青年は、ロンの兄弟槍を片手に黄金の杯で酒を飲む 作:儀田 佳宗
「─────ブムォォォオオオオ!」
「ギャァァァァア!やめろぉぉぉぉ!こっち来んなぁぁぁぁぁあッ!!!!!!」
今、俺は牛のようなイノシシのようなよく分からない生物に追いかけられてます。
···いや、ちょっとした出来心やったんやねん。
いきなりどことも知れぬ森の中に放り出されてさ、
肝心のアルトリアはどこにもおらんしさ、
水はないわ食料はないわ情報もないわでむしゃくしゃするやん。
それでさ、蹴ったんよ。「木」を。
そしたら、なんかコイツが落ちてきた。
·············訳が分からん!
何故あんな所にこんな巨体があって木は折れない!?しかもなんで俺の振動にすらならない威力の蹴りでこんな巨体が落ちてきてんだよ!?
完全に物理法則適応外だよな!?
俺はすぐ逃げ出した。だが、こいつ、むっちゃ追いかけてくる。しかもこれが速いのなんの····
F村先生のマジでお陀仏5秒前を体感したわ····
まぁ、そんなこんなで逃げている訳だがこいつは鼻もいい。
見た目からして鼻がでかいのでそうだろうとは思ったが、完全な死角に隠れている俺を普通に見つけ出した。
今はただひたすらに逃げているが、ちょっとまずいかもしれない。
バキバキバキィ!
「だから着いてくんなって言ってんだろうがァ!」
後ろから、周りの木々をなぎ倒しながら突き進む獣の音がする。
「ちょっとこれはマジでやばいってッ!!·······ん?」
そこで、前方から水の音がした。
もしかしたらこの先に川かなにかがあるのかもしれない。
「しめたッ!川に入れば匂いは辿れないはずだッ!」
最後の希望に縋るかのように、彼は水の音がする方へ走り出した。
そして30秒後、前方に川が見えたのだが·····
ザァァァアアアアアッ!!!!!!!!!!!!!!
「·····うせやん」
メッチャ急流だった。
これ入ったら川の石に頭ぶつけて死ぬか溺れるかのどっちかやん。
だがしかし、ここに来た時点で既に逃げ道はない。
後ろから迫り来る獣の足音、こうなったら一かバチかだッ!!
「ええぃ、ままよッ!!」
バシャンッ!
彼は、急流の中にその身を投じた·······。
しかし、急流のせいで口の中に無理やり水をねじ込められ息が出来ない状態になっていた。
酸素が脳に届かず、少しづつ意識が薄れていく。
そんな中で·······
「ブムォォォオオオオ!!!!!!」
獲物を失って怒り狂っている獣の声を聴きながら、内心で「ざまぁみろ」と呟いた······
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「プファッ!?···はァ····はァ····なんとか····なったか··。」
その後、雄太は幾度となく溺れかけながらもなんとか酸素を補給しながら流れの緩やかなところで陸地に上がれた。
「っぶねぇ、あと少しで溺れるとこだった。」
だが、体はびしゃびしゃに濡れてしまいこのままでは風邪を引いてしまう。
「へっ····ヘクチッ!あ゛〜、寒いなぁ。お、あそこ良さそうだな。」
前方に光が射し込んでいる場所があった。
あそこで服を乾かそうと思い近づいて服を脱いだところで、ある違和感に気づいた。
·······木の影に誰かいる。
少し鎧のようなものが見えることから、きっと騎士とか兵士とかだろう。
まさかとは思っていたが、多分ここ中世だな。これで確信した。
少しづつ近づいてみる。
「す、すいません···。」
言葉をかけるが全く反応はない。
まぁ日本語で話しかけているんだから日本人じゃない限り「どうしましたか?」とは帰ってこないだろうが、それにしたってなんらかの反応があるはずだ。
寝ているのだろうか?
そして、木の裏に回ってみると····
「ッ!?う、うわぁぁぁあああ‼‼‼‼‼‼‼」
驚いて腰を抜かした。
そこに居たのは鎧を着た
まさかこんな目にあうとは·····。
ここに来てどんだけ驚かされなくちゃならんのやら···
···いや、まじで、ホラー耐性ないんっすよ俺···
すぐにでも逃げ出したかったが、腰が抜けてしまって動けない。
少しづつ冷静になっていく····。
逆に腰が抜けてよかったのかもしれない。あのまま勢いで走り出していたらまた変な獣とかち合う可能性が高かった。
「し·······死んでるよな······?」
近づいてみると、その全貌が見えた。
鎧を着た死体は見た感じ男だろう。もちろん女性用の胸の装甲がないからだ‼
──まぁ、そんなことはどうでもいいのだが、その遺体は両手に何かを持っていた。
それは、黄金に輝く杯と布に包まれて穂先だけでている真っ赤な槍だった。
ん?杯か。
さっき川に流されてた時に水が溢れるほど入ってきたが、そのせいで咳き込んでしまい喉が痛んでいるからちょっと水飲むか。
そう思って手を合わせてからその杯を死体の手から奪った。
死んでしまったこの人には申し訳ないが、生きている俺にはこれらが必要なのだ。
物も使わないよりも使われた方が喜ぶだろう。
·······が、ガバッと来んなよ···?フラグじゃねぇからなッ!!
「···すいません······使わさせていただきます···。」
ついでに反対側の槍にも手を伸ばす。
リーチが長いからきっと、さっきのような獣が出ても牽制程度には使えるだろう。
それに、なんか血で汚れているようなのでついでに水で洗い流そう。
鎧を取るのはは流石に躊躇われた。
俺自身あまり積極的に死体には触りたくない。
そして、その手から槍を取った瞬間···
ゴトッ
「ヒッ!!」
なにかが鎧の隙間から落ちてきた。
び、びぴってねぇし!
──それは、本のようだった。
だが、その表紙には少なくない血痕が着いていたりところどころ破れたりしてボロボロである。
そして、それにはペンのようなものが付いていた。
これは、この人の日記か何かなのだろうか?
水で濡れては行けないから、後で読んでみよう。
川で杯に水を入れる。
汚れてないかを見てみると、透き通った綺麗な水だった。
しかし、なにかキラキラした小さな粒が見えるが、砂利かなにかだろうか?
まぁ、この程度なら問題ないだろう。
杯を口につけて傾ける。
「んくっ、んくっ、っあ〜。なにこれうまっ!」
口に入ってきた水は今まで味わったことの無いほど透き通ったものだった。
喉越しは良く、臭みも何も無い。すごく美味しい水だった。
だが、次の瞬間······
「ッ!!!???」
バゴンッ!
体が、内側から
いやー体が内側から爆発する何て怖いですねー。
あれ?この技どっかで見たような・・・(作者は本気で覚えていません。)
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