「はあ!?並行世界!?」
彰から聞かされた話にカレンは衝撃を受ける。そんなカレンの反応を予測していたのか、彰は大した反応を見せずに続ける。
「恐らくな。未来というには俺たちの記憶と符合していないことが多過ぎる。それにどうやら、俺はこの世界だと存在していないらしいしな」
言われてみればカレンには思い当たる節がある。
誰に聞いても彰など知らないと言う。こんなキャラが濃い奴を忘れることの方が難しいので知らないわけがないと思っていたが、そもそも存在していないとすれば、まだ納得ができる。まあ、本当にここが並行世界だとしたらの話だが。
「てかさ、本当にそんなことあり得るの?私たち皆に騙されてるんじゃないの?」
「そうだとありがたいんだが、どうやらそうでもなさそうだ。それに昨日よりカレンの胸が少し大きくなってるから時間の変化は間違いなく起こっているみたいだし「どこ見て、何を喋ってんのよ、変態ぃぃぃぃ!!」ペルソナ!?」
彰のセクハラ発言にカレンは顔を赤くし、胸を隠しながら彰を思い切りぶん殴る。
カレンに殴られた箇所を抑えながら、彰はやっとの思いで話を続ける。
「と、とにかくだ。並行世界かどうかはともかく、ここが俺たちが知ってる世界じゃないのは間違いない」
「そうだったとしても、何でそんなことに?私普通に寝てただけよ?」
「俺もだよ。まあ、何かのギアスなんじゃね?何でもありだからなアレ」
彰の言葉にカレンは何故か凄く納得した。絶対遵守なんてのがあるんだから何でもありなのだろう。
「となると、何時元の世界に戻れるか分からん。だからこそ、俺は自由なこの瞬間を大事にするためにタイプの女の子に片っ端から声をかけていたわけだ」
「何でその考えから、その結論に至るのよ!あー、もうあんたは本当に!」
思わずカレンは髪を掻き毟る。何でコイツはこんなに残念な奴なんだろう。
「とにかくナンパは終了!騎士団の皆は良く分からないこと言ってるから、ルルーシュに会いに行くわよ!」
「どうやって行くんだよ?アイツブリタニア本国にいるんだろ?」
「あんたなら幾らでも方法知ってるでしょ?」
人はそれを丸投げと呼ぶ。それを聞いた彰は、んーっと悩むが
「やめとこう。どうにも嫌な予感がする」
「何でよ?多分C.C.もアイツと一緒にいるだろうし、ギアスのことなら分かるんじゃない?」
「そりゃ、そうだが…どうにも気になるんだよなぁ…ルルーシュが裏切ったってセリフが」
「何か誤解があるんじゃないの?アイツって誤解されやすいタイプだし」
「そんな軽いレベルじゃないだろ。何せお前がルルーシュと一緒にいないんだからな。異常に近いレベルだ」
彰の言葉にカレンは首をかしげる。
「何でそんなことわかんのよ?こっちの私が私みたいにルルーシュと近しいかどうかなんて分からないじゃない」
「いや、近しいはずだ。お前確か扇さんや他の騎士団の人たちと話したって言ってたろ?」
「え?うん。話したけど」
それが一体何なのだろうかとカレンは思う。
「つまりは…だ。この世界も俺たちの世界も基本的な人間関係は変わってないんだ。もし変わってれば、扇さんはカレンのことを知らないはずだ。他の団員もな。それが知ってるということは向こうで仲が良い人は基本的にこっちでも仲が良いと考えて良い。確かにルルーシュとカレンを会わせたのは俺だが、恐らく俺がいなくてもお前らは何らかの事情で出会ったんだよ。そもそも、学園も同じだしな」
なるほどとカレンは頷く。確かに私がルルーシュが皇帝やると聞いたら間違いなくついて行くだろう。拒否しようものなら、強引にでも合流する自信がある。
そんな自分がルルーシュについて行かずにこんな所にいるということは…
「…ねえ。これ凄く大変な状況なんじゃないの?」
「そうだな。恐らくトンデモなく面倒な状況になってる」
「…どうしよう」
「どうすっかなぁ」
カレンに頼られた彰もどうすべきかは分かっていないようだ。しょうがなく恐る恐るカレンは自分から提案してみる。
「とりあえず…騎士団に戻るのはどう?」
「その場合俺の場所はねぇし、そもそもルルーシュと戦うことになりそうだが良いのか?」
「嫌よ」
「…俺たちはこっちのルルーシュを知らんぞ。アイツが間違ってるのかもしれん。それでもか?」
「それでも…よ」
カレンは真剣な顔で拳を握り、言い放つ。
「私は別にアイツが絶対正しいなんて言う気はない。間違ってるなら命懸けで止めるわ。だけどそれはナイトメアや銃を使った戦争じゃない。止めるなら私が私の拳を使ってぶん殴って止める!絶対にアイツを殺さない。例え殺されたとしてもね。それが私の信念よ」
本当にこの娘は生まれてきた性別を間違えたんじゃないのだろうかと彰は本気で思う。格好良すぎなんだけど。男らしさが天元突破してんだけど。
「相変わらずのバカだねぇ…まあ、嫌いじゃないけど」
そんな彰の言葉にカレンはフンと鼻を鳴らす。
「何言ってんのよ。あんたも似たようなもんでしょ?」
「俺はお前みたいに熱血はできねぇよ。ただ、納得ができなかったらアイツがやろうとしてることを邪魔しまくって計画を頓挫させるだけだ」
「どう考えても私よりもタチが悪いじゃない」
「力ずくで止めるよりマシだろ」
二人ともお互いをジト目で睨み合う…が、最終的に堪えきれずに笑い出した。
「まあ、今の状況じゃあ何もできないけどな。まず、情報がねぇ。仲間もいねぇ。ほとんど詰んでる状況だ」
「騎士団の皆を説得できない?」
「何も分かってない状況でか?無理言うな。そもそも騎士団の情報だけだと足りねえんだよ。見方が偏るからな。だから中立的な意見が欲しいんだが…ねぇんだよなぁ…」
本当に困ったと彰は頭をかく。
「それじゃあ、どうすんのよ?私たちルルーシュとも騎士団の皆とも違う道を行くんでしょ?そんなのに付き合ってくれる人なんているの?」
「だから、それを考えて…」
言葉の途中で彰は何かに気付く。そんな彰の様子を見てカレンは顔を輝かせる。
「何?何?誰か心当たりがあるの?」
「そんな凄いものじゃないが…一人だけいたな。俺たちに協力してくれそうな奴。正確に言えば、ルルーシュの味方である俺たちに協力してくれそうな奴が」
「誰よ?C.C.?」
「本当はそれがベストだが…どう考えてもアイツはルルーシュがしたくないことを手伝わんだろ」
自分が本当は望んでたとしても。したくなかったとしても。ルルーシュが決めたことなら反対せずに最後まで付き添う。そういう女だ。俺とカレンとは役割が違うんだ。
「じゃあ、誰なのよ!」
「お前も良く知ってると思うがな。行くぞ。腹が減ったけど…まあ、アイツなら初対面の俺にでもご飯くらい作ってくれるだろ」
次はあの子の登場です