青年は、ロンの兄弟槍を片手に黄金の杯で酒を飲む   作:儀田 佳宗

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·······昨日、今日中に出すと言ったな·········

·······あれは嘘だ(ホントにすいませんごめんなさい約束通り出来ないクソ野郎でごめんなさい。土下座謝罪)


そ、その分戦闘は濃厚なはずなのでどうにかおねしゃす!!

それから、少し1話から改稿して伏線をいくつか入れたので、暇があったら1度読み直してみてください!!!!


※すまないッ!!また評価の所が全然ないから調べたら、なんでか知らんけど5文字以上必要な設定になってたッッ!!!2回目です本当に申し訳ありませんッ!!(ついに土下座が地面にめり込んだ。)


もう、一言欄を撤去したので、誰でも気軽に評価出来ますッ!!!!

なにとぞ!なにとぞダメなわたくしに評価をつけてくださいぃぃ!!

ホントに、小説書く励みになりますっ!!

お願いします!!!



第11話 月下の剣戟(後編)

俺が提示した疑問に対して、目の前の騎士も動きを止めた。

 

 

「む、それについては確かに決めていませんでしたね···確かに、通常の決闘であればどちらかが死ぬまで終われませんが、貴公にも聞きたいことがいくつかあります。それに、貴公は槍の力によって即時再生することが出来るため、戦闘続行不可能にすることは出来ない·····そうですね···」

 

 

 

少し考え込むように騎士は黙り込む。

 

 

 

てか、槍の能力が傷の即時再生ってよく分かったな。

あれだけ見てたら一時的に傷を治すとかしか思いつかんだろ。普通、『いくら切っても即時再生する』だなんて思いつくだけでありえないと切り捨てるだろ、絶望的すぎて。

 

 

 

その間に俺は俺で息を整えながらこの後どう立ち回るかを考える。

 

 

正面切って撃ち合う···論外。

何とか反射だけで相手の攻撃をいなし続け、相手を疲れさせる···無理

降参···最終手段

 

まず、俺の力だけで戦いを続けるのは無理だな。

 

 

なら······

 

 

 

 

 

 

 

「···そうですね、先に一撃入れた方が勝ちということにしましょう。」

 

 

 

 

考えられる中でもまだいい方の勝利条件だ。

 

「よし、分かった。」

 

 

 

 

「では、仕切り直しと行きましょう。」

 

その言葉と共に、騎士は剣を自分の横に構える。

いわゆる、剣道の八相の構えというものに似ているやつだ。

 

そのまま上段から来るのが主流だが、この騎士の速さならば、俺が上段に構えるような動きをした瞬間、その剣を下に落とし、下から斜めに袈裟斬りすることも可能だろう。

 

その場合、体が右斜めからズレる。

 

一見単純に見えても、その速さをもってすればそこから繰り出される技は数百通りにも及ぶだろう。

 

だが、今からしようとしていることに比べたら、そんなことは関係ない。

 

 

 

 

 

「よしいいぜ、やるか。······踊り狂う不滅の槍(ワルツ・オブ・ロンギヌス)ッ!!」

 

 

 

初手で一気に無数の槍を出現させ、相手に畳み掛ける。

 

 

それは、槍に本来貯蔵されていた魔力と、現在第2魔法によって少量ずつ魔力を搾り取っている聖杯から更に無慈悲に吸い取った少量の魔力を使って初めてなし得た荒業中の荒業。

 

別に、俺自身が戦う必要は無い。

 

出現した数は、およそ50数本。

 

 

 

 

 

 

 

森の隙間すら埋め、月の光さえも遮るその大軍はただ目の前の1人に向けられたものだ。

 

 

 

 

 

流石に、数の暴力には叶わないだろう。

 

過剰戦力であるか?

 

否。

 

 

それは結末を見れば分かることであり、答えは現状にある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んじゃ、第2ラウンドだッ!!」

 

 

 

 

 

そして、ただ一筋、ただ一刺しの傷をつけるためのみに幾条もの槍が空を舞う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「行けッ!!」

 

右手にもつ槍を振りながら、分体に命令する。

 

 

 

 

バンッッ!!!!!!!

 

 

 

 

途端、50数本の槍は一気にその速度を0から音速以上に加速させ、周りで起こるソニックブームも関係ないとばかりに目の前の敵に殺到する。

 

 

周りの木の枝は一気に折れ、まだ僅かに灯っていた火も完全に消えた。

 

また、真横にいたガレウスはその振動が体の芯まで届き、皮膚は発生したかまいたちによって至る所に傷がつき、鼓膜も破れた。

 

だが、即時再生しその顔に少しの不快感を残しながらも薄く開いた目から敵の方を見る。

 

 

 

 

 

 

 

そして·······絶句した。

 

 

 

 

 

 

なんと、騎士は迫り来る槍の全てを弾き、避けて、少しずつだが自分の方に近づいて来ていた。

 

 

 

 

 

 

「ハァッ!!!!!」

 

 

 

 

全く怖気付くことなく、まるで檻のように槍の穂先が騎士を囲むも、関係ないとばかりに短い掛け声と共に飛び出し、飛び出した先に迫る槍の軌道をその剣の腹で逸らし、最低限の動きと剣への負担を極限まで減らした動きで無理やりに突破口を開き、後ろから殺到してくる槍を空に跳んで躱す。

 

その動きは、確実に両手剣などという代物を使って出来るものではなかったが、本当に力技なのだろう。ただの鉄の剣を振り抜いただけで小規模な斬撃が飛ぶのだから。

 

 

今度はその宙に舞う体に槍が殺到するが、それを騎士は曲芸師もかくやという動きで飛んでくる槍を()()にし、更にそこを起点にして体を回転させ迫り来る槍の一切と共に地にたたき落として行く。

 

 

 

 

 

 

 

だが、槍はたたき落とした傍から直ぐに復活し着地した騎士に向かう。

 

 

 

 

しかし、今度はそれを捌くことはなく一気に加速し前方へと逃げる。

 

 

 

 

その速度は、槍には叶わないまでも人間が出せるような速度ではなかった。

 

 

 

 

そして、そのまま呆然と戦いを見ていたガレウスに突進するが、ギリギリの所で追いついた槍が彼を守り、その槍が彼を守っている間に先頭にいた10本近い槍が彼の後ろで高速旋回し騎士に向かって発射される。

 

 

「クッ・・・!」

 

迫り来る槍を再び剣の腹でいなし、即座に宙を舞って後退。その間に迫っていた槍も難なく対処された。

 

 

 

 

そして、再び殺到する槍に対して騎士は迫り来る槍を見ることも無く対処し、もう一度ガレウスに迫る瞬間を狙っていた。

 

 

 

 

 

「········すげぇ····。」

 

 

 

 

 

その様子を見ていたガレウスは素直に騎士の戦いを綺麗だと思った。

 

 

 

さっきまで点いていた火が無くなったことで月光にのみ煌めくそれは、一種の芸術のようで、見る者の心を踊らせた。

 

 

目にも止まらぬ攻防。飛び散る閃光。剣と槍がかすれることによって生まれる硬質音と微かに香る鉄の匂い。

 

 

その全てが、ガレウスを興奮させた。

 

今まで、目の敵にしていた騎士だが、今ではそんな感情はどこかに消えていた。

 

あるのは少しの憧憬と、

 

カッコイイという単純な感動だった。

 

 

 

·····だから、当事者である自分がこの戦いの中に入ることが出来ないという酷く単純な現実がものすごく歯がゆかった。

 

 

 

もし自分がこの中に入れたら···

もし自分がアレと互角に戦えたら···

 

想像するだけでアドレナリンがやばいことになるが、それを理性が抑え込む。

 

 

 

普通に力不足だ。

お前にはここにいる資格は無い。

 

言外にそう突きつけられているような気がして。

目の前で繰り広げられている戦いに『貴様は相応しく無い』と見せつけられているような気がして。

 

チートだチートだと騒いでいた自分が、

 

ただただ情けなく思えた。。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

·······だが、忘れてはならない。

ここは1対1であろうと戦場だ。

 

 

そして、戦場ではいつだって油断した者から脱落していく。

 

 

 

「セヤァァァァァァアアア!!!」

 

 

 

はっ!として後ろを向くと、そこにはいつの間にか自分の体を飛び越えて後ろに居た騎士が迫る槍を牽制しながら自分の元に飛び込んでくるところだった。

 

 

 

「ッ!させるかッ!!」

 

 

 

そして、それに合わせて自分自身でもオリジナルの槍を構えてその攻撃を受ける。

 

ガキンッ!!

 

「ぐわッ!!!!」

 

そしてかかってきたのは圧倒的な力だった。

 

 

 

まるで空からトラックでも降ってきたのかと錯覚するほどに重い重い一撃だった。

 

 

そのおかげで、踏ん張った拍子に両腕の骨と腰の骨盤を()()()()

 

瞬間的ではあったが、腕から肘にかけての骨が粉々に粉砕され、体が崩れ落ちそうに感じた。

 

だが、相手はたった一撃で骨が折れるとは思って居なかったのだろうか、抵抗がなくなった俺の腕はふにゃりと力なくぶら下げられ、そのまま剣は剣先が俺に触れるか触れないかギリギリの所を通りすぎて地面に刺さった。

 

瞬間、骨を再生。

そして、すぐさま槍が殺到。またも騎士を遠ざける。

 

 

目の前に剣が迫った瞬間、切られたところで再生するのは分かっていても()というものを直に感じた。

 

今のは本当に危なかった。

 

だが、当たり前だ。

 

本当に、自業自得だ。

 

 

 

 

 

こっちは昨日初めて槍を持ったぬくぬく日本で育った一般人。

 

対する相手は何人も人を殺してきたであろう百戦錬磨の騎士。

 

いくらチート能力をいくつも持ち、相手を自動迎撃する槍を持ったところで、慢心するなど愚の骨頂だ。

 

 

 

···ん?なんか今の言葉に似たセリフを聞いたことがあるような······

 

 

 

バキンッ!!!!!!

 

またも懲りずに思考の海に沈んで行こうとするガレウスを正気に戻したのは、何かが壊れる音だった。

 

 

 

 

その音の発生源を見ると、なんと騎士の剣が真っ二つに()()()()()

 

 

「くっ…」

 

 

 

 

騎士は苦虫を噛み潰したよう声を出し、すぐさま後ろに飛んでその場から離脱。その際に後ろにあった槍は折れた剣の柄の方で対処していた。

 

 

 

·······なんじゃそりゃ···。

 

 

俺は直ぐに槍を停止させた。

 

 

 

 

 

「む、なぜ槍を止めたのですか。まだ勝負は着いていません。」

 

 

すると、地面に着地した騎士は少し怪訝な声で聞いてきた。

 

 

 

 

「いや、そっちの剣が折れてんだからもう終わりだろ?」

 

 

 

「そんなことはありません。私はこの折れた柄だけで戦うことだって出来ます。それに、決闘の勝利条件は武器の破壊ではなく、相手に一撃入れることです。」

 

 

「いや、悪あがきはやめて棄権しろよ···」

 

 

「悪あがきではありません。それに、騎士の決闘に棄権などという文字はありません。というか、私が許しません。」

 

 

その声は、冷静ではあったが、微かな怒気を孕んでいた。

 

 

 

だから、俺はこれ以上やっても意味は無いと思い、最後の手段に出た。

 

 

 

 

「わかったよ···それじゃ、俺が棄権するから。この戦いは終わりな。」

 

 

 

 

そもそも、俺の馬鹿みたいなプライドが発端で続けられた戦いだが、そもそもこの騎士は別に俺を害そうとかそういう意味で決闘を、申し込んできたのでは無く、初めに言った通りただ俺に槍に関して俺に聞きたいことがあるだけであり、槍を奪われるのは勘弁だが、対話くらいはする。

 

 

 

 

 

だが、俺の申し出に再び騎士は剣呑な雰囲気を醸し出す。

 

 

 

「ふざけないでください。騎士の決闘に置いて降参など、絶対に認めません。あまり私を舐めないでいただきたい。剣がないからと言って、貴公に勝つすべならばいくらでもある。」

 

 

 

 

「ん〜、俺が剣がないお前と戦いたくないんだよ···」

 

 

 

 

「それは剣がない私を見くびっているということか。」

 

 

 

 

 

再び、怒気を孕んだ声が聞こえてくるが、またも俺は馬鹿みたいに呑気なことを言った。

 

 

 

 

 

 

 

「いやいや、そうじゃなくて·····なんというか·····綺麗だったんだよ···」

 

 

 

 

 

 

「·······は?」

 

俺の回答に対して今まで冷静な声で応答していた騎士から明らかに動揺した間の抜けた声が聞こえてきた。

 

 

 

 

 

 

「だから···さ、その、お前が繰り出す技が綺麗で見とれてたんだよ!月の光に反射した剣戟に感動したんだよ!!だから俺はもっとお前の技が見たいんだよッ!!それなのに、こんな形で終わって欲しくないんだよ···」

 

 

 

 

俺は恥ずかしいのを我慢して吠える。

だが、それは確かに俺の望みでもあった。

 

 

 

 

たかが借り物の槍の力で打ち合って自分は何もしていない雑魚が何を言うかと思うかもしれないが、俺はそれでも、傲慢にもそれを願ってしまう。願わずには居られなかった。

 

 

 

 

そして、この騎士が繰り出す技は、現代社会に置いて擦り切れてしまった心にアルトリア初めて見た時以来の感動をもたらしてくれた。

 

 

 

 

 

それが、たまらなく嬉しかったのだ。

 

 

すると、騎士もヤケになって出した大声に少し驚いているようだったが、直ぐに冷静·····にはなりきれていないようで、若干喜色を孕んだ声で言う。

 

 

 

 

「そ···そ、そうですか···その、····ありがとうございます·····そのように言っていただけたのは初めてですね·····いいでしょう。私は、棄権を認めないし、貴方は私に剣が無ければ戦わないという·····ならば、どうすればいいかなど、簡単なことです。剣を用意すればいいのです。」

 

 

 

そう言うと、騎士は刀身が折れた剣を腰にかけていた鞘に収め、丁重に地面に置いた。

 

 

 

 

 

その所為一つ一つがまた美しく完成されたもので、あんなことをしていなければ、正に騎士の鏡だと思った。

 

 

 

 

 

 

「すいません、無理をさせてしまいましたね。ありがとうございました。」

 

 

 

 

 

 

 

地面に置く瞬間に微かに聞こえた声に、本当にこの騎士は凄いやつだと素直に賞賛を送りたくなった。

 

 

 

 

 

そして、再び騎士が俺に向き直る。

 

 

 

「···さて、やはり私には鉄製の剣で戦ってしまうと、いささか負担をかけすぎてしまうようです。ですので···少々()()()()()ことにしましょう。」

 

 

 

 

 

 

その声と共に、またも騎士から風が吹き荒れる。

だが、その威力は先程の比ではなく、枝だけが折れていた周りの木は完全に幹から崩れ落ちた。

 

 

 

そして、その様子を手で発せられる風を目に入らないようさえぎりながら眺めていると、騎士はその手に剣を持つように、手の形を変えた。

 

 

少しして周りに吹き荒れていた風は完全に消え、そこにはさっきよりも更に威圧が濃くなった騎士がいた。

 

 

 

 

 

 

その重圧によって息もできない。

まるで、蛇に睨まれたカエル······いや、巨大な()に睨まれているカエルのような気持ちになった。

 

 

 

 

 

 

濃厚な威圧は、それだけで相手の動きを制限させた。

もしも、これが殺気だったとしたら·····どこぞの《施しの赤ザコ(強)》さんみたく、ビーム出さずに睨みだけで人を殺せると思わせる。

 

 

 

だが、やはりその手には剣は持っていない。

 

「···なんだ?剣なんて無いじゃないか。」

 

「いえ、無礼なのは重々承知ですが、今、私は剣を持っており、それを見えなくする魔術をかけているのです。」

 

「····へぇ、そんなこと出来んのか。」

 

 

 

 

 

 

この時の俺は、気付けていなかった。

 

普通に考えて、こんな魔術使ってしかもこんな技量を持つ騎士が普通にいたならば、ブリテンが滅ぶことなんてなかっただろう。

 

口調だってまさにソレではないか。

 

 

 

だと言うのに、それに気付けずに馬鹿正直に打ち合おうとしていた。

 

 

「あなたの望むような剣の煌めきを見せることは出来ないかもしれませんが···あくまでも決闘ですので···またこの決闘が終わった後に機会があればまたその時にお願いします。」

 

そして、見えない剣を構えて騎士が構えを取るまでも取る。

 

 

 

 

それに合わせて、自分の限界も超えて槍に魔力を注ぎ、その数を更に10本増やし槍を発射する用意をする。

 

「よ・・し・・、なら真剣勝負だッ!行けっ!!!」

 

既に、息も絶え絶えになっている有様だが、何とか耐えてみせるッ!と意気込む俺に対して···

 

 

 

 

···現実は無慈悲に結果を見せる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

風王鉄槌(ストライクエア)ッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その言葉とともに、目の前で大気が()()()

 

 

 

一気に飛んでいくはずだった槍たちは突如として巻き起こった飛行機のターボエンジンを何十倍にもしたような衝撃によって、彼方へと吹き飛ばされて行った。

 

 

 

 

 

 

「·····は?」

 

 

 

 

 

だが、俺は騎士の放った言葉に驚きを隠せなかった。

 

 

 

 

今、目の前の騎士はなんと言った?

 

風王鉄槌?す、ストライクエア···だと?

 

 

 

 

 

それは、()()が·····彼女のみが使えるはずの技だ。

 

 

 

まさか·····まさかまさかマサカマサカマサカ!?

 

 

 

 

 

そして、今までの騎士の口調を思い出す。

そして、その圧倒的な力を感じる。

フードで顔は見えないが、隙間から見える青い紋章の入った銀の胸当てが見える······

 

 

 

 

そして、()()()()()を持っている。

 

 

 

そして、騎士がそんなふうに呆然としていた俺に、好機とばかりに踏み込む。

 

 

 

槍は飛ばされながらも直ぐにその穂先を騎士に向け、空から舞い戻ってくる。

 

 

 

 

だが、このペースならば最前にいる槍でもギリギリ届かないだろう。

 

 

「終わりだッ!!!」

 

 

 

目の前で、剣を掲げて自分に迫る騎士を呆然と見る。

 

 

 

 

まさか·····お前は······

 

 

·····貴方は········

 

 

 

 

 

 

 

「·······アルトリア·······?」

 

 

 

一瞬。

ほんの一瞬だけ、騎士の動きが止まった。

 

 

だが、その一瞬が戦場では命取りだ。

 

 

ヒュッ!!!

 

 

 

「クッ!」

 

 

すぐそこまで迫ってきていた槍が、一瞬だけ止まっていた騎士の肩口を裂いた。

 

 

本当に薄い薄い擦れるほどの傷ではあったが、それは、この戦いの終わりを宣言するには充分だった。

 

 

 

 

 

「あっ!と、止まれっ!」

 

 

直ぐに、殺到していた槍に停止命令をかけ、今しがた決闘に敗れた騎士を見る。

 

 

 

「·······そのような形で私の虚を突くとは·····見事ですね。いつ気づいたのかは分かりませんが、驚きました。まさか、認識阻害までかけている私を·····しかも、アーサーでもなく、アルトリウスでもなく、私の()()まで知っているとは····。あなたは、マーリンの手の者だったのですか。道理で完全に槍に認められているわけだ。」

 

 

 

 

そして、騎士は······いや、()()は、その事に驚く素振りさえ見せずフードを取った。

 

 

 

 

そこから初めに露になったのは、月光の元、黄金より尚燦々と光る金髪。

 

聡明さを感じさせるエメラルドグリーンの澄んだ瞳。

 

キリッとした少年のような、だがどこか愛らしさを感じさせる顔立ち。

 

 

その全てが、総じて()()であった。

 

 

 

 

 

「本当は勝って聞くことを聞いて名を名乗らずに去ろうと思っていたのですが、名を知られた上負けてしまっては、王としての面子も立ちませんね。·····改めて名乗りましょう。」

 

 

 

 

そして、彼女は、()()()な瞳を向けて言葉を発する。

 

 

 

「私の名はアーサー・ペンドラゴン。幼名をアルトリアと言い、民からは《騎士王》とも呼ばれています。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────あぁ、思い出した。

 

 

 

なんのセリフか思い出せなかったが、今、やっと思い出した。

 

 

 

UBW2期で、柳洞寺での最終決戦。

 

それは、かのAUOに向けてハーレム偽善者が放った一言だ。

 

 

 

『無限の剣を持ったところで────』

 

 

 

 

 

その言葉は、今の決闘に面白いほどに当てはまっていた。

 

 

 

『──究極の一を持った相手には対抗できない!!』

 

 

 

 

 

 

··········そりゃそうだ。と身をもって知った。




聖杯(幼女退行中)「どう考えても労働法違反だッ!!なんで今回の所有者はこんなにも聖杯使いが荒いんだッ!」

聖杯「え?何ロンギヌスさん?····エセ関西弁が抜けてる····?エ、エセって言うなぁ!!べ、別にふ、雰囲気でやってただけだからッ!それに、恥ずかしいからもうやめてッ!」

桜救出後

聖杯「も、もう無理·····絶対1歩も動けない、てか動きたくない···は、早く魔力を·······」


補給中




いいぜ、やってやるぜ!!


聖杯「あれ?な、何してるのっ!」





ワルツオブロンギヌスッ!!


聖杯「このおバカァァァァァァァアアアッ!!!あっ」
バタンキュー



聖杯ちゃんの苦難はこれからも激化していくッ!(もう許してやれよォ!!!)



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