この森と海しかない島には、 血液感染する不可解な病気により、凶暴な力を得た吸血鬼達が跋扈していた。
そこで戦い続けた戦士が一人、異なる日本へやって来た
遠くからか声が聞こえてくる。
「こんなのに勝てるわけが無いだろ!?早く逃げるぞ!」
「待て!まだ仲間が……」
「うるせぇ!俺はまだ死にたくねぇんだよ!」
会話の内容から仲間の声だ。
(逃げても仕方の無いさ)
相手は十二鬼月。私は今まで修行をして来て、普通の鬼には遅れをとらないくらいには強さと自信を持っていたし、一緒に来た同期もそうだったはずだ。だが、今回の相手には全く敵わなかった。
数は10人で階級も柱こそ居ないがそれでも中堅以上が集まっていた。相手の場所は分かっていたから連携の邪魔になら無いように気を付けながら、私達は先制攻撃を仕掛けた。その攻撃をする瞬間に相手の血鬼術であろう、地面から伸びて来た木の根で貫かれ半数以上が即死。私は腿と脇腹に拳ほどの穴が空いて動けなくなっていた。
「……今回は中々数を集めてたみたいだけどこれで終わりか。弱いし食べても強くなれなそうだな。柱を食べて、早く無惨様に認めてもらわなくては……」
現れた鬼は見た目はまだ若い可愛らしい少年のようだった。だが、獣のように発達した牙と、仲間の血を被っている姿はまさに悪鬼だった。
「ちっ畜生!残ってるやつで戦うぞ!枝の術に気を付けろ!」
「一度に行けば隙が生まれるはずだ!呼吸を合わせていくぞ!」
「応!」
「邪魔」
残っていた仲間が3人貫かれた。一人は速さを捕らえきれずに、一人は枝を切ることができず、一人は枝の数に対応できずに殺された。何て速さと堅さと精密さなのだろう。
私は痛みに耐えて呼吸を整えて、ここから逃げる算段を立てていた。鬼の強さと能力を伝えなくては、さらにここから多くの犠牲者が出るかもしれない。それに相手の能力を伝えられれば柱の負担を減らせるはずだ。
「まだそこの転がってるのも合わせて……全部で10人か。……それにしても逃げていったのはどうしよっかな。まあ君達を食べてから考えても遅くはないよね」
仲間の呼吸が乱れるのが聞こえた。生々しく自分の死を想像してしまったのだろう。
「無理無理無理だぁ!助けてくれ!」
「嫌だ、嫌だぁ!」
また二人が逃げ出そうとして背中から貫かれた。
「……皆、もう僕たちは助からない。だけどせめて逃げていったアイツの逃げる時間は稼ごうぜ」
その言葉と共に皆の呼吸が落ち着いてーーーー
10を数える間に全ての呼吸が消えていた。
「後は……逃げたのと転がってるので終わりか」
私は逃げられないことを悟り、先程の彼らのように散る覚悟を決めて立ち上がる。最後の呼吸になるだろう
「そうだ、体力ありそうだし丁度良いな。僕も鬼を作ってみよう」
呼吸は乱れない。最後の技を放つ準備に入る。
(雷の呼吸1の型ーー)
というところで何処からかザンッという音が響いた。
相手が音に気をとられた隙を見逃さず、攻撃したが刀身を素手で掴まれる。
「まだ仲間がいたのか帰ってきたのかどっちかな。まあこれで君の努力も水の泡ってことだ」
刀身を砕かれ、蹴り飛ばされて木に背中を叩きつけられる。もう成す術はない、せめて鬼の情報を伝えた後どうにか自死するのが最善か。
「おい!こいつは枝のような物を伸ばす血鬼術を持つ!とてつもない堅さと速さで私たちじゃ対処できなかった!柱の人を……」
とそこまで言って気がついた。隊服ではない、一般人だ。年はまだ若いが足を引きずりながら歩いており、暫く風呂に入ってなかったような汚い格好をしている。
「どうしたんだこれはいったい!」
「に、逃げて!早く!」
鬼が血鬼術で枝を作りすさまじい速さで貫く……はずだった。
「ハッ!」
ザンッという音と共に枝を切り飛ばした。青年の腕を見ると、そこから刀が見えた。
「仕込み刀使いか。これに対応できるってことは、お前柱か?」
「……お前は吸血鬼か?」
吸血鬼?……血を吸う鬼ということだろうか。じゃあ鬼殺隊関係者なのか?
「変な力を持っているみたいだが、姿は邪鬼見たいに人間離れしてる訳じゃないのか。切るのが楽で良いな」
「……隊服を着ていない。柱でもない。でも独特の呼吸を使う。……育手という奴なのか?」
育手は剣士としては一線を退いて剣士の育成をしている人達のことで、中には元柱も存在している。彼の呼吸を注意して聞いているとハァ…ハァ…と独特の呼吸をしているのがわかる。聞いたことがないから少なくとも火や水といった基本の呼吸では無いみたいだ。
「名前を聞いておこうか。後でどのくらい強かったか確認したいし」
「宮本明」
宮本……少なくとも私は聞いたことがない。
「ありがとう。じゃあ死ね」
今度は根っこの様に太い物が宮本を襲う。ザンッという音と共に幾つか切り飛ばされるが、切り飛ばしたところから細い枝が仕込み刀に絡み付く。
「しまった!」
「その刀、ただの刀なのか。鬼殺隊の刀じゃないなら怖くないな」
鬼は切られても再生されたり、そのまま体を動かせたりする。特別な金属を使った日輪刀ならそれを防ぐことができるけど、あの仕込み刀は日輪刀では無いようだ。
「鬼を倒すには日輪刀じゃないとそこから再生されます!」
「何!?この鬼を倒すには特別な武器が必要なのか!」
宮本さんはそのまま仕込み刀を砕かれるが、何とか鬼から距離を取った。私は彼に日輪刀を渡せれば何とかなるかもしれないと考え、周りの倒れた隊員の近くを探る。
「有った!有りましたよ日輪刀が!これを使ってください」
「でかした!」
私は振りかぶり宮本さんの足元を狙い投げるが……
「それを許すとでも?」
鬼が出した太い枝地面から飛び出させて突き刺さる。
「人間は武器が無ければ戦うこともできない、悲しいね」
どうしよう、近くに倒れた隊員はいない。私は手元にある折れてしまった日輪刀を無いよりはマシかと投げようと思ったが、また奪われてしまうと考え辞める。どうしよう、どうしよう……
「あの刀ならあの吸血鬼を切れるんだな!」
宮本さんはそういうと、折られていた木を抱えて、日輪刀の刺さった枝に叩きつけてへし折り、刀を引き抜いた。
「よし、これで戦える!」
「……ふん、今さら刀持ったところで僕に勝てるはずがないだろう!」
メキメキと音を立てて巨大な柱のようになった枝をいくつも作り出す。幹が明らかに刃渡りより大きく切ることはできない。
「単純に簡単に押し潰してやる」
そう言うと、術がすさまじい早さで宮本さんをあらゆる角度から襲いかかる。私は動くことができずにそれを見ていると、ザンッという音と共に数本の枝が切れてその場に落ちる。
「何!?どうやって切ったんだ!」
宮本さんはそのまま鬼に向かって走りだす。
「クソッそれなら……」
今度は細く枝が大量に宮本さんを襲う。逃げ場はないし切れる数でもないと思ったがーー
「はっ!」
超人的な身のこなしと動体視力で全ての攻撃を見切り、避けながら刀の届く距離まであっという間に詰めると、鬼の首を切り飛ばした。
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「宮本さん。今回はありがとうございました」
「……沢山やられたみたいだな」
犠牲者8名。隊員は最低でも選抜を越えてきた実力を持つ。これを失うのは鬼殺隊としても、とても大きい痛手だ。
「あの、聞きたいんですが宮本さんは鬼殺隊を聞いたことは……」
「聞いたことがないな」
「私達は鬼殺隊という鬼を倒す目的で活動しています。良ければ鬼殺隊に入りませんか?」
その後、鬼殺隊に柱が増えた。
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「どこだここは、明は何処に行った?」
「お前、何者だ!何処から来やがった!」
「私を知らんのか、私は雅……日本を支配した男だ」