まいふぁみりーいずべりーべりーらぶりー 作:わらびもち
実習前の準備や実習後もゼミの発表やらで中々時間が取れずにいたら2ヶ月放置してしまうと言うことに。
さらにここから試験等も入ってしまい、また投稿遅れると思います。すみません。
まあこんな作品待ってる人がいるか分かりませんが、今後もよろしくお願いします。
白髪の兄弟が仲睦まじく手を繋いで歩いている。少なくとも通行人の人たちは彼らを兄弟だと思っているし、手を繋いでるのだからそれこそとても仲良しなのだろうと思っている。実際には全く血の繋がりもないし、どういう関係か問われても上手く答えられないほど曖昧な関係なのだが、それを知る者はこの町にはいない。
「アレン、そろそろお昼にするか」
「はい!」
頼まれた買い物をあらかた済ませた2人は、小高い丘に来ていた。
(ここなら人目も気にしないで済むだろ)
さすがは父親とは違い、人に気遣える出来る子である。
ゆったりとした時間が流れる。ハルとしては正直眠いので寝たい。
(お天道様の下でお昼寝は至高!)
そんなことは思ってる。誰しもが大好きなはずだ。一部例外を除けば、善人悪人問わずご飯の後の眠気には抗えまい。そもそも抗う必要がどこにあるのか。
『マスター。一応言っておくが、学生の身ではそれは無理だぞ』
『やかましい!俺は今は学生ではありません。いいんです。それに学生の時も抗えずに寝てました悪いか!』
『やれやれ』
臨界点を突破し初めて話したあの日から、勝手に心の中で話すことができるようになったアーチャーとハル。
普段は話しかけるようなことはないようにと気にかけているアーチャーだが、どうにも突っ込んでしまう。
だって勝手にハルの考えていることや思っていることが流れてくるのだ。本人も隠す気がないから完全にダダ漏れである。突っ込まざるを得ないことはしばしば。
「ハル兄、この後はどうしますか?」
アーチャーと心内で話していれば、アレンから声をかけられる。
「んー?あれだアレン。お昼寝の時間だ。寝よう。遅くなったってしらん。俺は眠い。お前も眠い。だから寝る。それだけだ」
「え?いや、僕は別に眠くなん…」
「眠い!眠いだろ?アレン」
『強要するのはどうかと思うぞ、マスター』
浮かべているのは呆れた顔だろう答えが返される。
「あ、えと、はい。じゃあ眠いです」
ハルから発せられる謎の圧に屈し、アレンは特に眠くもないが仕方なく眠いと告げる。
(負けるなアレン。アホに負けるな)
そんなことをアーチャーが思っていたとしても仕方がない。
「よし、じゃあ寝よう!」
そうしてハルは寝転がり、目を閉じる。
アレンはそれを横目に寝転がる気配を見せない。すでに寝息を立て始めるハル。
(寝るのはやっ!)
アレンはこの隣で眠る兄に倣って自分も寝ころがろうかと考えたが、やめて、隣で眠りこける人の寝顔でも拝ませてもらうことにした。いつもは無表情で、周りからは怖いと思われてしまうハルも寝顔は可愛いものだ。年より少し幼く見える。きっとそんなことを本人に言えば拗ねてしまうだろうけど。
そんなハルの寝顔を見ながら、アレンはある話を思い出していた。
それはまだアレンが心を閉ざしていた時。クロスが自分に話して聞かせてくれた、この隣で眠る男の身に起きた悲しい出来事。自分と同じように大切な人を奪われた彼。彼は奪われ続けた。そして自分を責め続けた。そして笑顔を失った。
「傷だらけで罅が入りまくりだったあいつの心が完全に壊れる引き金となったのがレイラ、あいつの母親の死だ。
直接レイラの死に関わったわけじゃない。だが目の前で母親を殺された。あいつはまた目の前で救えなかったことが許さなかったんだろうな。
それ以来、誰もあいつの笑った顔を見たやつはいない。レイラのことも母さんと呼ばなくなった。あいつは自分が許せないんだ。お前と同じようにな、アレン。父親を破壊したお前と同じだ。だがお前は父親の魂を救った。あいつは何も救えなかった。それだけがきっと、お前とあいつの違いなんだろうな」
それは息子を救ってやることのできない父親の哀しみだったのだろうと今は思う。あの時はそれどころじゃなくて、なんでそんな話をするのだとか、魂を救ったところで破壊したのは変わらないじゃないかとか思ってしまったけれど。
救いたい、とは思わなかった。それは烏滸がましく感じたから。
でも、笑顔を見てみたいとは思う。こんなにも暖かくて優しいこの人が笑ったらどんな風なんだろうと興味がある。笑わせてみたい。そう思った。
(AKUMAの魂が見える自分。それはきっと
「ふぁーあ。よく寝た」
日が沈み始めた頃、ようやくハルは目を覚ました。
「おはようございます、ハル兄」
「おお、アレン、はよ」
そう言うとまた大きなあくびをした。目尻からは涙が溢れそれを拭っていると、アレンが目の前に立っていた。
「んぁ?アレンどったの?」
「…ハル兄、僕、決めました」
「ん?何を?」
寝ぼけた頭で聞いていたが、あまりにも真剣なその目にハルも向き合うことを決める。
夕陽を背に少年は宣言する。
「僕はいつか貴方を笑わせます!」
「え?」
「ハル兄が僕に笑顔をくれたように、いつか僕もハル兄に笑顔をあげたいんです。いいですか?」
「………」
「ハル兄?」
『マスター、大丈夫か?』
ここまで黙りを決め込んでいたアーチャーだったが、お人好しな性格もあってか心配になり声をかけた。
「…ああ、すまん。大丈夫だよ。うん、そうだな」
そこで一区切りすると、アレンに問うた。
「一体なんでまたそんなこと言い始めたんだ?」
「特に理由はないです。誰かの為、それこそハル兄の為だなんて言うつもりもありません。ただ僕が見てみたいと、そう思ったんです」
最後にダメですか?と心配そうな顔で告げてきた。それを聴きハルは天を見上げた。
「…俺な、無意識だったんだよ。師匠のことを母さんと呼ばなくなったのも、笑わなくなったのも。そーか。笑えてなかったのか、俺は。そりゃ、リナリーたちが心配するわけだ」
途中から独り言のように話し始めた。アレンにはリナリーという人物が誰かは分からなかったが、教団の人だろう事は予想できた。
「アレン」
「はい」
ようやく目があった。その目は色んな感情を宿していた。でも1番は戸惑いの目だった。
「約束してくれるか?」
「何を…」
一瞬の葛藤を超え、告げる。
「必ず俺を笑わせてくれるって」
「⁉︎…はい!約束、します!」
「そうか。…なら、俺はお前の味方であり続けるよ」
「え?」
「お前はお前の信念を突き通せ。その先の道でもしお前を誰もが敵にしたとしても俺だけは味方であり続けるよ。それが俺がお前に唯一してやれることだ」
約束だ、そう言うと小指を差し出してきた。アレンは小指を差し出して2人でユビキリをした。
この日、この誓いがこの後の2人の運命を変えていく。
ちなみに帰りが遅くなった2人が、マザー宅に戻ったらこっぴどく怒られたのは割愛させていただく。
それから半年程経ち。
ハル、アレン、クロスはマザーたちの元から去っていった。
アレンが心配(クロスに預けるのが)なハルはしばらくの間、2人の旅に同行することにした。クロスは心底嫌そうな顔をしていたが。
アレンの修行はクロスがほぼ放置な修行しかしないため、基礎的な事は全てハルが叩き込んだ。
さて、読者の皆さん。ここでアレンの修行が優しくなったと思う人もいるだろう。しかし正直ジャッジメントの弾丸に追われたり、AKUMAの大群に放り込まれた方がマシだったかもしれない。なぜならハルは史上最凶の元帥の弟子だったからだ。彼にとっての普通はあのソカロ元帥すらも泣いて逃げ出すような普通だった。アレンは後にこう語る。
「ジャッジメントの弾丸?AKUMAの大群?借金取りとの攻防?それらが全部一気にやって来たとしても、あの修行に比べれば優しいもんですよ」
ちなみにそれを聞いてしまったブックマンJr.はアレンの目に虚無しかなくてめちゃくちゃ怖かったさ、とその日はアレンを避けるほどだったと言う。
そんな日々を繰り返したある日。3人はフランスのとある町に来ていた。