青年は、ロンの兄弟槍を片手に黄金の杯で酒を飲む   作:儀田 佳宗

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読んで下さりありがとうございます。
この物語は基本的に6話辺りから本格的に始まります。
少し自分で考えた設定などが入っていますが、御了承下さい。


少し改良したZ


Prolog〜夢の狭間、最優の騎士との出会い〜
第1話 次元を超えて、愛した者は···


──────────────────────────

 

 

「ッあ〜、、まじでぇ~、やってらんねぇ〜よ。こんな世界〜」

 

 

 

そこは深夜の森の中。そこに1人の青年の声が響く。

この森は未だ神秘が残っている数少ない貴重な森だ。

もちろん魔獣の類がうじゃうじゃいる。

 

そんな中、この森のピラミッドの最底辺とも言える人間が大声を出して騒ぐなどまさに自殺行為でしかない。

安眠妨害された獣たちによって食い殺されるのがオチだろう。

 

「ッたくよ〜、な〜んで俺がこんな目に〜····おっと、酒がねぇ。おいッ!酒もっと出せや‼」

 

しかしそんなことお構い無しに青年は自分の持っている黄金の杯に「酒を出せ」と要求する。

はたから見たらただの酔っ払ったアホの妄言だが、その杯は命令通りに()()()()

 

しかも、最高級のワインを。

 

「お〜、これこれ····っあ〜、最っ高‼マジこんなん酒がないとやってられませんよぉ〜。ねぇ()()()()()()さん‼」

 

 

 

そう言いながら彼は自身の横で気に身をあずけている上等な鎧を着た()()()()()に話しかける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───もう分かっている人もいると思うが、そう、彼の持っているものは「()()」だ。

 

しかも、聖杯戦争のために御三家が作り出した模造品ではなく、最後の晩餐にてキリストが使用しその血を浴びた「()()()()」である。

 

 

 

本来の聖杯の効果は「形而上の存在を汲み上げ、物質に転換する」とされている第3魔法のそれの更に上で、理論上は第1から、現代に至っても未だ解明されていない()6()()()までの使用が可能とされている。そのため、本当の意味での願いの実現が可能だ。

 

 

どちらにせよ、明確に願いを唱えなければならないが。

そのため、誰も理解していない第6魔法や第5魔法などほとんどの魔法は使用不可だ。

 

···まぁ、その詳細を聖杯に聞き出して理解すれば行使は不可能ではないが·····

 

 

 

 

 

そして、そんななんでも出来ちゃう聖杯くんで酒を飲んだならば聖杯の中に内包されている莫大な魔力が体の中に侵入し、並の人間ならばその莫大な魔力に体が耐えきれず『()()()()()()()()()()()()()()()()()()()』。

 

また、これを英雄や神族が行った場合最低でも四肢の爆散は免れない。

 

 

 

普通の魔術師が聞いたら「···豪華でアホなこの上ない死に方だな。」と言うだろう。どこぞの花の魔術師が聞いたら「え?そんなことするバカがいたら真っ先に千里眼で見て笑い転げるよwww」とでも言うのでは無いだろうか。

もちろんこの男は英雄でも、ましてや()()()()()()()()

 

 

魔術の魔の字も知らないただの一般人だ。

 

 

では何故、このアホはそんなことをしていて平気なのだろうか?

 

 

 

その原因は、彼が傍らに置いている()()()()()()()()()()()()()にある。

 

また、これが魔獣達が彼に近づけない原因でもある。

 

─────そこから放たれているのは圧倒的な威圧感。

 

 

 

そう、何を隠そうアーサー王伝説においてかの最優の騎士と名高きギャラハッドが死の直前聖杯と共に抱いていた「血滴る槍」───「()()()()()()()」である。またガラハッドの書記曰く、これは騎士王の持つ「ロンゴミニアド」と全く同じ、空から降ってきた特殊な金属で時を同じくして作られたため、「()()()()()()」とも呼ばれている。

 

それを手にした者は世界を支配すると言われているほどの槍が、何故こんなアホに使われているのか、そして何故かの真の聖杯が矮小で魔術すら知らぬ男の願いを叶え()()()いるのか。

 

 

事の発端は4日前に遡る··

 

 

 

_______________________________________________________

 

 

 

俺──園崎 雄太はアルトリア・ペンドラゴンが()()()である。

いや、()()()()()と言っても過言ではない。

いきなり何を言い出すかこのアホはと思うかもしれないが、少し待って欲しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

········え?くっそわかりみ?

 

 

 

 

 

 

 

 

··········貴様は同士か、歓迎しよう。

 

 

 

 

そんなことは置いといて、ちょうど何度目かも分からないUBWの鑑賞会と共に「第64回アルトリアの魅力発見脳内円卓会議」が終わったところだ。彼女の素晴らしさについてサラリと述べようと思う。

 

 

まず言うまでもなく()

 

これについては言葉を述べなくても皆わかっているだろう。

 

次にその髪。

 

ああ、その金髪は本物の黄金の何十億倍も煌びやかに燦々と輝いている。

 

 

更にその性格。

 

語るまでもないな。

男勝りで、

己を律し、

他を尊重する。

人間の鏡だ。

 

 

 

····きっと、世界中の人がこんな性格なら争いなんて起こらないだろうな。

 

 

 

 

 

 

そして何より、時折見せるそのスマイルッ‼

 

 

あの爆発力と言ったら、ビッグバンを優に超えるだろう。

 

 

·········まぁ、特筆すべきはこんな所か。

 

強さとかは頼もしいが、やはり女の子に無理はして欲しくないなぁ〜。

でも、セイバー騎士だもんなぁ〜。

しかも願いの根本も間違ってるもんなぁ〜。

救われねぇなぁ〜。

 

 

 

 

············そうだ、セイバー()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

·····この男、アホである。

 

 

何を血迷ったか、バカバカしい極論なるものに至ったらしい。

 

 

しかし待って欲しい。この男がこうなった原因はちゃんとある。

 

 

最近の彼は就職したての社会人一年目のひよっこだった。

 

親は母親だけの片親で、その母も病気を患っている。

 

父親は幼い時に交通事故で他界した。

 

そんな状況でも彼は母親に苦労をかけたくない一心で、高校卒業後直ぐに職場に付き一人暮らしを始めた。

 

 

 

 

彼が1番運が良かったのは、その新しく入った会社にコネがあったことだろう。

そこの部長さんはなんとオタクで、SNS上で知り合ったのだが、その時に自分の状況を説明すると「ここに就職してみなさい。私が何とかしよう。」と言ってくれた。

初めはふざけているのかと思ったが、実際に行ってみると辛くも受かっていた。

こんな時代になんと人情の厚い人がいたもんだと柄にもなく感動した。

 

ただし、条件として「会社に入る所までしか私はサポート出来ない。後の資格やら仕事やらは自分自身で努力すること」ということが出された。

この会社は大手とはいかないまでも、その手の世界では有名な会社なので昇進するには多くの資格が必要となる。

 

 

そのため、安定した生活を送るためには仕事と資格取得のための試験勉強との板挟み生活が強いられた。

 

だが、ここで頑張れば母を養うことも出来るしなにより、自身の将来のためになる。

 

しかし、周りは大学卒の年上の同期ばかりで職場には全く馴染めず試験勉強も勉強しても勉強しても理解が追いつかないことが多かった。

 

 

·······そんな中で唯一の希望が彼女───アルトリア・ペンドラゴンだった。

 

彼女のひたむきな折れない心に彼は惹かれた。

 

いつしか現実にはいない彼女に()()()()()()までに。

 

 

そんな苦痛と恋心の狭間で混乱した彼の精神は正常な判断力を失った。

 

 

 

 

所謂「厨二病」の再発病である。

 

 

現実と空想の認識の境目が薄れてゆき、現実を現実として認識できなくなるものだ。

 

 

そして、彼は心では無駄だと分かっていながらも1%すらない可能性にかけた。

 

出なければ彼の心が壊れてしまいそうだったから。

 

 

 

そして、三日三晩かけて彼はFateの魔法陣を完璧に再現した。

 

もちろん自身の血を触媒にして。

 

初めは痛かった指の切り傷も既に3日目には慣れ、かさぶたを切って血で描いた。

 

触媒には彼女の剣「エクスカリバー」と「カリバーン」のレプリカを数本用いた。

 

···自分は狂っているのだと、心のどこかで感じながら···

 

 

 

そして、彼はネットで完璧に覚えた詠唱を始める。

 

 

「────素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。

────降り立つ風には壁を。

────四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路(さんさろ)は循環せよ。」

 

大丈夫だ。()()()()()。·····貞子じゃないよ!?

 

 

 

──安心してつむぎ出した言葉は──

 

「───閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)

───繰り返すつどに五度。

ただ、満たされる刻ときを破却する。」

 

まだ、魔法陣に変化はない。

原作ではこの辺りで既に薄く発光していたはずだが·····

 

 

──徐々に不安から来る震えを孕みだし──

 

「──────────告げる。

─────汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。

─────聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ。」

 

····ねぇ、そろそろ反応してもいい頃じゃない?

発光くらいしてもいいんだよ?

熱い展開くれてもいいんだよ?

 

 

──渇望していたそれは───

 

 

「─────誓いを此処に。

────我は常世総ての善と成る者、

────我は常世総ての悪を敷しくもの·····ッ!」

 

 

·····あぁ、心の底では分かっていたさ。

でも、この願いだけは捨てきれないんだよッ!

 

 

──直ぐに定義を失った───

 

 

 

「────汝ッ!、三大の言霊を纏う七天、

抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――ッ!」

 

 

 

 

 

 

·········静寂の中で、雄太は虚しさと恥ずかしさから涙を流し崩れ落ちる。

 

 

 

 

 

分かっていたさ、あぁ、自分がおかしいことくらい。

····これで捨てよう。これで諦めよう。

 

 

 

──それでもと──

 

 

 

もう、無理なんだよぅ···。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────『奇跡には代償が必要だ』─────

 

 

 

 

 

 

 

 

··············ピシッ

 

 

 

 

 

 

 

「·······え?」

 

 

 

 

前方から何かにヒビが入ったような音がした。

そちらに涙で腫れた顔を向ける。

 

そこには····

 

 

 

 

 

 

「····エクス·········カリバー····?」

 

 

 

そう、あらかじめ触媒として突き立てておいたエクスカリバーのレプリカに突如としてヒビが入ったのだ。

 

 

「なん·····で····、·····どうして···ッ!?」

 

 

 

カーンッ

 

 

 

瞬間、エクスカリバーが「割れた」。

 

 

そう、突如としてヒビが入ったと思えばそこを起点に真っ二つに割れたのだ。全く状況が理解できなかったが、その次の瞬間···

 

 

 

ゴウッ!

 

 

「うおッ!?」

 

 

 

 

 

 

一陣の風とともに魔法陣に青の光が走った。

 

 

一体何がどうやったら血が光るのか、全く分からないが、とにかく一陣の風とともに光ったのだ。

 

 

光ったったら光っのだッ‼‼‼‼‼

 

幻想じゃないッ!!

 

夢じゃないッ!!!!!

 

 

 

その瞬間、彼は歓喜した。

 

まさか、本当になるとは!!

 

普通、こんな所をほかの人間が見たら真っ先に逃げるか気絶するだろう。人間は理解不能なものと瞬間的な驚きには弱い。

 

だが、先程述べたように彼は現在()()()()()()している。

 

そう、今の彼は「現実と空想の区別がつかない」のだ。

 

 

 

そのため、こんな異常現象を「現実として観測」することができる。

 

簡単に言えば「メラッ!」と唱えて炎が手から出たら普通の人は驚くが、厨二病は「え?メラって唱えたんだから炎が出るのは当たり前じゃんwww」と驚きが()()()のだ。

 

そして、彼の空想は今、現実のものとなる。

 

その瞬間、彼の心に何かが込み上げて来た。

 

それは感動か、歓喜か·····

 

 

なんにせよ、それを言葉にせずには居られなかった。

 

 

 

「····来てくれ、セイバァァァァァァアアアア!!!!!!」

 

 

 

某、公式ハーレム主人公の言葉を放った瞬間魔法陣は輝きを増していき·········

 

 

 

 

─────ズルッ

 

 

 

「··········え」

 

 

─────彼を、飲み込んだ。

─────────

───────────

─────────────

 

 

 

 

チュン、チュン

 

 

 

 

 

 

「···········うせやん」

 

 

 

 

 

 

 

 

彼が目を覚ましたのは、知らない森の中だった。。

 




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