

皆、あの地下に行ったのだ。

 

May. 16, 2013

遂に、私以外誰もいなくなってしまった。

しかし直ぐにまた、補充されるのだろう。

何も知らぬ、学生が、そして助手が。

私にはもう、彼を止めることは出来ない。

 

Mar. 19, 2013

見てしまった。あれは聖杯だった。

宝条博士が手にしていた、あれは。

 

Mar. 21, 2013

天使を見た。いや、悪魔だったのかもしれない。

片翼の、

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

次のページには何も記されてはいなかった。

しん、と走った沈黙を、かたかたという高い音が破る。

音の方を見ると、エミヤオルタがパソコンのキーボードを素早く叩いていた。

ロックが掛かっていた筈だが、解けたのかと口を開く前に、エミヤオルタがセフィロスに視線を流す。

 

 

「one-winged angel……。

良かったじゃないか、悪魔ではなかったらしいぞ」

 

 

鼻で嗤ったエミヤオルタは、再び画面へと集中する。

その姿を見たリツカは、彼が自身の武器の改造をはじめとした機械弄りを好むのは知っていたが、パソコンまでお手のものであったとはと、感嘆する。

 

 

『聖杯、それに片翼のって聞くと……。

もう決まったようなものだ……けど、』

 

「……それって」

 

『そう結論を急ぐものじゃあないさ。

私は、地下に真実の鍵があると見ているのだが……。

どうかな。君にその勇気は、あるかね』

 

「ち、地下……って、此処の、だよね……」

 

 

思考を巡らせていた名探偵が、遂に口を開いたということは、あらかたの解は得たのだろう。

此処に彼がいたならば好き勝手歩き回った挙句、平気な顔で地下にも足を踏み入れていることは想像に容易い。

それはあくまでも彼が場慣れした、強靭な精神力を持つ存在だからであって、リツカは違うのだ。

 

 

「……マスター。足を踏み入れるならば、相当な覚悟が必要となるだろう」

 

 

ずっと動き続けていた、キーボードを滑る武骨な指先が止まる。

エミヤオルタは、パソコンに保存されているデータのロックを解除した後、隠れていたフォルダも見つけ出した。

そして、通信の為の回線が生きていることを確認すると、必要となるであろうデータをまとめてカルデアへと送信したのだ。

彼はその内容の酷さに目を伏せて、溜息を吐いた。

 

 

『うっわー。此処までやるとはねえ。

知の追求といえば、それっぽいけど……。これじゃあ、ただの』

 

 

エミヤオルタの送ったデータに目を通したダヴィンチが、呆れたように声を上げる。

ホームズは相変わらずの無表情だが、ドクターの顔は険しい。

そんなに酷いものなのだろうか、とリツカは頬を引き攣らせた。

 

 

「……仕方あるまい。マスター、俺たちが見て来よう」

 

「俺たち、って」

 

 

その方が効率的だろうと口角を上げたエミヤオルタは、とある方に視線を送る。

パソコンの前から立ち上がった彼を見上げたリツカが首を傾げると、視界の隅で銀が動いた。

 

 

「どうせその千里眼()で見る気だろう?

……なら、万が一のことがあれば、マスターを連れてカルデアまで行け」

 

「ああ。言われなくともわかっているさ」

 

 

ふわふわと笑うマーリンの、その『眼』が頼りになるだろう。

宝条をはじめとするセフィロスのことは見えないと言っていたが、この研究所内は問題ないらしい。

 

 

「ならば、この私も参るぞ」

 

「す、スカサハ……」

 

「えーい!!何遍も言わすでない!!

スカサハではない、スカサハ様じゃ!」

 

 

いつの間にかセフィロスの隣にいたスカディの言った言葉に、リツカは目を丸くする。

自然を愛する神が、その冒涜の為に造られたような施設の地下へと赴くとは、想像も出来なかった。

 

 

「なんじゃその顔は、私では不満だと言うつもりではないだろうな?」

 

「ち、違うって!!まさか、その……行くって言うとは思わなくて」

 

「ふん。私とてこのような悍ましい施設の地下になんぞ行きたくもない。

だが……私は、行く」

 

 

ぐと目に力を込めて神々の花嫁は、言った。

その言葉に込められた意味を、正確に読み取ることは出来ない。が、何か大切な意味合いが含まれていることだけは何となくわかった。

 

 

「おにいちゃん、わたしたちも」

 

「……お前は此処にいろ」

 

「やだよ。わたしたちも、一緒に行くもん」

 

 

ぎゅと引っ張られたコート。足元に視線を移すと、ジャックがセフィロスを見上げていた。

一緒に行きたいという言葉を拒んだセフィロスに、リツカは意外そうな表情を見せる。

セフィロスが、女性や子供の要求を拒んだ所を見たことはなかったのだ。

 

 

「おい、ジャック。そう駄々を捏ねんじゃねえよ。な?」

 

「……やだ」

 

「辞めておいた方が、身のためだと思うがね。ジャック・ザ・リッパー。

向かう先は、お前の嫌いな医者も、仲間も、多くいる場所だ。

……到底耐えきれるものではないだろう」

 

「え、い…医者って」

 

 

ぽんとジャックの頭に手を乗せた燕青が、腰を落として目線を合わせる。

頬を膨らませたジャックが首を横に振ると、冷淡な口調でエミヤオルタが言葉を吐き捨てた。

 

 

「……此処には、倫理など存在しない」

 

 

セフィロスはそう低く呟くと、エミヤオルタに視線を送る。

一つ頷いたエミヤオルタは部屋を出るために、踵を返した。

それに続こうとするセフィロスのコートを掴んだままのジャックは、いやだと首を横に振った。

 

 

「ジャック、俺と一緒に待っていよう?」

 

「……いやだ。やな予感が、するの」

 

「嫌な予感?」

 

「……わからない、わからないけど、……おにいちゃん、行っちゃ、だめ」

 

 

嫌な予感がする、といつもとは違う表情で訴えるジャックに、リツカは何も言うことは出来なかった。

子供のようで子供とは違う彼女が、こうも任務に対して感情を挟むのは稀なことである。

その様子を見ていると、リツカにまで嫌な予感がして来た。

やはり全員で出向くべきかと、泣きそうにも見えるジャックの顔を見て考えた、その時。

 

高く、ヒールの音を響かせたスカディが、その体をしなやかに曲げてジャックの顔を覗き込んだ。

 

 

「案ずるでない、生まれずとして生まれた子供よ。

セフィロスにはこの私が付いている」

 

「……」

 

「ああもう!!わかった!!

この私が!!この(スカサハ=スカディ)の名に懸けて!!このセフィロスを、守り抜こうぞ!!

約束だ、ジャックよ」

 

「……やく、そく」

 

「そうだ。この神々の花嫁が、約束しよう」

 

「……おにいちゃん、とも」

 

「おお、それは良い。ほらセフィロス、ヒトとヒトが約する時は、指切りというものをするのだろう」

 

「それは必要な「ははっ、良いじゃねえか。ほれさっさと指出しな」」

 

 

明朗に笑う燕青の手甲を付けた手が、セフィロスの腕を掴んだかと思うと、勝手にジャックの前に差し出したのだ。ぱちぱちと目を瞬かせたジャックは、嬉しそうに頬を綻ばせると己の小指を、黒い手袋に包まれた小指に絡めた。

ゆーびきった、という弾む声と強く絡んだ小指を、セフィロスが拒むことはなかった。

 

 

「……おにいちゃん、怪我しちゃだめだよ」

 

 

心配げに目を伏せたジャックに、セフィロスは溜息を吐くと、ぽんとその頭に手を置く。

そして振り返ることなく扉から出て行った。

 

 

「あ……、せ、セフィロス。待て!!やっぱり私とも、指切りをせんか!!」

 

 

慌しくその背を追い駆けて行ったスカディに、燕青が笑い声を上げた。

こうしてリツカ達は待機組と偵察組に分かれて行動することになったのである。

 

 

 

 

 

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