大里周也はオリ主である。
彼は神様に『仮面ライダーのキャラクターに変身できる』特典を貰って、生まれ変わった転生者である。
転生した世界には多種多様なアニメやゲームや漫画のヒロインがおり、イベントとして色んな悪党や、引き立て役程度の正義のヒーローもいる。
これは、彼が神様に望んだ世界である。
彼は『人々に感謝されるヒーローになる』事を神様に望んだのだ。
そして、各種イベントを通じて色んなヒロインをゲットできる。
周也はそう考えていた。
だが、残念な事があった。
周也は『仮面ライダーのキャラクターに変身できる』特典を貰ったが、それ以外のスペックの獲得は要求しなかった。
要求したとして、髪がそれに応えたかという疑問は残るが、とにかく彼には『仮面ライダーのキャラクターに変身できる』特典しかなかったのだ。
生前と同じような顔、運動神経、物覚え、視力や聴力、脳の処理速度。
到底、ヒロイン達には相手にされないし、変身前ではどうあってもヒロイン達に見合う男にはなれなかった。
でも、彼には『仮面ライダーのキャラクターに変身できる』特典がある。
今日もいつものように、生前と同じようにいじめられている彼は、『仮面ライダーのキャラクターに変身できる』特典で復讐しようと考えた。
「変身ッ!!」
彼の姿は見る間に大里周也の姿から、また別の人型へと変わった。
そう、ショッカーの戦闘員である!!
えっ?
一番そう思ったのは大里周也ではないだろうか?
確かに『仮面ライダーのキャラクターに変身できる』…が。
よりにもよって、初代仮面ライダーの一番最初に出てきた顔を絵の具で塗っただけの戦闘員である。
いじめっ子たちも早着替えと早メイクをした周也に驚きつつも、じゃあ次は別の変装をしろだの囃し立てるだけ。
周也だって、この大外れな変身から別の仮面ライダーのキャラクターに変身したかった。
が、やったところで何度やってもショッカーの最初期の戦闘員以外にはなれない。
だが、ショッカーの戦闘員は普通の人間より身体能力が倍増しているのではないか?
周也はそう考えていじめっ子たちに殴りかかった。
一方的に弄っていた相手に暴力で反撃されたいじめっ子たちは驚きつつも冷静に、攻撃を躱して周也を殴りつけて蹴り飛ばした。
身体能力が向上すると言っても、10に10を掛ければ100になるが、1に10を掛けても10である。
周也の初期能力が低すぎた。
それに、身体の使い方や技術などまで向上するわけでもなく、身体能力が人並みよりマシになったものの、上手く身体を動かして相手に攻撃が出来なかったのだ。
生まれ持って誰かを攻撃するセンスがなく、誰かの攻撃を誘引するばかりのヤラレキャラ。
それが大里周也だったのだ。
おとなしくからかわれてクラスを盛り上げる引き立て役であれば、いじめっ子も暴力を振るおうとはしなかった。
しかし、この状況を打破しようと先に周也が暴力に訴えかけてきたともなれば、いじめっ子のたがは外れてしまった。
しかも、黒タイツに顔面ペンキという、いじめられてもおかしくないような格好だ。
いじめっ子たちは周也にショッカー戦闘員の格好を強制して、クラスの笑いものにした。
クラスは大いに笑いに包まれて、周也以外の人々はストレスが解消されたのだった。
『キモメン☆早着替え』というタイトルでY○uTubeにも掲載して、PVもいっぱい稼げた。
自らを犠牲にして、人々を笑顔にするものの事をヒーローと呼ぶのなら、大里周也はヒーローになったのだ。
めでたしめでたし。
弱さが罪