彰とカレンの原作放浪記   作:はないちもんめ

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映画完結記念に投稿!
時間軸は割と適当ですが、3章と4章の間くらいです。

そこまでネタバレないですが、まだ見てない方はご注意を。

見た方はキャラ崩壊にご注意を。


IF〜もし彰が奪還のロゼの世界にいたら

「はぁ………」

 

長く、重いため息を吐き出したロゼを何とも言えない顔で黒戸は見る。

 

「ロゼ、気持ちはわからないとは言わんがそろそろ本人が来る頃だ。気持ちを切り替えろ」

 

「わからないよ。黒戸さんには俺の気持ちは絶対にわからないよ」

 

サクヤは断言した。事の発端は一週間前に遡る。七煌星団の戦力低下と今後の戦いを鑑みて、本州から少数精鋭の兵士が密かに送られることとなった。問題はその戦力の指揮官があの桐島彰だと言うことだ。

 

聞いた瞬間にサクヤは反射で答えた。

 

『あ、チェンジでお願いします』

 

しかし、そんなサクヤの言葉が受け入れられることはなく話はトントン拍子で進んでいった。泣きたくなった。そして、遂に彰達が来る当日を迎えたのだ。

 

「奴の性格に問題があるのは知っている。しかし、そこまで深刻に捉えなくても」

 

「黒戸さんが解放戦線からの時からの付き合いでも、黒戸さんは先輩だったでしょ。あの悪魔の弟子になった気分わかる?」

 

瞳孔を全開にしたロゼは顔に手をつける。当時の思い出が蘇るだけで汗が噴き出してくる。トラウマになったことは一つや二つではない。

 

「修行と称したパワハラにセクハラ!こっちが知らないことを利用して平然と嘘ついて!女の人を怒らせた時は平然と盾にして!周りは同情するだけで助けてくれないし!」

 

ああ、カレンさんと千葉さんは優しかったなぁ。当時を振り返っているロゼは数少ない良い思い出に縋りつこうとする。人はそれを現実逃避と呼ぶ。

 

「…アイツのコミュニケーションは特殊だからな。それより、変装しない状態で会った方が良いのでは?」

 

「やだ」

 

端的に言うと巻き込まれたくない。ロゼとして会う方が初対面の分、まだマジだろうとの考えだ。

 

「ロゼ、ちょっと良いか?」

 

そんな話をしていると少し離れたところで彰達を迎える準備をしていた偽りの兄ーアッシュが話しかけてきた。

 

「兄さん、どうしたの?」

 

「桐島彰達が上陸したようだぞ。二人とも来たほうが良い」

 

名前を聞いただけで一瞬、強張った顔を気力で押さえつける。あの変装のプロフェッショナルなら、少しの違和感で正体に気づかれかねないためだ。

 

アッシュに言われて、ロゼと黒戸が合流場所に向かうと既に相手方は到着していた。名前だけは無駄に知られている彰は敬意を持って迎えられていた。

 

「アレが桐島彰か」

 

「日本開放の英雄の一人…」

 

話にしか聞いたことがない英雄を見たような面持ちで彰を見るアッシュを含めた七皇星団の面々を見てサクヤはボソリと呟く。

 

「夢を見るって大事だよね…」

 

「経歴だけ見れば凄まじい人間だからな」

 

「中身を見ても凄まじい人間だけどね。別の意味で」

 

「…辛辣だな」

 

「付き合いは黒戸さんの方が長いかもしれないけど、密度は絶対俺の方が濃いと思うよ?」

 

フフッと暗い深淵から響くような笑みが黒戸の耳に響く。

 

アッシュは首を傾げているが、解放戦線からの付き合いで彰のことを知っている黒戸はサクヤの死んだ目からそっと目を逸らす。

 

そんな三人に他の面々と挨拶していた彰が目を向ける。目が合った瞬間、昨夜の背中がビクリと跳ねる。何もそこまでと笑えないのが可哀想な所だ。

 

「やっ、黒戸さん。久しぶり」

 

「ああ、久しぶりだな彰」

 

「捕まったって聞いたけど、元気そうで何より」

 

「ああ、助けられてな。無様な生き恥を晒してる」

 

「綺麗な死に様より100倍マシだろ。んで話に聞いてた助けてくれた助っ人ってのがこのアッシュともう一人のロゼって少年だっけ?何処にいんの?」

 

「あ、ああ。一応、アソコにいるが」

 

黒戸はそう言うと、彰と目線が合った瞬間にゆっくりと後退していたロゼの背中を指指す。

 

「ほー。んで、何で離れてんの?」

 

「…彼は人見知りなんだ。そんなことより、軍議を始めよう。決めなければいけないことも多い」

 

「いやいや、そんなわけにもいかんでしょ。黒戸さんを助けてくれたんだから挨拶くらいしなきゃ。おーい、ロゼ君」

 

何とか彰の興味をロゼから晒そうとした黒戸の努力も虚しく、彰はロゼの方へと歩いて行く。

 

近づいてくる足音にサクヤの脳裏に過去のトラウマが走馬灯のように浮かび上がってくるが、何とかそれを打ち消し、彰へと振り向く。

 

「初めまして英雄さん。貴方みたいな有名人と会えて光栄だよ」

 

完璧な笑顔を浮かべ、何処からどう見ても美少年の仮面を貼り付けたサクヤを見て彰は少し訝しげな面持ちを浮かべる。

 

「はじめまして…?なーんか、君とはどっかで会った気がすんだけど?」

 

「嫌だなぁ、僕みたいな根無草が貴方みたいな有名人と会ってるわけないでしょ」

 

サクヤはサラリと否定するが、彰の疑惑の視線は変わらないどころか深まっている。

 

その視線でサクヤは背中に汗を滝のように流している。

 

元々、サクヤに変装術を叩き込んだのは彰だ。それにサクヤの変装術は彰の域に達していない。違和感を感じたとしても不思議ではないのだ。本当にスペックだけは無駄に高い男だ。

 

「へぇ…確かにそうだな。はじめまして。桐島彰だ。黒戸さんを助けてくれて感謝する」

 

彰はロゼの顔を見ながら、ニヤニヤ笑うとすっと手を差し出す。

 

側から見ると、友好的な初対面の挨拶かもしれないがサクヤは知っている。

 

サクヤは知っている。これは友好的な笑みなどではない。獲物を見つけたドSの笑みだ。

 

引き攣った笑みを浮かべながら、ロゼも彰へと手を差し出し握手をする。

 

弱みなど見せては行けない。この男に弱みなど見せようものなら、骨の髄までイジられることは間違いない。

 

「いや、有効的な人で良かったわ。しっかし、随分と柔らかい手だなぁ。まるで女の子みたいだ」

 

彰の言葉にサクヤはビクッと身体を跳ねさせる。しかし、何とか顔には出さずに貼り付けたような笑顔を維持する。

 

「え、ええ。筋肉つけようとしてるんですけど、中々つかなくって」

 

「みたいだなぁ。こことかもあんまり筋肉ないみたいだし?」

 

そう言って彰はロゼの胸部を触る。…そう。胸部を触った。

 

それを実感したロゼは瞬時に顔を真っ赤に染めると、胸部を庇いながら彰から距離を取り若干涙目になりながら、抗議の言葉を放つ。

 

「な、な、な、何するんですか!?」

 

「え?何?これくらい男同士なら割と良くあるコミュニケーションだと思うんだけど?」

 

「よ、良くあるわけないでしょう!?」

 

「あるって。なあ?」

 

悪い顔を浮かべた彰は七煌星団のメンバーに振り返る。

 

「まあ、確かにないことはねぇな」

 

「そうだね。男って筋肉触ったらするの嫌いじゃないし」

 

「ガキっぽいからね男は。何時まで経っても」

 

「でも、このご時世にやったら男同士でもセクハラですよ彰さん」

 

「細けぇことは気にすんない。お前さんも久しぶりだなハルカ」

 

「ええ。相変わらず全開ですね」

 

どうやらハルカは彰のことを多少なりとも知っているらしい。考えてみれば当然だ。黒戸さんの娘さんなのだから会ったことくらいはあるだろう。

 

「おいおいバカ言って貰っちゃ困るよ?黒戸さんを助けてくれた恩人だよ?めっちゃ気遣ってるよ」

 

「そうでしたね。気遣いが明後日の方向どころか来月に向かっちゃう人ですもんね」

 

何だろう急にハルカへの親近感が湧いてきた。もしかして、私たちは親友になれるのかもしれない。

 

「おい、彰。本当にそろそろ会議を始めるぞ。準備してくれ」

 

話が一区切りついたと判断したのか黒戸さんが横槍を入れてくれる。彰も確かにそうだなと言って話を合わせているので黒戸さんの意見に賛同するように感じられた。

 

「でも来たばっかで身体汚いんだよな。先に風呂に入っても良いですか?」

 

「それくらいなら、まあ、構わんが」 

 

「おー、ありがたい」

 

彰はそう言うと、サクヤの方に振り向く。

 

「それじゃ、男同士。親睦を兼ねて一緒に風呂でも入るかロゼ」

 

「…は?」

 

サクヤの思考は一瞬停止した。このセクハラ男は何を言っているのだろうか。

 

「だから風呂だよ風呂。一緒に入ろうぜ」

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!??」

 

キャラなど忘れて絶叫した。周りが驚愕の目で見てくるが、そんなことを気にしている余裕など無かった。

 

「嫌なの?何で?」

 

「な、何でってそりゃ…色々だよ!色々!」

 

色々というか明確な理由が一つあるのだが、それを言えないため誤魔化すしかない。

 

しかし、この男はそんなことで流してくれるような優しい性格はしていない。

 

「色々って言われてもなぁ?どんな理由があるんだ?そこら辺知ってる?お兄ちゃん?」

 

加速度的に変化していく話題を呆然と見ていたアッシュは突然話題を振られて困惑する。真実を言ってはいけないことくらいアッシュでもわかるがだからと言って上手い返しができるほどアッシュの口は上手くない。

 

「兄さんを巻き込まないでよ!これは俺の問題なんだ「いや、そんなことはないぞロゼ」…え、兄さん?」

 

アッシュの口下手のフォローをしようとしたロゼの肩をアッシュは掴む。考えてみれば自分の口下手を利用して、面倒ごとを全てロゼに、いや、サクヤさんに任せていることはマズイとアッシュは考えていた。

 

これからは共に戦うと誓った。であるならは、こういった困難も共に立ち向かわなくてはならない。

 

「お前の問題は俺の問題だ」

 

「兄さん…」

 

そんなアッシュの目を見てサクヤは此処は任せるしかないと感じた。そして、同時に思った。

 

(何でこのタイミングで…!!)

 

もう嫌な予感しかしない。そもそも、呼吸よりも嘘の回数の方が多いような男に基本、口下手なアッシュが勝てるわけがない。ファイル島に到着した瞬間にダークマスターズと戦うようなものだ。

 

「彰さん。ロゼは皆と一緒に風呂には入りたくないんだ。勘弁してやってくれ」

 

「だから何でよ?」

 

「自分の裸がコンプレックスなんだ」

 

(アッシュゥゥゥゥゥゥ!!???)

 

予想してはいたが思っていた通りダメだった。必死に考えてくれたのだろうが、誤解しか産まない言い方だった。

 

「へぇ、そんなに小さいの?極小の大きさなの?」

 

「そんなことはない!むしろ、大きい!」

 

「うん、兄さん!ちょっと黙ろうか!」

 

何処のことを言っているんだと突っ込みたいところは無数にあるが今はアッシュを止めるのが先決だった。誤解が大きくなる気しかしない。

 

「すげえなそんなに大きいのか。二つ名に恥じないな。ナナシのヤリチンだっけ?」

 

「ナナシの傭兵です!どんな間違いしてんの!?」

 

「お前さんのその巨大なあそこで女の人突きまくって、名乗らないで逃げるんだろ?」

 

「ただのクソ野郎じゃないですか!」

 

周りが『あの顔で大きいのかよ…』『人は見かけによらないわね』などと不名誉極まりない会話を繰り広げているが、それを鎮火している場合ではない。現状、規模を広げ続けている放火魔の方を先に止めなければならない。

 

「ちょ、ちょっと彰さん!」

 

小声で彰の耳元に近づき、変声機を外して声をかける。

 

「黙ってたのは謝りますからもうやめてください。これ以上やられると、私の活動に影響が出るんですよ」

 

「え、何の話?俺ってロゼとは初対面だろ?」

 

「白々しい!サクヤですよ!お久しぶりです」

 

「そんなわけねぇよ。だってサクヤならテレビで見たもん。あいつ皇帝やらされてんだろ?気合い入れて助けないとなぁ、ロゼ君?」

 

「だからもう良いですって!貴方なら全部知ってるんでしょ!!」

 

「お前が巨根で悩んでることだろ?知ってるよ。よし、君のそれを受け入れてくれる人を探すために風◯行こうか」

 

「行くわけないでしょ!?」

 

「常に選択肢を持ってることは大切だよ。風◯行ったことがあるってことがいつか役立つ日が来る」

 

「貴方が行きたいだけでしょ!?何時も何時も適当なこと言って私のこと騙して!」

 

「おいおい勘違いすんなよ。俺とお前は初対面なんだから」

 

「何時までその話引っ張るんですか!」

 

「引っ張るも何も事実だからなぁ。なあ、アッシュ。お前さんの弟と風◯に行ってきても良いか?」

 

小声での話をやめて彰はアッシュの方を向いて尋ねるが、アッシュとしては何でそんな話になったのかわからない上に軽く同意などできない話に目が点になった。

 

「…溜まってたのかロゼ」

 

「そんなわけないよ!この人が勝手に言ってるだけ!」

 

「そ、そうか。なら彰さん…その…ロゼは経験がなくてな。初めてのことは大切にしてもらいたいんだ」

 

「何だよ童貞かよ。そんなに大切に取っとくもんじゃねぇよ。早く捨てとこうぜ」

 

「ち、違う!ロゼは女じゃなくて男が好きなんだ」

 

「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

色々もうダメだった。今後、巨根のホモキャラとか演じられる気がしない。というかそもそも演じたくもない。

 

「いや、もう本当にごめんなさい!俺が悪かったです!だからもう勘弁してください!」

 

「謝られても困るんだけど?何を謝ってるの?」

 

「い、いや、だからそれは…」

 

「何が悪いかわからないのに謝られてもねぇ?ところでアッシュ君?ロゼ君が男の子が好きだって話だけど」

 

「申し訳ございませんでしたぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!彰さんを騙そうなんて100年早かったです!誠心誠意お詫びさせていただきます!」

 

ロゼは殆ど泣きながら土下座を敢行した。周りがドン引きの視線で見てくるが、そんなこと気にしている余裕もない。

 

「おいおい、ロゼ君よぉ。誠心誠意って口だけ?行動で示せよ。謝って済むのは義務教育までなんだよ。社会人舐めんなこのやろー」

 

「ぐすっ。何でも言うことききますからぁ。焼きそばパンでも何でも買ってきますからぁ。許してくださいぃぃぃぃ」

 

「もう勘弁してやれ!」

 

流石に可哀想になった黒戸が遮るまでこの惨状は続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




続きは軽く考えてはいるのですが、作るかは考慮中です。

続いても後1話くらいでしょうけども。
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