新・問題児と人の神が異世界から来るそうデスヨ   作:行くよ!!!!

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オープニングテーマ《青い未来》参照先アニメ《ブルードラゴン》


エピローグ1「姫は友を待つ・修羅場?」

 

 

 

 〝アンダーウッド〞 主賓室・大樹の水門。

 

 あれから二日が経った。

 此処、日の光が微かに差し込む広々した寝室には二つのベッドが、並んでいた。

 入り口に近い方にはレティシアが寝息を立てており、窓際には患者服を着込み頬に絆創膏を貼った亜音が上半身だけ起こし、外の景色を見つめていた。

 窓の外は、先の事件の名残だろうか、小さな精霊が蛍のように舞い散り、復興に向けての活発な喧騒が鳴り響いていた。

 

「…………まいったな、ほんとに何もできないねぇ」

 

 復興に向けた喧騒、それに対して嘆息をこぼし、視線を落とす。

 その原因は、亜音の両腕にあった。

 正直、多分一番無茶したのは、榊原亜音である。何せ、山より大きく、空より存在感のあった巨大な龍を生身で殴ったのだ。一つ間違えば、その手はこの場に姿を見せることはなかっただろう。とはいえ、今もその両腕は手厚い治療を受けてパンパンに膨らんだ包帯が施され、原型がない状態だ。

 この地の医者いわく両腕の全治は本来、三年と即答されるほどに悪かったが、亜音の仙神としての治癒能力のおかげで一週間程度で済むことになった。これには亜音の治療に当たった医者もかたなしであった。

 亜音はしかし、純白の掛け布団に沈むパンパンの両腕を一瞥し、苦い顔になる。

 

「回復は速いが...............いてーほんとうにいたい、いたい、マジで」

 

 そう、早い代わりに骨を軋ませられてるかのように毎朝、毎晩、物凄く痛いのだ。

 しかし数年の怪我をこれほど短期間で回復できるのなら、我慢しなければならない。

 そんな時だった。ドア越しからでも分かるほどの会話が、

 

「アーシャ、今はダメだよ、二人ともまだ寝てるから..............ジャックも何か言ってよ」

「............私も真意を確かめたい」

「ちょ.........!」

「そうこなくっちゃな!.........それに北の本拠地に帰ってないならここに来てるかもしれないし!」

 

 ドカっ、とドアを開いて入って来たのは、ツインテールの小悪魔アーシャと幽鬼カボチャのジャック、そして困ったような顔をして二人を見つめる耀。

 亜音は軽く、静かにお願いします、と言おうとしたが、

 

「コラ .........アーシャ、ノックなしで入るのは失礼ですよ」

「アーシャのせいで〝ウィル・オ・ウィスプ〞の威厳が墜落」

「う.........ぅ、すまん」

 

 二人の真剣な声音にアーシャはドット落ち込むのだった。

 その様子に亜音は苦笑しながらもレティシアを少し見て安心すると、耀がゆっくりと二人を先行して歩いてきた。

 

「ごめんね、亜音。............アーシャのせいで起こしちゃって」

「ちょ、私のせい?!」

「ううん、違うから大丈夫だよ。でも、少しだけ静かにしてくれると助かるかな、レティシアがまだ眠り姫だから」

 

 亜音が微笑んでそう言うと少し落ち込む程度までアーシャは回復し、ジャックと耀はレティシアの寝顔を見て小さく笑う。

 そこで亜音は、二人の客人が自分に用事があることを察して隅にある椅子を用意しようとするが、

 

「私がやるから、亜音は寝てて」

「あ、ああ、ありがとう。でも両腕以外はそこまでの怪我じゃないから、」

「でも、両腕は吐き気がするほど痛いんでしょ?」

「うん分かったから、腕をつつこうとしないでくれ」

 

 亜音の素早い引き際に耀は笑みをこぼし、椅子を三人分、亜音のベッドにそうように並べ、それぞれが席についた。

 枕に近いほうから耀、アー シャ、ジャックと座っている。地味にジャックが大きくて圧巻であった。

 

「そういえばまだちゃんとした自己紹介をしてなかったですね、“春日部 耀”と同──────いえ、失礼しました。〝ノーネーム〞の榊原亜音です。耀と〝飛鳥〞がお世話になっています」

 

「え.........?」(今、飛鳥って...............?)

「こちらこそ自己紹介が遅れ、かつ礼節を欠いた訪れ方をしてしまい申し訳ございません。それにお世話になってるのはアーシャも、故に

〝お互い様〞ですので、お気になさらず」

 

「「ちょっと待てー!!」」

 

 耀とアーシャが同時に声をあげ、すかさずジャックがアーシャの頭を軽く叩き、亜音が耀の額にデコピンを叩き込む。

 二人はそれで気付いてレティシアの方を振り返り、起きた様子ではないことに安心したが、すぐに耀とアーシャが、それぞれの敵に訴える。

 

「亜音、私子供じゃないんだよ!」

「ジャックさん、あいつらはともかく私はそこまでガキじゃない」

 

 そんな二人にジャックと亜音はフッと笑って生暖かい視線を送り、 耀とアーシャは睨み合って頬を膨らませるのだった。

 

 

 

「アーシャ=イグニファトゥスでーイタッ!」

「アーシャ」

「わ、分かったからそんな睨まないでよ、ジャックさん。アーシャ=イグニファトゥスです。よろしくお願いします」

 

 ジャックに叩かれ睨まれたアーシャは礼儀正しく自己紹介をし、耀がいい気味とププと笑う。

 やれやれと亜音は苦笑し、小さくよろしくとアーシャに返し、ジャックに視線を移した。

 

「私は〝ウィラ=ザ=イグニファトゥス〞制作の名物幽鬼、〝ジャック・オー・ランタン〞。何卒、ジャックと呼んでやってください、YAHO」

 

 その瞬間、亜音は走馬灯を見た。

 北の祭典で、耀がジャックとアーシャの二人と戦った時に確か..................〝ウィラ=ザ=イグニファトゥス〞制作と、〝ウィラ〞?????!

 刹那にその名に戦慄する亜音は、確かめるようにジャックを見つめ、

 

「うぃ、ウィラ...って......も......もしかして、」

「YAHO............そういうことです」

 

 亜音は口元をひくつかせながらもジャックから差し出された一枚の小さなメモ用紙を受け取った。

 そこにははっきりと、〝亜音と結婚するためにデートしてくる、 ウィラ〞、と文字が可愛く踊っていた。

 バカな..................と亜音は何百回と文字を読み直す。だってめちゃくちゃ約束の趣旨が変わってしまっているのだから、この反応は当然だろう。正確には「ストーカー払いのための結婚をする前に悪いところがないかデートをする」から「亜音と結婚するためにデートで距離を縮める」になっている──────これには流石の亜音もバカな、と思わず呟いてしまうだろう。加えてまさか、お世話になっているコミュニティの〝リーダー〞だったとは、胃が痛い気持ちに違いない。外界で小悪魔社長に無理やり婚約させられるものと何ら変わらない。断り方も一歩間違えれば、最悪のケースに発展するだろう。

 茫然自失の亜音に耀が無邪気に首を傾げて、

 

「これ、どういうこと?亜音.........結婚?」

「............なにかの間違いだな」

「その顔で言っても説得力ないと思うぞ............」

 

 アーシャがやれやれと亜音の抵抗に頭を振る。まさか逆にアー シャに呆れられるとは亜音の人生数少ない汚点になること間違いなしだろう。

 しかし不思議なことに亜音に助け舟が、ジャックが穏やかな声音で口を開いた。

 

「ヤホホホ.........しかし......最初ここに来る時までは─────〝 亜音、血祭り〞─────でしたが、春日部嬢の言う通り礼節があり、正義感のある、素晴らしい人でした。加えてその反応、故にこれが意味するところは」

「まさか.........ウィラ姐が...........片思い!?」

 

 アーシャも亜音を責める気はもう無いようだ。

 ジャックは返してもらったメモ用紙を見つめ、顎に手を添えて、

 

「それもかなり一方的な感情でしょう。なんかデジャヴを感じますねー。あともう少しで思い出せ」

「それ以上考えない方がいいと思うよ、ジャックさん。」

 

  何かを悟ったような遠い目をしているアーシャがそう言い、ジャックは気にせず首を傾げて思考を切り替えていく。

 

「そうですか、.........まぁそんなことよりも当人を探さないとですし、誤解も解けましたからそろそろお暇しましょうか」

 

 話はそこで終わったように空気が軽くなり、耀は我に返って二人に寂しそうな表情を見せる。

 

「あれ、もう行っちゃうの............?」

「うん、ウィラ姐を探さないとだしな」

「また会えますよ、春日部嬢。それと─────亜音さん、いえ」

 

 ジャックは亜音の対面に浮遊し、小さく頭を垂らす。それに続くようにアーシャも頭を下げ、

 

「今回の、北と東の下層での武勲、加えてあの娘を助けてくれたこと。心から感謝致します。本当にありがとう」

「ありがとうございます─────」

 

「「箱庭の守護者、“仙神様”」」

 

「「箱庭の守護者??」」

 

 耀と亜音は二人して声を上げ、耀の戸惑いようはさらに悪化していた。話が全然見えないから、耀が戸惑うのも致し方ないだろう。北と東の武勲?ウィラを助けた?と首を傾げている。

 当の亜音は、突然の二人の態度に戸惑いながらも感謝の意を受け止めたが、〝箱庭の守護者〞という言語が意味不明だったようで、目をパチクリさせていた。

 

「やはり知らなかったですか.........。〝箱庭の守護者〞、亜音さんは北でそう呼ばれています。おそらく東でもそうでしょう」

「誰から始まった二つ名かは分からないけど、事実その通りの功績を残したから当然のことだと思うぞ」

 

 それじゃあ、と言って去る二人を呆然と見送った亜音と耀。

 微妙な静けさが漂う中、耀はグルンと亜音に視線を移し、

 

「どういうこと?」

「うーんまぁ.........北と東に現れた魔王達を女性店員さんと十六夜が隷属させた水神様、その二人ともう一人、仲間がいたんだけど、その四人と他のコミュニティと協力して撃退した。だから、遅くなったんだ、ごめんね」

「ふーん...............で、結婚は?」

「黙秘権」

 

 ピキッと耀の額に青筋が立ち、邪悪な笑みが浮かぶ。

 亜音は困った、と頭を掻きながら苦笑し、その時。

 

「その話、私も参加していいかな?」

「あ、レティシア、おはよう」

「おはよう、マイマスター。おはよう、亜音?」

「その満遍な笑みは何かな、レティシア?」

 

 亜音は口元をひくつかせて隣で上半身を起こしたレティシアに問 いかける。 しかし問いに答える気は無いようで、レティシアと耀は示し合わせ たような笑みを浮かべたまま、亜音に問い詰めようとした─────が、

 直後、ガシャン!と騒がしい音を立てて黒ウサギが部屋に飛び込んできた。

 

「亜音さん 今こっちに不審者が............って耀さん、レティシア様?!お目覚めになったのですか?」

「ああ、つい先ほどな」

「そ、そうでしたか............!」

 

 と、黒ウサギの後ろから飛鳥が出て来て、

 

「少し落ち着きなさい、黒ウサギ。病人前よ」

「す、すみません.........ですが、さっき不審者が」

「不審者 ...............来てないよ?ジャックとアーシャの二人と見間違えただけじゃない?」

 

 耀が首を傾げてそう言い、飛鳥が、やっぱり見間違いじゃなーい、と嘆息をこぼし、黒ウサギはおかしいですねぇ、と周囲を観察し、ウサ耳を揺らす。

 そして飛鳥は耀に歩み寄って、手を握ると、

 

「早くしないと黒ウサギのせいで受け付けが終わっちゃうから、急ぐわ」

「え?.........くっう、亜音.........後で詳しく聞くからね!」

 

 いそいそと飛鳥に連れられて耀は亜音達の前から姿を消し、黒ウサギもみんなを呼びに部屋を出て行く。

 いつも通り、彼女達は騒がしいな、とレティシアと亜音は微笑み合うのだった。

 

 

 

 そこからしばしの静かな空間。

 亜音は窓の外を見つめ、そんな亜音をレティシアが見つめる。

 故に亜音は心の中が落ち着かなかった。仕方なく話を─────と、そこであることを思い出し、

 

「レティシア...............ヴォルフ=レイヤっていう人知ってる?」

「っ、え............なぜ、亜音がその名前を.........!」

 

 突然の問いにレティシアはつい問い返してしまい、戸惑う。

 そんなレティシアを優しく笑って見守りながら亜音は、やはりただの知り合いではないか、と納得して言伝を伝える。

 

「たまたま会ったんだよ............それで、......〝また来るから〞、だってさ」

「そうか........................ふ」(約束を守りに来てくれたのだな ............ヴォルフ)

「もしかして、レティシアの想い人?」

「そんなわけはな.........ふむ。.........少しはあったかも、な.........というよりは夢を共有しあった同志。.........だから私と彼の間に恋愛感情が入る隙間など............ありはしなかったさ」

 

 レティシアは遠い目をして刹那げな笑みを浮かべる。

  亜音はその様子だけで悟った。レティシアが少なからず彼のことを思っていたことも、彼もレティシアのことを思っていたことも、だが今と昔では二人とも状況と心境が違うのだろう、と。

 故に亜音はできるだけ素っ気なく、そっか、とだけ相槌をうった。

 しかしレティシアは一変して不敵な笑みを浮かべ、

 

「それに今は─────亜音」

「ん?...............レティシア、起きて大丈夫なのか?」

 

 パジャマのような患者服、白の生地に水玉が薄く模様付けされた着衣と無邪気な姿を見せるようにレティシアはなぜかべットから出てきて、亜音を見上げるように歩み寄ってきた。

 

「ああ、特に怪我はないしな............それより失礼するぞ」

「!...............レティシア?」

 

 レティシアは静かに亜音の掛け布団の中にいそいそと入り込むと、亜音の胸下辺りによいしょっと顔を出して、頭をそこへ置いた。

 

「ふむ............」

「ふむ............ってレティシアどう.........、」

「中々の気持ちよさだぞ、亜音」

「感想を聞いたわけじゃないよ.........、」

 

 亜音の言葉に小さく鼻で笑うレティシア。

 んしょっ、んーんぅん、と言ってレティシアはもぞもぞと亜音に抱き寄り寝る態勢を整えると、

 

「とりあえず私はもう少し睡眠を取りたい、ダメか.........?」

 

 レティシアは少し寂しげな紅い双眸を揺らして亜音を見上げ、亜音は我儘な娘を見てる気分を味わいながら、小さく息を吐いて微笑んだ。

 

「いいよ別に............おやすみ、レティシア」

「おやすみだ、亜音」

 

 そう言ってレティシアは直後に寝てしまった。今の今まで寝言と受け答えしてたんじゃないか、と疑ってしまうほどに速い。レティシアの無邪気な寝顔もそれに拍車をかけて、亜音は可笑しくて小さな笑いを零すのだった。

 

 

 

#######

 

 

 亜音はそんなレティシアを見て、暇つぶしにと、今回あまり謎解きに参加できなかった吸血鬼のゲームを振り返ることにした。

 

 

『ギフトゲーム名〝SUN SYNCHRONOUS ORBIT in VAMPIRE KING〞

 

・プレイヤー一覧

 ・獣の帯に巻かれた全ての生命体。

 ※但し獣の帯が消失した場合、無期限でゲームを中断とする。

・プレイヤー側敗北条件

 ・なし(死亡も敗北と認めず)

・プレイヤー側禁止事項

 ・なし

・プレイヤー側ペナルティ条項

 ・ゲームマスターと交戦した全てのプレイヤーは時間制限を設ける。

 ・時間制限は十日毎にリセットされ繰り返される。

 ・ペナルティは〝串刺し刑〞 〝磔刑〞 〝焚刑〞からランダム に選出。

 ・解除方法はゲームクリア及び中断された際にのみ適用。

 ※プレイヤーの死亡は解除条件に含まず、永続的にペナルティが課せられる。

・ホストマスター側 勝利条件

 ・なし

・プレイヤー側 勝利条件

 一、ゲームマスター・〝魔王ドラキュラ〞の殺害。

 二、ゲームマスター・〝レティシア=ドラクレア〞の殺害。

 三、砕かれた星空を集め、獣の帯を玉座に捧げよ。

 四、玉座に正された獣の帯を導に、鎖に繋がれた革命主導者の心臓を撃て。

 

 宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します。 〝      〞印』

 

 結論というより、核心的なところから言わせてもらう。

 これは元々の主催者権限に、太陽の主権と魔王性が組み合わせて作られたもの。故に勝利条件が整合されず、一と二がまるっきり被ってしまったの だ。おそらく後付けのように足されたもう一人のマスター、主に巨龍のせいである。

 分けるのなら、一と四が後で足された物で、二と三が元々の主催者 の試練だろう。しかし、レティシアが知り得ないルールなら、おそらく余程かけ離れた文章、趣旨になってしまったに違いない。

 そして元のゲームのタイトルは『系統樹の騎士』とかなんとか、だったかもしれない。

 大抵の霊格を象徴したような、〝魔王の〞とも言えるか、それらのギフトゲームは勝利条件が基本二つ用意されている。

 神霊の倒し方と類似しているのもこの世界ならではなのだろう。神霊を倒すには一撃必殺か、あるいは年代記に沿った無力化。霊格を暴くか、霊格を吹き飛ばすか、ということである。

 正された────誤りがあったということは、第三だけでなく第四にもかかり誤りが他にもあるということを示唆しており、〝鎖に繋がれた〞がヒントになっている。〝砕かれた〞、既に砕かれている物という解釈と同様に、既にもう〝鎖に繋がれている〞ということ。そしてその存在がレティシア、そして革命主導者に誤りがあるということが分かる。第三が解ければ玉座に来ることは必須、少なくとも自分達のリーダーをにべもなく差し出した哀れな吸血鬼達は、絶対に一度は玉座に繋がれたレティシアを見るだろう。

 そこからタイトルが英語化してることから、全てを〝英文〞にし、 英単語の解釈と〝翻訳〞の〝誤認〞を探し、革命から公転にして全てがつながるのだ。

 つまりこのゲームを整合させると────。

 

 一、ゲームマスター《レティシアor巨龍》の殺害

 二、太陽の系統樹であるゾディアックの導を捧げ

 三、ゾディアックの正答より導き出された、十三番目を示す公転の主導者を撃て。

 

 吸血鬼たちの文明、十二分割された都市をもミスリードとして利用した。いわゆる吸血鬼の系統樹を利用した十三番目の黄道宮のゲー ムのなのだ。吸血鬼の文明、歴史を解き、その誤りを正す。故にこのゲームを解く最終的に必須条件なのは、吸血鬼の歴史と功績である、十三番目の主権を設けられたこと、あるいはレティシアの託されし言葉。欲を言えば〝吸血鬼の宇宙観〞、『吸血鬼の世界を背負う龍』も知っていたらよりスッキリして解答にたどり着ける。背負う巨龍、これはつまりレティシアではなく、巨龍こそが穿たねばならない〝公転の主導者〞であることを示唆しているのだ。

 そして十六夜がなぜ、第一と第二の勝利条件からレティシアが巨龍そのものだと推察したのかだが────ペナルティ条件からもそうだが、二つの勝利条件そのどちらもレティシアを示す名で、“巨龍”のただの死だけの勝利条件がない。加えて巨龍の名が何かと考えた時、 代わりにレティシアの名とドラキュラが使われていた────故に“元々”はどちらかが巨龍を指していたのだろう。加えて星の主権には“器”が必要なことが分かっていれば、必然と同一だということがわかるはずだ。

 

 そして勝利条件を《同じであるのにあえて》増やして多く、どれも主催者が確実に死ぬリスクがあるのは、凶悪なペナルティを設けるため。さらにその勝利条件もミスリード、巨龍を倒せないので、レティシ アを倒そうとすれば影に襲われ、影を倒したしてもレティシアは器を巨龍に与えているので心臓は同じ場所にあり、古城にいるのは疑似餌、幻想なのだ。上手く行けばレティシアの本体が何処かに隠れていると誤解して探し続け、時間を稼げるかもしれない。なぜなら勝利条件に〝二つ〞あるのだから何処かに本体が、弱点があるはずだから、と。まさか巨龍の心臓と同じ位置にあるとは〝そいつら〞は思わないだろう。そんなミスリードに引っかかるのは衛星を知らない、謎が解けない者で、第一と第二の勝利条件、それぞれをレティシアと巨龍と別々に分けた中途半端な奴らだけで間違いない。

 

 ふむ、とここで亜音は小さく声を漏らし、ふと思う。

 これを考えた者は────レティシアを簡単に隷属させることを良しとさせたくなかったのだろうか、レティシアに恥を晒せないための勝利条件としか思えなかった。何より、これは確実に復讐を遂げさせるための装置まであった。第四のミスリードのことだ────目の前で殺させた後、死体をなぶり尽くし、絶望の中で皆殺しにしたのだろう。ミスリードの存在はまるで、絶対に逃がさんという意思表示が感じられた。加えて上層の者でもそう簡単には解けない謎。神は外宇宙の近未来には基本的には疎いのだから。知ってはいても難しい。何より整合性がない、ミスリードだらけの勝利条件。有力な神霊達なら討伐目的を果たすだけでいいのなら、めんどくさくて巨龍を殺害して終わりにするだろう。故にこれを完全にクリアできるのは────最後までクリアし囚われの姫を助けるという仲間意識を持ち、なおかつ最強の一撃を持つ者だけ。厳しいが、とことん救われるか、とことん死ぬか、とこ とん蹂躙し続けるか、とてもはっきりとしている。なにより決定的なのが、〝十三番目の太陽を撃て〞。勝利条件に対する最大のヒント、そして最後の勝利条件に不快を覚えさせ、正された獣の帯によって導が記されて導かれ、最後の勝利条件が完成する。

 ────中途半端な救いは要らない、救うなら〝救え〞。

 復讐の果てに待つのは────地獄か救いか、これはそういうゲームなのだ。

 だが当時にそんな都合のいい救いをくれる奴はいたのか────〝いたんだ〞。 十六夜は気付いてなかったみたいだが、レティシアはおそらくクロ アとカナリア 、その二人と知り合いなのだろう。加えて〝カナリア〞の名は、箱庭の外にも知れ渡っているらしい。そう、初代仙神が言っていた。

 そして二百歳近い黒ウサギがレティシアを先輩と呼んでいたことから、〝ノーネーム〞は相当の長寿、もしかしたら何千年前からあったのかもしれない。

 なにより三年前まであったカナリアが率いる大連盟の突如、消滅。初代仙神もこれには蒼白したと言っていた。さらに〝ノーネーム〞 のコミュニティの消滅がそのちょうど同じ時期、加えてレティシアがカナリアと知り合い。────ここから予測することは、そう難しくないだろう。

 そしてこれを作った何某は、クリアさせる相手を狙ったとしか思えない。

 率直に亜音はその人物と話してみたいと思っていた。その人物はおそらく、ペストのゲームを作った者と同一人物だと思われる、それも理由の一つであった。文体から出た予測に、レティシアの主催者権限が今の今まで封印されていたのならいじることは出来ないだろう。切り離されてもいるので、レティシア自身もいじることは出来ない。故に当時以降から変更はされていないし、レティシアが正解を知らないのなら別の誰かが作ったということである。

 レティシアのゲームを構成した誰か=ペストのゲームを作った何某。

 その候補────グリムグリモワールの魔王が一番有力だろう。

 黒ウサギが前に言っていた──── │召喚師の扱う魔道書、その全てがゲーム盤として確立されたルールと強制力を持っていた。太陽を封印するほどの強制力でさえ、体現した。そんな強力な魔王はこの召喚師の他にはいないだろう。仮にいないなら、共通の文体から同一人物であり、ペストの魔書の、付け加えることはできても下手にいじれない上にいじれば霊格の強制力を失うほどの、繊細かつ強力なルールから────他の誰もがペストのゲームをいじることをせず、故に二つのゲームは両方とも既存のルールは干渉されていない、既存の、当時の作られた時の文体のままということだ。

 故に両者は確実に同一人物で、グリムグリモワールの魔王がまだ生きている可能性が高い。だが、その人物は敵なのだろうか、しかしペストの希少なルールから省みると、凶悪性が倍増する。だがレティシアのゲーム、死か勇者の救済、その二つの選択肢の敗北ゲームから見ると男の善意さえも感じる。

 

「召喚師、グリモワールの魔王か...............今度、ペストに聞いてみるのもありか............ラッテンやヴェザーから何か聞いているかもしれないし、」

 

 しかし亜音は苦い顔になる。

 魔王との戦いが終わった後、ペストと再会し、なんか収穫祭で回る約束をさせられたが、別に嫌でもなく、その時の不器用な笑顔を思い出すと、

 

「聞けるわけない...............なぁ」

 

 聞くのが怖い、今彼女は嫌々しながらも飛鳥との仲をきっかけにコミュニティに馴染んできている。その上から昔の話を聞いたら、彼女の魔性を呼び起こしてしまうかもしれない。故にこれは傷に塩を塗るようなもの。しかしこう言ってはなんだが、かの召喚師の魔王は自分の夢に近づけるヒントがあるような気がする────故にできれば生きているのなら味方に引き込みたい。

 そこで亜音は思考しながらも、ふとある言語から別の事柄を思い出す。

 

「蛇遣い座といえば............確かアスクレーピオス…………あ、ケーリュケイオンも近いか」

 

 アスクレーピオス。優れた医術の技で死者すら蘇らせ、後に神の座についたとされることから、医神として現在も医学の象徴的存在となっている後天性の神霊。ケイローンのもとで育ったアスクレーピオスは、とくに医学に才能を示し、師のケイローンさえ凌ぐほどであったとされている。死後、天に上げられて〝へびつかい座〞となり、神の一員に加わったとも言い伝えられている。

 ケーリュケイオンの杖とアスクレーピオスの杖は形が似ていることから混同されやすいが、 簡単に分けるなら〝商業と交通の神威(ケーリュケイオン)〞、〝医療・医術の神威(アスクレーピオスの杖)〞だろう。

 

 そしてそこから亜音が連想した人物が、榊原 明人。

 亜音の父親であり────今思えば謎多き人物“だった”。

 

 外見は亜音をさらにクールにした感じであり、亜音より髪が少し長めで茶髪の地毛、鋭利な瞳とハーフの名残のような少し青い瞳。

 父は出かけるための私服はあまり着ない、というより亜音は見たことがない。というより父と家で過ごし亜音が覚えている日数は、母でさえギリ三桁行ってるか行ってないかで、確実に言えることは父とは五十日以下。十七、八年の年月でそれは驚異的な数字かもしれない。だが、別に亜音は子供の頃、不満を覚えたことはない。────世界にはゼロという人もいるのだから、マシな方だろう。それに両親は分かりやすいほど、自分を大事にしていてくれた。母は少し行き過ぎではあるが。

 それで父、明人はスーツや白衣を着こなす変わった人だ。

 そして亜音に理性を植え付けた最初の人である。その方法は────ら○ぺ作品のアニメや昼ドラ、時には裸体の女性が────何故か父が母に連れられて、その後すぐに敷地内の一部が吹き飛んでいた。少し経つと帰ってきた真顔な父は、クールに亜音の頭を優しく撫でると、静かに告げた。

 

「あれは〝マネキン〞、ロボットだ。決して人間じゃない。ふむ、そうだな.........脱げば女性はもっと」

「あ・な・た............ちょっと来い」

「亜音、これだけは覚えておけ。............裕子を怒らせてはならない」

 

 亜音は、明人の後ろで笑う裕子を無表情で一瞥したあと、静かに頷いた。

 こうして亜音は、理性を悟り、力を無闇に使うことはなくなったのである、冗談抜きで、亜音の理性の根源は、ドロドロフィクションだった。

 そんな変わった教育方針を行った父は母と同様、人生の大半を医者として海外に出ており、〝ケーリュケイオン〞と〝アスクレーピオス 〞の印を胸につけたスーツと白衣をいつも着ている。母もスーツの胸には〝ケーリュケイオン〞と〝アスクレーピオスの杖〞を刺繍している。

 そして裕子とまだ幼かった亜音を置いて彼が何回目か不明な出発をする時、亜音は物心ついて初めて見送りに立ち会い、家の前に黒塗りの車がやってきたことはとても印象的だった。

 さらにここだけの話、〝蚩尤〞のことを亜音が知れたのは父のおかげであり、父からの依頼である。

 

 

 

 ある日のこと、家の固定電話で高校生の亜音は父と話していた。

 

『研究所を秘密裏に破壊し、蚩尤を討伐しろ、と言われたが、亜音。お前の好きにしろ』

「────じゃあ、戦神を友達にしてもいいかな?」

「友達か.........悪くないな『ちょ、明人様?!何を言ってるんですかッ!〝他の方々〞からの命令を無視』ああ、分かった分かった、お前うるさいから少し黙ってくれ『いーや黙りません!分かってないでしょ!ただでさえ彼らの功績と神威を奪って仲が』『いいじゃねーか、少し残念なことではあるが、亜音はもう子供じゃねえから強えぜ 。それに最悪この機会に俺があいつらの、ながーく長く伸び切った大樹の鼻をバッサリとーーーハッいいねえ早く国同士の問題にならねーかな、ぐひ』『黙れ腐れ死ね、糞まみれのドブ戦闘教ッ!貴様みたいな変態がいるから私達が変な侮辱を受けているんだぞッ!』お前ら二人うるさい。.........まぁとにかく亜音、日本の知り合いには話はもう通してあるから、まぁできるだけ今回は街を破壊せずにな、それじゃ『あッ!ダメでーーーー』』

 

 亜音は聞き覚えのない、下品なのか気品があるのか分からない女性の声に首を傾げ、聞き覚えのある男性の声にはふと笑みを零し、父との久しぶりの会話には少し緊張していた。しかし、父に〝蚩尤討伐〞を命令したのはいったい誰なのだろうか、だって彼は本来ならただの医者であるはずなのに。いや、単に海外で医療関係者として働いているとしか聞いてない。医者としての権威が高いのだろうか。

 まぁ確かに彼は史上最年少〝十五〞歳でノーベ○ル賞を受賞し、現在まで合わせて六個ものノーベ@ル賞を受賞している。

 故に断言できる、彼が医療の最先端だと。とはいえ、亜音も中学の時の初手術の功績で、ノーベ☆ル平@和達成功績賞とギ・ネ・スを記録した。

 ただし〝あのん〞という名前だけしか詳細には乗ってはいないが。

 そしてもちろん、日本や法律がしっかりと整備された国では犯罪行為ではあるが、彼が助けた少年は今や、内乱を起こし収まった平和な国のトップであり、世界にその感謝の旨を述べていた。

 

『名前しか分かりませんが、いやだからこそこの場を借りたいと思います。私の声を聞いてますか?日本の少年、アノンさん。この場を借りて君に感謝の意を述べたい、伝えたい。そしてこれをきっかけに世界が彼を裁くというのならば、私は世界と戦うことを考慮しなければならないだろう』

 

『私は彼の勇気によって、ここで元気に立っていられるのですから』

 

 字幕に表示された文章に目が点だった。

 母と一緒に盛大に味噌汁をぶっかけあったのを覚えている。

 しかしそう安堵もしては居られず、すぐに母親は国の知り合いに連絡して、嘘情報、〝亜音という〝男性〞は何処か外国で暮らしている 〞という情報をばら撒いた。とはいえ、欺けるのは世間体ぐらいなもので、政府からは少し怒られている。

 あと気になっていたことは〝蚩尤〞の依頼を言伝されただけのはずの父で、依頼の主の旨を変えてもいいのだろうか、それとも父には世界に通ずる程の味方がいるのだろうか、日本には知り合いも多いらしい。だが父は婿入りだから、これ以上は分からない。それに彼は半分、日本人ではあるが、欧米出身である。家柄は調べようもない。だが、彼に力はあるのは確かであり、彼の側には〝最強の堕天使〞 がいる。

 

 そして〝蚩尤〞の一件が起こる数ヶ月前。

 高校二年の夏休み前から世界を回る準備をしていた亜音の元へ父からのコール。

 その時は夕方、下校最中で、家の近くの街中で携帯が鳴った。

 

「国際電話.........じゃない?」

『最初の言葉がそれか......まぁ仕方ないか。であまり時間がないから本題に入るが、この前紹介した小国、そこに国際手配の犯罪者が出入りしている、可能性がある』

「国際犯罪者?父さんがなぜ.........?」

『日本のお偉いさんからの情報だ。そして欧州から内乱中の国々と日本を経由してそちらへ行った可能性が高い』

「日本のお偉いさん、表向き............じゃないということは、軍や警察では手に余る犯罪者?」

『ああ、さらに世間に露出した場合.........考えたくもないな。だが、敵もそれだけは避けるだろう』

「え、それが目的じゃ............?」

 

 大ぴらにする事自体が目的ではないだろうが、結果的にその犯罪者を放置したままにしたら世界から表裏が無くなってしまうだろう。

 それは世界の終末すら招きかねない。

 しかしそれについては安堵の声を見せる父、明人。

 

『そんなことになれば、自分の居場所は世界から消える。それこそ、宇宙に逃げるしか生きることはできない。』

「............その人は何をしたの 」

『...............悪い、それは俺も聞かされていない。だが、そいつは子供を二人連れているはずだ』

「............他にはない?」

『右腕に刀傷を持つ女.........亜音、戦う必要はないし探す必要もない、が、警戒と意識だけはしといてくれ。見つけても手を出す必要はないし追跡する必要もない』

「............携帯は使えないから、見つけても見逃せ、そういうこと?」

『亜音、お前は強い。だが、今回は表の理とはまた違った戦いになる。既に内乱の国々では行方不明者が二百人を超えている────その重さがわからない亜音ではないだろう?』

『お前にまだ人殺しはさせたくない』

 

 今思えばこの時、それぐらいの覚悟はある、と自分が言えていたのなら彼女達は死ぬ必要はなかったのかもしない。かもしれない、じゃないか、と亜音はレティシアの寝顔を小さな笑みを浮かべて一瞥し、窓の外を見上げる。

 

(今は断言できる............完璧な価値観と理屈、手に入れた力を持って────)

「世界を正す...............誰にも邪魔はさせない」

 

 それがたとえこの胸に到来し蘇る、遥か残滓の想いであったとしても────

 だがそんな決意を抱こうとした時、不意にウサ耳が、彼女の笑顔が、 元気な声が、自分が出て行くことに寂しそうな顔をする彼女が、遠くの場所よりその様子、十六夜の隣で夜空を見上げて浮かぶ彼女の幸せが亜音の脳裏を駆け巡り、〝紅と黒〞が重なる。

 直後、掛け布団からクシャっという乾いた音だけが部屋に響いたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ガタンッ!と窓際からそんな音が響き、一つの人影が亜音のベットに差した。

 しばしの沈黙から瞠目していた亜音が額を押さえて口を開く。

 

「えーと........................君がなんでここにいるのかな?」

「彼氏のお見舞い.........?」

「聞いてるのはこっちだし.........それ問いかけることじゃないよ.........ウィラ」

 

 ウィラと呼ばれた少女は窓の縁に腰掛け、亜音の真横で足をパタパタさせながら、いちいちクリクリした仕草をとっている。

 悪魔的なほどに甘い蜜を匂わす可愛い外見と大人顔負けの魅力的なボディ、ふるふわなツ薄い青のインテールと悪魔のような不気味さを放つ手製の杖、大胆なゴスロリな服装、その全てが特徴的な彼女。

 亜音が訝しげにウィラを見つめていると、悪魔のような囁きが、

 

「そこの吸血鬼は.........浮気相手?愛人?」

 

 不意に頬を撫でる蒼き熱波。

 チリチリとした痛みが走るが、こんな状態でも、いやこんな状態だからこそ〝永続的〞に肉体活性をしているので、傷にさえなることはない、ない、ない、ないが────それで収まる彼女ではなかった。

 

「その手に召喚した火炎............どうする気かな?」

「大丈夫。────私、上手くやるから」

 

 真顔でそんなこと言う少女、恐怖の権化でしかないだろう。それに彼女は強い、今の亜音の状態では力で抑え込むことさえも出来ないほどに。

 しかし、いやだからこそ亜音は冷静に、真剣な声音で口を開く。

 

「彼女は十六夜達の大切な仲間だ。たとえ君であっても────」

 

 亜音の瞳が輪廻を描き、紫色に侵食され、鋭利に細められた。

 半分冗談であったウィラはその視線にビクッと肩を揺らして思わず、手の炎を霧散させてしまい、

 

「ぐすっ......ぅ......ご、ごめんなさい」

 

 涙目で謝る一人のか弱い少女。

 やり過ぎてしまったようである。

 でも、亜音は言うはずだった言葉を続けた。

 

「だから君も助けた。ウィラだってジャック達の大切な仲間だし、い つかは飛鳥や耀、十六夜達とも友達になって............だから......俺は見たくないな、君達が傷つけ合う所は............」

「あ、亜音......っ.........ご、ごめんなさぁい.........ぅ」

 

 そう言って静かに踵を返して立ち去ろうとするウィラだったが、

 

「ウィラ────収穫祭、一緒に回らないか?」

「え .........で、でも.........私のこと怒って............嫌いに......」

 

 不意にかけられた言葉にウィラは鼻をすすりながら、戸惑い、視線を泳がせていた。

 それに対していつ間のにか亜音は瞳を戻し、微笑んだまま頭を振り、

 

「嫌いになる理由なんか一つもないよ、ウィラ。だから、一緒に行かない?」

「ぁ......ぅくっ............うん行くっ!.........ありがと、亜音」

「そうと決まったらジャックとアーシャの所に行ってきな、心配してると思うからさ」

 

 うん、行ってくる、ともう一回、元気良く返事をしたウィラは音もなく姿を消した。

 嵐のような彼女が去った窓際はもう、静かな風しか吹き付けていない。

 亜音はそんな風に身を任せながら、フゥーと嘆息をこぼす。────これで亜音は、ウィラとペストの二人と、その前に巨龍を倒してすぐの翌日に見舞いに来てくれた、舞夏と女性店員の二人とも約束をしてしまった。その際、白雪姫も居たが、『責任とはかくあるべし、だよな、亜音?』と言い残していった。

 その時の亜音の目はそして今も、生気が感じられなかったのはここだけの話である。

 

「責任なんか…………俺には取れないのに、」

 

 

#####

 

 

 

 アンダーウッドの地下都市、売店市場。

 

 翌日の夜。ゲーム終幕より四日目。

 金髪を爽快に癖っ毛の如く揺らし、学ランがボロボロになってしまって新たな服装を着こなす十六夜、患者服に茶色いマントを纏う亜音の二人が、夜が老け込み少し人通りがなくなって穏やかな賑わいの市場通りを歩いていた。

 

「服買うのに俺が付き合う必要があるのか?」

「うーん、............そうだな、俺の方には無かったかもだが............実は十六夜の方にあったりして?」

「...............そういうことかよ............ったく」

「やっぱり耀のソワソワした態度が気になる?」

「言わせるように誘導しておいて、お前から本題に入んのかよ............まぁいいけどな」

 

 夜の道を歩きながら、十六夜は頭を掻いて嘆息をこぼし、亜音は相変わらずニコニコ笑っていた。最近なんかその笑みが胡散臭くなっ てきたように見えなくもないが、それに突っ込めばめんどくさくなるのは目に見えていたので、十六夜はそれに対しては沈黙を選んだ。

 なにより、それよりも重要な事柄、グリーの怪我や魔王連盟もそうだが、とても身近な人物が挙動不審というのがいっときの平和を感受する十六夜の最大な悩みとなっていて、実にめんどくさい日々が続いている。

 視線が合うたびに気まずい空気だけを残してさっさと走り去る春日部 耀、あのヘッドホンは別に毛を抑えるための物だけであり、本来の役目である機能は水没して死んでいる、それらの事柄が合わさって十六夜の自由奔放な心を縛り付けていた。

 そんな十六夜に、亜音はただ一言告げる。それもかなり鋭い一言を、

 

「同士を信じて待ってやれ。.........男だろう、十六夜は?」

「ちっ......しゃらくさい.........が、まぁ俺までビクビクしてたら気持ち悪いわな」

「それはそれで可愛いかもな............十六夜ちゃん?」

 

 ヒュンッ!と亜音の頬を拳圧がかすり、十六夜の邪悪な笑みと鋭い眼光が亜音の瞳を貫く。

 しかし亜音は両腕を使えない状態でありながら、余裕の表情で微笑みを讃えていた。────なるほど俺の勘は鈍ってなかったな、やっぱり胡散臭せぇ、と十六夜は心の中で笑みを零して、勝手に歩き出す。

 

「早くしろ.........俺はやることが多いんだからな」(戦いで直接返すのもいいが、借りは借りで返すのも一興だろうな)

 

 亜音はそんな十六夜の背中を見て微笑み、先で待つ十六夜の隣まで歩む。

 

 

((だが、こんな一夜も悪くない、か))

 

 

 そう心の中で二人は同時に呟き、同じ夜空と月を見上げて、同時に歩み出していった。

 

 

 

#######

 

 

 〝アンダーウッド〞主賓室、飛鳥の自室。

 

 その翌日の昼前。

 

「そうか............それは、同情の余地があり過ぎる話だな」

「私もそう思うけれど、話は言うよりも厄介.........なのよ」

 

 亜音は新たな服装。緑色の薄いカーディガンの下に白Tシャツを着込み、白に近いベージュの膝を隠す半ズボン、さらに腰には今回の戦いで着れなくなった黒衣を修復とアレンジし、腰後ろに〝仙神〞が踊るように巻きつけている。なぜボロボロなのにそうするかというと、この黒衣には小さな加護や気を集めるのを少しだけだが、促進させてくれる性質が備わっているからであるのだ。それを除けば全体的に南の気象を考慮された服装だろう。

 飛鳥はあらかたヘッドホンの件、三毛猫が盗んで、巨人族に壊されて、とまで話を終え、

 

「その服、新しく買ったの?.........それに腰に巻いてるのは.........」

「ああ。ちょうどいいし、南の気象に合わせてこれにして、腰のは自分で作ったんだけど............変かな?」

「ううん、.........とても似合ってると思うわ.........それに裁縫もできるのね」

「あははは、ありがとう。.........まぁ自分でやるしかなかったから勝手に身についた雑業だけど」

 

 飛鳥が礼儀よく述べた後、亜音は笑みを浮かべて礼を返す。

 冗談を交えた会話をしながら飛鳥と亜音は二人だけの時間を過ご していたが、

 

「そういえば、春日部さんから、亜音が結婚するって聞いたんだけど........どういうことかしら?」

「あははは。何のことかな、それよりも飛鳥と耀、何か隠してないかな?例えば収穫祭の日程を決める勝負に関係したこと、とかで」

「え......、......もしかして.........春日部さんから............?」

「いや、ただ〝サウザンドアイズ〞での様子と小さな会話が耳に入って────なんとなくかな」

「イカサマしたこと怒ってる............?」

 

 不安そうに聞いてくる飛鳥に亜音は微笑んで首を振った。

 

「別に怒る必要はないと思うよ。俺には無関係な話だし、あの勝負は仕事で参加したものだから」

「...............」

 

 亜音が否定したのにも関わらず、飛鳥の表情は優れない。

 否定の仕方を間違えた、と悟った亜音は、

 

「そう難しく考える必要は「.........無関係じゃない」

 

 飛鳥は小さく否定し、これまでのことを思い出す。 ガルドを殺し戸惑い迷走する私の心を救ってくれた、己の憧れである〝言葉だけで是を示す〞強き精神、一人の少女を魔から救おうと命を賭ける背中、何より巨龍と対峙した時、私たちは言葉を交わすこともせずにその意思を伝え合えた。────無関係であるわけがない

 

「私たちは...............その」

「............」

 

 重い空気が漂う中、直後、ノックなしに扉が開かれ、

 

「昼食の準備が...............あれ、亜音さん?飛鳥さんと何かお話中でしたか?」

「いや、もう大丈夫だよ。じゃあね、飛鳥」

 

 そう言って亜音はそさくさとその場を去っていった。

 飛鳥はその背中を見送りながら心の中に、隙間風のような寂しさが吹き抜けたのを感じ、亜音をとても遠くに感じた。

 飛鳥の瞳が遥か遠くの空を映し、微かに揺れていた。

 その様子に黒ウサギも心当たりがあるように、亜音が消えた廊下を寂しそうに見つめる。

 

(亜音さんは今回の一件でもう白夜叉様に匹敵するほど認知されてしまいました.........、それに加えて亜音さんの意思を他のコミュニティが知れば黙っているわけがないのです。)

 

 だから黒ウサギは亜音と話をする機会をこれまでずっと伺っていたのだが、まるで運命のいたずらか、ことごとく黒ウサギは撤退させられていた。主賓室の病室を訪れたら誰かしらが必ず居て、女性店員や水色の髪の少女なんてその場で喧嘩を始める始末、何より〝鬼姫連盟〞が亜音を無所属と勘違いして勧誘してきたことには心臓が止まるほど驚愕した。すぐに亜音が断っていなければ、自分自身何をしていたかわからない。いつの間にか、〝マハーバーラタ〞の紙片を手にしていたのはここだけの話である。そしてさらに亜音は最近、自分を避けているようにも思えた。先ほどもサァーと行ってしまったし、話掛けようとすれば、空に消えてしまう。うまく話しかけて二人でお食事を────、

 

『ごめん、今は忙しいんだ......だから俺じゃなく十六夜と食べるといいよ。でも誘ってくれてありがとう......また今度な』

 

 黒ウサギにはそうなのに、しかし女性店員や水色の髪の少女、ペストとは収穫祭を回ると..................。

 その瞬間、頭の中が白く染まって茫然自失となってしまった黒ウサギ。

 そんな彼女が微かな意識の中で、何かを納得させようと呟く。

 

(仕方.........ないのですよ、亜音さんは素晴らしい殿方です。十六夜さんと同じぐらいに頭が回り、戦神をも味方に付け、コミュニティという枠組みを越え数多の種族の〝心と体〞を救った............初めて命を奪ったことに戸惑う飛鳥さんのことにも誰よりも早く察して理解して救いました...............彼の代わりが務まるのはこの箱庭世界でさえいないかもしれません.....................でも、)

 

 彼も一人の人間なのだと...............ふと思い出すことがある。

 初めて会った時に見せた小さな涙。許されない境界を越えてなお 一雫の儚い悲鳴。彼はあらゆる経験を積んでいるから皆を助けられた。ならば、彼が経験した人生はどんな世界だったのだろう。彼の十倍以上は生きている黒ウサギだが、何一つわからない。彼が教えてくれた、見せてくれた、涙、心、目的、進路、無数の傷跡、形見..................想像してもそんな簡単じゃないと、そんな軽いものじゃないと、自問自答、否定してしまう。

 

(私は.........黒ウサギはどうすれば.........どうしたら.........いいのでしょう.........、)

 

 不意に浮かぶ照れ臭そうなペスト、女性店員、水色の髪の少女の三人。

 そしてふと耳に響く飛鳥の声。

 

「そういえば、黒ウサギは知ってるの?亜音が結婚前提に付き合っている女の子がいること」

 

 

 

「.....................................................................血痕?」

 

 

 

「そっちじゃない......えーと......契りを結ぶと言えばいいのかしら............?」

(とうとう.........泥棒猫まで............っ!)

 

 ズキンと胸が痛み、さらに思考が真っ白になって時が止まる。なのに嫌というほど心臓が脈動し、不安を駆り立てていた。このまま放置してしまえば、亜音は確実に目の前からいなくなってしまう、と。

 だがこれ以上考えても出来ることはない黒ウサギと飛鳥は静かに ため息を吐いて、その場を後にするのだった。

 

 

 

######

 

 

 〝アンダーウッド〞大樹の頂上付近。

 

 

 魔王のゲームで発生した雷雲の面影すらなく爽快な晴れ模様を見せる青空。

 遮られることなく降り注ぐ日光を浴びる大樹のその奥の巨大な葉に、二つの影が。

 

「精霊を使ってまで呼び出したのはなぜでしょうか?白夜叉様」

「少し頼みたいことがあっての...............で、驚かないのか?この姿に」

「驚くよりも目を見張りました............とても綺麗ですね、白夜叉様」

「ふ、ふぬ............亜音にそこまでストレートに言われると少し照れるな......、」

 

亜音が微笑む先で照れ臭そうに扇子で顔を隠す白夜叉は、煌びやかな桜柄や紫色の着物を重ね着し、金とオレンジの陽光に染まる豪奢なリボン型の帯で和装を締め、少女から一人の女性へと成っていた。燦爛と流れる銀のなが髪、星霊としての格を見せ付けるように彼女の耳上から後ろに反られて生えそびえる紺色の双角。まさに世界で一番偉大な女性、と外見と覇気だけで謳っていた。

 

「今回の一件で多大な被害が及んだ下層に.........東と北、どちら側の境界壁にも慰霊碑と平和公園が建設された.....................その始式に私と一緒に出てはくれんか?」

「舞夏は.........?」

「断られ逃げられた」

 

 だろうな、と亜音は呟いて、出るリスクを考える。

 正直、このタイミングでこれ以上の売名行為は避けたい所だった。これから始める“ゲーム”のためにも。

 その間にも白夜叉が申し訳なさそうにも、

 

「おんしに出ろ、というのはお門違いかもしれない。だが、皆がおんしに会いたがっとる。感謝を述べたいと思っている。頼む、私と共に出てはくれぬか?加えて今回の一件の報酬も…………この通りだ」

 

 あの白夜叉が、頭を下げている。

 彼女は本気だ、各地の階層支配者…………ではなく、名乗れる旗頭すらない一人の少年に白夜叉と並んでほしい、と本気でお願いしていた。

 ────参った、これは断れないな。

 亜音は鼻先をかきながら、白夜叉から視線を横へずらし、

 

「………………なら報酬は一日、白夜叉様の時間をください」

「は........................?」

 

「あ………ぁあ!もちろん、白夜叉様の一日分の仕事も手伝います。たまには僕とも遊んでください。白夜叉様」

「そんなんでいいのか............おんしは」

 

「構いません…………………白夜叉様がそれで元気になってくれるなら」

 

 照れ臭くはあるが、亜音は満遍の笑みを浮かべながら白夜叉に指を二本立て、ピースを見せる。

 だが、白夜叉は人で言うところの大人よりも、大人以上の存在、神様だ。威厳を損なわないように視線を逸らしながらも、強く否定する。

 

「私はいつも通りだ……」

 

 だが、この流れからその強がりは少し無理がある。

 白夜叉がこの超忙しい時に、わざわざ時間作って頭下げにこなければいけない事態が、ある時点でやばいだろう。

 おそらくだが、“ノーネーム”と聞いて、亜音を担ぎ上げ、取り込もうと動き始めているコミュニティがいるのかもしれない。または首輪を付けにかかっている可能性すらある。もちろん白夜叉が牽制はしてくれているだろうが、世間体もある。ただの出席もできないのか、何か後ろめたいことでもあるのか、ノーネームだからだろ、などなど言いたい放題になるだろう。

 亜音は、白夜叉の肩にそっと手を置き、白夜叉は亜音に向き直る。

 

「そんな顔じゃ説得力ないですよ.........でも、やっぱり俺も悔しい………ですね」

 

 今回の一件の被害報告、複数の外門を破棄、何百万という命が散り、帰る場所を失った子供達はその倍は近い、白夜叉はそんな被害を真正面から受け止めたのだ。並みの精神では絶対に精神崩壊するだろう。悔しくないわけない、辛くないわけがない、でもみんなの前では笑顔を絶やさすわけにはいかない。

 亜音は一転して笑みを消し、細く息を吐くように零した。

 

「先に謝らせていただきます……………白夜叉様」

「…………ぇ、おんし………なに、を」

 

 白夜叉は隙を突かれたように簡単に前のめりになり、視界から陽光が消えた。

 その先は視界は影で埋まっても、陽光の暖かみが消えても、涼しい風が届かなくても………………確かな人の温もりがあった。

 彼女は全てを悟った亜音に両腕で抱き寄せられ、亜音の胸に顔を埋めた。仄かに匂う亜音の匂いと、いつも〝守る側であるはずの自分 〞が二十年も生きていない少年に抱きしめられている。

 その現実は白夜叉自身が味わったことのない世界であり、思考停止する。

 

「おんし…………は、………アホか」

「すいません…………」

「いや………別に嫌なわけではないが、」

 

 やってしまった、医療行為の癖が悪く出てしまった、と少年は内心でぼやく。

 だが、気まずい空気の中ではあったが、それでも白夜叉は亜音の背中に回した手の力は抜かなかった。

 とても、とても、長い時間こうしてた、と思っていた二人だが、実際は数分しか経っておらず、そのままの状態から、ふと白夜叉が小さくつぶやく。

 

「────誰にも言わないで置いてくれぬか?」

「はい……………誰にも言いません」

 

 難民や“ノーネーム”となった子供達からの質問攻め、生存者達からの批判の視線。

 あれは責任を負った者でなければ理解はできない、綺麗事だとしても、偽善だと言われても、“みんなを助ける”と言いつづけられる者でなければ、白夜叉の立ち位置を知ることさえできない。魔王であり、人類最終試練と呼ばれながらも、東のフロアマスターで在り続け、他の階層支配者に目を掛け、下層にすら出向き、黒ウサギに至っては恩に潰されぬようにその明るさと人格でカバーし、生活を支えていた。

 無理だと、偽善だと、一度でも口にしたら、彼女の隣に立つことは叶わないだろう。

 

(いや、………そんな奴は立っていたとしても俺が認めない、認めてたまるか、…………)

 

 大抵、理想論や偽善だとか無理だとか口に出していた者達は、自分のことを棚に上げている奴らばかりだった。

 無理でも理想論でも“どこまで行けるかは分からない”のにも関わらず、その未来を知ったかぶる。

 だから少年は思う、夢や理想を抱く者、無理や理想論とぼやく者、この双方は同じ人間でも別の生き物と理解した方がいい。

 無理なのかもしれない、駄目なのかもしれない、でもどこまでできるかは分からないならば、大志を抱きし者よ、自分を信じ、理想を研ぎ!同志を集え!と偉人は言っていた。

 

 だからこそ白夜叉は下層であっても、見捨てたりしない。

 仏門に属しているという話は、伊達ではないのだ。

 故にほんの少しでも理解を示してくれた少年に白夜叉は、とても嬉しかったと同時にうちに秘めていた憤りがあった。

 それはどんなに尽くしても“伝わらない思い”があったからだ。

 

 

 

 箱庭の全てを守れなくても、彼女は言いつづけてきた────“箱庭の世界には私がいる”────と。

 

 

 

「亜音よ............私は守れなかった....謝って済む問題ではない、.....私の判断はいつもいつも間違いばかりだ............口先だけと、偽善と言われても仕方ないのかもしれん」

「でも、白夜叉様は箱庭が大好きなんです」

 

「……ぁ、………ああ、そうだとも、…………私は箱庭が好きだ、…………この想いは中々に伝わらんものだな、」

 

 ────怒りや憎しみを秘めた目が、悲しみに暮れた声が、どんな時もちらついてくる。

 亜音の背中に回された白夜叉の両手に力が込められ、衣服がシワつく。

 しがみついてくる白夜叉に亜音は小さく微笑むと、耳元で囁いた。

 

「...............僕も好きですよ」

「あ、亜音............?」

 

「僕が白夜叉様と一緒に戦います……………世界は…………」

 

 ぎゅっと白夜叉を強く抱きしめ直し、心の中で少年はつぶやく。

 

 

(……………俺が守る)

 

 

 それからしばらくの間、亜音はいつの間にか眠りについてしまった白夜叉を膝に寝かし、 広大なアンダーウッドの大地を静かに見渡しているのだった。

 






エンディングテーマ《inside you》歌:milet

駆け足で行きます!!
よろしくお願いします。

あともう一回、エピローグを挟んで、次の章に行きます。
お付き合いいただいてる方には感謝しかありません。
正直、昔、作品を一回削除したことを後悔しています。
だからこそ、今回はその後悔を胸に頑張っていきます。

ご感想、アドバイスお待ちしております。
高評価いただけると、執筆が早まるかも…………ぜひ、清き一票をお願い致します!!!

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