新・問題児と人の神が異世界から来るそうデスヨ   作:行くよ!!!!

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よろしくお願いします。


第一話「出会い別れて心の記憶」

 っ──────なんて素晴らしい景観なんだろう。

 暴風に襲われながら、絶賛!!地を目指して落下しながら少年はそう感嘆した。

 見渡して確認できる要素、世界の作りからして、此処は“異世界”だと理解したが、しかし、両親に別れも言わないでここに来てしまった。それに自分には夢がある。それを叶えるためには、あの世界で無くてはダメなのに。

 

『おーい、他に落下してる奴らがおるが、助けなくていいのか?』

 

 そんな声が脳内に響くと、彼はハッと目を見開き、下を見る。するとそこには、同じように無様にいや、綺麗に三人と三毛猫一匹が先に落下していた。

 

(あの人たちも俺と同じように瞬間移動した口か、それに三人の服装と主に二人の服装から────)

「.........なるほどな.........全員、違う時代から飛ばされてきたみたいだな」

『どういうことだ?』

 

 少年はその質問にさもめんどくさそうに眉を顰めながらも、そのまま独り言のように解説し始める。

 

「一人は昭和風の女性、もう一人の女の子はわからないが、金髪の男の子はヘッドフォン等の身なりからして平成辺りの学生さん、俺の時代に一番近い子だろうな」

 

 単純にそういう服装をしているだけかもしれないが...............どちらにしても決めつけはよくあるまい。

 

『で、助けてやらないのか?』

 

 その問いに彼は下を見つめ、計算する。三人と自分の距離は約二十メートルくらい、自分たちの落下速度は、180から200キロくらい。しかも、三人。

 それを計算して、少年は鼻で笑って両手をあげた。

 

「間に合わない無理だ一人いや二人は助かるがもう一 人は水中にドボンだまぁ死にはしないだろうから、俺以外は仲良く逝ってもらおうことにしようかね」

 

 早口になっているあたり怪しいが、彼の言っていることも一理あるのだろう。

 

『かわいそうにな』

 

 少年への当て付けのように、うちなる者は呟く。────まぁ、同情する。けど、俺は一人助かることにした。少し体に力を入れ、脳内で飛ぶ意識をする。

 すると、落下速度はみるみる遅くなり、斜めに落ちて、少年は芝生のある地にゆっくりと降り立つ。

 その前に三つのでかい水柱と小さな水柱が立っていたのは言うまでもないことだろう。 そんなことよりと、少年は落下中に見えていた大きな山と、縮尺を見間違うほどの巨大な天幕に覆われた未知の文化がありそうな都市が気になっていた。

 そう考えながらも、地面と水面の境界線に立ち、三人の様子もちゃんと伺う少年。濡れるのはいやだが、万が一溺れてる人がいても困る。すると、彼から少し離れた場所の陸地に二人が這い上がってきて、すぐに毒を吐きはじめた。

 

「し、信じられないわ!まさか問答無用で引き摺りこんだ挙句、空に放り出すなんて! 」

「右に同じだクソッタレ。場合によっちゃその場でゲームオーバーだ。石の中に呼び出された方がまだ親切だ」

 

 などという罵詈雑言を織り交ぜた会話をしながら服の端を絞っていく二人。そして、その後ろに続く形でもう一人も岸に上がる。同じように服を絞る隣で三毛猫が全身を震わせて水を弾く。

 最後にあがった 一人の少女が全員に問うように呟く。

「此処...............どこだろう 」

「さあな。まあ、世界の果てっぽいものが見えたし、どこぞの大亀の上じゃねぇか 」

 

三毛猫とその飼い主の少女の呟きに、ヘッドフォンをつけた金髪の不良少年が応える。

 それらの様子を見て、色々な感想が少年の中で生まれるが、何よりなんとも無くて良かったっと、小さく息を吐く。何かあった場合は、少年の力が因果論によって弱まっていたかもしれないからだ。まぁ、純粋に人が目の前で死ぬのは嫌だが。

 ────“もうあんな悲劇はごめんだ”。

 適当に服を絞り終えた金髪の不良少年は軽く曲がったくせっ毛を掻き上げ、

 

「一応確認するが、もしかしてお前達にも変な手紙が 」

「そうだけど、まずは〝オマエ〞って呼び方を訂正して。ーーーーー 私は久遠飛鳥よ。以後は気を付けて。それで、そこの猫を抱えている貴方と、(ピキ)なぜか一人だけ無事な貴方は?」

「..................春日部耀。以下同文」

 

 ────春日部さんのこの反応は、人に対してあまりいい印象を持ってない人の典型的な心の閉ざし方だ。動物を飼っているところからして、まだ希望は持っているんだろうから、これからだな。

 そんな独り言の分析に、内なる者の盛大なため息が響き渡る。────失礼を通り越して、これだからオマエは女の一人も。

 少年はその声を軽く無視しながら、口を開く。

 

「いやー助けようとは思ったんだけど、間に合わなかった。というより俺の飛行速度じゃあ、あの落下速度には追いつけなかったんだ。すみませんでした、久遠さん」

 

 手紙のことも聞こうと思ったが、そんな空気ではないので、やめておくことにし、先に謝罪を述べる。

 

「も、もういいわ、別に。結果的に無事だったから。それより、お名前は」

「俺は、榊原亜音っていいます。よろしくお願いします」

 

 少し固すぎた謝罪と挨拶をしてしまったせいか、久遠さんが戸惑ってしまった。引かれていないだろうかと、心配していると、またもや脳内に嘆息が響いた、────うっさいわ。

 

「...そ、そう.........よろしく春日部さん、亜音君。で最後に.........野蛮で凶暴そうなそこの貴方は 」

「高圧的な自己紹介をありがとうよ。見たまんま野蛮で凶暴な逆廻十六夜です粗野で凶悪で快楽主義と三拍子そろった駄目人間なので、用法と用量を守った上で適切な態度で接してくれよ お嬢様」

「そう。取扱説明書をくれたら考えてあげるわ、十六夜君」

「ハハ、マジかよ。今度作っとくから覚悟しとけ、お嬢様」

  何というか、うん、頼もしさ溢れる人達だ。それが少年が抱いた三人の印象だった。未熟な中に美があるとはまさにこのことだ。器の大きさは計り知れず、“伸び代”が見えない。大抵、異世界に召喚される人っていうのは人智を超えた存在、またはその見込みがある人と決まっているはずだ。

 

『こいつは個性的なのがいるな〜、特に金髪の小僧はワシの好みだぜ』

 

 怪物の図太い声でそう言うとなんか、おじさんの変態が言っているように思える。しかも、直接脳内に響くから耳元で囁かれるより気持ち悪い。ということで、少しの間、完全に無視することにした。勝手に喋らせておこう。

 

####

 心からケラケラ笑う逆廻十六夜。

 傲慢そうに顔を背ける久遠飛鳥。

 我関せず無関心を装う春日部耀。

 そして、そんな三人を見つめて和かな笑みを浮かべる榊原亜音。

 そんな彼らを物陰から見ていた一人のうさ耳少女は思う。

 

(うわぁ............なんか一人を除いて、他は問題児みたいですね ............って一人多くないですか )

 

 もう一度数えてみても、というか一目で四人である。だが、多い方が好都合。UFOキャッチャーで二つ取れたようなものと、うさ耳少女は小さく拳を作る。しかし、“召喚しておいて”アレだが...............一人はまぁアレとして、彼らが協力する姿は、天と地がひっくり返るほど驚天動地、客観的に想像できそうにない。少女は陰鬱そうに重くため息を吐くのだった。

 

####

 

 

 服も乾いてきた所で、十六夜は苛立ちげに吐き捨てる。

 

「で、おい、呼び出されたはいいが、なんで誰もいねえんだよ。この状況だと、招待状に書かれていた箱庭とかいうものの説明をする人間が現れるもんじゃねえのか 」

(.........あの手紙は“招待状”だったのか、箱庭という名前の異世界、箱庭の意味を訳すと模型の庭園だが、模型の世界、そんなわけないか)

「そうね。なんの説明もないままでは動きようがないもの」

「............。この状況に対して落ち着き過ぎているのもどうかと思うけど」

(全くです)

 

黒ウサギはこっそりツッコミを入れた。 てっきりホームシックになっている所からだと勝手に思っていた、────とその瞬間、うさ耳少女は心臓を掴まれたと思うくらいの衝撃を受ける。

 今、一瞬、目があったのだ。あの一番優しそうで穏やかそうな黒髪の青少年と。それと一瞬で錯覚だったかもしれないが、明らかに目の色が普通の色と模様ではなかった。見間違いでなければ、紫色で、黒い線の輪が等間隔に黒い中央の核を波紋のように囲んでいた。でも、すぐに少年は視線を三人に移したので、黒ウサギは再確認することはできなかった。

 

(あの目は一体..................?)

 

 まるで、何もかも見透かされてるような目だった。そして、怖かったと少女は少し震えるのだった。 だが、そのあと起きる出来事の方が黒ウサギにとって震え上がることであるのは本人は知る由もなかった。

 それにしても...............はぁ、もっとパニックになってくれると思っていた少女だったが、割と皆冷静なので、場が落ち着き過ぎて出るタイミングが計れない。このままだとかくれんぼで気づかれないまま忘れられて置いていかれるという最悪な事態になってしま う。

 

(まあ、悩んでいても仕方がないデス。これ以上不満が噴出する前に お腹を括りますか)

 

 先ほどの恐怖と他の三者三様の罵詈雑言を浴びせている様子を見ると怖気づきそうになるが、此処は我慢である。

 ふと一番の問題児不良少年の十六夜がため息交じりに呟く。

「────仕方がねえな。こうなったら、そこに隠れている奴にでも話を聞くか 」

 物陰に隠れていた少女は心臓を掴まれたようにうさ耳が飛び跳ねた。三人の視線がとある茂みに集中する。 亜音は視線を三人に向けたまま、十六夜の言葉に少し驚き、喜びを口角を上げて示す。

 

(わざと泳がせて誰が先に気付くか見ていたが────あの言い草からして、すでに少し前から気付いていたみたいだ.....................それに他の二人も.........もしかしたら俺より)

『それは身勝手な期待じゃないか亜音、あまり自己勝手な期待をし過ぎると』

『期待ではないよ、普通に今の三人に驚いただけだ』

 

 亜音はうちなる者を“一喝”し、意識を外に戻す。 余計なお世話である。

 その時飛鳥がちょうど、会話のキャッチボールを十六夜の顔面にぶつけていた。仲が良いのか、悪いのか、類友なのか、これじゃわからないな。

 

「なに、貴方も気付いていたの 」

「当然。“かくれんぼ”じゃ負けなしだぜ。そっちの猫だいてる奴も気付いていたんだろ 」

「風上に立たれたら嫌でもわかる」

 

十六夜は春日部の返しに、内容から何かを探り、関心する。

 

「............へぇ 面白いなお前」

 

 軽薄そうに笑う十六夜の目はしかし笑っていない。三人は理不尽な招集を受けた腹いせに殺気の籠もった冷ややかな視線を黒ウサギに向ける。うさ耳少女はやや怯んだ。

 

「い、いやですねー御三人様。そんな狼みたいに怖い顔で見られると黒ウサギは死んじゃいますよですから────」

「断る」

「却下」

「丁重にお断りします」「ニャー」

 

「きゃ☆取り付くシマも───って最後まで話を聞いてください!! 」

 

 涙目でうさ耳をきぃーと逆立てて黒ウサギは叫ぶ。

 しかしその目は冷静に、三人を値踏みする。もう一人も見ようとしたが、急に横から影が差す。

 横を見ると春日部耀が不思議そうに黒ウサギのうさ耳を根っこから鷲掴んだ。

「えい」 「フギャ 」

 

 春日部少女はとりあえず力いっぱい引っ張った。

 

「ちょ、ちょっとお待ちを触るまでなら黙って受け入れますが、ままま、まさか初対面で遠慮無用に黒ウサギの素敵耳を引き抜きに掛かるとは、どういう了見ですか!!」

 

  三人は、ここぞってとこで個性を発揮する。

 

「好奇心の為せる業」

「自由にも程があります 」

「へぇ このウサ耳って本物なのか 」

「ふーん............じゃあ私も」

「ちょ、ちょっとお待───」

 

 三人に左右から力一杯引っ張られた黒ウサギは、言葉にならない悲鳴を上げ、その絶叫は近隣に木霊した。

 そんな黒ウサギは、致し方なくもう一人の青少年に助けを乞おうと視線を動かす。

「え?」

「亜音君??」

 

 思わずと、問題児三人はウサ耳から力を抜き、いつの間にか、黒ウサギの目の前にまで移動していた青少年を見て、怪訝な表情をする。黒ウサギも突如、空気が変な感じになり、少しパニックっていた。

 亜音は黒に近い紺のコートの裾を靡かせ立っていた。

 そこで、黒ウサギは目を見開く。

 

「え、え?」

 

 黒ウサギの頬に手を伸ばそうとしていた。ゆっくり、と、ゆっくりと。

 だが、さらに黒ウサギや問題児達が驚いたのは──────亜音が一筋の雫を流していたことだった。

 

「な、泣いているのですか?」

『おい、しっかりしろ 亜音 』

「っ ............涙 、いつの間に」

 

  亜音は伸ばそうとしていた手を戻し、四人から少し距離を取る。そして、うちなる者と声を交わす。

『助かった、悪いな』

『いや、話には聞いてたが、ワシも亜音の立場ならそうせずにはいられんよ、あまり自分を責めるな』

『ああ..............................分かってる』

 

 亜音は空気が異様なことになっていることをどうするか迷っていた。

 問題児たちも流石に引いている様子で、黒ウサギは立ち上がり、心配そうに見つてきていた。と、そこで亜音は咄嗟に思いついた。

 

「ああ〜ごめん、ちょうと目にゴミが入ってさ、無理にでもウサ耳を触ろうとしたら変態行動になちゃった」

「そ、そうですか!ならよかったのですよ」

「は〜びっくりしたわ」

「.........だね」

「............」

 

「いやー本当、今日は運が悪い」

  亜音はそう言うが、実はその真逆だった。亜音にとって何も起こらなかったことはとても運が良かったことなのだ。

 いつか、それが皆に バレることは目に見えていた。 特に金髪少年の視線は誤魔化せるとは思えなかった。

 やれやれ厄介な粒が集ったものだな。と亜音は心の中で悪態をつき自分すらも誤魔化していくのだった。

 

 

 

 赤い髪が散らつく時、少年はいつだって暗闇に立っていた。

 暗くとも感じていた、確かな彼女の存在を。

 

 

 




誤字脱字あれば教えていただけると助かります。
アドバイス感想お待ちしております。
1日二話を目標に頑張ります。
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