青年は、ロンの兄弟槍を片手に黄金の杯で酒を飲む 作:儀田 佳宗
遅れてすいませんでしたッ!!!
それでは、本編をお楽しまくださいませ!
「・・・・はぁ・・・」
「む?どうしたんだい?そんな『はぁ、こいつやっぱめんどくせぇ奴だ』と言わんばかりのため息なんかついて。」
───そこは、一面の花園だった。
見渡す限りの花、華、ハナ・・・
見た者の気が狂いそうになるほどの色彩を放ち、
嗅いだものの意識を飛ばすほど優雅で苛烈な香りを放つ。
まるでこの世にあるものとは思えないほどの美しさと荒々しさを持つ人類未踏の楽園。
妖精達の秘密の花園。
またの名を────
────
そんな永遠に続く花園の中に、ポツンとテーブルと椅子が出され、
───2人の
「さっきまでの元気もなくなってしまって・・・・。」
「・・・・・はぁぁぁ・・・・。」
「だから、どうしたって言うんだい?そんな『さっき突っ込もうとしたら「君、まさかそっちの気もあるのかい」って言っただろうが!このハゲッ!』と反論したそうなため息なんかついて。」
「分かってるからよけい
あ、思わず突っ込んでしまった。
「君、やっぱりそっちの気があるんだね・・・。しかも、早速ヤル気満々だったなんて・・・熱心な聖職者ならまだしも天然聖遺物の君に『ピー』して『ぴー』もして『あぁん』までされるなんて、考えるだけでゾクゾク(寒気)がするよ。」
「お前、頭沸いてんじゃないのか?」
─────内容は散々なものである。
頭が沸いているんじゃないかと思わせる発言をしているのはかの有名なキングメーカー様、マーリンその人である。
そして、そんな彼に突っ込みを入れているのは先程某騎士王さんと対峙したガレウスだ。
「で?結局どうなんだよ?なんか分かったのか?」
頭湧いてる発言を開始早々にかました彼であるが、今はガレウスにとって重要なことについて調べてもらっている。
「うん。大体のことは分かったよ。・・・しかし驚いたねぇ。こんな抜け道があったとは・・・」
「というかいきなりどうしたんだよ?『ヤラナイカ?』なんていいやがって。さっきまで普通に話してたじゃねぇか。」
そう、冒頭のシーンはマーリンがある事について調べていた時、いきなり『ヤラナイカ!』などと言ったことが発端だ。
「いやー、君が正常な思考回路をまだ持っているかどうかを確かめるために・・・ね?」
「いや、『ね?』って同意を求められても異論しかねぇよ。何をどう血迷ったら正常な思考判断ができるかどうかを調べるのに『ヤラナイカ』が出てくんだよッ!?」
「気分」
「だろうなッ!?」
ちくしょうこいつもう手遅れだ!
「で・・・まぁ調べた結果なんだが・・・・・率直に言おう。」
すると、さっきまでふざけていたマーリンの顔が少しだけ真剣みを帯びた。
それに呼応するように、俺も向き直り・・・
「・・・い、いやだなぁ・・・そんなに見つめられると照れてしまうよ・・・///」
・・・・・・・訂正。真剣みもクソもねぇわこりゃ。
「どうでもいいから早く言えよ!あと地味に顔赤らめる演出までしなくてもいいから!!気持ち悪いだけだからッ!!」
まぁ、顔立ちのいい彼ならば女性視点では顔を赤らめている今の現状はすごくいいものに見えるかもしれないが、男に向けられても困るのはこっちだよ・・・
「うん、まぁいいや。率直に言うと
・・・・・・・・・・・・・・・・・はい?
────────────────────────
「私の名はアーサー・ペンドラゴン。幼名をアルトリアと言い、民からは《騎士王》とも呼ばれています。」
その声は、フードを取った瞬間に低い男性の声から女性寄りの中性的な声に変わった。
一瞬、その光景に、その声に、脳が溶けそうになった。
喜びが、体を駆け抜けた。
思考が爆ぜ、何もかもどうでも良くなるかのように歓喜に打ち震え、そのまま意識すら遠くなりそうだった。
だが・・・・・
『本当に、アーサー王に人の気持ちは分からないとはよく言ったもんだよ』
その言葉が、酷く鈍く、醜く、俺の意識を縛り付けた。
「では、私は負けたのであなたからの要求を飲みましょう。もちろん、王の特権としてこの決闘そのものを無効にするなどという無粋な真似はしません。」
続く言葉に、俺は失いかけていた意識を急浮上させる。
あ、そういえば、経緯はどうであれ俺はこの人に勝ったんだ。
てことは、俺はこの人にどんなことでも要求出来るわけだ。
・・・・・・・・え?
「?どうしたのですかそんなに狼狽えて。早く要求するものを答えてください。」
「い、いやいやいやいやッ!!こ、これは無効試合みたいな感じになるのではないでしょうか!?」
「何を言うのですかッ!!騎士の決闘に置いて交わされた約束は絶対ですッ!それを、騎士王と呼ばれる私が破るなど、あってはいけないことなのですッ!!」
めっさ怒られた。ぐすん。
「そ、そうは言っても、王様もこんな結果に満足はしていないのでは・・・?」
「いえ、どんな結末であろうと負けは負けです。あなたの策略にまんまと引っかかった私が悪いのです。」
そして、『早くしろ』とばかりに見つめてくるその瞳を見ながら、じゃあ要求はこの試合そのものを無効にしろって感じでいいかなと思っていると・・・
「もちろん、『無効試合にしてくれ』とか『要求するものは何も無い』のような答えは受け取れません。」
直感Aェェエエ工!!
「・・・・はぁ、分かりました・・・ここでは決められませんので、《貸一つ》ということでよろしいでしょうか?」
「む。ここでは決められないというのですか・・・ですが・・・・ッ!!・・・そうですね。貸一つということでお願いします。」
ん?いきなりどうした?と思っていると・・・
ザッザッザッザッ!!
村の方から、何人かがこちらに走ってくる音が聞こえてきた。
・・・考えてみればまぁそりゃそうだ。
あんなクソでかい爆音立てながら戦って、周りの森の木々も無茶苦茶になぎ倒されりゃ、そりゃ飛び起きて気にもなるだろうな。
多分、今まで出てこなかったのは、この音を巨大な魔物か何かが音の発信源はでは無いかと思って警戒していたのだろう。
それで、音が聞こえなくなった今駆けつけているというところか。
「村から人が幾人か走ってきています。正直なところ、私がここに居るのを他の人間に見られるのは非常に厄介です。ですので、この話はまた後日。今はここから逃げましょう。」
そう言って、こちらに目配せしながらフードを被り静かに歩き出す騎士王様。
それに続くようにガレウスも1歩を踏み出すが・・・・
ズシャっ
「・・・・あ・・・・れ・・・・?」
踏み出した瞬間に体が倒れた。
そして、そんな俺を少し驚きを含ませた表情で見るアルトリアを横目で見ながら、何が起こったか分からずに意識は闇に沈んだ。
__________________________
「___おや?起きたようだね。」
再び目を覚ますと、そこは異世界だった。
・・・・・・・・あれ?
な… 何を言っているのか わからねーと思うが 、
おれも 何をされたのか わからなかった…
頭がどうにかなりそうだった…
誘拐だとか神様転生だとか、
そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
もっと恐ろしいものの片鱗を 味わったぜ…
「やぁ、大丈夫かい?」
訳の分からない状況に戸惑っている俺に、声をかける者が1人。声からして男のようだが、ずっと目を閉じて意識を無くしていたため、いきなり入ってきた太陽の光とそれに反射するように輝く虹色の何かによって視界がボヤけ、そこに人がいるとしか確認できない。
眩しい光に目を細めながら、声の出どころに話しかける。
「・・・あの・・・・・ここってどこですか?」
「あぁ、意識の方は大丈夫みたいだね。ここはどこか、か・・・・・ここは星の内海。妖精達の世界から隔絶された理想郷」
・・・・・・・あれ?何だかすごく、嫌な予感。
「そう構えなくてもいいよ。僕はただ、君がこの
ぼやけていた視界のピントが徐々に合っていく。
そこにいたのは、まるでプラチナのような輝きを放つ長髪を垂らし、質素ながらも不思議と高級感を漂わせる白いローブを纏った中性的な美丈夫・・・いや、美少年がいた。
その眼光から放たれる視線は、優しく柔和なものながら、そのうちには明らかな
「もし私との話の間に
・・・・・うひゃ〜、王様開発部部長が来た〜・・・
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その後、マーリンによって無理矢理作られた茶会の席で、様々なことを話した。
まず、マーリンが俺の発言について真実か嘘かを見抜く魔術を俺にかけ、それが嘘だとわかった瞬間問答無用で妖精鄉とも現実とも繋げることの出来ない隔絶空間にぶち込むということになった。
そもそも、マーリンが出した何から抽出したかよくわらないが美味しい紅茶もどきの中に真実のみを言うようにする薬が入ってたそうなので意味はないが。
なんでそんな面倒くさいことしたんだ?と聞くと、
『君がもしかしたら私が思っているよりも強い魔術師だとしたらこの程度の魔法薬じゃあんまり意味がないからねぇ。まぁでも、見た目通りの素人でよかったよ。』
一言多いんだよ全く。
でも、そこまで入念にアルトリアに近寄る人間を調べよう点に置いてはアルトリアの補佐として信用出来るが・・・
それに、よく考えたら現在の全てが見えるこいつにとって、俺はいきなり現れた
そりゃ警戒もするわ。
それから俺がどうやってここに来たかを懇切丁寧説明してやった。
話すにつれて、不信感は少し強くなってしまったが、敵意はほとんど無くなったように感じられる。
とりあえず、どうやってここに来たのかまでを話した時に、そのとき描いた召喚陣を描いてくれと紙と白い羽根ペンを渡されたので、その場で描いたところで話は一旦打ち切りになっている。
それから数分たったところで、冒頭の衝撃発言に戻る。
_________________________
「・・・・はい?」
おっと、声にも出てしまったようだ。
でも、こんな衝撃発言されたらしょうがないと思う。
・・・いや、・・・・だって・・・・ねぇ・・・・公式だよ・・・・?
「うん。確かに、この召喚陣は相当無駄があるけどよく出来たサーヴァントの召喚陣だ。特にこの《七つの筐》とはよく考えたものだよ。確かに英霊を現象として呼び出すには理にかなっている。この私がよく出来たと言うんだから、これを作った魔術師・・・いや、過去の記憶媒体から記録された行動を再現させるために少し魔法の域の術式も入っているのかな?どちらにしても、歴史に名を残せるレベルだよ。」
へー。
まぁ御三家って魔術師の中ではちょっと有名だけど、聖杯戦争そのものが極秘に行われていたものだからなー、そんなに凄いものだったんだ。
てか、魔法って・・・宝石爺も介入してたのか?
でも、宝石爺は監視だけで基本的に手は出さないんじゃないか?性格的に。
まぁ実際に何があったかは当事者にしか分からないからなぁ・・・。
「でも、この召喚陣は違うものなんだよ。なんでか分かるかい?」
え?なんで?
いまよく出来た召喚陣って言ったじゃん。意味わかんない。
「その顔は分からないようだね。・・・君は召喚陣というものがどういうものか知っているかい?」
「いや、さっぱり」
「だろうね。まず、魔法陣全般に言えることだが、大前提としてこれらを書く際には自分自身の《聖名》が必要となる。」
「聖名?」
「そう。魔法陣を使う人間を特定しないと、誰の魔力を使うんだってことになるし、魔法陣の効果を付与する対象を自分自身に固定する必要もある。そのため、魔法陣には必ず自分の名前を用いる必要がある。聖名というのは、基本的にはその人の本名だ。魔術師というものは、往々にして自分の素性を隠したがる生き物だからね。」
あぁ、なるほど。
つまり、これをサーヴァント召喚に例えるなら、自分の使えるマスターの名前を入れておかないと、召喚されたサーヴァントは、令呪が発現していたとしても誰がマスターか固定されていないってことか。
そりゃ、契約書に契約者の名前がなけりゃまず結べるわけないもんな。
「だいたい分かったようだね。それで、ここに書いてある聖名は《シロウ エミヤ》となっている。だが、君はそのシロウ エミヤじゃないから、この時点で魔法陣が正確に機能することは無いんだ。魔法陣の媒体には君の血を使ったと言っているけど、媒体の血と別の人物の名前を入れていたらまず機能するわけがないからね。」
「え?でも確かに、本来のものとは全く違うけど機能するには機能したぞ?」
そう、魔術的に機能したからこそ今ここにいるのだから。
「うん。君たちの世界、
「・・・つまり?」
すると、マーリンはニヤッと嫌な笑みを浮かべた。
「よくわかってないようだね。簡単に言えば、君たちの世界も君たちが私たちの世界を作ったように、
「・・・・は?・・・・それってあんた達だけじゃなくて俺達まで誰かに作られた物語の中の人間ってことか?ちょっ!こ、怖いこと言うなよ・・・」
ちょ、怖がらせんなよ・・・いや、べべ別にびびビビってるるわけじゃないじょっ!?
「まぁ、実際にはそっちの世界でも魔術は隠蔽されているだけで、実在するのかもしれないけどね。それで、さっきの話に戻るけど、君が描いたサーヴァント召喚陣では、例え君たちの世界に魔術的なものが存在していようとどんな形であれ機能することは無いんだ。馬のいない馬車が動くはずがないようにね。」
・・・なるほど。
つまり、コンセントがない家電が動かないのと同じように、魔力供給源が指定されていなかったら動くわけがないんだ。
「でも、さっきも言ったように機能したぞ?もったいぶってないでさっさと教えてくれよ。」
「そうだね。でも、私は最初に言ったじゃないか。これはサーヴァントの召喚陣では
「君はこの召喚陣がどこからサーヴァントを持ってくるか知っているかい?」
なんでそんなこと聞くんだ?と言いたかったが、こいつにこれ以上反論してもうけながされるされるだけだろうから仕方なくのってやろう。
「えーっと・・・・・確か
「よく知ってるね。では、その境界記録帯を所有しているのは?」
・・・は?所有?
「うーん・・・・人類史そのもの?」
「惜しいね。いい線行っているんだけど、まだ足りない。じゃあヒントだ。この英霊召喚、聖杯戦争とは何を模倣してやっているのかな?」
模倣?確か・・・
「・・・プライミッツマーダーの制御・・・だったか?」
「うん、そうだね。ガイアの怪物を制御するため、抑止力は7人の守護者をその場に派遣する。人類が地球の敵に回ってしまった場合、これを行使する権利がある。そして、その7人の守護者らは抑止力から出てくる。ということは?」
・・・あぁ、なるほど・・・
「つまり、英霊を行使する、座を保有してるのは抑止力ってことか。」
「そういう事だよ。そして、英霊は抑止力を介して聖杯戦争という場に引きずり降ろされているんだ。聖杯戦争に使われるまでは抑止力のルールに乗っ取り守護者となるが、聖杯戦争に降ろされると聖杯の決めた独自のルールに変更される。なんというか・・・・模倣した人間を独自のルールで動かすというか・・・うん、説明しずらいね。」
つまり、Yo〇Tubeの動画をM〇3に変換するのと似たようなものなのか?
「まぁ、この辺は別にどうでもいいや。つまり、抑止力のそれを聖杯のものにすることで英霊を召喚している。これだけ分かっていればいい。そしてここからだが、君が描いたものがサーヴァント召喚陣では無いことを説明しよう。」
そう言うと、マーリンは召喚陣を描いた紙を中に投げて杖を一振した。
途端、紙は燃え上がり、俺が描いた召喚陣だけが赤く光り輝き、見やすくズームされた状態でテーブルの上に落ち、そこに焼き付いた。
それから、マーリンは召喚陣を指でさしながら説明していく。
「まず、君が
「あ、あぁ。確かにそれらを触媒にアルトリアを引こうと思ったんだ。」
今更考えると何たる愚行。
ほんとにもう・・・この歳になって黒歴史がふえるとか・・・
僕は悲しーです!!
「それで、その配置なんだが・・・こんな風じゃなかったかい?」
そして、マーリンはその手からカリバーンを
「確かにこんな感じだったと思うけど・・・やっぱあんたはデタラメだなぁ・・・」
「ふっ、褒め言葉として受け取っておくよ。それから、エクスカリバーはここに置いたんじゃないかい?」
それから、マーリンはエクスカリバーを
「・・・なぁ、お前って相当チートだよな。」
「チート、というのは何かわからないけど、これはただ形だけを模した贋作だよ。星の聖剣なんて、私でも作るのには骨が折れそうだよ。」
ほら、《作れない》とは一言も言ってないんだよなぁ・・・
「で、これが君の描いた召喚陣だ。この
・・・え?
「そうさ。何度も言うが、たしかに君は英霊召喚の召喚陣を描いた。けれど、エクスカリバーを突き立てた時点でそれは全く別のものに変わってしまっているんだよ。詠唱にも意味があるように召喚陣にも意味がある。この中心の2つの円は《アラヤ》と《ガイア》という2つの抑止力を表している。抑止力とは星そのものだからね。度々円形、球形で表される。そして、その重なった部分に剣を突き立てるということは、2つの抑止力への《介入》を意味しているんだ。しかも、周りにカリバーンを置いたことで王国へと至る三叉路の部分が円環になってしまっている。これでは、力の放出先が全てこの一点に集中してしまい、漏れ出たエネルギーが全てこの召喚陣の中で循環するようになってるけど、この召喚陣で溢れ出るエネルギーはそれこそ災害級の濁流と全く同じくらいだ。それがたった直径数メートルの円の中で高速で循環する。その事でこの召喚陣の近くにいた君は飲み込まれて我が王の象徴であるエクスカリバーを座標軸にこのブリテンの地へ・・・・・・って、聞いているのかい?」
・・・・・・はっ!(寝てた)
「ちょ、ちょっと文字数の関係で寝なくちゃ行けなかったから。わかりやすくまとめてくれ。」(メタァ!)
「うーん、何言ってるのかは分からないけど、君が何も分かってないということは分かったよ。まぁ、まとめると・・・」
そして、すんごいいい笑顔でこう言った。
「君が描いたのは
・・・・・・・はい?(2度目)
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